国民健康保険とは… 何が問題で、どう解決するか〔メモ〕
昨日、新婦人地域班からお呼びがかかって、1時間の学習会のレジュメ。
「学習会は初めての人がいる」というとのことで・・ 簡潔にしたつもりだが・・・
国民健康保険とは… 何が問題で、どう解決するか 2019.2
②その財源は・・・ざっくり言って 加入者の保険料半分、事業主または国〔国保〕が半分
〔高齢者医療に対する他保険から支援制度、各保険の財政力に応じた国負担金などがあるが、複雑なので無視〕
1 国保は、「国民皆保険」の柱
〔1〕国民皆保険…全国民が医療保険制度に加入。保険証一枚で医療給付が得られること
〔2〕「国保」〔1958年制定〕が、社会保障制度として確立し、「皆保険制度」が確立
①国保は「助け合い」でなく社会保障
・国保法 「社会保障」「国民保健の向上に寄与する」(1条)と規定し、「国は・・・運営が健全に行われるようつとめなければならない」(4条)と責任の所在を明記/「助け合い」とは何処にも書いていない!。
*この4条について1960年出版された厚生省編「詳解 国民健康保険」では
「(これは)国民健康保険の社会保障体系に占めるすぐれた地位を承認し、福祉国家へ歩むわが国の態度を明らかにしたものといえよう。このような規定は二〇余年前、わが国が一八、一九世紀的な自由主義的市民的法治国家にとどまっていた当時に生まれた旧国民健康保険の中にはうかがうことさえできない。」
*戦前の旧法「相互扶助の精神に則り…保険給付を為すを目的」… 実施は自治体の独自判断。国は支援の立場
②最後にできた医療保険---現在も、給付面など、「差別」性」をひきずっている
医療・年金制度は、明治以降、軍隊・官僚、次に大企業と、権力者・支配層を守る制度としてつくられてきた。
2 高すぎる国保の要因 加入者の構成の変化=「構造的問題」
①「構造的問題」とは
・他保険〔74歳以下〕と比べ、加入者が、年金、非正規労働者など低収入、一方、高齢者が多く、医療給付費が多い。
→ 財政は、必然的に保険料を高くしないともたない。
★一人あたりの所得に対する「保険料負担率」は、協会けんぽの1.3倍、組合・共済の1.8倍強
②国民の声、地方の声で「公費負担」を拡大してきたが…不十分
・公費負担は、「一般被保険者の医療給付の1/2」で始まったが・・・現在は〔2015,年度予算〕
・医療給付7兆7500億円 純粋な保険料 2兆7565億円〔約36%〕/公費負担64%
〔「国庫負担金」という名称の割合は減ってきたが、他の公的負担制度がひろがってきた〕
③「解決にふさわしい公費の投入増を」 それ以外に解決の道はない・・
・知事会「被用者保険なみの負担に軽減するには1兆円必要」/国保新聞 2014/07/10
・日本共産党 18年11月 「1兆円の公費投入」「均等割、平等割廃止し、協会けんぽ並に」の政策発表
3. 差別的内容、遅れた給付内容
①低所得者も定額負担、家族が多いと負担増
・「保険料額」の算定方法 ①「所得割」 ②加入人数に比例する「均等割」、③各世帯に定額負担の「均等割」
* 低所得者 均等割、平等割の2割、5割、7割の減免制度/他の保険制度〔74歳以下〕 報酬に応じ決まる
【高知市】 均等割21600円、平等割24000円〔ともに年間〕 実際どうなるか
②傷病手当、出産手当てがない 〔任意給付、実施自治体ゼロ〕 ~ 他の保険 法律で義務化
・病気やケガで働けなかったときの所得補償/産前産後の休業の所得補償
例 協会けんぽ 傷病手当て=1年6ヶ月、給与の2/3 出産手当98日、給与の2/3
★健保の任意継続 退職から20日以内に申請。2年間やめられない/保険料=事業費分も自己負担=倍に。傷病・出産手当なしに/ 国保・・・前年度の所得を基礎に算定。退職年の所得で計算。「年金だけ」となってからが得な場合多い
★軽減制度も限定低 窓口負担〔44条〕、保険料〔77条〕 災害、休廃業・失業、病気で、収入が著しく低下したとき
→ プラス「市町村長が認める特別な事情」 =仙台市 「子ども」がいることを「特別な事情」とし、均等割を3割減
③自治体が窓口負担を軽減すると、国がペナルティ 〔他の保険制度はない〕
高知県の場合 年間4億円〔高知市1.5億円〕のカット カットの内訳 重度障害児者1/2、子ども1/4、一人親1/4
4 「酷保」 無保険、強権的なとりたてが大問題に
・国保料滞納世帯の増加 全国15% 高知市9.8%
①悪質とみなされると無保険〔資格証明書〕に / 手遅れでの死亡
②強権的な取立、差押さえの増加 年金、児童手当まで/国の支援金、徴収率による「成果主義」の枠組み
★野洲市 「滞納は貴重なSOSだ」「行政が手を差しのべるべき人」〔市長〕
1階フロアーに、市民生活相談課〔市職員4名、生活困窮者支援事業と消費者行政促進事業での嘱託3名、家計相談事業〔社協委託〕、ハローワークと一体的実施を組み合わせ〕で対応
おわり 憲法にそくした制度を
・憲法25条1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
・社会保障…社会と経済を救う/経済の6割は家計消費。医療介護福祉分野の費用の多くは働く人の賃金
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