OECD調査 日本の小中教員 勤務時間は最長、職能開発は最短、自信も満足感も希薄
OECDが、18年に実施した国際教員指導環境調査(TALIS)の結果公表(中学校は48カ国・地域、小学校は15カ国・地域が参加)
基先進国の中で勤務時間は最長(参加国平均では38.3 時間であるが、日本は最も長く56.0 時間)なのに、能力開発の時間は最低。
また授業内容では、「批判的に考える必要がある課題を与える」は最低、「明らかな解決法が存在しない課題を提示する」は平均の半分以下。
指導への自己評価も平均値を大きく下回っている。
対GDP比で先進国最低の教育予算が根っこにあるが、もの言わぬ、上からの命令にしたがう国民づくりの「学校」にするために、教育現場から自由とゆとりを奪う必要がある、という大きな意図を感じる。
【日本の小中教員、腕磨く時間最短 先進国最長勤務なのに 朝日6/19】
【日本の小中教員、腕磨く時間最短 先進国最長勤務なのに 朝日6/19】
日本の小中学校の教員は他の先進国と比べて、仕事時間が最も長い一方、教員としての能力を上げるために用いている時間が最も短いことが19日、経済協力開発機構(OECD)の調査で分かった。文部科学省が目指す、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業を実施している教員も他国より少なく、「勤務状況」と「授業内容」の双方に課題が浮かんだ。
教員の長時間労働が問題となるなか、文科省は働き方改革を「待ったなしの課題」と位置づけている。また、小学校は2020年度から、中学校は21年度から新しい学習指導要領に基づく授業が始まり、教える内容や教え方も変革を迫られている。双方で課題が指摘されたことについて、文科省は「非常に深刻にとらえている。危機感を持って対応したい」としている。
OECDが公表したのは、18年に実施した国際教員指導環境調査(TALIS)の結果。中学校は48カ国・地域、小学校は15カ国・地域が参加した。日本は13年に続き2回目の参加で、全国から抽出した国公私立の小中393校の教員と校長に質問を送り、回答を得た。
その結果、中学教員の1週間の仕事時間は56・0時間で、前回調査より2・1時間長く、平均の38・3時間を大きく上回った。
ただ、内訳をみると授業時間は18・0時間で、平均の20・3時間より短かった。代わりに▽部活などの課外指導(7・5時間)▽事務業務(5・6時間)は参加国で最長だった。授業準備(8・5時間)も平均より長かった。小学教員は▽仕事時間(54・4時間)▽事務業務(5・2時間)に加え、授業準備(8・6時間)も参加国最長だった。
一方、1週間で知識や専門性を高めるための「職能開発」に費やした時間は、小学で0・7時間、中学0・6時間。いずれも、参加国で最も短かった。
授業内容についてみると、「明らかな解決法が存在しない課題を提示する」指導を頻繁にしているのは小学15・2%、中学16・1%で、中学は参加国平均の37・5%の半分未満だった。
「批判的に考える必要がある課題を与える」は小学11・6%、中学12・6%で、どちらも参加国で最低だった。また、「課題や学級での活動にICT(情報通信技術)を活用させる」指導は、小学が24・4%、中学が17・9%(平均51・3%)だった。(矢島大輔)
【TALIS2018 国内教員、自信も満足感も希薄 教育新聞6/16】
日本の教員は世界に比べ、自身の指導法に自信がなかったり、仕事に対して満足感を得ていなかったりする実態が、OECD(経済協力開発機構)が6月19日に発表した「国際教員指導環境調査」(TALIS)で明らかになった。また、教職が第一志望の職業だったと回答した割合は中学校教員で81.5%に上り、参加国平均の68.9%を大きく上回った。
自身の指導を項目ごとに自己評価してもらう設問に「かなりできている」または「非常によくできている」と回答した割合は、中学校教員で▽生徒に勉強ができると自信を持たせる 24.1%(参加国平均86.3%)▽生徒の批判的思考を促す 24.5%(同82.2%)▽多様な評価方法を活用する 32.4%(同82.0%)▽生徒が学習の価値を見いだせるように手助けする 33.9%(同82.8%)――などと平均値を大きく下回った。……
【TALIS2018 国立教育政策研究所 6/19】
【教員の仕事時間】
◆中学校教員の回答による一週間当たりの仕事にかける時間は、参加国平均では38.3 時間であるが、日本は最も長く56.0 時間である。また、小学校については、参加国の中で、日本は最も長く54.4 時間である。
◆日本の教員が一般的な事務業務にかける時間は、中学校で5.6 時間、小学校で5.2 時間である。一方、中学校教員の参加国平均は2.7 時間である。
◆日本の教員が学校内外で個人で行う授業の計画や準備にかける時間は、中学校で8.5 時間、小学校で8.6 時間である。一方、中学校教員の参加国平均は6.8 時間である。
◆日本の教員が課外活動の指導にかける時間は、中学校で7.5 時間、小学校で0.6 時間である。一方、中学校教員の参加国平均では1.9 時間である。
◆日本の教員が職能開発活動にかける時間は、中学校で0.6 時間、小学校で0.7 時間である。一方、中学校教員の参加国平均では2.0 時間である。
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