廃プラ 規制遅れ、自治体に負担転嫁? 日本政府
17年末に中国が廃ブラの輸入を中止した時に、パラダイムシフトが起こっていた。本格的な、脱ブラ、リサイクルが迫られていたのに、日本政府は対応をサボってきた。そのあげく、家庭ごみ処理する自治体の清掃工場におしつけようとしている。
もともと「拡大廃出者責任」を課さず、企業サイドを甘やかした結果が、これ。こんな企業は、世界で生き残れない、という中長期的視点の欠如、「今だけ、金だけ、自分だけ」の政策の末路。
【使い捨てプラ 日本規制遅れ 世界60カ国以上で生産禁止や課金 東京2018/6/30】
【使い捨てプラ 日本規制遅れ 世界60カ国以上で生産禁止や課金 東京2018/6/30】
レジ袋や発泡スチロール製食器など、海洋汚染を引き起こす使い捨てプラスチック製品の生産を禁止したり、使用時に課金したりする規制を導入済みの国・地域が、少なくとも六十七に上るとの調査結果を国連環境計画(UNEP)がまとめた。
日本はスーパーが個別にレジ袋を有料化する例などがあるが、国として使い捨てプラスチック製品を禁止したり課金したりする規制はない。今月の先進七カ国首脳会議(G7サミット)でもプラスチックごみ削減の数値目標を盛り込んだ文書に署名せず、取り組みの遅れが鮮明になっている。
日本と共に署名を拒否した米国は国レベルの規制がないが、カリフォルニア州やハワイ州、ニューヨーク市など多くの地方政府に規制がある。インドの多くの州政府やカナダのモントリオール市などを含め、世界で百以上の地方自治体がレジ袋の禁止などの措置を導入済みだという。
UNEPによると、アフリカではプラスチック製レジ袋の生産、消費、持ち込み、販売などを二〇〇八年に禁止したルワンダをはじめ、二十五カ国に使い捨てプラスチックの規制がある。
欧州も、イタリアが環境中で分解しやすい生物素材以外のレジ袋の使用を一一年に禁止するなど、二十カ国が規制を設けた。特に一四年以降、世界で禁止や課金などに踏み切る国が増えているという。
中国は〇八年に全国レベルでレジ袋の禁止や課金を導入し、大手スーパーの消費量が60~80%減ったと報告されている。インドも一六年に一部のレジ袋を禁止した。
UNEPは「法規制が十分、徹底していない国もある」とする一方で「問題が深刻化する中、規制を導入する国や自治体の数は今後も増えるだろう」と分析している。
◆健康への悪影響懸念
<高村ゆかり・名古屋大教授(国際法)の話> プラスチック製品が環境に放出されてごみになり、海の野生生物や人間の健康に悪影響を及ぼすことへの懸念が高まっている。1人当たりの排出量が世界で2番目に多い日本でも、環境中への放出を規制するとともに、課金などを通じて製品の使用を抑える方策を取るべきだ。そうすればプラスチックに代わる素材の開発や普及も促進できる。閣議決定された国の循環型社会形成推進基本計画にも「プラスチック資源循環戦略」を新たに策定することが盛り込まれた。早急な対策強化が必要だ。
<使い捨てプラスチック> レジ袋や飲料ボトル、食品の包装容器、発泡スチロール製食器など、1回使われただけでごみになるプラスチック製品の総称。レジ袋の生産量は世界で年間5兆枚と試算され、海に流れ出して生物に悪影響を与えるプラスチックごみの多くを占めるとされる。UNEPによると、2015年の世界のプラスチックごみのほぼ半分が、包装容器などの使い捨て製品。総排出量は中国が最多だが、1人当たりの排出量では米国に次いで日本が2番目に多い。
【廃プラ、産廃も焼却要請へ 環境省、市区町村に 全体の8割占める 毎日5/16】
◆国内で廃棄されるプラスチック(2016年)
国内で処理が追いつかなくなっているプラスチックごみ(廃プラ)について、環境省は、焼却炉などで家庭ごみの処理を担う市区町村に対し、企業など事業者が出す産業廃棄物の廃プラも受け入れるよう要請する方針を固めた。関係者への取材で判明した。緊急措置として一定期間の受け入れを求め、応じた自治体への財政支援などを検討する。都道府県や政令市に近く通知を出す。
全国で排出される廃プラは年間約900万トン。うち産業廃棄物として扱われるものは約700万トンと8割近くを占める。国内の態勢が整わない中、輸出されていた分などのうち一定量の廃プラがリサイクルされず焼却されることになる。
リサイクル資源として日本が輸出する廃プラの大半を受け入れていた中国が2017年末に輸入を原則禁じて以降、日本国内での廃プラの処理が追いつかず、中間処理業者の敷地内に山積みになるなど問題化していた。さらに、廃棄物の国際的な移動を規制するバーゼル条約の締約国会議が今月10日、汚れた廃プラを21年から対象とすると決めた。日本が現在輸出している年間約100万トンも規制対象になる可能性があり、国内での処理がますます難しくなる懸念が出ていた。
関係者によると、家庭ごみの分別が徹底されてきたことで、自治体が所有する焼却炉は稼働率が低水準のものも多く、事業ごみの廃プラを焼却する余力があるという。このため環境省は、緊急避難的に廃プラの処理を市区町村に要請することとした。受け入れた自治体には財政支援をするほか、処理費用の徴収なども認める。
ただ、自治体の所有する焼却施設は「迷惑施設」のイメージもあり、周辺住民の反対なども予想され、自治体によって対応が分かれる可能性がある。
廃棄物処理法は、市区町村は原則として家庭から出る一般廃棄物を処理するとしているが、自治体が認めた場合に限り、事業者が出す産業廃棄物を処理することもできる。【鈴木理之】
◇バーゼル条約
有害物質を含む廃棄物について、主に貿易などで国境を越える移動を規制する国際的な枠組み。1992年に発効し、日本は93年に締結。186カ国・地域と欧州連合(EU)が加盟している。締約国会議で今月、汚れたプラスチックごみを輸出入の規制対象に加える条約改正案が採択された。条約改正の発効は2021年。
【プラスチックごみ 輸出入規制で日米は対応に苦慮 NHK5/12】
リサイクルに向かない汚れたプラスチックごみの輸出入を規制する新たな国際ルールが10日定められ、国をまたいだごみの移動が一段と厳しく制限されることになりました。こうしたなか、中国が去年からプラスチックごみの輸入を禁止したことによる影響が広がっています。世界で廃プラスチックの輸出量トップのアメリカと2番目の日本は去年、輸出の総量がおよそ30%減り、その分、各自治体で抱える量が増え、対応に苦慮するケースが相次いでいます。
アメリカのリサイクル業者の業界団体によりますと、アメリカはこの10年間、廃プラスチックの輸出量が世界で最も多く、2016年には194万トン、2017年には167万トンを輸出し、このうち30%から40%が中国向けでした。
ところが中国政府が国内の環境汚染を理由に、去年1月から主に生活由来の廃プラスチックの輸入を禁止した結果、アメリカからの輸出量全体は去年、107万トンと前年より36%減りました。
中国向けの輸出だけを見ると89%の減少で、全体に占める中国向けの割合は5%にまで減りました。
また、廃プラスチックの輸出量が世界で2番目に多い日本もアメリカと似た状況となっています。JETRO=日本貿易振興機構によりますと、日本は2016年は153万トン、2017年は143万トンを輸出し、それぞれ52%が中国向けでしたが、去年は101万トンと前年より30%減り、中国向けが占める割合は5%にまで低下しました。
アメリカも日本も中国向けが減った一方で、タイやマレーシアなどへの輸出が増えていますが、こうした東南アジアの国々も輸入規制を強めています。
このためアメリカや日本では輸出が減った分、各自治体が廃プラスチックを抱え込み、その扱いに苦慮するケースが相次いでいます。
◆米 回収断念する州も
プラスチックごみが行き場を失ったことで、アメリカの自治体は対応に追われています。
南部バージニア州のハリソンバーグ市は、中国の輸入禁止措置以降、ごみ処理業者を確保できなくなったとして、家庭からのプラスチックごみの回収を断念しました。
ペットボトルなど一部については、市のリサイクルセンターに持ち込めば引き取っていますが、ほかのプラスチック容器は埋め立て処分しています。
NHKの取材班が訪れると、市民が車を運転してペットボトルなどを持ち込んでいました。
ハリソンバーグ市のハートマン局長は「もちろん自宅から回収できればよいが、それができないということを市民に正直に言うしかない」と話していました。
一方、全米でリサイクルが最も進んでいる西海岸のサンフランシスコ市では、リサイクル率を上げるための取り組みを強化しています。
市と契約しているごみ処理業者が、センサーを搭載した最新鋭の機械を使ってプラスチックごみを透明なペットボトル、色つきのペットボトル、食品容器、レジ袋など8種類に厳格に分別し、徹底的に異物を取り除いたうえでこん包することで、価値を高めています。
これまでの最大の買い手は中国でしたが、輸入禁止を受けて、今では中国向けはゼロになり、インドネシアやマレーシアなどに輸出しているほか、国内でも売っていますが、焼却処分はしていないということです。
この会社に27年間勤める広報担当のロバート・リードさんは「市民には汚染を防ぐため、ペットボトルを空にし、食品容器の中身を取り除くよう求めています。解決策はほかの国にプラスチックを輸出することではなく、プラスチックの消費自体を減らすこと以外にありません」と話していました。
◆規制強化する州と規制制限する州
アメリカでは使い捨てのレジ袋やプラスチック容器の利用を制限する州が広がっています。その一方で、規制強化は経済活動を停滞させるとして、利用制限の動きを法律で禁止する州も出始めています。
ニューヨーク州では先月、プラスチック製のレジ袋の提供を禁止する法律が成立し、来年3月に施行されます。これはカリフォルニア州とハワイ州に次ぐ措置です。
メーン州でも先月、リサイクルが難しいとして、レストランやスーパーが発泡スチロールを用いた容器を提供することを禁止する法律が成立し、2021年1月に施行されます。全米で初めての措置です。
カリフォルニア州はことし1月、レストランが客からの要望がないかぎり、使い捨てのプラスチック製ストローを提供することを禁止しましたが、州の議会では今、2030年までにプラスチック容器の提供を段階的に禁止する法案や、ホテルがシャンプーなどを小型のプラスチックボトルに入れて提供することを2023年から禁止する法案が審議されています。
一方で、こうした規制強化の動きへの反発も広がっています。オクラホマ州の知事は「企業活動を制限したくない」として、州内の自治体がプラスチック製の容器やレジ袋などの提供を制限することを禁止する法案に先月署名し、法律が成立しました。
アメリカのメディアによりますと、これまでにアイダホ州やウィスコンシン州など、10を超える州が同様の措置に踏み切ったということです。
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