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不登校44万人~ 人を大切にしない教育政策への「精一杯の抵抗」では

 不登校を、不登校の子ども対策でなく、それを生み出す学校教育の問題として、接近しないがきり解決はしないと思う。答えの明らかな問題を、どう効率的に回答するか…疑問を持つことを非効率とする「学び」。上から言われたことに従い、和を乱す言動をしない、ことが「いい子」。

それで、人としての生きる楽しさを感じ、その土台である自由な個性や能力が伸びるはずがない。

 子どもが、その心身を目いっぱい使って無言の抵抗をしている、と思っている(個々のケースはいろいろだが、通奏低音はここ)。不登校の子どもとも向き合ってきた親としての思いである。

 資源をもたない日本社会の持続性は、あらゆる人々の能力・活力の発揮にこそある。その教育が本質をはずれ、教育産業の利益確保、株高演出(改憲の環境整備)の手段に貶められている。それを子ともが敏感な感性でとらえ、抵抗しているのだ。私はそう思う。

【“「不登校” 44万人の衝撃」 時事コラム6/21

【“「不登校” 44万人の衝撃」 時事コラム6/21

 

 不登校、および不登校傾向の中学生の数、44~85万人。2019年5月に、NHKの調査で明らかになった数字である。8人に1人、あるいは4人に1人という衝撃の結果である。

 これだけの子どもたちが今の学校に「ノー」を突き付けているということは、長年続いてきた学校のいわば慣習的システムが、もはや限界を迎えているのだと言わざるを得ない。

 その慣習的システムとは次のようなものである。すなわち、「みんなで同じことを、同じペースで、同じようなやり方で、同質性の高い学年学級制の中で、教科ごとの出来合いの問いと答えを中心に勉強する」。

 このシステムが、いわゆる落ちこぼれ・吹きこぼれ問題を構造的に生み出し、また、同調圧力や空気を読み合う教室内のサバイバル空間を生み出す元凶になっているのだ。

 不登校の理由が、極めて複合的なのも今回改めて分かった特徴である。

 「クラス全体の空気がイヤ」「勉強についての悩み」「友人関係」「先生との関係」「いじめ」「決まりや校則」などが上位を占めるが、これらの理由は、一個人の中で幾つも絡まり合っている。

 いずれの理由も、多かれ少なかれ、先述した「みんなで同じことを、同じペースで」に起因するものであるように思われる。

 5月30日、NHKは、NHKスペシャル「“不登校”44万人の衝撃」を放送した。番組では、「みんなで同じことを、同じペースで」からの脱却を実現している、オランダのイエナプラン教育なども紹介された。

 私もこの生放送に出演し、イエナプランのような先進的な取り組みは、実は日本でも十分に可能であることなどをお話しした。それを妨げるものは制度上ほとんど何もないのだ。

 多くの人は、自分が受けてきた教育しか知らないから、それを当たり前のことだと考えてしまう。しかしそろそろ、その当たり前を抜本的に見直すべき時であるはずだ。

 緩やかに、しかしラディカルに、「公教育の構造転換」を実現していきたい。

(苫野 一徳=熊本大学准教授)

〔時事通信社「内外教育2019621日号より〕

 

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