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農産物輸出 1位は「その他のその他」、大半は輸入原材料を利用したものや化学合成品

 1兆円を目標にしている農林水産物・食品の輸出だが、農産物輸出は、5661億円。その詳細は不明だったようだ。今回開示されたデータを農業新聞が分析。

リンゴ、米、緑茶など目に見える農産物の輸出額は約1000億円で、大半は、輸入原材料を利用したものや化学合成品とのこと。賃金やGDPのデータ改ざんと同じようなもの。

そもそも農産物輸入の伸びの方がはるかに大きく、農業基盤は縮小している。TPP,日欧EPAの発効で、その方向はさらに加速する。亡国農政である。

【“農産物輸出 金額1位は「その他のその他」? 品目の詳細不透明 本紙が分析 4/8

 

【2大協定発効と輸入増 危機感持ち対策急げ 立教大学経済学部特任教授 金子勝 4/8

 

【“農産物輸出 金額1位は「その他のその他」? 品目の詳細不透明 本紙が分析 4/8

 

 日本農業新聞は、農水省が初めて開示した農林水産物・食品の輸出対象約1000項目の関税番号を基に、輸出の中身を検証した。農産物と分類されながら、実際に何が含まれるのか不明な品目が輸出額の上位を占めることが分かった。関税番号別で「その他の調製食品のその他」が798億円で輸出額トップだが、その中身は不明。政府は今年1兆円の目標達成を目指しているが、このままでは輸出による国内農業振興の効果は不透明だ。(特別編集委員・山田優、鈴木薫子)
 

◆化学合成品も合算

 
 農水省は3月になって「農林水産物輸出入概況における農林水産物の対象範囲」と題した1枚の表を本紙に初めて開示した。

 同省は貿易統計を担当する財務省関税局のデータから独自に数値を取り出し、農林水産物・食品の輸出額として公表してきた。

 政府は2018年の農林水産物・食品輸出の総額が9068億円(速報値)で、そのうち農産物が5661億円だと説明。輸出されている約6500の関税番号の中で、約1000が政府の農林水産物・食品輸出額算定の対象だった。従来は概要しか分からなかったが、今回の開示で、どの関税番号の商品を農産物や林産物、水産物に割り振っていたのかが分かり、初めて類別の輸出額を算出することが可能になった。

 政府が農産物輸出額に計上している品目には、76億円の29類(有機化学品)や104億円の35類(タンパク系物質、変性でんぷん)、1億円の40類(ゴム製品)など、国産農産物とは縁遠い品目が多く含まれていることが判明した。

 同省輸出促進課の横島直彦課長は「政府の農林水産業・地域の活力創造プランに沿って、日本の農林水産物・食品の強みを生かせる市場を国内外に創造するのが目的。農水省の所管物資である各種加工食品の輸出振興も大切だ」と、輸出促進策が必ずしも国産農産物だけに焦点を当てていないと説明する。

 農産物輸出額5661億円の中で、同省が事例として挙げる牛肉、リンゴ、米、緑茶など目に見える農産物の輸出額を合計すると、約1000億円になった。これらは多くが国産農産物とみられる。農産物の残り4000億円以上は加工食品に含まれる。

 米粉、豚皮、清酒など、国産を主な原料にしているものもあるが、今回の分析で大半は輸入原材料を利用したものや化学合成品が占めることが分かった。1兆円の輸出目標を達成したとしても、国内の農業生産への波及は限られたものになりそうだ。  

<ことば> 関税番号

 国際条約に基づいて定められた番号。日本が輸出入する品目には全て9桁の番号が割り振られる。大きな分類として、同じような品目や種類で97の類に分けられる。例えば果実は「08類」に属し、リンゴは「0808・10・000」で、柿なら「0810・70・000」などと決められている。

 

 

【2大協定発効と輸入増 危機感持ち対策急げ 立教大学経済学部特任教授 金子勝 4/8

 

 環太平洋連携協定(TPP)、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の2大協定の相次ぐ発効に伴い、畜産物や乳製品などの輸入が急増している。

 TPPが発効したのは昨年12月30日。1月の牛肉輸入量は前年同月を4割上回る5万574トンとなった。オーストラリアやカナダなど参加国からの輸入量が6割近く(約1万トン)増加。牛肉の関税率が38・5%から27・5%に下がった1月を狙ったものとみられる。

 日欧EPAは今年2月1日に発効した。2月の貿易統計によると、EU産豚肉の輸入量は3万6228トンで、前年同月比54%増となった。デンマーク産は68%増の1万2796トン、スペイン産は44%増の1万1434トンだった。

 ワインの輸入量は42%、チーズも30%増えた。ワインはスペインやイタリア産、チーズはフランスやイタリア産の増加が目立った。EPA発効による関税の削減や撤廃の影響が早速出始めたと言える。
 

◆輸出戦略進まず


 政府はTPPなどで、関税削減・撤廃による価格引き下げの影響だけに着目し、農林水産分野への打撃(生産減少額)を、補って余りあるほどの輸出増を想定した。だが、現実にはそうなっていない。

 1月の貿易統計では、TPP加盟国のカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、シンガポールの5カ国への輸出額は4698億円で、前年同月に比べて13・5%も減少した。

 政府が掲げる農産物の輸出戦略も筋書き通り進んでいるとは言えない。農水省がまとめた2018年の「農林水産物輸出入概況」によると、日本の農林水産物の輸出額は前年比12・4%増の9068億円となった。だが、輸入額も同3・2%増の9兆6688億円と拡大し、圧倒的な入超だ。収支は約2000億円も悪化している。

 政府はTPPなどの影響試算で、国内対策の効果により価格の安い輸入品への置き換えは生じず、国内の生産量も農家所得も維持できると想定したが、TPPや日欧EPAで輸入がさらに増えれば、日本農業の崩壊はどんどん進んでしまうだろう。
 

◆旧態依然では…


 ところが、政府の対応は規模拡大や効率化に傾斜し、危機感が薄いように感じる。18年度第2次補正予算のTPP関連対策も、ほとんどが旧態依然とした規模拡大や機械化などの対策だった。農地の大区画化、畜産関係の機械導入や施設整備への助成、野菜や果樹向けの産地パワーアップ事業などである。

 中山間の傾斜地が多い日本では、農地を集積しても、生産性向上には限界がある。畜産や酪農についても同じ事が言える。肉用牛の1戸当たりの頭数は09年の37・8頭から18年には52頭へと規模拡大が進んだ。だが、飼育頭数は約292万頭から約251万頭、飼育戸数も7万7300戸から4万8300戸に減った。

 酪農も1戸当たりの頭数は09年の64・9頭から18年の84・6頭へと規模が拡大したが、飼育頭数は約150万頭から約133万頭、飼育戸数も2万3100戸から1万5700戸に減少した。つまり、中小規模の経営が成り立たず退出を余儀なくされ、畜産も酪農も衰退している。

 このような状況で、規模拡大や効率化だけを追い求めても農業・農村の衰退は食い止められない。所得補償など根本的な対策を考えなければならない時期を迎えているのではないか。

 

 

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