巨大風力発電集中立地問題~ 再エネは、地域主体、共生でこそ(メモ)
2019.6 議会と自治体 岩渕友室のレポートのメモ。
県下でも、今年に入り、オリックスが四万十市・町境に最大44基という国内最大級の風力発電の設置、香美市・本山町境にJパワーが最大22基の計画をすすめていることが明らかになった。
【巨大風力発電集中立地問題~ 再エネは、地域主体、共生でこそ】
2019.6 議会と自治体 岩渕友室
・再エネは、地域固有の資源であり、地域活性化に資するとともに、地球的な環境問題の解決=脱原発、脱化石燃料として、急速な普及に導入ざれている(メモ者 原発・化石燃料は、世銀をはじめ世界の投資機関、保険会社などから「座礁資産」として投資の対象外となってきている)。
が、日本の再エネは、目標も実績も、また導入方法も海外に比べ大きくおくれている。
◆「主力電源化」と位置づけたが…各地でトラブル
・「第5次エネ基本計画」(2018.7閣議決定) 初めて「主力電源化」にむけた取り組みを進めると位置づけ
が、海外資本を含む大資本・地域外資本による大規模事業・計画が、住民・自治体と間で問題となっている。
(メモ者 電力会社の抵抗によれ、再エネの「優先接続の義務化」がなされておらず、個別事業者が送電線に接続するには高額なコストが電力会社から要求されるため、地域分散型、地域の事業体による起業が拒まれている。
また、都市部の開発、マンション建設をも野放にするため国が明確な法規制をせず、自治体の景観などを理由とした規制条例は、「財産権の侵害」を「理由」に違法との判例が出るなど、自治体の規制を困難にしている。
そのために、一部の巨大資本による「開発」が問題となっている)
◆住民合意なき巨大風力発電集中立地事業の中止を(19/3/20 参院経産委)
・兵庫県新温泉町 1基4500KW(高さ150㍍)を21基建設する計画が浮上/同事業者は、全国で9件手続き中
・「環境影響評価」手続きの「計画段階配慮書」に対する環境大臣意見
「当該尾根付近には急峻な地形が多く、既設の道路が少ないことから、大規模な造成工事や道路工事に伴う土砂崩落及び河川・沢筋等への土砂又は濁水の流出等による水環境及び動植物の生態・生育環境への影響が懸念される」
・環境アセス方法書に対する兵庫県知事意見
事業計画、環境影響評価について「地域住民に対する説明が不足していることにより、事業計画に対する地域住民の不安と事業者への不信感が高まっている」/「配慮書に対する知事意見等に対する事業所の見解は具体性が欠けるものである」と指摘
・新温泉町議会 「地元住民の不安を解消し理解を得ることができなければ…反対せざるを得ない」(18年6月)
・町長が「将来に禍根を残さないように、事業者には「撤退してほしい」と伝えた。
★FITの事業認定にあたり、地元住民、自治体の合意の義務化が必要!
・世耕経産相「トラブル増加は承知している」、「改正FIT法で…地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務とした」、「あり方は…それぞれの実体に応じ丁寧に決められるべき」と答弁 /経産相の所信表明演説(19/3/8) 再エネの「主力電源化を目指し、コスト削減や地域との共生を進めます」と強調
→ 義務化を頑なに拒否
・同事業者 説明会で「開発ステージを通過した案件は100%建設開始、建設完工率は100%の高い実績」との資料を配布。「住民がどんなに反対しても、何がなでもやるとの宣言にしか思えない」もの。
→大臣「地域の人が何を行ってもやるというものは、まさにコミュニケーションをしていないということかと思う」と認めざるをえないと答弁
→「地域と共生できない事業のFIT認定は取り消すべき」の質問に、大臣は「自治体の条例に違反した場合など、FIT法が定める関係法令遵守の規定に基づいて必要に応じて認定を取り消すことが適当」と繰り返す
◆危険な場所への立地は規制を~「ゾーニングは有効」(環境省)
・福島県いわき市遠野での計画 アカシア・リニュースブルズ 4200KWの風車27基
・方法書の説明会 一切のマスコミ排除、住民の写真撮影、録音、録画も禁止 /住民無視のやり方
・方法書に対する福島県知事意見「実施区域の大部分が大雨や地震などで土砂災害による被害の恐れがある場所」「08年8月末の豪雨で…実施区域内で大規模な土砂災害が発生している」「周辺への重大な環境影響を回避できない場合は、事業計画の中止を含めた抜本的な見直しを検討すること」との厳しい指摘などを紹介し「危険な場所への立地を規制するゾーニングをお見なうべき」と質問
→ 環境大臣官房政策立案統括責任者「早期の段階から関係者との調整の下で、風力発電を促進するエリア、近況保税を優先するエリアなどを設定するゾーニングが有効な手段と考える」「ゾーニングのとりくみにより、立地段階での環境影響の回避、低減や地域の合意形成が期待させれることから、より多くの地方自治体にゾーニングにとりくんでもらえるよう、引き続き実証事業など普及に努めたい」と答弁
★ゾーニングモデル事業
環境省で、16年度末より、風力発電に関するモデル事業を実施中。18年3月に、事業の成果を踏まえ、マニュアルを策定・公表
ゾーニングマップ公表している自治体鳴門市など4地域/長崎・西南市は、土砂災害に関する情報をゾーニングマップに落とし込んでいる。マップ作成にあたり、事業適地から除外する項目として「砂防指定地」「地滑り防止区域」「急傾斜地崩壊危険区域」(砂防3法)を指定
・住民無視のやり方では、地域との共生は不可能。地域活性化にならない。(メモ者 再エネは地域分散型に適したシステムであり、地域の活性化に直接むすびつく。それゆえ地域の合意のもとにすすめられるので「エネルギーデモクラシー」として位置づけられている。巨大資本の一方的な、環境破壊を招く巨大開発は、再エネにふさわしくない)
◆日本共産党高知県議団は、FIT導入にあたり、2012年6月議会で、ルール作りの必要性を指摘した。
「自然エネルギーの活用は、地域の資源を活用することから、住民が計画段階から参加し十分な情報提供を行って進めることが不可欠です。風力発電には、騒音や景観などの問題、メガソーラーにも反射光への苦情などさまざまな事例が報道されています。用途に応じた地区の区分け--ゾーニングも含めて、自然エネルギー導入に当たってのルールづくりの必要性について伺います。」
・当時の林業振興・環境部長の答弁
「次に、自然エネルギーによる発電事業の導入に当たって、地区の区分けなどのルールづくりの必要性についてお尋ねがありました。自然エネルギーを活用した発電施設の導入に当たっては、太陽光や風力などエネルギーの種別ごとの特性によって適地が限られてまいります。加えて、法令上の制約として土地の開発許可や水利権に関する許可などがあり、特に1万キロワットを超える風力発電については、ことし10月からは環境影響評価法の対象施設となることから、設置に当たっては地域での合意形成などに配慮することが求められてまいります。こうしたことから、自然エネルギーによる発電事業が可能な場所はおのずと限られることになりますので、あらかじめルールをつくることまでの必要性は少ないのではないかと考えております。」
→ この認識がまったく不十分であることが・・・ 明らかになってしまった。
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