2019年度 国家予算案メモ
〔急ごしらえの備忘録、メモ〕
・消費税増税で暮らしと経済を破たんさせ、大軍拡で憲法と平和を壊し、二重に亡国への道をつきすすむ予算案
「増税対策」と称したバラマキ、大軍拡の結果、予算規模は101兆4564億円と、過去最大だった18年度当初予算を4兆円近く上回る。勤労統計の偽装など国民の信頼をうらぎるもの。
・社会保障 自然増を概算要求より1200億円抑制。幼児教育・保育の無償化など「全世代型社会保障」実現に向けた財源を確保するためとしているが、消費税増税は、子育て世帯を含めた全世代の暮らしを直撃
・地方財政 一般財権は行政需要、社会保障費の増大の中、4000億円増にとどまっている。
・原発固執 福島第1原発事故によって多くの国民が苦しみ、相次いで原発輸出計画がとん挫するなか、新たに小型原子炉などの開発支援予算を計上し。
・農業 TPP11・日欧EPAが発効されるなか、規模拡大・生産性向上一辺倒
・高速道路や国際戦略コンテナ港湾など大型開発の公共事業には重点的に予算を配分。一方、防災関係では使える内容も多い。
・教育、雇用や中小企業対策などはまったく不十分で、暮らし犠牲、格差拡大の予算
●消費税10%増税 実質賃金が伸びず、家計消費は低迷し、深刻な消費不況が続くなかで、暮らしと日本経済に壊滅的な打撃を与えるもの。
・政府も景気への影響を恐れ、「増税対策」と称したバラマキを行った結果、予算規模は101兆4564億円と、過去最大だった18年度当初予算を4兆円近く上回った。
→対策なるものも、多くの国民と中小事業者に混乱と負担を強いる複数税率の導入、富裕層を優遇し不正の温床となるポイント還元など、重大な副作用をもたらす。消費税増税中止こそ、最大の景気対策である。
●一般会計税収
名目成長率2.4%と仮定。18年度当初予算比5.8%増、過去最高の62兆4950億円。景気回復の持続を前提に消費、所得、法人の基幹3税がいずれも伸びると試算。消費税増税に伴う増収は約1兆3000億円。所得税は賃上げで4.8%増の19兆9340億円、94年度決算以来の高水準。法人税も5.7%増の12兆8580億円。
●社会保障
・財政制度等審議会や経済財政諮問会議で、75歳以上の患者の窓口負担割合(原則1割)の原則2割化、要介護1~2の人向け生活援助の保険給付外しなど給付抑制・削減の議論を進め、全世代に痛みを押し付けを意図
19年度予算案でも・・・・
・社会保障は、概算要求時6000億円としていた自然増を1200億円も圧縮
・中小企業の従業員らが加入する「協会けんぽ」への国庫補助削減。345億円
・生活保護費の引き下げ。
・年金 「マクロ経済スライド」発動。物価の伸びなどで本来受け取れるはずの年金額を0・5%分も削減。
・75歳以上の低所得者向けに医療保険料を最大9割軽減する特例措置を10月に廃止
・3歳児以上の保育・幼児教育の「無償化」でも給食費が対象外に。〔幼児教育「無償化」に関して、財源の半分が年収640万円を超える世帯に配分、年収260万円以下の低所得者世帯には1%。認可保育所の場合、年収1130万円を超える世帯の子ども1人当たりの公費負担は年間51万5000円。年収260万円以下の低所得者世帯の負担は年間1万5千円〕
→保育・幼児教育では、完全無償化と安心して通い続けられる認可保育所の抜本的増設が求められる。
●増税と、社会保障、景気対策の関係
・「全世代型」の社会保障 公費8千百億円
幼児教育、保育無償化 3882億円 3-5歳、2歳以下は非課税世帯
介護人材処遇改善 421億円〔国費213億〕 10年以上勤務、月8万円増
年金生活者支援給付金 1859億円 基準額年6万円
低所得者の介護保険料軽減 654億円〔国費327億円〕
保育士処遇改善 月3000円程度 206億円〔国費103億円〕
→ 政府は、社会保障の充実で2.8兆円Aというが、上記の対策8千億円・年間1.6兆円ではっきりせず
/医療機関など消費税補填填 0.4兆円B
・消費増税への経済の影響の平準化 臨時・特別措置2兆280億円C
中小業者ポイント還元2798億円、プレミアム商品券1723億円、住宅購入支援〔給付金785億円、次世代住宅ポイント1300億円〕、防災・減災・国土強靭化対策1兆3475億円〔2020年度も〕
→加えて 据え置き税率1.1兆円減収、たばこ税・所得税で0.6兆円増収/0.5兆円減税〔年ベース〕D
・ABCDの計 6兆円
・防災・減災・国土強靭化 3ヵ年緊急対策
二次補正、19年度当初合計で2.4兆円。2020年度まで3年間で7兆円程度
・複数税率の導入 1.1兆円減 2%税収5.7兆円
●軍事費
新「防衛大綱」・「中期防衛力整備計画」の初年度となる軍事費は7年連続増額の5兆2574億円/18年度第2次補正予算案で後年度負担費など3998億円が追加。実質5.7兆円に迫る大軍拡
・陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基(1757億円)、E2D早期警戒機9機(1940億円)、無人偵察機グローバルホーク1機(71億円)導入。
・19年度、F35A6機(681億円)調達。新中期防 35ステルス戦闘機105機の追加導入方針。既に決定済みの42機と合わせて147機体制(空軍仕様のA型105機、海兵隊仕様のB型42機)となり、総額は1兆5000億円を超え。維持管理ふくめ6.2兆円。
・「いずも」型護衛艦の事実上の空母化に向けた調査研究費7千万円、長距離巡航ミサイルの取得費計上〔射程900キロの対地ミサイルJASSMなどを搭載するためF15戦闘機の改修を実施 2機分、108億円〕。→攻撃型兵器導入、宇宙など新領域への軍拡など「戦争する国づくり」に本格的に足を踏みだす予算
・アメリカの圧力に屈し、米政府の言い値で買わされる「有償軍事援助(FMS)」により、米国の高額兵器を「爆買い」するもので、対米追随、財政破壊の軍拡予算。「有償軍事援助(FMS)」は7013億円
→新「中期防衛力整備計画(中期防)」(19年度~23年度)は、米軍再編経費などを除いた今後5年間の軍事費総額27兆4700億円。現中期防(14年度~18年度)を2兆8000億円も上回る規模
●税制
史上最高の利益をあげ巨額の内部留保をため込んでいる大企業と、アベノミクスで莫大(ばくだい)な資産が転がり込んだ富裕層に応分の負担を求め、大軍拡や大型開発を中止すれば、消費税増税を中止しても暮らしの財源は確保できる。
→日本共産党は、政府が下げすぎた法人税や、所得税・住民税の最高税率を元に戻すことや、軍事費や原発推進予算、大型巨大事業などの無駄遣いにメスを入れることなどで当面17兆円の財源をつくろうと提案。
・導入時から2018年度までの消費税収は累計372兆円。大企業や大資産家への減税で、法人税の減収分だけで291兆円、約8割が消えた勘定
●勤労統計の偽装
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」が長年にわたって誤った手法で行われていた上、そのことが隠され続けていた。同統計は、国の統計の中でも56ある「基幹統計」と法律で定められた極めて重要なもの。
・データは、雇用保険の失業給付、労災保険の休業補償給付、育児休業や介護休業の給付などの給付額算定のベース。被害と影響は、・厚労省によれば、給付不足がのべ1973万人、推計で総額約537億5千万円。
・毎月勤労統計 、賃金、雇用、労働時間などの実態を示す指標。今回の偽装は、従業員500人以上の事業所は全数調査をしなければならないのに、東京都については2004年から約3分の1の抽出調査しかせず、その結果平均値を押しさげたもの。その偽装を隠し続けただけでなく、「データ補正」のソフトまでつくり隠ぺい。
・景気や雇用の動向の算出に使われるほか、国内総生産(GDP)の発表の際にも活用さ。その偽装は、国の統計そのものへの信頼を根本から失わせる事態〔GDPも計算方法の変更で「かさ上げ」が指摘「その他」部分が以上に増加。実質経済成長率はこの6年間、平均しても年間1%そこそこと、主要国では最も低い水準〕
→ 安倍政権は、「追加給付」を行うとし、19年度政府予算案を修正/賃金台帳は3年しか保存されておらず、正確な給付確定はできない。しかも対象者のうち1000万人以上の住所は不明。
問われる安倍政権の対応/昨年1月にデータ補正をした経過を見ると一昨年時点で問題を把握していたことは明白。昨年6月に現金給与総額が高い伸び率を示した際、その変化を疑問視する声があったのに、突っ込んだ検討はされませんでした。しかも昨年10月には厚労相に報告されていたが、無視して予算案を閣議決定。
・今回の偽装は、「森友・加計」問題、裁量労働制など昨年の国会で大問題になった安倍政権の改ざん、隠ぺい体質、フェイク政権の実態を浮き彫りにした。
●多様な問題
・放課後児童クラブ(学童保育)の職員に関わる基準を自治体の判断で引き下げられるようにする方針を決定~この方針の具体化をはかるため児童福祉法改悪案を提出する予定。
・教員の長時間労働を隠し、助長する「1年単位の変形労働時間制」を導入する関連法案の提出をねらう
・改定出入国管理法に基づく新制度が4月から施行~政府の基本方針や分野別運用方針、共生のための総合的対応策は実効性の裏付けのない対策が目立つ。
・改悪水道法による水道事業の民営化と広域化の押し付けの危険
・改定入管法 外国人労働者拡大、4月実施なのに、雇用の調整弁、東京一極集中の加速の対策なし
〔各論〕
■地方財政計画
(1 ) 一般財源総額の確保と質の改善
・ 一般財源総額について、前年度を0.6 兆円上回る62.7 兆円を確保
・ 地方税増収となる中で、地方交付税は前年度比0.2 兆円増の16.2 兆円、臨財債を前年度から大幅に抑制
一般財源総額 62.7 兆円(前年度比+0.6 兆円、前年度 62.1 兆円)
一般財源総額(水準超経費除き) 60.7 兆円(同+0.4 兆円、 同 60.3 兆円)
・ 地方税・地方譲与税 42.9 兆円(前年度比 +0.9 兆円、前年度42.0 兆円)~森林譲与税導入
・ 地方特例交付金・臨時交付金 0.4 兆円( 同 +0.3 兆円、 同 0.2 兆円)
・ 地方交付税 16.2 兆円( 同 +0.2 兆円、 同 16.0 兆円)
・ 臨時財政対策債 3.3 兆円( 同 ▲0.7 兆円、 同 4.0 兆円)
(2 ) 幼児教育の無償化に係る財源の確保 ○子ども・子育て支援臨時交付金(仮称) 2,349 億円
・ 10 月から実施する幼児教育の無償化に係る経費について、来年度は、地方負担分を措置る臨時交付金を創設
(3 ) 環境性能割の臨時的軽減に係る財源の確保
・ 消費税率引上げに伴う需要の平準化のための自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割の臨時的軽減による減収について、地方特例交付金により全額補塡
・ 自動車税減収補塡特例交付金(仮称) 226 億円/ 軽自動車税減収補塡特例交付金(仮称) 23 億円
(4) 防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の推進
・ 緊急対策に係る事業費1.2 兆円を計上するとともに、これと連携しつつ、地方が単独事業として実施する防災インフラの整備を推進するため、新たに緊急自然災害防止対策事業費0.3 兆円を計上
・3か年緊急対策事業
*2018年度第2次補正予算と合わせて国費2.4兆円、2020年度までの3年間の事業規模は概ね7兆円程度。
①対象事業
「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に基づく防災のための重要インフラ等の機能維持等を目的とした国直轄・補助事業
②事業年度
平成31・32年度
※「3か年緊急対策」に基づく国直轄・補助事業は、補正予算債(充当率100%、元利償還金に対する交付税措置率50%)による措置を講ずる
③地方財政措置(防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債)
充当率:100% 元利償還金に対する交付税措置率:50%
④事業費 1.2兆円(平成31年度)
・緊急自然災害防止対策事業費 3,000億円
①対象事業
地方自治体が策定する緊急自然災害防止対策事業計画に基づき実施される地方単独事業
【対象施設】
治山、砂防、地すべり、急傾斜地崩壊、河川(護岸、堤防、排水機場等)、農業水利施設(ため池、揚水・排水機場、水路等)、港湾・漁港防災等
②事業年度
平成31・32年度(「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の期間)
③地方財政措置(緊急自然災害防止対策事業債)
充当率:100% 元利償還金に対する交付税措置率:70%
④事業費 0.3兆円(平成31年度)
(5) 地方財政の健全化
・ 地方財源不足が大幅に縮小し(㉚6.2 兆円→㉛4.4 兆円)、折半対象財源不足が解消(㉚0.3 兆円)
・ 臨時財政対策債は、前年度から0.7 兆円抑制(㉚4.0 兆円→㉛3.3 兆円)
2.東日本大震災分
○ 震災復興特別交付税の確保
東日本大震災の復旧・復興事業等の財源として震災復興特別交付税0.4 兆円(前年度比▲0.0 兆円)を確保
3 その他
○公共施設等の老朽化対策をはじめ適正管理を推進するため、「公共施設等適正管理推進事業費」について、橋梁、都市公園等の長寿命化事業を対象に追加 4800億円 同額
○重点課題対応分 2,700 億円(前年度比 +200 億円、 +8.0 %)
うち森林環境譲与税(仮称)を財源として実施する森林整備等 200 億円(皆増)
○まち・ひと・しごと創生事業費の確保 引き続き1兆円
○社会保障 国・地方合計額
・ 社会保障の充実分の事業費 2 兆1,930 億円(㉚1 兆8,659 億円)
・ 人づくり革命に盛り込まれた幼児教育の無償化等に係る事業費 4,839 億円(皆増)
○公務員人数
国家公務員 57.7万人 57.8万人 +0.1万人
地方公務員 230.2万人 230.4万人 +0.2万人
■補正予算~地方財政にかかわって
・歳出面 、
防災・減災、国土強靱化1兆723億円、
TPP協定の早期発効に対応するための農林水産業の強化策等3,256億円、
中小企業・小規模事業者に対する支援2,068億円、
国民生活の安全・安心の確保7,512億円、
災害復旧等2,136億円、
地方交付税交付金5,108億円等
を追加計上/他に、既定経費の減額1兆2,909億円の修正減少額等を計上
・歳入面
税収8,490億円、税外収入1,393億円、前年度剰余金受入7,131億円、公債金1兆82億円を追加。
○ 補正予算に係る財政措置等
① 地方交付税
増額される平成30年度分の地方交付税の額5,311億円(平成29年度国税決算に伴う地方交付税法定率分の増額2,684億円、平成30年度国税収入の補正に伴う地方交付税法定率分の増額2,627億円)については、平成30年度において、普通交付税の調整額の復活に要する額396億円を交付するとともに、本年度の災害の状況にかんがみ、700億円を特別交付税の総額に加算することとしたうえで、残余の額4,215億円について平成31年度分として交付すべき地方交付税の総額に加算して交付する措置を講じる。
② 追加の財政需要
・追加されることとなる投資的経費等に係る地方負担額については、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、以下に掲げるものを除き、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入し、残余については、単位費用により措置する。
ア災害復旧事業債
(ア)補助災害復旧事業債
元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入すること。
(イ)災害対策債
中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業に係る災害対策債 95%を基準財政需要額に算入。
災害廃棄物処理事業に係る災害対策債 57%を特別交付税により措置。
(ウ)一般単独災害復旧事業債
元利償還金については、地方公共団体の財政力に応じ、その47.5%~85.5%を基準財政需要額に算入
(エ)地方公営企業災害復旧事業債
一般会計からの繰出額に応じ、その最大50%までを特別交付税により措置する。
イ熊本地震及び平成30年7月豪雨への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く)に係る補正予算債
その80%を公債費方式により基準財政需要額に算入。
ウ公営企業債
当初における一般会計からの繰出額の一部に対する算定と同様の方式により措置すること。
②補正により追加される地方債の対象とならない経費 地方財政計画に計上された追加財政需要額(4,200億円)の一部により対応することとし、新たな財源措置は行わない
■社会保障
社会保障関係費 34兆,593億円 +1兆710億円
●保育 受け皿 +8.0万⼈ (1,153億円) うち企業型2万
・保育⼠の処遇改善 206 億円(公費)- 平成31 年4 ⽉から更に1%(⽉額3000 円相当)の処遇改善を実施。
●介護⼈材・障害福祉⼈材の処遇改善
介護︓公費421 億円、うち国費213 億円障害︓公費187 億円、うち国費94 億円
・経験・技能のある介護職員(勤続年数10 年以上の介護福祉⼠)について⽉額平均8万円相当の処遇改善を⾏うことを算定根拠に公費を投じる。事業所内の配分については、経験・技能のある介護職員について、⽉額8万円⼜は全産業平均の賃⾦⽔準(役職者除く)を超える処遇改善となる者を1 ⼈以上確保することなど重点化を図りつつ、その他の介護職員・その他の職種の処遇改善にも対応(2019 年10 ⽉実施)。
●介護保険料 保険料基準額に対する軽減の拡充 450 億円(30 年度︓123 億円)
平成27 年度より⼀部実施されている低所得の⾼齢者の介護保険料の軽減策について、今後の⾼齢化の進⾏に伴う保険料⽔準の上昇や消費税引上げに伴う低所得対策強化の観点を踏まえ、平成31 年10 ⽉以降、対象を市町村⺠税⾮課税世帯全体に拡充等を実施
第1段階0.45 → 0.3
第2段階0.75 → 0.5
第3段階0.75 → 0.7
●年金 給付金 1,859 億円
低所得の65歳以上の老齢基礎年金の受給者に、老齢年金生活者支援給付金を支給する。対象者:約610万人
<支給額>①と②の合計額
①基準額(月額5千円)に納付済期間(月数)/480を乗じて得た額
②老齢基礎年金満額の1/6(約10,800円)(※2)に免除期間(月数)/480を乗じて得た額
(※1)同一世帯の全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等の収入金額+その他所得の合計額が老齢基礎年金満額(約78万円)以下であること
(※2)保険料1/4免除期間は、老齢基礎年金満額の1/12(約5,400円)
○ 上記の所得基準を上回る一定範囲の者(※3)に、補足的老齢年金生活者支援給付金を支給する。
→ 対象者:約160万人
(※3)前年の公的年金等の収入金額+その他所得の合計額が約88万円までであること
○ 所得の額が一定の基準(※4)を下回る障害基礎年金又は遺族基礎年金の受給者に、障害年金生活者支援給付金又は遺族年金生活者支援給付金を支給する。→ 対象者:約200万人
<支給額>月額5千円(1級の障害基礎年金受給者は、月額6.25千円)
● 低所得の未婚のひとり親に対する臨時・特別給付⾦ 30 億円(新規)
19年度税制改正における未婚のひとり親に対する税制上の対応に関する結論を踏まえ、臨時・特別の措置として、低所得(児童扶養⼿当の受給者、年収360 万円以下)の未婚のひとり親に対し1.75 万円の給付⾦を⽀給。
●児童扶養⼿当の⽀給回数増加 2,075 億円(30 年度︓1,711 億円)
年3 回⽀給を⾒直し、年6 回の隔⽉⽀給にすることで、ひとり親家庭の利便性の向上及び家計の安定を図る。
●医療ICT 化促進基⾦(仮称)の創設 300 億円(新規、国費)
医療機関におけるICT 化の取組を時限的に⽀援するため、消費税財源を活⽤し基⾦を設置する。
●後期⾼齢者医療制度の保険料(均等割)に係る軽減特例の廃止
後期⾼齢者の保険料(均等割)に係る軽減特例(9 割軽減・8.5 割軽減)について、2019 年10 ⽉から当該軽減特例に係る国庫補助を廃⽌。本則の7 割軽減とする。
現⾏の9 割軽減が適⽤される低所得者に対しては年⾦⽣活者⽀援給付⾦が⽀給されることから、現⾏の8.5 割軽減が適⽤される者に対し、2019 年10 ⽉から1 年間、軽減特例の補填を⾏う(31 年度︓国費▲170 億円)。
■厚生労働
○働き⽅改⾰・⽣産性向上への⽀援 76 億円(30 年度︓15 億円)【労働保険特別会計】
働き⽅改⾰推進⽀援センターにおいて、労務管理等の専⾨家によるワンストップ型の相談⽀援等を実施するほか、商⼯会議所・商⼯会等での出張相談、中⼩企業・⼩規模事業者に対する個別相談等の機能・体制等の強化。
○⽔道施設の耐震化等の推進 650 億円(「臨時・特別の措置」259 億円を含む。)(30 年度︓375 億円)
○ 外国⼈材の適正な雇⽤管理の確保 8 億円(30 年度︓-億円)【労働保険特別会計】
外国⼈材の適正な雇⽤管理の確保を図るため、ハローワークにおいて、事業所訪問による雇⽤管理状況の確認や改善のための助⾔・指導等を実施。
○ 外国⼈技能実習機構の体制強化 64 億円(30 年度︓35 億円)【⼀部労働保険特別会計】
外国⼈技能実習に関する実地検査や相談援助等の体制を強化する。
○⽣活保護費負担⾦ 28,508 億円(30 年度︓28,637 億円) 129億円削減〔地方分含め、172億円減〕、
■文教及び科学振興費53,512億円53,824億円(+311、+0.6%)
うち、文教関係費40,337億円40,445億円(+108、+0.3%)
うち、科学技術振興費13,175億円13,378億円(+204、+1.5%)
● 31年度の義務教育国庫負担金[1兆5,200億円](▲27億円)は、自然減(前年度比▲2,872人)を起点として、
① 学校統廃合の進展による定数減、少子化等による加配定数の減(▲1,454人)
② 小学校英語の専科教員等の加配定数の増(+1,210人)
③ 29年度法改正に伴う基礎定数化(発達障害、外国人児童生徒対応)による定数増(+246人)
⇒ 教職員定数は68.5万人から68.2万人(▲0.3万人程度)
○小学校の英語の専科教員を1000人加配 加配を受けられるのは新規採用する小学校教員の50%以上が英検準1級相当以上の英語力を有する自治体ときわめて困難なハードル設置。
文科省は「来年度達成できる自治体はない」として、今後達成状況などに応じて配分する仕組みを考えるとしている
● 国立大学法人運営費交付金[1兆971億円]の配分方法の見直し
…各国立大学への運営費交付金について、その大部分を前年同額で固定して配分してきた仕組みから、1,000億円分を評価(うち700億円は質の高い論文など成果に係る共通指標で評価)に基づき配分する仕組みに見直し。といっそうの目先の「成果」競争においこむものに。
●奨学金など
・大学 給付型奨学金105 億円 ⇒ 140 億円(+33.3%)
対象の拡大 30 年度2.3 万人→31 年度4.1 万人
・無利子奨学金958 億円 ⇒ 1,029 億円(+7.5%)
無利子奨学金については、29 年度から進められている①低所得世帯の子供に係る成績基準の実質的撤廃及び②残存適格者の解消について、31 年度においても安定的に実施する。(30年度53.5 万人→31 年度56.4 万人)
・授業料減免 ・国立大学における授業料減免350 億円⇒365 億円 (+4.3%)
・私立大学等における授業料減免130 億円 177 億円 (+36.2%)
※国立大学法人運営費交付金、私立大学等経常費補助金の内数経済的な理由によって授業料の納付が困難で、かつ、学業成績が優秀な者等に対する授業料減免枠等を拡大する。
●スクールカウンセラーの配置について2 万6,700校から2 万7,500 校に拡充するとともに、スクールソーシャルワーカーについても、7,500人から10,000 人に拡充
■農林水産 2兆3,108億円 +86億円(+0.4%)
ポイント ①強い農業のための基盤づくりと担い手への農地集積・集約化、②水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施、③輸出力強化と高付加価値化、の推進。特に、水産改革を実現するための予算に重点化。
●水産改革
・水産資源調査・評価の充実55億円(+23億円)
・高性能漁船導入による実証事業51億円(+3億円)
・漁船、漁具等のリース事業100億円【新規】
・水産バリューチェーンの構築14億円(+5億円)
平成30年度補正予算とあわせて3,045億円(+718億円)を措置
●強い農業のための基盤づくりと農地の集積・集約化
・農業農村整備事業関係4,418億円(+69億円)
※平成30年度補正予算とあわせて5,905億円(+105億円)を措置
・強い農業・担い手づくり総合支援230億円【新規】
*強い農業づくり交付金と経営体育成支援事業を統合
・持続的生産強化対策事業 201億円【新規】
農業者や農業法人、民間団体等が行う生産性向上や販売力強化に向けた取組や、地方公共団体が主導する産地全体の発展を図る取組を、関連事業における優先採択と併せて総合的に支援
・スマート農業の技術開発・実証31億円(+14億円)
・農地の集積・集約化の推進168億円(▲24億円)
-協力金の対象を農地の出し手から農地の受け手に重点化
●水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施
・水田活用の直接支払交付金3,215億円(▲89億円)
-野菜など高収益作物への転換を促進する仕組みを導入
・収入保険制度の実施206億円(▲54億円)
●輸出力強化と高付加価値化
・海外需要創出等支援と輸出環境整備40億円(▲0億円)
・グローバル産地の形成支援2億円【新規】
・GI(地理的表示)の活用・保護強化2億円(▲0億円)
●防災・減災、国土強靱化(臨時・特別の措置)1,207億円
・農業水利施設の緊急対策農業農村整備事業
・ため池の改修、統廃合等511億円の内数【新規】
・治山施設の設置等250億円【新規】
■中小企業 1,771 1,740 ▲31 (▲1.8%)
○ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業 50.0 億円(新規)
複数の中小企業・小規模事業者等が、事業者間でデータ・情報を共有し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクトを支援する。
○地方公共団体による小規模事業者支援推進事業 10.1 億円(新規)
小規模事業者が商工会・商工会議所と一体となって取り組む販路開拓や生産性向上の取組を地方公共団体が支援する際に必要な費用を補助する。
(注)中小企業生産性革命推進事業 【30 補正】1,100.0 億円
中小企業の生産性向上を促進するため、生産性向上に資する革新的なものづくり・サービス開発のための設備投資等の支援(ものづくり補助金)、生産性向上に資するIT ツールの導入支援(IT補助金)、小規模事業者が商工会・商工会議所と策定した経営計画に基づいて行う販路開拓や生産性向上の取組等の支援(持続化補助金)を行う。
○地域小規模事業者支援人材育成委託費 5.4 億円(新規)
中小企業が必要とする地域内外の多様な人材(女性、高齢者、外国人等)の発掘、マッチングや、IoT・ロボット導入等に知見を有する専門家の育成・派遣等を行うとともに、商工会・商工会議所の経営指導員の育成支援等を行う。
○消費増税対応
(注)中小企業消費税軽減税率対策事業 【30 補正】560.6 億円
(注)消費税軽減税率対応窓口相談等事業 【30 補正】49.4 億円
消費税軽減税率制度を円滑に実施するため、制度への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等が、複数税率対応レジの導入や電子的受発注システムの改修等を行うことを支援するとともに、中小企業団体等と連携して、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置や専門家派遣を通じたサポート等を行う。
■エネルギー
○燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備 事業費補助金100.0 億円(56.0 億円)
○社会的な要請に応える革新的な原子力技術開発支援事業 6.5 億円(新規)
安全性・経済性・機動性に優れた原子炉技術の高度化に資する技術開発を支援。
■国土交通
・6兆9099億円〔前年5兆9789億円〕補正1兆5799億円〔前年1兆3億円〕/1兆5106億円増
①防災・減災対策強化のための個別補助化や老朽化対策、②生産性向上のためのインフラ整備への重点化を推進
○ 具体的には①防災・減災に関して、地方公共団体への交付金による支援から、個別補助による計画的・集中的な支援への切り替え1500億円、②長寿命化計画に基づく戦略的な老朽化対策といった維持修繕を重点的に進める。
また、生産性向上に関して、大都市圏環状道路等と一体となって、空港・港湾等の物流拠点へのアクセスを向上する道路ネットワークの整備等を重点的に進める。
(注)財投も活用し、新名神高速道路の6車線化、暫定2車線区間の4車線化等を加速(融資規模1兆円)。
○ 訪日外国人旅行者数2020年4000万人等の目標達成に向け、国際観光旅客税の増分(+440億円)を活用。顔認証ゲートを用いた出入国手続きの高度化、無料Wi-Fi や多言語案内など受入体制整備等を加速する。
○二次補正予算と合わせ、尖閣対応の大型巡視船を中心に、引き続き「海上保安体制強化に関する方針」に基づく体制強化等を推進する。
●消費税率引上げに伴う経済対策(すまい給付金、次世代住宅ポイント)
① すまい給付金 785億円
・ 住宅ローン減税の効果が限定的な所得層を対象とする、すまい給付金について、2019年10月以降、対象所得層を拡大するとともに、給付額を最大30万円から50万円に引上げ。
② 次世代住宅ポイント制度1,300億円
・ 一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅や家事・介護負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームに対し、一定期間に限って省エネ商品など様々な商品と交換できるポイントを付与(1ポイント=1円相当)。
・ 新築、基本30万ポイント。最大で35万ポイント。
・ リフォーム 、内容に応じ、原則30万ポイントを上限。若者・子育て世帯によるリフォームの場合、上限を15万ポイント引上げ。更に、既存住宅の購入に伴うリフォームの場合、最大で60万ポイントまで引上げ。
(注)この他に、税制上の措置として、住宅ローン減税の拡充を実施(住宅ローンの控除期間を3年延長)。
●観光
○ 2020年4000万人等の目標達成に向けた高次元な観光施策の加速
276億円 ⇒ 681億円 (+ 405億円、+ 147%)
○ クルーズ船の受入環境改善
143億円 ⇒ 147億円 (+ 4億円、+ 2.9%)
*カジノ推進で、内閣府で委員会設置・運営で29億円
● 下水道事業における受益者負担の原則を踏まえた重点化
下水道事業において、費用構造を踏まえた望ましい使用料体系を後押しするなど、受益者負担の原則を徹底しつつ、下水道の公共的役割・性格を勘案し、地域の特性等に配慮しながら、国による財政支援について、未普及の解消等に引き続き重点化する。〔基本料の引き上げを示している〕
■内閣官房 984.0億円(30年度予算972.5億円)
内閣衛星情報センター内閣情報調査室内閣サイバーセキュリティセンターなど
■内閣府 3兆6755億円〔3兆1951億円〕
・子ども・子育て支援新制度の実施28,834億円(25,884億円)
・地方創生の推進等1,060億円(1,058億円)
地方創生推進交付金1,000億円(1,000億円)
地方大学・地域産業創生交付金22.5億円(20億円) 等
(参考) 地方創生推進交付金活用分、文科省計上分、関連事業を合わせて合計101億円
・原子力防災対策139億円(109億円)※
・実用準天頂衛星システムの開発・整備・運用263億円(153億円)など宇宙開発利用の推進271億円(162億円)
・プレミアム付商品券事業の実施1,723億円(新規)
・消防 緊急消防援助隊設備整備費補助金69.5億円 対策車、ボートなど
・カジノ管理委員会の設立等29億円(新規) 等
■復興予算 2兆3,593億円 ▲2,245億円減
■外務省
○ODA、外交体制強化、テロ対策など、2年連続増。7,306億円+339億円(+4.9%)
○ODA予算 一般会計ODA予算は4年連続の増(対前年度比+27億円、+0.5%)。外務省ODA予算も9年連続の増〔4,376億円+32億円 +0.7%)。
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