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廃プラ抑制に「レジ袋30円」?!・・やるべきは「拡大製造者責任」の導入

 マイクロプラスチックによる海洋汚染、国内の環境問題による中国の廃プラ輸入中止。代替地となったマルーシア、フィリピンでの違法ゴミ返送、と廃プラ抑制が大きな焦点となっている。

プラゴミ抑制は重要だ。 経済同友会は「レジ袋30円」とか言っているが、が、消費者に負担させるだけで解決にならない。

というか、責任逃れしてきた財界が「よく言うよ」という感じ。自治体(最終的に住民)に負担を転嫁させ、ペットボトルの生産拡大を支えている「容器リサイクル法」の抜本改定し(この間のような小手先の改定ではなく)、廃棄物の処理・リサイクルまでを対象にした「拡大製造者責任」の導入が必要。

それと会議での「ペットボトルのお茶」もやめたら、と…基本は「マイ水筒」で!

 【飲料業界を襲う不安、ペットボトルごみ問題がにわかに浮上 ダイヤモンド】

【拡大生産者責任制度とは? 日本共産党】

【容器リサイクル法の改正求めるゴミ研究会~問題点と見直しのポイント  2015?】

【飲料業界を襲う不安、ペットボトルごみ問題がにわかに浮上 ダイヤモンド】

 

飲料業界関係者は「現時点でペットボトルのごみが処理し切れないという話は聞かない」と口をそろえるが、どうなのか。実態は9月にもまとまる環境省のアンケート結果で明らかになる Photo by Hiroaki Miyahara

 

 この需要期を無事に越せるか──。今、飲料業界は不安に襲われている。というのも、飲料の容器としてもはや欠かすことのできないペットボトルのごみ問題がにわかに浮上しているからだ。

 発端は、中国が昨年末に行った廃プラスチックの輸入禁止にある。

 実は使用済みペットボトルは資源として輸出されている。家庭ごみとして出されるペットボトルは、中をすすいで汚れを落としたり、ラベルやキャップを取ったりして捨てられることが多い。そのため、国内にもリサイクルを請け負う処理業者がいる。

 しかし、自動販売機の横や駅のごみ箱などに捨てられるペットボトルは中身が残っていることもしばしばで、缶や瓶、その他のごみとごちゃ混ぜになっていることも少なくない。もともとペットボトルは鉄やアルミといった金属と比べて「くず」の価値が低い上、こうしたペットボトルはリサイクルするのに手間がかかるため、輸出という選択肢が取られがちだった。

 日本から海外に輸出されるペットボトルの量たるや2017年で24万トンだ。その87%を受け入れる一大輸出先が中国で、縫いぐるみの中綿などにリサイクルしていた。

 ところが、である。廃プラを洗浄した汚水を垂れ流す処理業者が問題視されるなど、中国国内で廃プラ処理へのバッシングが増加。これを背景に昨年7月、中国政府が廃プラの輸入禁止を発表した。

 

5万トンが行き場を失う

 

 影響は甚大だ。使用済みペットボトルでいえば、中国の代わりにマレーシアやベトナムなどのアジア諸国が受け皿となっているものの、今年16月の輸出量は約7万トン(フレーク状のくずのみ)と、昨年同期比で4割も減っている。つまり、約5万トンのペットボトルが国内に残ったということだ。

 翻って飲料業界では、昨年から空前のペットボトルコーヒーブームが到来している。中身が見える安心感とスタイリッシュな見た目が消費者に受けたからこそ各社がこぞって販売したわけだが、「本当にペットボトルのごみがあふれるような事態になったら、自主規制も含め、業界全体で対策を取らざるを得ない」(飲料業界関係者)。

 むろん、国も無策ではない。環境省は廃プラ処理の実態を解明するべく、目下アンケート調査を実施中だ。すでに具体的な対応も行っており、昨年1112月には、国内の廃プラリサイクル設備の導入費用に対して補助金を給付するため、事業者を緊急公募した。

 今年度も引き続き補助金は出る方向だが、飲料業界は差し当たり、残暑が続く秋までの需要期を何事もなく越せるかどうかを、固唾をのんで見守ることになる。

 ただペットボトルにお株を奪われたスチール缶やアルミ缶メーカーにとっては、ここは営業のしどころ。素材間競争がますます熱くなりそうだ。

  

 【拡大生産者責任制度とは? 日本共産党2004

〈問い〉 参院選政策の中に「ゴミ削減のために、OECDが勧告している『拡大生産者責任制度』にたって…現行のリサイクルシステムを抜本的に見直す」とありますが、どんな制度ですか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 拡大生産者責任(EPR=Extended Producer Responsibility)とは、生産者が、製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという考え方です。具体的には、生産者が使用済み製品を回収し、リサイクルや廃棄物として処理し、その費用を負担します。

 この方式によって、リサイクルしやすい製品や廃棄処理しやすい製品の開発が進み、リサイクルや廃棄処理にかかる費用が少なくなることが期待されています。また、生産者は回収やリサイクルの費用を製品価格に上乗せすることも可能ですが、価格が上がると販売量が減るため、回収やリサイクル費用の削減努力が生産者に生まれると考えられます。

 いち早くEPR制を導入したドイツでは、「廃棄物回避・処理法」(86年)「包装廃棄物政令」(91年)「循環経済・廃棄物法」(94年)で、環境への負担を低くする製品の製造を生産者に義務づけ、生産者が設計段階から廃棄物発生を最小化するルールをつくりました。

 OECD(経済協力開発機構)も01年に、加盟国政府に対する手引き書をつくり、各国にEPR政策の導入をうながしています。

 日本の場合は、6つのリサイクル法があり、一定部分をリサイクルしていますが、EPRが不徹底なため、ペットボトルのように自治体に負担がかかり抑制効果が働かない事態も起きています。

 設計・生産段階からゴミを減らすという仕組みがないのです。逆に、政府が推進した何でも燃やせる大型焼却炉のため大量に燃やすゴミを確保しなければならないということにもなります。ゴミの“焼却中心主義”からの脱却、EPR制導入でリサイクルシステムを抜本的に見直すことが必要です。(喜)

 〔2004・6・23(水)〕

 

【容器リサイクル法の改正求めるゴミ研究会】

 

◆容器リサイクル法 ここが間違っている

 

 974月施行された容器包装リサイクル法は、自治体が資源ごみ回収し、分別し、保管した資源について、自治体から引き取り、再商品化することをメーカーに義務づけたものです。自治体が回収―分別―保管しないものについての引き取り義務はありません。さらに、自治体が再資源業者に有償で売ることができる資源ごみは、その時点で「商品化された」ため、メーカーの再商品化義務から除外されます。アルミ缶、スチール缶、紙パックなどが、それに該当します。

 お金を付けないと引き取られない「逆有償」であり、メーカーの再商品化の義務対象となったのが、PETボトルとガラスびんです。容器メーカー及び中身メーカーは、(財)日本容器包装リサイクル協会と契約し、それらごみ資源の再商品化義務を果すことになります。協会は、メーカーから集めた契約金で、再資源化業者(PETやびんの再生業者)と契約し、自治体からそれらを引き取らせます。

 メーカーが協会と契約する金額は、PETボトル1本当りで、中身メーカーが1.4円、容器メーカーで0.3円、ガラスビンでは、中身メーカーが0.4円、容器メーカーが0.03円と、極わずかな金額です。しかしリサイクルで一番費用がかかるのは収集運搬、分別、保管です。例えば名古屋市のリサイクル分別収集コストは、500mlガラスびん1本当たりで計算すると20.8円です。この金額と、メーカーの負担額との差は実に52倍にもなります。あまりにも自治体の負担が重く、メーカーの負担が軽いことがわかります。メーカーは、こんな僅かな金額でリサイクル義務を果したとされるのですから、負担の大きいメーカーの自主回収や、リターナブル容器を選択するインセンティブとなっていません。500mlの小型PETボトルの爆発的な増加が、その代表的な事例といえます。

 

◆容器リサイクル法の問題点

(1)自治体負担が大きすぎる

 リサイクル費用の7割が収集・分別・保管費用といわれています。今後PETボトルやその他プラスチック、その他紙、生ごみなどのリサイクルを進めようとすれば、するほど、自治体のコストは増加し、財政を圧迫します。このままではリユースの普及どころか、リサイクルの取組みも前進しません。 

 

2)ゴミ発生抑制になっていない

   リサイクルのメーカーの負担は、3割に過ぎません。これでは真剣に、ごみ量を発生源(製造段階)で減らす努力や、リターナブルを採用する動機付けになりません。消費者にとっても、リサイクル費用は税金であるため、リターナブル容器を購入して減量に努めても、家計支出を減らすことにならず、ごみ減量の動機付けになりません。

 

3)使い捨て製品は税金で回収されるので安い

   リターナブル容器が、使い捨てのワンウエイ容器より、高くなってしまっている現状では、消費者は、環境を考えて実践したいと考えても、価格の点から、敬遠されて売れなくなります。売れなければメーカーも製造しなくなります。 

4)リユースがなくなる

   リサイクルのワンウェイ容器は、自治体がその7割を負担しています。しかしリターナブル製品は全てメーカーの自己責任でリユースしているので、10割負担です。これでは、リターナブル容器を採用しようとするメーカーは、なくなります。

 

5)分別の仕方がわからない

   そもそも、「分別の仕方がわかりにくい」ことが大きな問題です。分別する市民には、「同じ材質なのに、なぜ使い捨て商品(ラップ等)は対象外なのか、なぜサービス品(クリーニングの袋等)は対象外なのか、理解できません。このため、大都市の多くでは「消費者の協力が得られない」として、分別収集の実施に二の足を踏んでいます。

 リサイクルには異物混入が厳禁ですから多くの消費者の協力が不可欠です。一刻も早く「素材別リサイクル」の仕組みを構築し、わかりやすい分別方法を実現するべきです。

 

6)「小型PETボトル」に免罪符を与え、ゴミを急増させた

   法の制定以前は、「小型PETボトル」の販売を業界が自主的に控えていましたが、95年の容リ法公布後「リサイクルされるから問題ない」と言わんばかりに、964月、自主規制が廃止されてしまいました。このためアッという間に小型PETボトル販売が急拡大し、アッという間に回収されないPETボトルごみも急増してしまいました。

 

7)「再商品化費用を製品価格に反映させる」ための広報がないのは政府の怠慢、

   法では、『再商品化費用を製品価格に円滑かつ適正に転嫁させる』ため、法の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知徹底を図ることが国の義務とされています。

 ところが、国の広報努力は皆無であり、市町村は分別収集への協力を呼びかけるに留まります。しかも、容リ法による分別収集を実施する市町村が少ない(集められた容器包装の量が少ない)ことなどから、製品の1単位あたりの再商品化費用はわずか1円程度であるのが実態です。これでは、現在の市況からいっても事業者は再商品化費用を製品価格に上乗せすることはできず、事業者の不満も高まるばかりです。

 つまり、容器包装リサイクル法を実施すると、「市町村は過酷な財政負担で悲鳴をあげ」、「消費者は分別の鬼とならざるを得ず」、「事業者は真綿で首を締められる」という状態なのです。このような悪法を改正しないのは、明らかに国の責務違反といえます。

 

 容器包装リサイクル法の問題は、まだまだあります。例えば、フリーライダー問題(再商品化義務の不履行)、自主回収認定の硬直的な運用(おおむね90%と高すぎる認定率)など、一日も早い是正が求められています。

 

 こうした容器包装リサイクル法の問題点は、リサイクルを税金で処理していることから発生しています。税金ではなく、リサイクル費用を、EPR(拡大生産者責任)を基本として製品価格に上乗せするように、軌道修正をする必要があります。

 

【容器リサイクル法 見直しの3つのポイント】

(1)拡大生産者責任を基本として、回収・分別・保管費用も商品価値に含めよう

  資源の採取や製造、流通費用などは一時的に生産者・販売者が負担しますが、最終的には商品価格として消費者が負担することになります。使用時の費用、例えば冷蔵庫の電気代など消費者が負担することが当然です。ところが不要になった包装材が家庭から「ごみ」として出され、その処分費用は誰も負担していないように見えます。
 しかし家庭から出されたごみは、行政が回収・保管し、その処分費用を支払っています。私たちの税金で処理されているにもかかわらず、認識されにくく、減量の対象になりにくいのです。この見えにくさが、リターナブルを駆逐し、優先順位の最後であるべきリサイクルのみが優先される構造をつくりだしてきました。
 大気汚染物質の除去費用やごみ処理費用など、いわゆる社会的コストを商品価格に含めることにより、「使い捨ては高い」が常識になり、リターナブル容器の環境負荷の少なさ、廃棄物の減量化にとっての有効性が、「市場原理」の中で発揮できるようになります。ごみを税金で処理することを、そろそろ止めにしましょう。

 

(2)リユースを普及させる商品に、容器製造時課徴金制度を導入しよう

 

 仮定の話ですが、EPRが徹底されて、自治体の回収コストなどが全て商品価格に内部化されたとしましょう。すると、ガラス容器については、ワンウエイガラス容器は16円程度の値上げとなり、リターナブル容器の価格優位性が生まれます。
 しかし、PETボトルや缶、紙パックについてはどうでしょうか。PETでは、7円程度の値上げ、缶や紙パックでは2円程度の値上げとなります。この程度の値上げでは、リターナブル容器の回収費用の方が高く、経済的な優位性が生まれません。
 そこで環境保全の目的から、リユースを優先させることが環境保全からふさわしい製品種類を指定し、容器製造時課徴金を課し、リターナブル容器の普及を行う必要があります。現状では、牛乳、ビール、清涼飲料、食酢などがリターナブル容器が普及することが環境負荷削減からふさわしいと考えられます。
 経済的にリユース容器が不利な場合、容器に課徴金をかけ、リターナブル容器の経済的な不利益を解消し、リターナブル容器の普及を促進することが良いといえます。
 例えば、500mlのビールびんのリユースに伴う費用が120円と仮定し、アルミ缶の製造コストが10円、そして回収から再資源費用は13円程度と仮定すると、アルミ缶が安い容器であるため、リターナブルびんが普及しません。そこでビール500ml当たりに10円の課徴金をかけます。リターナブル容器を20回使用とすると、1回当りの課徴金は10円÷20回=0.5円です。トータルでリターナブル容器代金は20.5円、アルミ缶の代金は23円となり、リターナブル容器の割安感が生まれ普及促進となります。

 

(3)デポジット制度を導入して、回収率を高めよう

 

 PETボトルの回収率は34.5%、紙パックは25%と、低い状態です。これらのリサイクル回収率の悪い容器にはデポジット(預り金)を上乗せし販売し、自主回収を確実に行うようにしましょう。

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