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官製バブルが拡大する格差とリスク〔メモ〕

 経済2018.2 山田博文・群馬大学名誉教授「官製バブルが拡大する格差とリスク~ 出口なき異次元緩和の結果と弊害~」より、備忘録。

 日銀、GPIFによって株価を2倍に引き上げただけでなく、日銀の異次元金融緩和で、国債を高値で買い入れることで金融機関に10兆円もの利益を提供。させに、0.1%の利息がつく「当座預金」の存在で、マイナス金利といいながら、金融機関に、年1800億円もの利息を支払い、巨大金融機関の利益を支えている。

  それらは、すべて国民へのリスク、負担を積み上げ、提供されている「今だけ、金だけ、自分だけ」の醜悪な世界。

【官製バブルが拡大する格差とリスク
~ 出口なき異次元緩和の結果と弊害~】

山田博文・群馬大学名誉教授 「経済2018.2」

◆はじめに

・日銀とGPIFを支配下に置き、出口なき異次元緩和政策で、国債・株式・不動産など、官製バブルを発生させ、大企業、大口投資家の利益を優先。格差が拡大、国民負担率は戦後最高水準、深刻な消費不況の放置
・日銀 国債発行額を上回る買い入れで、無制限の超低金利国債の増発を可能とし、事実上の財政ファイナンスに道を開く一方、大手金融機関に国債をめぐる日銀トレードにどビジネスチャンスを提供/日銀とGPIFによる株価対策で、株価を2倍以上につりあげ、内外の大企業・金融機関・投資家・富裕層の金融資産を2倍以上に増やす一方、国民・中小零細企業には、円安による物価高を押し付け、資産格差を拡大し、社会を分断
・日銀 国債発行残額の4割にあたる470兆円を保有/GPIF リスクの高い内外の株式87兆円を保有
→ 国債価格や株式の下落か、バブル崩壊がおこったら、日本の社会・経済に予測不能な事態をもたせす異次元リスクが積み上がってきた。

◆Ⅰ 日銀の国債買入れと活発化するビジネス

〔1〕 財政ファイナンスと国債ビジネス

・「異次元金融緩和」の柱・・2%の物価高が実現するまで、日銀が民間金融機関に、湯水のように日銀マネー〔マネタリーベス〕を供給すること/その方法=民間金融機関保有の国債を日銀が大規模に買い入れる
→ 民間金融機関 供給された日銀マネーを再び国債投資に振り向けるので、政府は無制限に国債増発に。

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※マルクス 「国家が負債に陥ることは」、大口のマネーを運用する投資家にとって、「彼らの致富の主源泉」
→ 政府債務が、GDPの2倍を超える日本は、旺盛な国債ビジネスが展開されている。

*国債の発行額〔新規・借換で150兆円前後〕と日銀の買入れの比率
12年度13.8%、13年度58.1%、14年度88.1%、15年度94.1% 16年度100.3%

・多様な問題点
①民間金融市場の資金動向から乖離した国債増発を可能に/財政法5条の空文化、財政ファイナンス状態

②国債残高は1000兆円に達し、国債元利支払いが、一般歳出予算の1/4ほどに。社会保障費抑制、増税の圧力
/しかも、国債は、将来の租税の先取り。将来世代まで重い税負担を強いるものに

③内外の巨大金融機関〔プライマリーディーラー〕による国債ビジネスの活発化
→ 国債:政府が元利払いを保証し、市場で売買できる証券。政府・日銀を相手したビジネスは、ごく少数の独占的な国債関係収益〔国債の有利な価格での購入・金利収入・各種手数料収入・売買差益など〕をもたらし、低成長経済下で、安定した収益源泉に。/国債バブル・・・10年物の金利がマイナスを記録するほど過熱〔後述〕


〔2〕 日銀トレードと付利で稼ぐ大手金融機関

①国債の額面を上回る高値で、日銀が民間金融機関から買入れ
・国債の公募入札→ 独占的金融機関が、財務省から安く購入 → その国債を、日銀に高値で売却
・民間金融機関 差額で儲ける/日銀:満期時の政府からの償還金は額面価格。差額が損失
・日銀の損失累計 17年度時点で10兆円超〔民間金融機関の財務省からの国債購入価格は非公表〕
 → 10兆円が、内外の巨大金融機関に、供給されたと推計できる。

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②当座預金金利制度〔08年10月導入〕 0.1%の付利がつく当座預金が大幅増
・日銀提供の巨額のマネタリーベースは、再び日銀にもどり、日銀当座預金に/無利子のブタ積みではない
・373兆円〔18年9月〕になる民間金融機関の当座預金の内訳
  プラス0.1%の金利の「基礎残高208兆円」
  ゼロ金利の「マクロ加算残高145兆円」
  マイナス0.1%半里の「政策金利残高19兆円」

~「マイナス金利」が喧伝されるが〔それを口実に、住宅ローンの利率増、手数料アップが一斉に断行された〕、実際は、民間金融機関は、巨額の利子収入をうけ続けている。

・差し引き1889億円の利子収入/日銀による根幹金融機関への隠れた補助金
銀行が国民に払う金利0.001%。銀行は、日銀から、その100倍の金利をうけとっている。
→ 国民の普通預金残高450兆円。0.1%なら4500億円の利払い。が、0.001%なので45億円
→ その差額4455億円は、いわば国民による銀行への隠れた納付金

・民間金融機関は、不良債権化するリスクのある中小零細企業への貸出しを避け、当座預金に積み増し


◆2 日銀のETF買入れと株価対策

〔1〕 株価を2倍につりあげた政権

・「株価連動内閣」〔メモ者 改憲を自己目的化。そのため長期政権を維持するため、経済の好調を演出する株高操作〕 日経平均株価 2012年12月1万395円→ 13年12月1万6291円→17年以降 2万円超/ 実質GDPは、5年間で、498兆円から538兆円と、わずか1.07倍。なのに株価は2倍以上

・異常な株高の背景

①異次元金融緩和策で、グローバルな投機マネーを国内に招き入れた
  安倍首相:ダボス会議、ニューヨーク証券取引所で「異次元金融緩和」「日本株は買い」と営業
〔メモ者 異次元金融緩和→円安誘導→ドル建てで日本株の割安感/輸出企業の円安差益での利益増、を想起〕
・アベノミクス始動の13年。国内投資家は売り越し。海外投資家 1桁多い15兆1196億円買い越し
→ 海外投資家は、アベノミクスに見切りをつけ、15年2509億円、16年3兆6887億円の売り越しへ
・海外投資家の売り越しによる株価下落を食い止めたのが、日銀、GPIFの公的資金

②日銀、GPIFによる官製相場で、株高演出
 GPIFのポートフォリオの変更による株式購入額を2倍化/それも一杯になると、日銀が株式購入・・2010年12月初めて株式購入142億円〔ただし、保有上限200億円の制限〕、安倍政権のもとでは、年間購入上限に変質させ、その額も13年4月1兆円、14年10月3兆円、16年7月6兆円と急増させてきた。
→ その売買を引き受けている金融機関には巨額の手数料収入をもたらしている。

〔2〕株価の下落局面に集中するETF購入

・日銀マネーによる人為的な株式需要の操作・創出/ その買入れルールも、周知のものに
・買い入れルール:「TOPIXが前場でマイナスの時に買い入れ。前引けが前日終日より上昇していれば買いれなし・前引けが-0.5%り下落していれば100%買入れ」
→ 株式の下落局面で買い入れを実施

〔メモ者 日経株式は、米株式と連動しているので、米国で前日に下落すれば、日本でも確実な下落するので、投資家を空売りを仕掛け、午後に日銀の買いが入り持ち直すのがわかるので、午前中で売りぬける、というワンパターンが構築され・・・巨額の利益を内外の大手投資家にもたらしている。〕

・世界を見渡しても「ETFを政策目標で購入し、保有している中央銀行はない」という異常なもの


◆3 世界最大のGPIFの株式運用

〔1〕2倍に拡大された株式運用割合

・GPIF運用規模 18年9月末 169兆8748億円/うち国内株式43兆5646億円/世界で群を抜く機関投資家
・従来 公的年金積立金 2000年度まで、郵貯とともに、国債金利に連動した利回りで安全運用
・2001年度以降 アメリカ型金融システムへの大転換である「金融ビッグバン」終了後、公的資金を民間に解放
・06年 GPIF設立 が、安全性を最優先し、国債の運用が中心
・安倍政権 14年10月 年金運用の構成比率を定める基本ポートフォリオの抜本的変更
→ 株式運用を倍増、12%±6% を 25%±9%へ /政権のもくろむ株高が実現

・GPIFが強力に株価を買い支えた企業・・・巨大企業・金融機関/これらの企業は長期安定株主を得たことに

〔2〕 無責任体制と不透明性

・GPIFの運用/民間信託銀行・投資顧問会社に手数料を払い、投資一任契約で実施
→ 委託手数料(17年度)487億円 / 投資一任契約は、GPIFの利益より、担当者が所属する金融機関の運用方針の優先、自社が所属または関係する企業・グループの利益を優勢しかねない
→GPIF クラスター爆弾を製造する米企業の株式を保有する問題も発生/が、政府は放置

・巨大なリスク、国民への損失転嫁の危険性があるだけに、GPIFには十分な説明責任が求められる
→ 年間事業計画、予算、年次報告など、国会に報告し、承認を得るチェック体制が不可欠


◆4 格差拡大と異次元リスク ―― まとめにかえて

〔1〕 株高の恩恵は、海外投資家・大企業・富裕層へ

・株価が二倍以上に・・・巨額の含み益、売却益
→ 効率的な時価発行融資、敵対的な企業買収防止、株式の1部売却による好決算の達成〔配当の増加〕

・最大の受益者 海外投資家と大企業・・・株式保有構造が証明〔12-17年度の保有比率と金額〕
海外投資家 28%、106兆円 → 30.3%、202兆円
日本企業  21.7%、82兆円 → 21.9%、146兆円
〔その主役は、内部留保446兆円の一部を株式投資に回した資本金10億円以上の大企業〕〕
→ 大企業の金融利益 2兆854億円〔17年度〕・・・10年前の4.4倍

・家計部分〔個人等〕の保有率、金額
20.2%、76兆円 → 17%、113兆円/株高で、金額は増加も、比率は低下

・純金融資産1億円以上の富裕層の金融審査 11年188兆円→15年272兆円 1.4倍化〔野村総研〕
・貯蓄ゼロ世帯 26% → 31%へ

※OECD35カ国の中で、メキシコ、トルコ・チリ・アメリカ等とともにトップクラスの「貧困・格差大国」に

〔2〕 異次元リスクの「時限爆弾」

・株式、国債・・・それ自体は実態的価値を持たない収益請求権証券
→その価値は、実態経済・金融市場の動向、国庫の資金繰りだけでなく、国際情勢など予測不能な要因で変動

・日銀・GPIFの国債、株式保有・・・価格変動により資産価値が増減
→価格が下落すると損失が発生。株式・国債の発行元が倒産・財政破綻すると、信用リスク発生、紙クズに

・株式・国債保有は価格変動リスク、信用リスクを抱えること/民間はそれを承知で投資
→ が、中央銀行、国民の年金積立金では、問題の深刻度が違う

・ 特に、日本の国債・株式市場の主役・・・逃げ足の速い海外投資家 シェアの60-70%/しかも、売買速度が1000分の1秒というコンピュータによる売買

・日銀 すでに国債発行残高の4割を超える470兆円の国債を保有〔18年11月〕
→国債価格の下落〔金利上昇〕は、日銀に巨大な損失を発生させ、信用を既存
→急激な円安、物価高をもたらす・・・食料と資源を輸入に頼っており、急激な価格高騰。日銀の国庫納付金の減額、国債利払い費の増大による財政圧迫〔財務省資産 1%の金利上昇で、国債利払い負担3兆7千億円増〕
〔メモ者 金融機関も一定の国債保有が義務づけられており、もはや日銀が買える国債は限界にきている/それが、借換えの際に、より高い価格で購入するという、保有資産の劣化を促進することになる〕

・ GPIF 87兆円の株式保有/リーマンショックでは株価が半分に下落、40数兆円の毀損に匹敵
〔メモ者 出口戦略 給付のために、株式売却をはじめれば、それ自体が株価を下落させる矛盾〕


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