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水供給施設を民営化したシンガポール~「公務の民営化」の末路

特別に画期的な技術があるのなら、話は別だが(弱者や不採算部門を含めた全体に責任を負う経営のノウハウは民間にはない)・・・結局、公務ではではない酷い処遇の労働でコストを削減し、その「うわまえ」を民間が利益としてポケットにいれる。

 公務の方は、アウトソーシングしたので、『自分たちの仕事』の意識をもたなくてよくなり、多忙化や煩雑な取り組みから解放される。その結果・・・住民が被害を受ける。

 こういうことでしかない。だから「再公務化」の波がおこっている。

【水供給施設を民営化したシンガポールの末路  後藤百合子 2019/3/28

https://blogos.com/article/367051/

【水供給施設を民営化したシンガポールの末路  後藤百合子 2019/3/28

 

現在、シンガポールの水処理会社Hyfluxの経営破たん処理問題をめぐり、シンガポールが大混乱に陥っています。

 

私自身もこの会社の社債を持っている債権者の1人なのですが、昨年5月の破たん時から時間が経つにつれてさまざまな事情が明らかになってきており、さらに今月になって政府がこの会社の最大の資産である水処理施設を(来月5日までに現在の水供給状況が改善されなければ)無償で国有化すると宣言して、再建案に名乗りをあげていたインドネシア企業連合も懸念を示し始めました。

 

こちらが1月時点でのこの騒動の状況をまとめた記事です。この時点の報道で明らかになっていた事実と、その後明らかにされた現実のあまりの乖離には驚かされるばかりです。

 

sinlife2010.jugem.jp

 

そもそもシンガポールは建国時から水問題が最大の国家課題でした。

 

東京23区ほどの面積しかない島国のシンガポールは、現在も水供給の約半分をマレーシアからのジョホール水道に頼っています。この水供給契約は1962年に結ばれましたが、マレーシアとシンガポール国家間に問題が発生すると、事あるごとに「水を止める」という脅しをかけられ、水問題は2国間の外交上のカードとしても使われてきた経緯があります。

 

そしてマハティール元首相が現役首相に返り咲いた現在、契約した水の値段が現在の物価と比して安すぎるとしてマレーシアが値上げを要求。水の安全保障問題がぶり返してきています。

 

シンガポールで使用されている水の残りの半分は、貯水池からの天然水利用、海水淡水化による水、そしてNEWater(ニューウォーター)という故リー・クワンユー元首相の肝いりで始まった下水再処理水の3種類でまかなわれます。

 

その中でも2013年に新たに建設されたHyfluxが所有する東南アジア最大のTuaspringという海水淡水化工場により水供給の3割がまかなわれている「はず」でした。

 

ところが、Hyfluxの経営再建途上でさまざまな経営上の問題が明らかになっていくにつれ、経営破たんの最大の原因は会社側が説明していた、新規参入した電力供給事業の過当競争による収益低下ではなく、そもそも本業の水処理施設の一つ、海水淡水化施設の稼働率が政府との契約料の20%程度でしかなかった、という事実が露見し、この事業の赤字により運転資金や減価償却にあてる資金が枯渇したのでは、という疑惑が浮上しています。

 

そもそも、この契約の入札時、競合他社2社と比べて極端な低価格でプロジェクトを落札したのがHyflux。成約したまではよかったものの、結局計画したコストで満足に設備を作ったり運営したりすることができず、計画量の2割というほとんど稼働できていない状態を何年も続けてきたわけです。それでは業績が悪化せざるをえません。

 

その現状を糊塗するために、「電力事業が軌道に乗るまで」と苦しい言い訳を重ねながら高配当の永久債や優先株式を乱発しまくった結果、利払いに行き詰って破たん。救いの手を差し伸べたインドネシア企業連合も、海水淡水化施設は順調に稼働していると聞いていたのに「話が違う」と不信感を募らせている模様です。

 

しかし、そもそも政府がこの会社の状況を知らなかったわけがありません。なにせ契約量を大幅に下回る水しか送ってないわけですから、何とか他のソースを総動員してしのいできたはずです。しかしそんな現状については一言も言及せず、今になって「このままだったら国有化する」と宣言したのは、水に関する安全保障の立場からではないかと私は考えています。水問題で国が困っていることがわかれば、隣国マレーシアとの関係で劣勢になるからです。

 

その結果、Hyflux社は海水淡水化工場の不調という肝心の点には言及せずに、返済見込みのない債券や株を売ってつなぎ資金にし、経営者たちも多額の報酬を受けてきたわけで、債権者たちが怒り狂うのは当たり前と言えば当たり前。そしてその債権者数が、5万人近いというのも信じられない規模で、数にするとシンガポール国民100人に1人以上が、国の水供給を賄うこの海水淡水化施設のために個人のお金を拠出したことになるのです。

 

その施設を無償で国有化すると政府が発表したわけですから彼らも黙ってはいません。今週土曜日には、シンガポールで唯一、集会と言論の自由が許されたホンリム広場で債権者たちが集会を開き、会社と政府を糾弾する予定になっています。

 

そんなこんなで、最悪のカオス状態になっているシンガポールの水問題。2060年にはマレーシアからの水輸入をゼロにする計画で準備を進めてきた政府ですが、この体たらくでは実現も怪しい状況で、ますますマハティール首相につっこまれるであろうことが予想されます。

 

電気やガスはしばらく止まっても人は死にませんが、水が何日かストップすれば確実に国は成立しなくなります。それを民営化して入札で安く競わせてコストを下げようとしたらどうなるか、今回のHyflux破たん問題は一つの結果を示しているといえると思います。

 

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