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愚行「韓国への素材輸出規制」  日本経済に二重苦、国際通商のガバナンス毀損の恐れ

電子デバイス産業新聞は、サムスンが日本から調達する部品は2町円以上になることなどを指摘し、「今回のことで韓国に対して「ザマを見やがれ」と声高に叫んでいる人たちは、韓国企業と日本企業の強い結びつきを知らないのだ。そしてまた、半導体産業が世界を動かす最重要産業であることも、深くは認識していないのだろう。」

ニュースーウイークも「日本側は、制裁のイニシアティブを取っているように見える一方で、素材が売れず、最終製品も買えないという経済上の二重苦を背負い込むことになりかねません。…どう考えても、今回の措置は日本経済にとってはマイナスでしかありません。選挙後には恥を忍んで止めるしかないと思います。」とナショナリズム、選挙目当ての愚行を指摘する。

 もう一方の、川瀬剛志 : 上智大学教授は、国際経済法の視点からは、「大人の対応」で維持してきた「WTO体制と安全保障貿易管理レジームの平穏な共存がくつがえるおそれがある」と、その重大性を指摘。IT化や科学技術の進展により、あらゆるものが軍事転用可能となっており、安全保障を名目にすれば何でも規制がかけれることとなり、「永年にわたって築かれた国際通商のガバナンスを大きく損なうおそれがある。」と説明。

 徴用工などの報復といい、通用しないとなるとと安全保障の問題といい、WTOの場で決着を、いわれても具体的説明もできない・・・なんの戦略的な思考もない。

 

【半導体材料の対韓規制が語るものの大きさ ~サムスン、SKハイニックスとの関係を壊してはならない~電子でぱいす産業タイムス 2019/7/12

【トランプ亜流にも劣る、韓国への素材輸出規制 冷泉彰彦7/9 ニュース゜ウイーク】

【日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだWTOで争えば、より大きなリスクを招く東洋経済 7/13

なお、徴用工問題では、安倍政権もマスコミもデタラメを流し続けているし、だいたい最高裁の判決を、行政がどうかしろって三権分立の原則のもとでは無理。まあ、安倍政権のもとでは忖度させているのだろうが・・。

【徴用工個人の請求権 外相「消滅してない 条約局長「強制動員の慰謝料は協定の対象外」 衆院外務委 穀田議員に答弁 赤旗201811/15

【半導体材料の対韓規制が語るものの大きさ ~サムスン、SKハイニックスとの関係を壊してはならない~産業タイムス 2019/7/12

  「これが韓国・器興に作る半導体メモリー工場の設計図です。日本が圧倒的にメモリーに強いことは良く承知している。しかして、国の発展を考えれば、私たちは何としてもやらなければならない。そして、本格的な半導体の立ち上げは日本企業の協力がなくしては決してできないことなのだ」

 1980年代半ばの頃であったが、ゆっくりとした口調で、しかし鋭い視線で、その人は語ったのだ。土曜日の午後、人気のないサムスンの日本オフィスでの会合の場でのことである。筆者はまだ30代の初めであり、半導体記者としてはまだまだ力の足りなさを感じていた時期であったが、この発言、つまりサムスンジャパンの責任者の言うことを聞いて正直こう思ったものだ。

 「歩留まり、品質、そして技術力の何を取ってもニッポン半導体の強さは世界で群を抜いている。とりわけメモリーは滅法強い。そしてまたステッパー(縮小投影露光装置)などの最先端装置においても、ニッポンは10年先を走っている。これから、韓国サムスンがニッポンに追いつくのは至難の技であろう」

 あれから多くの年月が流れて、2018年段階でサムスン電子は半導体の世界チャンピオンとなり、世界3位にも韓国のSKハイニックスが入っており、まさにコリアン半導体は頂点を極めるに至った。そして、90年段階で世界シェアの50%強を取り、圧勝していたニッポン半導体は今や世界シェア8%程度しかないほどに後退した。いや、凋落したのだ。

 一方で、日本の半導体製造装置は頑張った。おそらくは世界の装置生産の3分の1は担っており、その存在感はひときわ強い光を放っている。それよりもすごいのは日本の半導体材料業界だ。シリコンウエハーについては信越、SUMCOが世界シェアの70%を押さえており、フォトレジストについても同シェア80%以上を握り、フォトマスクもまた同50%以上で世界のトップを走っている。これらは、半導体生産に必要な3大基本材料であり、この分野で日本企業の名前は世界に鳴り響いている。

 こうした状況下で、201974日、日本政府による半導体材料の対韓規制が発動された。規制されたのは、半導体やディスプレーの材料となるレジスト(感光材)、エッチングガス(フッ化水素)、フッ化ポリイミドの3品目だ。今後は個別契約ごとに日本政府の許可を取る必要があり、90日程度の時間がかかるようになる。これが、サムスン、SKハイニックスなど韓国の半導体メーカーに与える影響は決して少しくはないだろう。何しろ、半導体を作るには700の工程が必要であり、その中で1つの材料が欠けても製造することができないからだ。

 ちなみに、一部のマスコミが(特に韓国が多いが)韓国制裁と書きまくっているが、これは制裁ではない。韓国に対する優遇措置を元に戻しただけであり、正確な記事を書く余裕を日韓のジャーナリストも持ってもらいたいものだ。また、日本政府は8月末にも韓国のホワイト国の指定を外すことになっており、理論的には、半導体ばかりではなく自動車産業、各種の重化学工業にまで対韓規制が拡がる恐れがある。韓国ジャーナリズムの言う「米国のファーウェイ制裁の10倍ショック」というほどに波紋は広がっている。

 日本政府は「直接の関係はない」と言っているが、一連の徴用工をめぐる争議、レーダー照射事件、さらには根強い従軍慰安婦問題などが今回の措置の背景にあることは間違いない。また米国司法省は、韓国に渡った様々な先端材料が北朝鮮を通じて中国に流れている、という証拠をつかんでおり、米国政府が安倍政権に今回の措置を要請したとの見方もある。

  それはともかく、対韓規制の強化で一体、誰が喜ぶのだろうか。嫌韓派のジャーナリズムは盛んに騒動を煽り立てるものの、これが長引けば日韓経済の両方が傷つくだけだ。2018年における韓国の総輸出の21%を占めるのは半導体であるから、サムスン、SKが止まれば、それはとんでもないことになるだろう。そして核心的な装置・材料を韓国勢に提供している日本企業にはかなりのマイナス成長をもたらすだろう。

 サムスンが1年間で日本の部材企業から調達している金額は2兆円以上と言われており、いわば上得意のお客様に迷惑をかけるだけだ。東芝はSKハイニックスと強い共戦関係を築いており、こうした動きでヒビが入りかねない。

 いま大切なことは、日韓政府共に冷静になって、話し合いの糸口をつけていくことだろう。今回のことで韓国に対して「ザマを見やがれ」と声高に叫んでいる人たちは、韓国企業と日本企業の強い結びつきを知らないのだ。そしてまた、半導体産業が世界を動かす最重要産業であることも、深くは認識していないのだろう。

 ■泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』、(以上、東洋経済新報社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。

  

【トランプ亜流にも劣る、韓国への素材輸出規制 冷泉彰彦7/9 ニューズウイーク】

 <日本は輸出規制の延長線上に、半導体やスマホ製造を韓国から奪回する見込みも持っていない>

 日本政府は74日から、半導体や有機ELパネルなどの製造に使われる3品目の化学物質、つまりハイテク関連素材について、輸出許可取得の手続きが簡素な「包括輸出許可制度」の対象から韓国を除外しました。

 口実としては、本来が軍事転用可能な戦略物資であるのに、緊急納品が横行するなど「手続きの簡素化が悪用されている」として、「制度本来の規制に戻す」というのですが、これは明らかに韓国の半導体やパネル製造業への「通商戦争」を仕掛けたとしか言いようがありません。

 その背景にあるのは、トランプ外交と同じメカニズムです。トランプが中国に仕掛けている通商戦争は「アメリカのGDPにもマイナス」であり、長期化の観測がされる度にニューヨーク市場の株価は下げています。

 ですからアメリカ経済にもマイナスなのですが、それでも大統領が中国とのケンカを止めないのには、2つの理由が指摘できます。

 その1つは、トランプのコアの支持者は現役世代よりも年金受給世代が中心なので、GDPが傷んでも気にしない。むしろ自分が現役の際に味わった通商戦争の屈辱を晴らすのであれば、それで満足できると考えている。

 2つ目は、短期的にはマイナスでも、中国を国際ルールに従わせたり、まわりまわってアメリカの製造業復権ができれば中長期的にはメリットがある。

 という2つの理由です。

 安倍政権が目をつけたとしたら、このうちの1つ目の方だと思います。それこそ、年金問題での説明の失敗が、支持率の足を引っ張っている現状があるわけです。そんな中で、現役世代の利害に関わる実体経済が多少痛んでも、年金受給世代の保守的な心情に訴えることができれば、選挙戦の挽回が可能という計算をしている可能性は十分にあります。

 ですが、問題は、今回の日本対韓国のケースでは、日本側には2番目のメリットはまったくないということです。半導体にしても、有機パネルにしても、仮に素材を事実上禁輸にして韓国企業の動きを止めたとしても、日本にはその製造能力を奪う力はありません。

 半導体に関しては、はるか昔に投資合戦に負けて汎用品の市場から日本は完全に撤退してしまっています。有機ELパネルについても、最初に量産化したのはソニーですが、ある時点で大型製品の商品化については自社では不可能だとして、事業を売却してしまっているのです。

 今回の措置の延長上に、日本が半導体と有機ELパネル、あるいはスマホの最終生産というビジネスで、もう一度戦うのであれば、トランプ亜流の通商戦争として格好はつくかもしれません。ですが、日本の経済界には、そのような資金もないし、製造ノウハウもないのです。

 まして、スマホのビジネスについては、世界の若者のニーズを調べる力もなければ、各国別に異なる仕様を前提に複雑な販売の交渉を進めるだけの人材も揃っていません。負けに負け続けて投げ出したビジネスです。かろうじて裾野部分の素材関係で特許を維持しているだけというと、少々言い過ぎかもしれませんが、いずれにしても、韓国企業を「いじめ」ても、そのシェアを「取り返す」だけの能力は日本にはないのです。

 この点はトランプ流と比べて大きく劣る点と言わざるを得ません。

 一方で、韓国の半導体、パネル、スマホ製造の産業を傷つけることは、より川下に属する日本のスマホ販売とこれに関連したビジネスも傷つけることになります。ということで、日本側は、制裁のイニシアティブを取っているように見える一方で、素材が売れず、最終製品も買えないという経済上の二重苦を背負い込むことになりかねません。

 では、今回の措置に走った政権に対して、野党がポイントを稼いだかといえば、旧民主党勢力は、尖閣国有化に走った歴史が示すように、ナショナリズムに関わる問題では及び腰といいますか、流されるがままであって、今回もしっかり歯止めをかける努力をしていません。その意味では同罪とも言えます。

 どう考えても、今回の措置は日本経済にとってはマイナスでしかありません。選挙後には恥を忍んで止めるしかないと思います。

  

 

【日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだWTOで争えば、より大きなリスクを招く東洋経済 7/13

 川瀬剛志 : 上智大学教授

 日本政府は74日、外為法上の輸出管理対象となっていたフッ化ポリイミドとレジスト、フッ化水素について、韓国への輸出規制を強化する手続きを開始した。

 対韓国輸出を包括的許可から契約ごとの個別審査に切り替えると同時に、韓国をホワイト国から外す手続きに入るという。これに反発した韓国は、本件をWTO(世界貿易機関)の紛争解決手続に付託する方針だ。

 ◆問われる安全保障貿易管理とWTOの整合性

 今回の対応については、徴用工問題を踏まえて妥当な対抗措置と称賛する声や日韓関係の悪化を心配する声、日本の半導体産業への悪影響を懸念する声などさまざまな評価が出ている。筆者が専門とする国際経済法の視点からは、WTO協定、特にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)違反の可能性が指摘されているが、筆者はむしろそれを超えた国際通商システム全体への影響を懸念している。

 韓国がもし、今回の措置のWTO協定違反を争うとすれば、それは安全保障貿易管理体制がWTO協定に整合しているかどうかを正面から問うことに他ならず、両者に内在する緊張関係が白日のもとにさらされるおそれがある。

 日本政府は今回、韓国でフッ化ポリイミドなどの輸出管理に不適切事案が発生しており、韓国が具体的対応の要請に回答せず、3年間も両国間対話がないと説明している。そうであれば、筆者は必ずしも今回の措置が安全保障貿易管理制度の合理的な運用の枠内にあることを否定するものではない。

 しかし、官邸はシステム全体へのリスクを勘案して今回の措置に踏み切ったのだろうか。日韓関係の現状や実施のタイミング、対象物資の性格を考えると、今回の対応が韓国の強い反発を招き、WTO協定との整合性が問われることは容易に予想できたはずだ。もしそうでないとすれば、拙速な悪手と評さざるを得ない。

 一般的に言って、安全保障貿易管理措置は正当なものであってもWTO協定違反になりうる。特に、輸出許可の申請が必要な場合、部分的にせよ審査の結果輸出が制限される制度設計である以上、輸出制限を禁じたGATT111項に違反する。

 また、ホワイト国制度のように特定国を輸出審査で非対象国と差別することは、WTO 加盟国間の待遇平等を規定したGATT11項に違反する。判例では相当広い範囲の措置について違反が認定されており、また、その判断の際に差別の政策的正当性を斟酌していない。

 ただ、安全保障貿易管理についてはGATT21条の例外規定による正当化の余地がある。特に「自国の安全保障上の重大な利益」の保護に必要な措置は、GATTの原則に反しても、協定違反に問われることはない。しかし、この条文は第二次世界大戦直後の1947年の冷戦期に起草されたもので、いかにも古く、例外の範囲も狭い。

 冷戦構造崩壊後の安全保障概念は、狭い意味での戦争だけでなく、地域紛争やテロ、サイバーセキュリティ、災害やパンデミックまでを含む、極めて広がりのある概念になりつつある。また、軍事転用が可能なら、iPhoneなどの民生品も規制の対象になる。70年以上前にできた条文では、21世紀の安全保障には極めて限定的にしか対応できないことは明らかだ。

 ◆安全保障貿易管理とWTO体制は共存してきた

 それでは、こうした法的緊張関係がありながら、なぜこれまで両者は平和裡に並存できたのだろうか。そこには国際社会の「大人の知恵」が介在している。

 安全保障貿易管理の世界では、ワッセナー・アレンジメント(通常兵器、関連汎用品・技術)、ザンガー委員会(核物質)、オーストラリア・グループ(化学・生物兵器)など、対象物資ごとに国家間レジームが形成されている。それぞれが輸出管理の対象物資リストを決定し、その規制について協調する。これらの取り決めは紳士協定で拘束力こそないが、各国はここで決まる、ある種の相場観に従って輸出管理を行い、その範囲を大きく逸脱する例外の濫用を慎んできた。

 他方で、この相場観に従って行動しているかぎり、他国の安全保障貿易管理措置がWTO協定に整合しているかを問うことも自制してきた。前述のように、こうした措置は性質上、どうしてもWTO協定の原則と矛盾してしまう。とはいえ、国際社会の安定と平和のためには、安全保障貿易管理をやめることもできない。だからこそ、各国は輸出管理のWTO協定整合性を厳密に問わず、例外の濫用も慎む大人の知恵を働かせ、本来緊張関係にある双方のレジームを注意深く共存させてきた。

 しかし、この棲み分けが急速に崩れつつあるその契機が、安全保障目的をうたったトランプ政権による鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げだ。対象となる製品は安全保障貿易管理スキームの規制物資ではなく、カナダや日本など同盟国にも適用され、あからさまな安全保障措置の例外の濫用と言える。ただ、それだけにその法的評価は単純であり、GATT21条の例外に当たらないことは明らかだ。

 しかし、今回日本政府が行った対韓輸出規制は問題の次元がまったく異なる

 韓国がホワイト国指定・解除の恣意性や審査制度が実質的に輸出を制限していることを争えば、ワッセナー・アレンジメント実施のための正統な輸出管理のWTO協定整合性が正面から問われることになる。これまで大人の知恵で慎重に維持してきたWTO体制と安全保障貿易管理レジームの平穏な共存がくつがえるおそれがある。今回の日本の対応が、合理的な安全保障貿易管理制度でも運用の枠内にあるとしても、必ずしもWTO協定に適合していると担保されるわけではない。それを争うリスクをいかにして避けるかが重要だ。

 ◆あまりに楽観的な日本政府の主張

 日本政府は、今回の措置は安全保障貿易管理上の見直しであって、WTO上まったく問題がないと繰り返し説明しているが、あまりに楽観的だ。GATT21条があるから安全保障貿易管理がWTO協定上、問題がないという神話は、これまで誰もこの問題を争わなかったからに他ならない。

 今年4月のロシア・貨物通過事件パネル判断を見ればわかるように、ひとたびWTO紛争が提起されれば状況はまったく異なる。本件はクリミア危機のような明白な武力衝突を扱ったにもかかわらず、パネルは安全保障を理由に判断回避を要求したロシアの主張を一蹴し、ウクライナ発の貨物通過規制がGATT21条に適合しているかを客観的に審査した。

 仮に本件がWTOパネルにかかると、韓国によるGATT1条・11条違反の主張には分があると言わざるを得ない。それは、今回の日本の対応が、ホワイト国などとの比較で韓国を差別的に扱い、フッ化ポリイミドなどが輸出禁止になる可能性があるからだ。

 そうなると、日本はGATT21条の例外だと主張することになるが、先例によれば、例外的事情の存在と何が日本の「安全保障上の重大な利益」であるかを説明しなければならない。

 詳細が未公表なので断定できないものの、今回の措置がGATT21条にある例外的事情に当てはまるかと言えば、問題の物資が兵器や核物質でもなく、日韓関係が「信頼関係が損なわれた」というだけでは無理がある。たとえば、韓国企業から北朝鮮や中国などの第三国への流出があり、これが軍事施設供給のための取引と説明できるかどうかだろう。

 本当に韓国のワッセナー違反であるのなら、日本はその旨を明らかにした上で毅然と対応すべきであり、その場合は、自らの不適切対応を棚上げしてWTOに問題を持ち込み、安全保障貿易管理体制との棲み分けを侵した批判は、韓国が受けることになる。

しかしそうであれば、世耕弘成経産相が72日の記者会見で述べたような、G20までの徴用工問題の未解決がその背後にあることを匂わせるような発言は、今回の対応の目的が安全保障目的以外にあることを疑わせるもので、厳に慎むべきだ。

 逆に韓国に大した不適切事案がなく、日本が韓国に対して外為法上の待遇を政治的に利用しているとすれば、安全保障貿易管理の濫用の誹りは免れない。ウォールストリート・ジャーナルなどが、今回の日本政府の対応は、安全保障を口実にした通商制限であり、トランプ流への追随と評しているが、こうした見方の広がりが強く懸念される。

 いずれにせよ、一つ間違うと、今回の措置は永年にわたって築かれた国際通商のガバナンスを大きく損なうおそれがある。これらを十分に認識のうえ、可能なかぎりWTO紛争化を回避すべく、712日の日韓会合を皮切りに、韓国とは情報交換と協議を尽くすべきだ。

 

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