四万十メガソーラー 権限移譲後も、県は「是正・改善の措置を求めることができる」 2015年質疑
【2019年9月議会 吉良富彦県議の代表質問(2019.9.26)】
県の対応が遡上にのってきたからか、この論戦で、県はかなりハードルをあげた条件をのべ、四万十川条例の運用について、権限移譲した四万十市へ助言すると、答弁した。
実は、その権限移譲にあたって、2015年2月県議会の委員会の議論で、日本共産党の米田県議が懸念を表明し重要な答弁を引き出している。
・課長 「問題があると認められる場合には、勧告、是正とか改善の意見を申し上げることができる」「もし仮にそういうことになった場合には県から意見等を申し上げることになります」
・部長 「意見ではなくて措置を求めることができるということですので、意味合いは大きい」
~ つまり最終的には、県の姿勢が問われるわけである。
【四万十川条例 権限移譲2015.3】
◆米田委員 第58号の条例について。
この条例、日本最後の清流ということで、県民、国民の財産をどう後世に残すかという大切な条例ですので、改正を検討するに当たり幾つかお聞きしたいんですが、確かに権限移譲はありますけれど、条例の性格から見て、専門家もおりスタッフもおり経験蓄積もある県がしたほうがいいんではないかと、しかも5つの市町がまたがっている広域的な領域の広い条例という性格からしたら、県が直接やっぱり権限を持ったままがベストではないかという思いがある。
それと、権限移譲したからといって市町村なり住民にとってどういうメリットがあるのかよくわからない点があるのでお聞きしたいですが、四万十市が四万十川、この重点区域をめぐって、今ちょうど具体的事例もありますので、それがどうなるのかという判断も聞けばこの議案に対することもわかると思いますので、例えば佐田の沈下橋の少し上流、四万十川の右岸ですけれど、去年の7月ごろから大規模なソーラーパネル設置をする動きが出ていまして、実際、以前の河川敷やと思うんですけれど、1万坪の敷地に3,000キロワットのメガソーラー発電所と聞いているんですけれど、直ちに屋形船、遊覧船協議会の人たちが、この景観のところ、大変なところにつくってたまるかという思いで見直しを求める要望書を市長、知事に出されたという経過はあると思うんですけれど、その対応も半年近くなるわけですけれど、行為者から質問とか事前協議などをやられていまして、しかし県も四万十市も条例に基づいた立場で率直な疑義なり意見を返されていると思うんですよ。許可の要件にはならんけれど、そういう声がある中で、許可に当たって地元の合意がどう図られているかということは非常に配慮すべき事項だとか、それから最近も2度にわたってそのエリアは浸水していますので、排水対策がどうか、そして景観上どうかというたくさんの疑義を県と市が行為者、開発者に返したままになっているわけですけれど、今回そういうものを、市に許可権限が移るということで、非常に心配するわけですけれど、今の県のこの具体的事例、メガソーラーのパネル設置の動きに当たっては、県は今基本的にはどんなに条例に基づいて対応されているのか、簡単に先言うてもろて。
◎小松環境共生課長 委員のおっしゃるとおり、四万十川の流域で、結構重要な地域で大型のソーラーパネルを建設するお話はいただいておりますけれども、まだ正式な申請は全く四万十市でも受理もしていませんで、あくまでも事前協議という段階でございます。もしそこの地域に建てるとなれば、おっしゃられましたように浸水も経験しているところですので、その防災対策の観点からの対策がきちっとできているかどうか、もしくは、できないとまずは許可ができません。これは四万十川条例の中でも防災の観点から支障のあるところについては許可できないことになってございますので、その対策をしてくださいと、それができなければまた別の場所もまた考えていただくようお話はさせていただいております。今は景観云々というよりも、そのまだ大分前の防災の観点でのお話をさせていただいているところでございます。
◆米田委員 条例の立場で堅持してやるという意味だと思うんですけれど、もし仮に権限が移って、仮に四万十市がいろいろそういう条件が整っていない中で許可した場合に、県としては、是正勧告とか対応できる法的な根拠なり措置できる行為なりは何かありますか。
◎小松環境共生課長 今回権限移譲しました場合には、今知事が行っている許可につきましての権限は県からはなくなりますけれども、そういう場合におきましても、地方自治法で自治事務の処理に関して問題があると認められる場合には、勧告、是正とか改善の意見を申し上げることができることになっていますので、もし仮にそういうことになった場合には県から意見等を申し上げることになります。今、四万十市も県と一緒になって同じテーブルに着いて話していますので、県の考え方も重々わかって理解していただいているものと考えておりますけれども、もし仮に先ほどおっしゃられましたような、誤った判断をされた場合には県からものも申し上げさせていただくことになります。
◎大野林業振興・環境部長 意見ではなくて措置を求めることができるということですので、意味合いは大きいと。
◆米田委員 それは、何に基づくかね、措置。
◎大野林業振興・環境部長 そもそもなぜ権限移譲をするのかお話をしますと、地方分権一括法に基づいて地方自治法が改正をされまして、地方自治法の252条の17の2によって市町村に権限移譲することができる、これは、より身近な自治体で住民の状況、地域の状況を把握したところが許認可事務を行うのが適切であろうという判断によって行われたものだと理解しております。同じくその是正要求の措置につきましては、同じく地方自治法の252条の17の4で、先ほど課長が言いました著しく適正を欠いた明らかに公益を害していると認められるような場合、あるいは法令に違反しているという場合には、その自治体に対して違反の是正または改善のため必要な措置を講ずるべきことを求めることができる、こう定められています。
◆米田委員 わかりました。
そういう立場は堅持できるということですけれど、実際、四万十川流域ということを考えたときに、流域としての整合性とか条例の目的を完遂するときに、そこの市町村域の許可行為のみを許可するよりも、県が流域全体をどうするかという主体的な判断のもとに、権限は今までのほうがベストではないかと疑問が残るんですが、それは幾ら身近なところであったとしても、四万十川流域全体の保護の判断ですから、条例の目的からいうたら、権限移譲の範疇ではなくて、四万十川条例の趣旨、目的を成就するためにも、流域全体を管轄できる広域的な行政で、専門性もあり経験も蓄積した県の判断のほうがよりええんじゃないかと思うんです。何でもかんでも移譲という意味じゃないと思うんですけれど。そういう条例であるにもかかわらず市町に移譲せんといかんのか。市町にとってメリットはあるんですか。
◎大野林業振興・環境部長 委員も言われましたように、身近な事案、自分たちの周囲の景観保全とか生活環境の保全にはそれぞれ立地自治体が責任を持つという観点、より身近なものであればあるほど住民としても愛着を持つという視点から行うものであって、逆に言いますと、ほかは権限移譲しているのにこれだけ残す意味合いもまた余りないのではないかと思っていますし、また権限を移譲したからといって条例の精神が変わるわけでなくて、許認可が知事から市町村長に変わりましても、条例の趣旨を正しく捉えるならば適正に運用されるものだと考えています。
◆米田委員 いまいちようわからんけど、結局今まで四万十市以外の4町に権限移譲したこと自体が、この流域全体を守ることからしたら、その現場現場だけで市町村の判断だけでやるというのが本当になじむのかと。普通の権限移譲とは違うと思うんで、よくわかりませんけれど、いずれにしても部長は、条例の趣旨で許可行為についての認可の権限は移ったとしても根幹は条例の趣旨で県としても対応できるということだと思うんですか。
◎大野林業振興・環境部長 補足させてください。市町村長だけじゃなくて、実は重要な案件については四万十川流域保全振興委員会という組織がございまして、外部委員15名から意見を求めることができるようになっておりますので、外部の目も入るということで、せんだってこの会が開かれましたときに、きょう話題になっております事案についても協議がなされたと聞いています。その中で、積極推進というのはごく少数であったと聞いています。
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