独、対イラン有志連合へ不参加明言 米国の戦略は「過ち」
イラン沖のホルムズ海峡などでの軍事衝突を回避する道は極めて簡単。米国が、イランと6カ国(米・英・仏・独・ロ・中)が2015年7月に結び、国連の安全保障理事会でも決議された「包括的共同行動計画(JCPOA)」を順守すればいい。 現在の危機はトランプ政権が一方的に核合意の順守をやめ、対イラン経済制裁を強めたことにある。
自らつくった危機への対応を、イランへの軍事攻撃を視野に入れる米国主導の有志連合への参加を求めるなど、「ならずもの国家」のやり方。ドイツは明確に断った。フランスも米戦略とは「逆の方向」で取り組むことを公言している。国連安保理の決議とか何もない中、「ならず者」の主張に、条件反射のようについていく自民党の政治家! (タンカー攻撃も誰の仕業がわからない。米国の自作自演だってありえる。それだけのことをしてきた国である。)
【有志連合構想で中谷氏「自衛隊派遣決断すべき」産経7/28】
【有志連合構想で中谷氏「自衛隊派遣決断すべき」産経7/28】
自民党の中谷元・元防衛相は28日、フジテレビの報道番組に出演し、ホルムズ海峡周辺でのタンカー護衛に向けた米国の有志連合構想について、自衛隊法に定められた海上警備行動を発令し「速やかに自衛隊の派遣を決断すべきだ」と述べた。政府は派遣に慎重な姿勢を崩さないが、中谷氏は「派遣を躊躇(ちゅうちょ)することは国益を損なう」とも語った。
【独、対イラン有志連合へ不参加明言 産経 2019.8.1】
ベルリン=宮下日出男】ドイツのマース外相は7月31日、米国がイラン沖のホルムズ海峡周辺でのタンカー護衛に向けて主導する有志連合構想について、「ドイツ政府としては参加しない」と明言した。訪問先のポーランドで語り、DPA通信が伝えた。米国のイランに対する強硬路線とは明確に一線を引いた。
米国は有志連合への参加について、日本のほか、英仏独など欧州諸国にも要請していた。マース氏は「フランスのパートナーとも緊密に協調している」とも強調した。不参加の理由について、イランに「最大限の圧力」を加える米国の戦略は「過ち」であり、軍事的緊張激化を避け、緊張緩和に向けた外交努力を続けるためとした。
マース氏は英国の前政権が提案した欧州主導の船舶保護については明言しなかったが、独政府報道官は31日、これに先立ち「引き続き検討に値する」とした。
【有志連合の結成に「時間が必要」なのは、支持しているのは韓国ぐらいだから ニューズウィークJAPA7/31】
~ イランとロシアが軍事行動を計画する中で、ヨーロッパの助けを得るための米国の闘争 ~トム・オコナー
<トランプ政権は英、仏、独にホルムズ海峡を通過する石油タンカー護衛の有志連合を呼びかけるが、手を挙げたのは韓国ぐらい。多くの同盟国が、強引なトランプの味方をしてイランを敵に回すのを恐れている>
イランとの緊張が高まるなか、アメリカはイギリスとフランス、ドイツに対して、ペルシャ湾周辺の戦略的海域を航行する民間船舶の安全確保を目的とする「有志連合」に加わるように正式に求めた。一方イランは最近、ロシアと緊密な軍事協力を行っている。
トランプ政権は「フランスとイギリスに加えてドイツにも、ホルムズ海峡の安全を確保し、イランの侵略と戦うことを正式に要請した」と、在ベルリン米大使館は7月30日に発表した。「ドイツ政府当局者は航行の自由は守られるべきだと明言している。そこで聞きたい。いったい誰が守るのか」
イギリス政府は既に、ホルムズ海峡の安全航行確保に向けた国際的な「海上保護派遣団」の結成を提案している。ホルムズ海峡は世界で最も重要な原油輸送の要衝だが、タンカー攻撃や無人偵察機の撃墜など不穏な事件が続いている。
フランス、ドイツは今のところ英米どちらの構想にも参加表明はしていない。ドイツ議会で軍の監察官を務めるハンスピーター・バーテルスは、「ドイツ海軍は法が許す範囲で活動している」と述べた。英米の構想に参加することは「他の同盟国に対する義務を疎かにすることになる」。
在ベルリン大使館はこれに対し、こうツイートした。「提案:欧州最大の経済大国なのだから、もっと船を増やせばいいだけでは?」
英仏独とも、イランと鋭く対立するアメリカの有志連合に参加してイランを敵に回したくないのが本音だ。
◆トランプは強硬姿勢を維持
イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、EUは、2015年にオバマ政権がとりまとめたイランとの核合意に署名した。昨年、トランプが一方的に核合意を離脱したのちも、他の国は合意に留まり、支持し続けた。トランプと違い、イランの核開発を抑止するために合意が有効に機能してきたと考えたからだ。
アメリカはイラン産原油の輸入禁止などの制裁に参加するよう同盟国に強要したため、欧州各国は独自にイランとの貿易ルート確保を試みた。しかしイランは、アメリカの制裁に対する報復として、核合意で決まった上限を超えるウラン濃縮に踏み込んでしまった。
中国とロシアはアメリカが悪いと非難する。ホルムズ海峡での石油タンカー攻撃についてアメリカがイランを非難したことや、米軍がこの海域でプレゼンスを拡大していることが、中東を戦争の危機にさらしているというのだ。
イラン海軍指揮官のホセイン・ハナディ提督は7月29日、イラン軍は共同軍事演習を行うためにインド洋でロシア軍と合流したことを明らかにした。演習は「オマーン湾、ホルムズ海峡、そしてペルシャ湾からインド洋北部」でまもなく行われる予定だ。
ハナディ提督は、ロシアとの軍事協力に関する覚書に署名した後、「これはロシアとイランの関係にとって転機とみなされるだろう」と述べた。
イランのバルベツ・サリミ・パナヒ海軍大将は30日、地元のラジオ局でこう語った。「海上の安全保障は経済的戦略的に常に重要であり、海の安全保障に真剣に取り組む国々は、世界秩序に大きな影響を与える」と述べた。「ロシアの存在が効果を上げることは間違いない」
ロシアとイランは、共にシリアのアサド政権に軍事支援を行ってきた国同士。中国もその仲間だ。イランのモハメド・ジャバド・ザリフ外相は30日、テヘランを訪れた中国共産党中央対外連絡部の宋濤部長と会談を行った。会談の中で両者は、「あらゆる分野におけるイランと中国の友好関係」を確認すると共に、「国際法や規則に違反するアメリカの一方的な政策、および世界に自らの覇権を強要する米政府の企み」について協議したという。
EU、フランス、ドイツ、イギリスはイランに対し、強硬派のアメリカと比べるとはるかに外交的なアプローチを取ってきた。アメリカによる対イラン制裁を迂回するための特別目的事業体(SPV)も創設した。もっとも、SPVを通じた取引はおおむね人道支援関連に限られており、孤立を深めるイラン経済の支援にはほとんど役立っていないが。
ただしイギリス政府だけはここへきて、イランに対する強硬姿勢を強めている。7月4日、英海兵隊は英領ジブラルタルでイランのタンカーを拿捕した。EUの制裁対象であるシリアに原油を運ぼうとしていた疑いからだ。これに対してイランの革命防衛隊は7月19日、ホルムズ海峡でイギリス船籍のタンカーを拿捕。イランとイギリスのタンカーは、いずれも相手国に拿捕されたままだ。イギリス外務省の高官および駐英イラン大使はどちらも、両国のタンカーの交換について、その可能性を否定している。
結局、アメリカによる「有志連合」への参加呼び掛けに積極的に応じたのは、今のところ韓国だけだ。フランスのジャン・イブ・ルドリアン外相は先週、イランに「最大限の圧力」をかけるというトランプ政権の方針とは「反対の方向」を目指していると言った。
(翻訳:栗原紀子、ガリレオ)
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