グリホサート 「発がん性」の指摘で、世界は規制へ。日本は逆走、 大幅緩和
4月21日、農民連食品分析センターが、15種類の食パン・菓子パンを検査し、11種類からグリホサートを検出(痕跡含む)され、衝撃をあたえた。なお、国内産小麦を利用したものからは検出されなかった。
・グリホサートについて、WHOの外郭組織・国際がん研究機関(IARC)が2015年「人に対しておそらく発がん性がある」と評価。以降、欧州、米・加州、コロンビア、ベトナム、インドなど世界各国で使用・販売や輸入規制の動きが強まっている。また、2018年米・加州裁判所がラウンドアップ使用によりがんになったとして3億ドル近い倍書をモンサントに命じた。こうした訴訟は1万件を超えると言う。
・日本は規制をまったくしていない。しかも、昨年12月残留農薬基準を大幅に緩和した(小麦6倍、トウモロコシ5倍など)。これは「国外からの要請に対応する」とした基準設定の指針による。海外の農薬使用状況をそのまま認めた対応。
・残留地が異常に高い背景
①プレハーベスト利用(日本で不可) 収穫直前に散布し、枯らせ乾燥させて、収穫を効率的に行うととも、乾燥の手間を省くため。大規模農家での使用が常態化、との指摘。
② グリホサート耐性をもつ雑草が増え、米国は、2013年残留許可料を大幅に引き上げた。
・日本の食品安全委員会。国際がん研究機関の評価は「認める」ものの、「食品を介しての摂取するリスクを評価したものではない」と、自前の動物実験のデータで「問題なし」とした。
・そもそも農薬は発がん性が明らかなものは、農薬登録が失効する。世界の動きも、この観点から
・一方、農薬メーカーの反撃。米国政府にIARCへの資金提供中止をはたらきかけ、結び付きのある研究所などの「反撃」論文など・・
【売上No1除草剤に発がん疑惑、禁止国増える中、日本は緩和 2019/7/25】
【グリホサート削減めざす 体内の残留農薬検査始まる デトックス・プロジェクト・ジャパン 日本でも立ち上げ 農民2019/6/3】
【グリホサート(除草剤の成分) 輸入小麦使用の食パンから検出 食品分析センター 農民4/22】
原発・化石燃料、廃プラ、海洋資源保護、希少動物保護・・・ 日本政府の逆走がすぎる。
★「2019年参院選政策 日本共産党」より
残留農薬等の基準を「予防原則」にもとづいて厳しくする
――除草剤ラウンドアップ(グリホサート)が発がん性があるとして米国で裁判に訴えられ、モンサント社に損害賠償が命じられました。ところが日本政府は、米国の要求にこたえ、その残留基準値を大幅に緩和(小麦6倍、トウモロコシ5倍など)しました。ミツバチ群の崩壊など環境への影響が大きい「ネオニコチノイド系」農薬の残留基準値も、国際的な規制強化の流れに逆行して大幅に緩和しています。健康や環境へのリスクが懸念される農薬等について「科学的」立証がなくても「予防原則」に基づいて規制します。
【売上No1除草剤に発がん疑惑、禁止国増える中、日本は緩和 2019/7/25】
猪瀬聖 | ジャーナリスト
世界で売上No1の除草剤「グリホサート」に発がん性の疑いが強まり、使用禁止や規制強化に踏み切る動きが欧米やアジアで広がっている。しかし、日本は逆に規制を緩和しており、消費者の間で不安が高まっている。
◆「毒物の追放は、われわれの責務」
7月2日、オーストリア国民議会(下院)が、グリホサートの使用を全面禁止する法案を可決した。施行には欧州連合(EU)の合意が必要だが、施行されれば、EU加盟国ではグリホサートを全面禁止する初めての国となる。
全面禁止を訴えてきた社会民主党のレンディ=ヴァーグナー党首は声明を出し、「(グリホサートの)発がん性を裏付ける科学的証拠は増えており、私たちの身の回りからこの毒物を追放することは、われわれの責務だ」と述べた。
オーストリアは有機農業が非常に盛んで、ロイター通信によると、今回の投票では右派の自由党も賛成に回り、法案の可決を後押しした。
環境問題や食の安全に関心の高い欧州ではオーストリア以外の国でもグリホサートを禁止する動きが相次いでいる。
◆フランスも使用禁止へ
フランスでは今年1月15日、リヨンの行政裁判所が、同国の食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が2017年、グリホサートを有効成分とする除草剤「ラウンドアップ・プロ360」の販売を認めたのは、有害な可能性のある製品の販売を禁止する「予防原則」のルールに反するとして、販売許可を取り消した。同日、フランス当局はラウンドアップを即、販売禁止にした。
フランスでは現在、グリホサートの使用自体は認められている。だが、マクロン大統領は、2021年までに同除草剤の使用を農業分野も含め原則、全面禁止する方針を掲げている。今年2月には、農業関係のイベントで「私は、フランスがグリホサートを使わない世界初のワイン産地になると信じている」と述べ、全面禁止の方針を改めて強調した。
ドイツでは、6月26日、メルケル首相が連邦議会で「グリホサートの使用は、いずれ終わるだろう」と述べ、使用禁止を含めた規制強化に踏み切る可能性を示唆した。ドイツは、グリホサートを開発した米モンサントの親会社であるバイエルのお膝元だが、禁止を求める声は多い。
◆ベトナムの輸入禁止措置に米国が激怒
グリホサート追放の動きは欧州にとどまらない。
ベトナム農業農村開発省は4月10日、グリホサートの使用を禁止すると発表した。現地の英字紙ベトナムニュースによると、同省は2016年、グリホサートを有効成分とした農薬の新規登録を中止し、以降、同除草剤が人の健康や自然環境に与える影響を精査してきたという。
ベトナム政府は、同時に輸入禁止も発表。米国のパーデュー農務長官は直ちに声明を出し、「(ベトナムの禁輸措置は)世界の農業に壊滅的な打撃を与えるだろう」と怒りをあらわにした。
しかし、その米国も、足元では脱グリホサートの動きが急速に広がっている。先陣を切ったカリフォルニア州では、州政府が2017年、グリホサートを州の「発がん性物質リスト」に加えたのをきっかけに、公園や学校など自治体が所有する場所でのグリホサートの使用を条例で禁止する郡や市が急増。同様の動きは、ニューヨーク州やフロリダ州、シカゴ市のあるイリノイ州など、全米に拡大している。
◆1万件以上の民事訴訟
また米国では現在、グリホサートを有効成分とする除草剤を使用し続けた結果、がんの一種である非ホジキンリンパ腫を発症したなどとして、モンサントを訴える民事訴訟が1万件以上起こされている。因果関係を認めて同社に数十億円という巨額の賠償金支払いを命じる判決が2018年8月以降、相次いでおり、親会社バイエルの株価が急落する事態となっている。
1974年に発売されたグリホサートは、2015年3月、世界保健機関(WHO)の外郭団体である国際がん研究機関(IARC)が、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と結論付け、危険度を示す5段階評価で2番目に高い「グループ2A」に分類したことで、安全性をめぐる議論に火がついた。
その後、自然環境や人の健康に与えるリスクを指摘する研究論文が相次いで発表になる一方、欧州食品安全機関(EFSA)は2015年11月、がんや先天異常などを引き起こす可能性を否定。FAO/WHO合同残留農薬専門家会議(JMPR)も2016年5月、「人が食事を通じてグリホサートを摂取しても、それでがんになるとは考えにくい」との見解を示すなど、専門機関の間で評価が分かれているように見える。
◆モンサントに忖度?
ただ、EFSAの評価については、英高級紙ガーディアンが、EFSAが評価の根拠とした研究論文はモンサントが作成した論文をコピペした疑いがあると、2017年に報じている。EFSAは論文の公開を拒否してきたが、欧州司法裁判所は今年3月、EFSAに対し評価の根拠とした論文を公開するよう命じた。
JMPRについても、見解をまとめた会議で議長を務めたアラン・ブービス氏がかかわる民間研究機関が、2012年にモンサントから50万ドル、さらにモンサントが加盟する業界団体から50万ドル強の資金援助を受けたことが米市民団体の調べで明らかになり、見解はモンサントの意向を反映したものではないかとの疑惑が出ている。
ガーディアン紙によると、同じ民間研究機関の出身でEFSAの理事だった人物に利益相反行為があったとして、欧州議会がEFSAに対する予算の執行を半年間中止するという事件も2012年に実際に起きている。
一方、米国では、環境保護庁(EPA)が「発がん性の証拠はない」と繰り返し述べてきた。しかし、モンサントに対する一連の訴訟の中で、農薬の規制にかかわるEPA職員とモンサントの社員の蜜月ぶりが暴露され、EPAの見解がモンサントの影響を受けた可能性が浮上した。
こうした中、保健福祉省の有害物質・疾病登録局(ATSDR)が4月8日、グリホサートに関する報告書の草案を公表し、その中で「グリホサートと非ホジキンリンパ腫との因果関係の可能性は否定できない」と述べて注目を集めている。従来の政府の立場と180度異なるためだ。
◆残留基準値を大幅に緩和
こうした世界の潮流に対し、日本政府の動きはそれに逆行しているかのように映る。
食品などのリスク評価をする内閣府食品安全委員会は、グリホサートに関し「発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった」などとする評価書を2016年7月にまとめた。
この間、農林水産省はグリホサートを有効成分とする農薬の新商品を淡々と登録。厚生労働省は2017年12月、一部の農産物の残留基準値を引き上げた。特に目立つのがパンやパスタ、シリアルなどの原料となる穀類で、小麦は5.0ppmから6倍の30ppm、ライ麦が0.2ppmから150倍の30ppm、とうもろこしが1.0ppmから5倍の5ppmへと、大幅に引き上げられた。そばも0.2ppmから30ppmへと150倍に緩和された。
◆薬害エイズの二の舞に?
海外では危ないと言われている農薬の規制緩和に不安を募らせる消費者は多く、市民団体が独自にグリホサートの残留値を調べる取り組みも始まっている。
3月18日の参議院予算委員会では、質問に立った立憲民主党の川田龍平議員がグリホサートなど農薬の問題を取り上げ、「薬や食品など国民の命にかかわる分野に関しては、薬害エイズの時のように、何かあってから対処するのでは取り返しがつかない」と政府の姿勢を厳しく批判。そして、「EUをはじめ多くの国々がとっている予防原則にのっとって速やかに対策をとるべきだ」と政府に規制強化を迫った。
薬害エイズの被害者だけに、説得力のある言葉だ。
【グリホサート削減めざす 体内の残留農薬検査始まる 農民2019/6/3】
デトックス・プロジェクト・ジャパン 日本でも立ち上げ
★子どもらの健康を守りたい!
日本の食の安全・安心を危惧して活動してきた団体や個人が集まり、昨年12月14日、アメリカで遺伝子組み換え食品や農薬から子どもたちを守るための活動を成功させている全米母親団体「マムズ・アクロス・アメリカ」のゼン・ハニーカットさんの講演会を都内で開催しました。
講演会終了後、多くの参加者からゼンさんたちの活動のベースとなった農薬・グリホサート(除草剤ラウンドアップの成分)検査を日本の子どもたちにもぜひ実施したいという声が寄せられました。
さらに、講演会に参加した国会議員らは、超党派の「食の安全を考える議員連盟」の設立をめざしています。
★世界に逆行する日本の規制緩和
WHO(世界保健機関)の下部組織であるIARC(国際がん研究機関)が、毒性や発がん性の懸念があると発表しているグリホサートについてはすでに海外の様々な国で使用禁止や規制強化しています。しかし、日本では2017年12月に規制が緩和され、例えば子どもたちが給食などで日常的に口にするパンやめん類の原料である小麦粉に関しては残留基準値が6倍に緩和されています。
そこで、日本人の身体にグリホサートがどのくらいさらされているのか、私たちがどのくらい農薬を摂取しているのかを広く一般の市民・消費者を対象に検査し、結果を公表するプロジェクト「デトックス・プロジェクト・ジャパン」を立ち上げることとしました。
★収穫前や公共の場での散布禁止 一般販売の規制
検査結果をもってグリホサートの収穫前散布、公園、学校、道路など公共の場での散布の禁止、一般販売の規制など、グリホサートの削減をめざします。
同プロジェクトの共同代表は、山田正彦・元農水大臣、天笠啓祐・遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表、印鑰智哉・日本の種子を守る会アドバイザー、安田節子・食政策センタービジョン21主宰の4人です。
【グリホサート(除草剤の成分) 輸入小麦使用の食パンから検出 食品分析センター 農民4/22】
◆国産小麦原料製品からは検出なし
私たちが日常食べることの多い食パン。総務省が2月8日に発表した2018年家計調査によれば、主食に占める支出金額は米が693円に対してパンや麺類などの小麦製品の消費はその数倍になっています。
小麦の輸入先であるカナダやアメリカでは収穫作業の効率を上げるため収穫前に除草剤を散布しており、農水省の調査でもアメリカとカナダ産の小麦の90%以上から、除草剤の成分グリホサートが定量限界(対象の濃度を決定できる最少量)の0・02ppmを超えて検出されています。ところが農水省は小麦の残留基準(30ppm)以内であることを理由に数値を公表していません。
そこで農民連食品分析センターは小麦加工品の残留農薬を調査。2月18日付の新聞「農民」で紹介したパスタや小麦粉などに続き、今回は食パンを対象に行いました。
高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS/MS)を使って行った調査結果は表のとおりです。13商品中9商品からグリホサートが検出されました。一方で原料が国産小麦のものからは検出されませんでした。
◆基準値超過ないが検出製品数に驚き
分析センターの八田純人所長コメント 基準値を超過すると考えられる商品はありませんでしたが、なによりもこれほど多くの製品からグリホサートが検出されたことにまず驚きました。原産国表示はありませんが、おそらくこれらは、アメリカやカナダなどの小麦を使用していると考えられます。
収穫前散布に使用されたグリホサートは、製粉され、こねて、焼かれてパンになっても、残留することを示しています。
グリホサートは発がん性が指摘されていますが、今回の調査は、パンを多く食べる人は、グリホサート摂取量が増えることを示す結果だといえるでしょう。
※日本では小麦についてグリホサートの収穫前散布は認められていません。それを裏付けるように、国産小麦を使用した商品では、検出がありませんでした。気になる人は、国産小麦製品を選ぶのが良いと言えます。
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