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アマゾン大火災 早期鎮火を。が、焦点は「焼け跡」に手を出さないこと

 アマゾンの大火災・・・生物多様性、先住民の生活の危機、煙害、また地中に埋もれていた有機物の燃焼によるして二酸化炭素の増加など、懸念がある。

早期の鎮火を望みたい。

 森林は二酸化炭素を吸収するが、枯れた植物を菌類が分解する過程で二酸化炭素が発生するので、成熟した森林ではプラマイゼロ。火災でいっとき二酸化炭素が排出されても、森林が再生する過程で、再度、二酸化炭素を吸収する。アマゾンはそのサイクルが早い。自然の力に期待したい。(ただし、ツンドラ地帯の火災は、ピートなど地中に閉じ込められた二酸化炭素が放出するので別問題だが・・・)

 よって、重要なのは、焼け跡を「農園」や「開発」で利用したり、別の植生の移植など、バカなことをしないことだ。

【アマゾンは「地球の肺」ではない。森林火災にどう向き合うべきか 田中淳夫  | 森林ジャーナリスト8/25

【アマゾン火災 熱帯雨林が燃えても「酸素は大丈夫」アリストス・ジョージャウ ニューズウイーク8/29

【大規模火災にあっても、森林はよみがえる! 田中淳夫  | 森林ジャーナリスト  2015/11

 

 

【アマゾンは「地球の肺」ではない。森林火災にどう向き合うべきか 田中淳夫  | 森林ジャーナリスト8/25

  今年に入り、ブラジル・アマゾンの熱帯雨林で森林火災が相次ぎ、記録的なペースで焼失していることが世界的な問題になっている。森が燃えた煙は大西洋上まで広がってきた。昨年の同時期と比べて85%増加したという報告も出された(ブラジル国立宇宙研究所)。

  その原因として、木材収奪や農園開発のための伐採から焼畑、自然発火でさまざまな指摘がなされている。なかにはジャイル・ポルソナロ・ブラジル新大統領が森林に火をつけることを奨励したという声まで出てきた。

 ◆アマゾンだけではない森林火災の増加

  もちろん重大事だ。アマゾンの熱帯雨林は、約549km2に及び、地球上でもっとも生物多様性が高いエリアの一つである。また先住民も約100万人は暮らしている。煙による健康や農業への影響も深刻だろう。彼らに甚大な被害が出かねない。

  ただ正確でない情報も出回っているようだ。ネットに飛び交う火災の写真・動画の中には、アマゾンでもなけれは今年のものでもないものも多いようだし、火災はブラジルだけでなくベネズエラやボリビアなど周辺国でも発生しているほか、シベリアなどまったく別の地域でも森林火災は増大している。

酸素を出さず二酸化炭素も吸収しない

  情報が錯綜しているので、あまり推測の上に推測を重ねることを論じたくない。ただ一つ気になるのは、「アマゾンは地球の肺」「森林は酸素供給場であり、二酸化炭素の吸収源」といった指摘だ。

  森林の大切さを訴えるためによく使われる言説だが、これは科学的にはおかしい。なぜなら成熟した森林は、酸素を供給しないし、二酸化炭素も排出しないからだ。

  簡単に説明すると、森林の大部分を占める植物は、たしかに二酸化炭素を吸収して光合成を行うが、同時に呼吸もして二酸化炭素を排出しているからだ。植物単体として見ると光合成の方が大きいこともある(その分、植物は生長する)が、森林全体としてみるとそうはいかない。

  なぜなら森林には動物も棲んででいるから……ではない。たしかに森林にいるサルやシカやネズミ、あるいは昆虫も呼吸して二酸化炭素を出すが、全体としては微々たるものだろう。もっとも大きいのは菌類だ。いわゆるキノコやカビなどは、枯れた植物などを分解するが、その過程で呼吸して二酸化炭素を排出する。

  地上に落ちた落葉や倒木なども熱帯ではあっと言う間に分解されるが、それは菌類の力だ。目に見えない菌糸が森林の土壌や樹木中に伸ばされており、菌が排出する二酸化炭素量は光合成で吸収する分に匹敵する。つまり二酸化炭素の増減はプラスマイナスゼロ。

  だから森林を全体で見ると、酸素も二酸化炭素も出さない・吸収しないのだ。酸素を供給し二酸化炭素を吸収する森は、成長している森だ。面積を増やす、あるいは植物が太りバイオマスを増加させている森だけである。アマゾンは森林としては成熟している(面積を増やさず、バイオマスも上限まで蓄積している)から、おそらく二酸化炭素は吸収していないだろう。

  そのため今回の森林火災の頻発は地球温暖化に影響ない、と楽観視するつもりはない。地中に埋もれていた有機物を燃やして二酸化炭素を増加させているかもしれないし、何より生物多様性の危機だ。そこには有用な遺伝子資源も多くあるだろうから、人間にとっても損失だろう。また森で暮らす先住民のことを考えると心配でならない。

 ◆焼け跡に人は手を出すな

 今後、人間が取れる手としては、まず鎮火を望みたいが、これはなかなか難儀である。雨期を待つしかないかもしれない。ただ森林火災というのは表面上の草木だけが燃える場合が多く、意外と燃え残りが多いし、植物も生き残る。そしてすぐ次世代の植物が生えてくる。大木の枝葉が焼け失われることで地表に光が射し込みやすくなることも影響するのだろう。

 だから、焼けた土地に手を付けないことが肝心だ。熱帯地域は基本的に植物の生育が良好なのだから、おそらく次々と草木が生えてくる。植林を考える必要もあまりない。人が選んだ植物を植えても、必ずしも育つとは限らず、また本来そこに生えていなかった種類を移植することで生態系を乱しかねない。ただし、間違っても「焼け跡を農園に」とか考えないことだ。(もっとも、それを目的に火をつけた可能性も強いのだが。)

 自然の回復力に期待したい。

  

【アマゾン火災 熱帯雨林が燃えても「酸素は大丈夫」アリストス・ジョージャウ ニューズウイーク8/29

 <主流メディアやセレブが地球全体の20%の酸素供給源が危ない、と叫んでいるが、問題はそこではない>

 このところ広く注目を集めているアマゾンの森林火災。世界最大の熱帯雨林アマゾンのおよそ60%があるブラジルで、今年は森林火災が異常に多く発生しているとの報道に危機感が高まっている。

 こうしたなか、多くのメディアや慈善団体、寄付を申し出るセレブ、さらにはG7に集まった各国の首脳までが、繰り返し主張している数字がある。アマゾンの森林が地球の酸素供給量の20%を占める、というものだ。アマゾンが燃え尽きれば、地球は酸素不足になる、というニュアンスで使われる。

本当なのか。

 専門家によれば、実際の数字ははるかに低い。地球の酸素量におよぼすアマゾンの影響を考えれば、酸素不足の危機をあおるのはミスリーディングだ。

 「ソーシャルメディアでは20%という数字が一人歩きしているが、あまり意味がない数字だ」と、アリゾナ大学のスコット・サレスカ准教授は本誌に語った。「森林火災を恐れるべき理由はいくつもある。だが世界の酸素供給へのリスクは、それに含まれない」

1万年も前からアマゾンに暮らしてきた先住民ヤノマミ族の集落にも火の手が迫っている

 実際、ブラジルの国立アマゾン研究所のフィリップ・ファーンサイド教授によると、地球の酸素量は非常に安定しており、アマゾンのジャングル頼みではない。森林は酸素を生産すると共に消費もするので、長期的に見ればプラスマイナス・ゼロになるという。

「主流のメディアが、世界の酸素の20%はアマゾンの森林でつくられると報道しているのを見て驚いた」と、ファーンサイドは本誌に語った。「アマゾンは酸素の主要な供給源ではない。木も動物と同じように呼吸するからだ。木は生み出す酸素の大半を消費する」

 ◆大気中の酸素量は安定している

  植物の光合成では、太陽エネルギーを使って空気中のCO2(二酸化炭素)から糖類が合成され、その副産物として酸素が生まれる。

 「木が成長していて、幹などに炭素を蓄えている時期には、一定量の酸素が放出される。だが木が枯れ、幹が腐れば、それと同量の酸素が、幹に含まれる炭素と結びついてCO2になる」と、ファーンサイドは説明する。

 「酸素供給量のほうが多くなるのは、光合成で蓄えられた炭素が、酸素と結びついてCO2にならないような環境に枯れ木が埋まった場合だけだ。地球全体で見ると、こういうことが起きる主要な場所は海底だ。海では、死んだ有機物の一部が底に沈み、堆積層に埋もれる」

  結局、アマゾンが地球の大気に放出するネットの酸素量は「ほぼゼロ」になると、サレスカは言う。木々を成長させる光合成の効果は、微生物による枯れ木や落ち葉の分解でほとんど相殺されるからだ。

  「大気中の酸素の割合は20.95%で、おおむね一定している」と、サレスカは話す。「アマゾンの木々が燃えても、大気中の酸素量には大した影響はない。CO2については、話は別だが」

 サレスカによると、大気中の酸素量は1990年以降、0.005%低下しただけで、ほぼ問題にならない。

 「(0.005%の低下は」科学的には検出可能で、非常に興味深い、有用な数値だが、現実生活では無視していい。低下の原因は(おもに)化石燃料を燃やしたことだが、そのほぼ10%が世界中の森林伐採に伴い枝葉が燃やされていることによる。多めに見積もった割合だ。もしアマゾンの森林破壊が世界の森林破壊の半分を占めると仮定すれば、アマゾンの森林破壊によって減る酸素減少量は全体の0.005%のうちのさらに5%ということになる」

 アマゾンの森林が全て失われたとしても、大気中に推定120万ギガトンある酸素量におよぼす影響はごくわずか。「大気中にある膨大な量の酸素のうち、光合成で放出される酸素はごくわずかだ」と、サレスかは言う。

 確認のため、本誌はニューヨーク州立大学オールバニ校のアンドレイ・ラペナス准教授にアマゾンの森林の酸素生産量を計算してもらった。それによると、年間生産量はおよそ32ギガトンに及ぶが、一方でほぼ同量を消費しているそうだ。

  

【大規模火災にあっても、森林はよみがえる! 田中淳夫  | 森林ジャーナリスト  2015/11

 東南アジア、北米、アマゾン……世界中で森林火災が多発している。

 なかでもインドネシアの火災は、森林を焼いた煙が海を越えて数百キロ離れたマレーシアやシンガポールまで達し、宇宙からも見えるほどだ。焼失した森林面積は、7月以降だけで約200万ヘクタール以上。これは四国全域より広く、九州の半分に近い。これほど大規模な森林火災は、今世紀に入って始めてだろう。

  この煙害(ヘイズ)の立ち込める地域は、大気から有害物質が検出されていて、もはやガスマスクなしでは呼吸ができないほどだ。インドネシアでは52万人の人々が呼吸器障害をおこしているという。

 二酸化炭素の排出量も膨大で、地球温暖化を加速するだろうと言われる。10月末日までに放出された二酸化炭素は約163600万トンと推定されているが、これは日本の年間の二酸化炭素排出量をはるかに超えている。

 地球規模の大災害だ。それに異論はない。

 火災の原因は、エルニーニョ現象による少雨が続いているなか、アブラヤシ・プランテーションの拡大のために数多くの農園主が森林に火を放ったため想定を超えて拡大したとされている。

  ただ森林火災というと、山が丸ごと黒こげになって、木一本残っていない風景を頭に描いていないだろうか。そして森林がもどるまで何十年、何百年とかかるのではないか、と思いこんでいないか。

 実は、この手の大規模な森林火災はこれまでに幾度も起きている。とくに東南アジアでは頻発しているのだが、私も20世紀末に起きた大規模な森林火災が起きた直後のボルネオ島を訪れたことがある。そこで見た焼けた森の姿は、意外なものだった。

  実は、大半が緑に覆われていたのである。緑の中に焦げた木々が立っていたが、周辺には新たな木が育ちつつあった。

  森林が焼けたと言っても、すべての樹木が焼き尽くされたのではなく、かなりの部分が焼け残っていた。また半分焼けた大木から新たな枝葉が伸び、また地表も勢いよく芽生えた草に覆われていた。

 植物の成長にはもっとも適した熱帯雨林気候だけに、火が消えた後に急速に緑が回復したのだ。空からは茶色く焼け焦げたように見える森も、地上では早くも植物が繁茂していたのである。

  実は、森林の生態系の中には、火災も含めた「攪乱」が重要だとされている。定期的な「攪乱」がないと、生態系が維持できないとさえ指摘されている。

  なぜなら、火に焼けることで大きな木々の樹冠などが失われ、林内に光が入るようになると、新たな種が伸びるチャンスを得るからだ。また地表が焼けることで、植物に悪影響を与える病原菌が死滅したり、土に溜まった成長阻害物質が蒸散するため成長しやすくなる。さらに植物の中には、種子が火にあぶられることで発芽しやすくなるものもあるのだ。

  実際、北米などでは、小規模な火災は抑制しないという。それどころかコントロールド・ファイヤーと呼ぶ管理された火入れをわざと行うことさえある。小規模に森を焼くことで、大規模な森林火災の発生を防ぐのだ。

 さらに、森が若返る。結果的に多様な生命が育まれて、より良い森が維持されるというのである。

  こうした生態系のレジリアンス(復元力)は一般の人が想像する以上に大きいように思う。火災だけでなく、洪水、火山噴火などの天変地異さえも、長い時間とともに生態系維持の要素に取り込んでしまうのだ。

  だから世界の森は、森林火災からもきっと復元すると私は信じている。いつまでも焼け野原が広がった死の世界ではないだろう。

  ただ今回の森林火災は、明らかに大規模すぎる。いくら自然には「攪乱」要素が必要で、復元力があると言っても、その限度を超えたら危険だ。仮に動植物の一つの種が絶滅したら、再び回復することはできなくなる。加えて人間社会にも大きな損失を与えている。

  そして、それ以上に心配なのは、短期間に「攪乱」が繰り返すことである。

  一度きりの火災ならば、小規模であろうと大規模であろうといつか自然はもどってくるだろう。しかし、それが毎年のように起きれば回復が間に合わず、やがて土地そのものが劣化して森林にもどらなくなる恐れが強い。

 たとえば森を切り払って行う焼き畑も、10年に一度程度の頻度で焼くのなら自然はちゃんと回復し、むしろ作物の収穫量は多くなる。だが毎年火入れしたら、森にもどらなくなる。そして作物の育たない不毛の土地になってしまうだろう。

  だから、現在の森林火災で重要なのは、まず鎮火することは当たり前(おそらく雨期を待つしかないと思うが……)だが、より大切なのは二度とこれほどの規模の火災を起こさないように徹底的な取り締まりをすることだ。

 鎮火後、短期間で次の火災が起きたら、それこそ森林に深刻なダメージを与えるだろう。

 そのうえで、再び森林に生命が満ちる日を待ちたい。

 

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