歴代最長総理~「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくしただけ
明石順平弁護士の論考(ハーバービジネス)。
アベノミクスの5年間。日銀の国債大量購入、円の供給で、円安・・・これで輸入価格が上昇し4%の物価高。消費税増税(8%時)で2%の物価高、計6%。名目賃金上昇(あの偽装でも)1.5%・・・つまり実質マイナス4.5%。
付け加えれば、特に年金生活者は、支給額が名目で「▲0.8%」、物価上昇を踏まえると実施「▲6.1%」(13-19年度)ともっと深刻である。
雇用増は、医療介護分野の増は、高齢化社会の進展によるもの。あと外食・飲食などフランチャイズ店の増加(追加すれば、一方で個人事業主の廃業の増加。それと増えた雇用は、年金だけでは暮らせない高齢者、高い学費で苦しむ学生が大半)。
有効求人倍率上昇は、少子化の影響と低処遇による医療介護福祉分野の人手不足が大きい。
在職日数が歴代最長となったが、お友達に利益を分配(桜を見る会、特区、官民ファンド、教育利権などなど)しただけで、国民はまずしくなっただけ。
【「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ 11/22<明石順平氏>】
国家を私物化した安倍政権。7年間のアベノミクスの真実
11月20日で桂太郎(第11・13・15代内閣総理大臣)を抜き、憲政史上最長の在職日数となった安倍晋三総理。この間、安倍総理は官僚人事を壟断し、自身の手駒として動く忠実な下僕を主要ポストに据え、自身の「身内」に利権を分け与え、嘘を嘘で糊塗し、法や民主主義を踏みにじり、公文書を捏造させ、国家を私物化してきた。
安倍総理は「政治は結果」というが、その結果は、粉飾だらけのアベノミクス、失敗だらけでカネをばらまく外交とろくな成果も見られない。
『月刊日本 12月号』では、総特集として、長期政権の驕りと緩みが噴出しまくっている安倍政権を批判する「国家を私物化する安倍晋三 国民を裏切り続けた七年間」を掲載している。
今回はその特集から、弁護士でありながら「アベノミクス」の虚飾を指摘し続けている明石順平氏の論考を転載し、ここに紹介したい。
◆円の価値を落としただけ
―― 安倍政権はアベノミクスと称する経済政策を7年にわたって行ってきました。アベノミクスをどう評価していますか。
明石順平氏(以下、明石): 端的に言えば円の価値を落としただけです。それに尽きます。国債を爆買いして円の供給を増やした結果、市場は円売りに動き、円安が進行しました。製造業は円安によって得したかもしれませんが、物価が上昇し、それに賃金の上昇が追いついていないため、消費は冷え込みました。そこに消費増税が重なったため、国民の生活は非常に苦しくなってしまったのです。
これは賃金と物価の推移を見れば明らかです(図1 なお、厚生労働省によって統計不正が行われていたことが発覚したため、このグラフは賃金について実態を反映していない部分がありますが、かといって代替するものが無いため、やむを得ずそのまま使います)。
月刊日本12月号より
アベノミクスから5年で名目賃金は1・5%しか伸びていません。その一方で物価は6%も上がっています。日銀の試算によると、消費増税による物価上昇は2%なので、残る4%はアベノミクスがもたらした円安の影響です。安倍政権は増税+アベノミクスによって物価を無理やり上げましたが、賃金が1・5%しか伸びなかったため、実質賃金は4・2%も下がってしまったのです。
これはアベノミクス前の水準に遠く及びません。もし民主党政権が続いていれば、少なくとも国民が物価高で苦しむことはなかったでしょう。
―― 安倍総理は実質賃金より総雇用者所得の増加を重視すべきだと主張しています。
明石:確かに総雇用者所得は増えていますが、それは雇用者が増えたのだから当然です。問題は雇用者の内訳です(図2)。アベノミクス擁護者たちは絶対に触れませんが、職種別の雇用者数を見ると、医療・福祉が6年間で125万人も増えています。その理由は高齢者が増加していることであり、アベノミクスとは無関係です。
月刊日本12月号より
雇用が増えている理由をもう一つあげると、多くの企業がフランチャイズで多店舗展開していることが関係していると思います。フランチャイズとは、フランチャイズに加盟する人や法人が、フランチャイズ本部から店の名前やサービス、商品を使う権利をもらい、その対価をフランチャイズ本部に支払う仕組みです。権利を与える側はフランチャイザー、権利を付与される側はフランチャイジーと呼ばれます。コンビニがその典型です。
フランチャイズの総店舗数および業種ごとの店舗数の推移を見ると、アベノミクス前からフランチャイズ店は増え続けており、特にコンビニの伸びは小売業全体の伸びを上回っています(図3)。そして、日本はフランチャイズに関して何の法律もないので、フランチャイザーがフランチャイジーを搾取し放題になっています。だから店舗数を増やすことができ、それに伴って雇用者も増えるのです。
月刊日本12月号より
このことは12月に出版予定の『人間使い捨て国家』(KADOKAWA)に詳しく書きましたが、たとえばコンビニのオーナーは実態は労働者なのに個人事業主として扱われているため、残業代も支払われず、人件費が極端に圧縮されています。こうした脱法行為が平気でまかり通っているのです。
◆アベノミクスの本質は「かさ上げ」
―― 安倍総理はアベノミクスによって有効求人倍率が上昇し、失業率が低下したと述べています。
明石:有効求人倍率の上昇も失業率の低下も、ともにアベノミクス前から始まっており、アベノミクスとは関係ありません(図4)。アベノミクス以降もずっと改善傾向が続いているのは、金融危機が発生していないからです。
月刊日本12月号より
数字が悪化した時期を見ると、1991年のバブル崩壊以降、雇用はどんどん悪化していき、1997年末に発生した金融危機によってさらに悪化します。2003年あたりから徐々に良くなりますが、2008年のリーマンショックで再び悪化します。つまり、アベノミクス以降は金融危機が発生していないから雇用の改善が継続したにすぎないのです。
そのため、再び金融危機が起これば、雇用はまた悪化するでしょう。しかし、失業率の急激な上昇はある程度抑え込まれるかもしれません。というのも、日本ではとにかく高齢者が増えており、医療・福祉分野の人材不足が深刻になっているからです。失業者はそこに吸収される可能性があります。
―― 賃上げ2%を実現したというのも、安倍総理の口癖です。
明石:安倍総理の言う賃上げは春闘における賃上げ率のことです。そのため、当然のことながら春闘に参加した組合員しか対象になっていません。安倍総理が根拠としている連合のデータを見ると、調査対象となった労働者の割合は雇用者全体の約5%程度にすぎません。
しかも、この賃上げ上昇率は名目値です。実質賃金上昇率を見ると、アベノミクス以降は民主党時代よりも圧倒的に低いのです(図5)。
月刊日本12月号より
―― とすれば、アベノミクスの効果があったと言えるのは株価くらいでしょうか。
明石:確かに株価は上昇しましたが、これは異次元の金融緩和と日銀のETF(上場投資信託)購入、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式投資によるものです。要するに日銀と年金によって株価をかさ上げしているだけです。
もし日銀とGPIFが株価を買い支えることをやめれば、株価は暴落してしまうので、もはや後には引けません。
GDPもかさ上げされています。野党はGDPかさ上げ疑惑を国会で追及し、私も『国家の統計破壊』(インターナショナル新書)などで批判しましたが、2016年12月に内閣府がGDPの算出方法を変更し、それにともない1994年以降のGDPをすべて改定したことで、GDPが大幅にかさ上げされたのです。
そういう意味では、アベノミクスの本質は「かさ上げ」です。アベノミクスはシークレットブーツを履きながら「私は身長が伸びた」と言っているのと変わらないのです。私たちはそのことをしっかりと認識する必要があります。
(聞き手・構成 中村友哉)
・明石順平(Twitter ID:@junpeiakashi) あかしじゅんぺい●弁護士。1984年、和歌山県生まれ、栃木県育ち。東京都立大学法学部、法政大学法科大学院を卒業後、現職。主に労働事件、消費者被害事件を担当。ブラック企業被害対策弁護団所属。ブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」管理人
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