破綻企業の東電が、原電に3500億円の支援!?
高浜原発で明らかなように、関係者の金儲けで動いてきた原発。
破たんしている東電が、他の原発企業ら資金援助するのも、その構図。「原発の電力は安い」は、この件でも明確に破たん。
原発推進は、自己保身と、あとは「野となれ、山となれ」という退廃思想。
ここから抜け出けだし、日本の政治経済。経済、政治、倫理的に再生が求められている。
【電力消費者・住民の負担を強いる日本原電への資金援助は許されない 原子力資料情報室10/18】
【FoE Japan声明:東電の日本原電・東海第二原発再稼働への資金支援に抗議する ~原発事故被害者や市民に対する背任行為~ 10/28】
【電力消費者・住民の負担を強いる日本原電への資金援助は許されない 原子力資料情報室10/18】
10月18日、東京電力などの電力各社が日本原子力発電(原電)に資金支援する方針を固めた、と新聞各紙が報じた。東海第二原発の安全対策費に費用がかさむためで、総額3,500億円にのぼるという。許しがたい事態だ。断固抗議する。とりわけ東京電力は巨額の国費を受けており、さらに電力消費者の負担を増やそうとしている。倫理的にも許されない。
過去の日本原電の有価証券報告書から、東海第二原発の売電価格はおよそ11.74円/kWh(2005年度~2010年度平均)であった。1978年に稼働した東海第二原発は減価償却が進んでいる。また日本原電の当期純利益が15億円(2001~2010年度平均)しかないことから、値下げ余地はほとんどない。
東海第二原発の安全対策費と特定重大事故等対処施設の対応費用は計2,350億円であり、このコストを東海第二原発の残りの運転期間18年(2021年から2038年)で回収した場合、kWh当たり2.08円となる。また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に日本原電が支払う一般負担金は敦賀原発2号機と東海第二原発の合計で毎年85.25億円となっている。東海第二原発分を半分として売電価格で回収した場合、kWh当たり0.68円となる。つまり、東海第二原発の追加費用は合計2.76円/kWh、今後の売電価格は14.5円/kWh程度になる。
日本卸電力取引所のスポット市場の2018年度平均システムプライスは9.75円/kWh(2010年度は8.38円/kWh)、日本原電と同じ卸電気事業者である電源開発の2018年度の売電単価は9.26円/kWh(2010年度は8.02円/kWh) である。このことは、電力会社は事故前から市場よりも高い東海第二原発の電力(11.74円/kWh)を購入してきたことを意味しており、今後は14.5円/kWhとさらに5円/kWh近く高い電気を購入することを意味している。
2011年以降、東海第二原発は1kWhも発電していないにもかかわらず東京電力HDと東北電力から計4,500億円を基本料金として受け取ってきた。こうした費用は電気料金の原価に盛り込まれ、電力消費者が負担してきた。さらに今後、東海第二原発の高い電気料金についても電力消費者の負担で買い上げていくとしている。これまで電力会社、政府は原発の電気が安いと強弁してきた。しかし、現実には高い電気を電力消費者の負担で維持しているのだ。
東海第二原発周辺には100万人もの人々が暮らしており、東海第二原発の存在は、そうした人々の暮らしを脅かす。事故の進展によっては首都圏全域にも被害が及びうる。高い電気料金のために一体なぜ、人々の生活を脅かす施設を稼働させなければならないのか。日本原電とそれを支援してきた電力各社の損失を覆い隠すために、東海第二原発を稼働させ、電力消費者の負担と人々の生存を脅かすなどということは許されない。
以上
【FoE Japan声明:東電の日本原電・東海第二原発再稼働への資金支援に抗議する ~原発事故被害者や市民に対する背任行為~ 10/28】
本日、東電が日本原電の東海第二原発再稼働のための資金支援を正式に決定しました。
私たちは、これに強く抗議し、東電および国に対して撤回を求めます。
1. 東電に、日本原電を資金支援する資格はない東電は福島第一原発事故の賠償・廃炉などの費用を払いきれず、原子力損害賠償廃炉等支援機構(以下、原賠機構)を経由して、巨額の公的資金や各地の電力消費者から徴収された電気料金が注入され、形だけ破綻を免れているのが実態です。福島第一原発の後始末をするという大義名分のために、本来破綻しているはずの東電が実質「国有化」され、救済されているのです。
しかし、東電は、「賠償の貫徹」「ADRの和解案の尊重」をうたいつつも、住民らが申し立てたADRの和解案を拒否し続けています。たとえば、浪江町住民1万5700人のADR集団申し立て(2013年1月31日申し立て、2018年4月5日打ち切り)では、東電が6度にわたり和解案を拒否しました。その間にも、多くの住民の方々がなくなっています。東電は、原子力賠償や廃炉に専念すべきであり、他社の資金支援を行う立場にはありません。
2. 東海第二原発の高い電気を買うことは背任行為
東電は、東海第二原発から電気を買うことにより収益を上げて、賠償などを貫徹すると説明しています。しかし、東海第二原発の電気を買うことには何ら経済的な合理性はなく、正当化できません。
日本原電は、敦賀原発1・2号機、東海第二原発が動いていた2003~2010年の純利益の平均は17億円でしたが、東日本大震災以降、所有しているすべての原発が止まり2011~2018年度は平均約17億円の赤字です。所有する4つの原発のうち、敦賀原発1号機は廃炉が決まり、敦賀原発2号機は、建屋直下の断層が、原子力規制委員会が設置した外部有識者会合によって、「地盤をずらす可能性のある断層」と認定されたことにより、再稼働は極めて困難な状況にあります。既に廃炉措置が進められている東海原発を含めて、日本原電には東海第二原発以外に収益を生み出す発電所がありません。東海第二原発にしても、原子力規制委員会による設置変更許可の審査の段階で、安全対策費は約1,740億円とされていましたが、最近では、3,500億円にまで膨らんでいます。 これらを考えれば、東海第二原発の電気はとてつもなく高くつくことが予想されます。東海第二原発の電気を「前払い」により購入することは、日本原電の救済のため以外のなにものでもなく、東電株主や東電が正当な賠償を払うべき原発事故被害者、東電に原賠機構経由で多額のお金を支払っている国民や電力ユーザーへの背任行為と言えるでしょう。
3. 説明のつかない巨額の電気料金の支払い
まったく発電をしていない日本原電が生き延びているのは、東電をはじめ、大手電力各社から巨額の電力料金を得ているからです。中でも東電の支払い額は大きく、2011~2018年度、東電から原電への電力料金の支払総額は3,713億円にのぼります。東電が「経営の合理化」を言うのであれば、このような不当な支払い自体を即刻やめるべきではないでしょうか。
4. 「東海第二原発再稼働を支援する」ことは道義的にも許されない
東海第二原発は、東日本大震災で被災しました。外部電源を喪失して3日以上かかってかろうじて冷温停止し、それ以来停止したままです。地震によってどのような被害をうけているのか、すべてが確認できているわけではありません。全長約1,400kmのケーブルのうち、「可燃性ケーブル」から「難燃ケーブル」に交換できるのは一部でしかないなど、安全上の懸念もたくさん抱えています。
東海第二原発30km圏には90万人以上の人たちが居住しており、万が一の事故の際、実効性のある避難計画の策定は不可能な状況に置かれています。なによりも、多くの住民が再稼働に反対しています。こうした中、東海第二原発の再稼働を「前提」とした資金支援を行うことは、道義上にも許されるものではありません。
以上の理由で、私たちは東電の日本原電に対する資金支援に反対します。 東電の監督責任を有している国に対して、このような説明のつかない資金支援をやめさせるよう、強く求めます。
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