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「異次元金融緩和」の成れの果て~外資の餌食、そして最大リスク{中央銀行の死」

 日銀の事実上の国債引き受けによる円安誘導・利益拡大・株高の流れと、日銀・公的資金による株の買い支えによる更なる粉飾。…実態経済は低迷しているのに、円安差益と株高で、一部大企業、富裕層に国民の所得が移転しているだけ。
改憲のための政権の支持率維持のためだろう。その結果が、日銀の機能マヒのリスク、日銀・公的資金の株式市場での動きはワンパターンであり、売買の7割をしめる外資が、売り抜け、空売りで利益をもぎ取っていく。
「架空の需要」に支えられた米経済に先行きにも懸念がある。ゆきづまりは極めて深刻。


【日本経済最大のリスクは金融ショックに打つ手がない「中央銀行の死」だ 金子勝・ダイヤモンド】

【ついに「日銀バブル」のツケが回ってくるかもしれない 株価乱高下、銀行の乱脈融資 現代ビジネス10/23】
【株価1カ月で2936円下落…外国人投資家に餌食にされる日銀 日刊ゲンダイ10/27】
【空売り比率が過去最高、底値示唆か 岩井コスモ証券10/24】
【東証空売り比率が初の50%超え、過去最高を更新 ロイター 3/23】

【日本経済最大のリスクは金融ショックに打つ手がない「中央銀行の死」だ 金子勝・ダイヤモンド】

金子 勝:立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授

2018年に入って金融市場は不安定化している。
 10月25日、東京株式市場では、前日の米国市場(ダウ工業株平均)の急落を受けて平均株価が急落、韓国などアジアの株価も下落した。「世界同時株安」は、今年2月、さらに10月に、IMFの金融安定報告が金融危機に警鐘を鳴らしたのを機に起きたのに続き、今年になって3回目だ。
 また8月10日には、トランプ政権のトルコ制裁を契機に新興国の通貨暴落が起き、新興国の通貨不安はいまも続いている。
株や為替市場で繰り返される暴落は世界経済の変調を示す予兆のように見える。
 米国が仕掛けた貿易戦争で「自動車25%関税」を課せられる可能性もある日本も今後、不安定化の例外ではあり得ないが、深刻なのは、日本銀行が、異次元緩和の果てに中央銀行としての機能を失いつつあることだ。
 次のショックが起きても、「打つ手」がなく、日銀自体も打撃を受ける「リスク」が高まっている。

◆不安定化する市場 世界経済変調の予兆

 市場の不安定化が生み出す「鬼っ子」のような存在が、CTA(Commodity Trading Advisor)という 「さや抜きファンド」の取引急増だ。
 株式や債券、商品、為替などの先物に関する膨大なデータを収集し、情報工学とAIを駆使して、顧客から預かった資金を商品、株式、為替、債券など先物商品を中心に超短期で運用している。
 そして、スパコンを利用してプログラムで売買するハイ・フリークエンシー・トレーディング(超高速・高頻度取引)という手法で損失を回避する。
 CTAは、経済実態とも連動せず、企業の評価でもなく株価水準そのものでもなく、その変動(トレンド)を追いかけて差益だけを狙うファンドだ。
 上がる局面では「いち早く買って」もうけ、下がる局面では「いち早く売って」もうけるがゆえに、オーバーシュートを引き起こしやすい。つまり、ボラティリティーを上げながら、自分は売り抜いてゆく手法である。
 こうしたファンドが株式市場・金融市場を支配するようになってきており、より近視眼の動きを強めている。

◆バブル期並みの日本の株価 経済の実態と乖離

 こうしたファンドが格好の餌食にしているのが、日本市場だ。経済の実態と乖離した株価水準だからだ。
 実際、日本の株価はバブル期並みになっているが、実体経済を反映しているとはいえない。
 ドル建てで見れば、日本のGDP(国民総生産)は1995年の5.45兆ドルをピークにして停滞した後、リーマンショックからの回復過程で2012年に6.2兆ドルに達したが、その後はその水準を下回ったまま停滞を続け、2017年でも4.87兆ドルにとどまっている。
 主要先進国の中で、日本は際立って経済成長率が停滞している。
 実際、1995年で見ると、アメリカのドル建てGDPは日本の1.4倍の7.64兆ドルだったのが、2017年には日本の約4倍の約19.5兆ドルに達している。
 中国のドル建てGDPも1995年では日本のわずか7分の1の約7370億ドルだったのが、2017年には日本のおよそ2.5倍の約12兆ドルにまで増えている。
 世界経済での日本の地位の低下は著しい。

◆「官製相場」は、外資系ファンドの餌食に

 世界経済での地位低下が著しい日本の株価がなぜ高いのか。
 1つは日銀が大量の株を買って株価を維持していることが背景にある。
9月30日時点で、日銀が持つETF(指数連動型上場株式投信)は21兆6500億円に達する。信託預かりの株式も9460億円持っている。
 ETFとは、日経平均株価や東証株価指数に連動する運用成果を目指す投資信託で、日銀がETFを買えば、証券会社などがそれに見合った株式を購入するので、株価全般を引き上げる効果を持つ。しかも、日銀が持つETFはETF全体の4分の3にも達している。
 中央銀行がリスク資産である株を大量に買うのは歴史的に見ても異常事態だ。決して良いことではない。だがいまや、日銀が株価維持を止めたとたん、株価が急落しかねないので、やめるにやめられないのだ。
 日銀のほかにも、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や3つの共済年金などが国内株式運用比率を25%に増やし、株買いをしている。
 GPIFと共済年金は、2017年末で日本株の保有残高が54兆3457億円、外国証券も72兆3854億円である。日本郵政(ゆうちょ銀行とかんぽ生命)と合わせて、「6頭のクジラ」が株を大量に買って株価を支えている。今の株式市場が「官製相場」といわれるゆえんだ。
 そして日銀や年金マネーが株高を支える日本市場は、外資系ファンドにとって動きを読みやすく極めて好都合なのだ。
 相場が下がれば日銀が買い支えるので売り抜けられるし、空売りを仕掛けて大もうけもできる。日本市場は外国人投資家の格好の餌食にされているといっていい。
 株価を買い支える日銀や年金などのほかに、もう1人の株式取引の主役は、外国人投資家だ。
 東京証券取引所のデータで株式の保有主体別に見ると、外国人の保有比率は3割だが、東証一部の売買取引を見ると、海外投資家が9月では約68%を占める。
 ETFを含めた海外投資家が、日銀や年金の株式市場への「介入」を利用して利益を出しているのが、今の日本の株式市場の実態だ。
 債券市場もひどい状況だ。「異次元緩和」を続ける黒田日銀は462兆円(2018年9月30日)もの国債を買い、いまや国債残高の約4割を日銀が保有する。
 また、米国FRBが利上げを進め、日米金利差が拡大する中で、生命保険会社や年金基金はアメリカ債券を買い越し、その資金の流出で円安に向かっている。
 アベノミクスのもとでの「株高円安」の陰には、中央銀行や年金基金などによるいびつな取引がある。

◆リスクに満ちているのに、政策手段を失っている日銀

 問題は、ひとたび株価や国債の暴落が起きた時だ。急落を引き金に金融危機が起きれば、すでに国債も株も大量に買っている日銀は市場を支えるなどの「打つ手」がなくなることだ。
 おまけに、日銀が保有する国債やETFなどの資産が巨大な損失に化け、日銀信用を傷つけるような事態に陥れば、政府が買い取り機関でも設けて、引き受けるしかなかったり、日銀に公的資金を入れたりということになりかねない。
 それは結局、年金の損失なども含めて国民負担になっていく。
 実際、そうなる危険性は増大している。国内外は金融市場にショックをもたらすリスクで満ちているからだ。
「リーマンショック」のような大規模な危機にならなくても、中小金融機関の経営悪化を招き、クレジットクランチなどで実体経済が停滞する可能性もある。あるいは新興国に深刻な経済危機を招き、世界経済が停滞するかもしれない。
 トランプ米大統領が、こうした金融市場のショックのトリガーを引くかもしれない。アメリカはトランプの大型減税で財政が悪化するもとで、長期金利上昇圧力が増している。FRBも政策金利の引き上げに動かざるを得ず、世界中で民間債務の増加が著しい下で、長短の金利上昇は新たな危機の引き金になり得る。
 すでにトランプ大統領によるトルコ制裁をきっかけにトルコリラが暴落し、国際収支の赤字と対外債務の大きい新興国の通貨下落へと“伝染”が生じた。
 イラン制裁をきっかけに原油価格が急上昇し、状況はだんだんリーマンショック前に似てきている。
 そしてGDP世界1位のアメリカと2位の中国の間での貿易戦争は激化するばかりである。さらに、英国の「合意なきEU離脱」、あるいはイタリアの財政危機が、金融市場にショックを与え、銀行危機に発展する危険性もある。
 一方、国内では、東京オリンピックが終わると急激にヒトやカネが引くので、不動産バブルがはじけて景気が後退することが懸念される。その前に中古マンションや貸家バブルの破綻から大幅な値崩れが始まっていく可能性もある。
 銀行とりわけ地方銀行はマイナス金利で貸付利息収入が極端に縮小しているうえに、スルガ銀行のように不動産融資に傾斜しているところも少なくない。経営困難に陥ることは避けられない。ただでさえ疲弊する地域経済は一層の困難に陥るだろう。

◆マヒ状態の中央銀行の機能

 こうした国内外のリスクが現実のものになった時、円安株高依存の日本経済は脆いし、今の日銀では打つ手なしの状況に陥ってしまう。
前述した異次元緩和策で、日本銀行は、市場機能だけでなく、中央銀行としての本来の役割をする基盤を自ら壊してしまっているからだ。
 教科書的に言うと、中央銀行は、銀行の決済システムの中枢にあって、3つの政策手段を行使して金融政策を実行する。
 1つは、政策金利を通じた金利誘導だ。金利操作を通じて、個人や企業の借り入れと預金、つまり投資や消費と貯蓄に影響を与えることでマクロ経済全体に影響を及ぼす。
 2つめは、国債の買いオペ、売りオペを通じて、通貨供給量をコントロールする。市中銀行から国債を買い上げると、金融機関に資金が流れる。
 3つめは預金準備率の操作である。市中銀行が日銀へ資金を預ける法定準備率の比率を上下させることで、信用量を調整する。
 ところが、5年間の「異次元緩和」によって、この3つの金融政策は機能不全に陥っている。
 政策金利はゼロに近い低金利になっているので、ショックが起きても、利下げなどで需要を喚起することはもはやできなくなっている。
 さらに仲介機能を果たす金融機関は、低金利で利ざやを稼げなくなり、経営が苦しい。実際、地銀の半数が赤字で金融不安さえ起こりかねない。金利政策が効かないどころか、中央銀行本来の役割である“金融機関の信用秩序”を自ら破壊しているようなものだ。
 また通貨供給をさらに増やそうにも、国債の買いオペは、日銀が460兆円もの国債を買い込んだ結果、国債取引そのものがしばしば成り立たなくなる状況が生まれている。今年だけでも、取引が成立しない“札割れ”が7回も起きている。
 預金準備率の操作も、すでに金利のつかない日銀の当座預金におよそ380兆円も“ブタ積み”になっており、“マヒ状態”である。

◆ 「無責任体制」続けば、破滅のシナリオが現実に

仮に、規模の大小はともあれ、金融危機となった場合、“最後の貸し手”としての中央銀行は機能マヒに陥っており、その政策手段を失った状態なのだ。
 後に残された手段は赤字財政のファイナンスだけになる。
とりわけ、安倍首相による「政治任用」に近い黒田日銀は、アベノミクスの生命維持装置化しており、中央銀行の独立性を完全に失っている。無理を継続していけば、日銀による国債の直接引き受けに追い込まれる可能性がある。
 これは日銀による国債の直接引き受けは、現在、日銀法5条が禁じている。戦時経済のように、財政が無軌道になるからだ。裏を返せば、この壁が突き破られれば、事実上、戦時経済と同じ状況になる。
 そして日銀が財政赤字をファイナンスしている間に、2020年代後半に向けて産業衰退が一層加速することになるのだ。
 これまでも、超低金利、財政赤字の裏で本来なら、退場すべき「ゾンビ企業」や構造不況業種も生き延びることになってきた。この超低金利ではリスクをとって新しい産業・企業に貸し出すこともできない。
 経済の新陳代謝や成長をけん引する産業が生まれず、へたをすれば、産業衰退で貿易黒字さえ稼げなくなり、国内で財政をファイナンスできなくなる事態になる可能性があるのだ。そうなれば、外国人投資家が日本国債を持ち、また国債の格付けが下がると金利が上昇するという事態に陥ることも考えられる。
 アベノミクスによる「見せかけの景気」が一気にはげ落ちた時に、打つ手がない。だから日銀は異次元緩和をやめられないし、株買い支えも続けざるを得ないのだが、こういったやり方が、いつまでも持つはずはないのだ。
 10月4日にIMFのラガルド専務理事が訪日し、新たな視点からアベノミクスの全面見直しを要請したのもわかる。どう見ても持続可能性が失われているからだ。
 政治家も官僚も経営者も、「今経済が持てば、それで良し」とする完全な無責任体制に陥っている。できるかぎり早く、破滅へのシナリオを食い止めなければならない。

(立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授 金子 勝)

【ついに「日銀バブル」のツケが回ってくるかもしれない 株価乱高下、銀行の乱脈融資 現代ビジネス10/23】

藤田 知也

株価の激しい乱高下、スルガ銀行の乱脈経営……いま、日本の金融・経済に異変が起きている。朝日新聞特別報道部記者で、このたび『日銀バブルが日本を蝕む』を上梓した藤田知也氏は、種々の異変は黒田東彦氏率いる日銀の金融政策に起因したものではないかと分析する――。

◆気がかりな金融緩和 株式市場が大きく揺れている。

日経平均株価がほぼ27年ぶりの高値をつけたと大騒ぎしていたのはつい先日、10月初めのことだ。9月中旬から世界の投資マネーが日本株に流れ込み、10月1日には終値が2万4245円76銭をつけ、1991年11月以来の好水準まで駆け上がった。日本経済新聞では「日本企業の稼ぐ力が再評価されている」(9月29日付朝刊)といった解説もされた。

ところが、直後から日経平均は下落に転じ、10月11日(日本時間)に起きた世界同時株安では一時1000円超も急落。先週も月初から最大で8%超値下がりする大幅安となるなど、乱高下が続いた。

株安の直接の引き金を引いたのは、米国の急ピッチな金利上昇と、それにともなう米国株の下落だった。米連邦準備理事会(FRB)が進める金融緩和の正常化も意識され、株や不動産などの資産から資金が引き揚げられる「逆回転」が起きやすくなっている。米中貿易戦争や日米通商協議なども背景に、世界経済の行方が来年に向けて不透明感を強めているのは間違いない。

日本の景気拡大局面はほぼ丸6年に達し、米国はそれより長い9年超に及ぶ。国内では安倍政権が大盤振る舞いしてきた経済対策が息切れし、海外ではトランプ政権の保護主義政策による悪影響が懸念され、2019年には景気後退の局面を迎えると予想する声が少なくない。

そこで気がかりなのは、日本銀行が上場投資信託(ETF)を年6兆円ペースで買い入れるなど、大規模な金融緩和を今もなお漫然と続けていることだ。ここ数年は実感の乏しい「好況」を演出してきたが、今後、景気が後退する局面では厳しい試練を迎えることが予想される。

◆無理筋の強硬路線を続けた結果…

日銀が黒田東彦総裁を担いで大規模緩和に乗り出したのは13年春。物価上昇率2%の実現を何よりも優先すべき目標に位置づけ、その実現のために年50兆円ペースで長期国債を、さらにはETFも年1兆円ペースで買い入れ始めた。市場への資金供給量(マネタリーベース)を年60兆~70兆円ずつ増やせば、2%目標は2年程度で実現すると高らかに宣言もした。

そもそも黒田緩和とは、人々に「物価が上がりそうだ(=景気が上がりそうだ)」という予想や期待を植え付ければ、お金は貯めるより使うほうが得だとばかりに財布のひもがゆるみ、投資や消費が増えて本当の物価も上がるという可能性に賭けたものだ。

それは、思い切って資金供給量を増やせば2~3%のインフレを実現できると唱え、安倍首相も共鳴した「リフレ派」の主張をほとんど丸のみしたものでもあった。

しかし、結果はご承知のとおり。日銀の緩和策は投資家を扇動して円安・株高を加速させ、資産価格を上昇させることには成功したものの、一般の企業や家計を舞い上がらせて支出を増やさせることには失敗した。

最大の問題は、2%を実現できなかったことではなく、2%の実現が困難だとはっきりした14年時点で、日銀や政府が現実を直視せず、「緩和をもっと強めれば、次こそ2%は実現できる」とかたり続け、無理筋の強行路線を推し進めたことだ。

14年10月の追加緩和で長期国債の買い入れ額を50兆円から80兆円に、ETFは1兆円から3兆円にそれぞれ増やした。そこから日銀の迷走は始まる。円安が再加速し、輸出企業の業績は一段と押し上げられたが、設備投資や個人消費は改善しなかった。それでも日銀は懲りることなく、16年1月にマイナス金利政策を導入し、16年7月にはETF購入量を年6兆円ペースまで加速させた。

 国債買い入れはさすがに限界に近づき、16年9月の政策修正で購入量を減らす方向にカジを切ったが、ETFを年6兆円も”爆買い”する方針は元には戻せていない。大量のETFを買うことは、東証1部の幅広い銘柄の株式を薄く広く買うのに等しい。世界経済が改善を続けるなか、企業の業績や成長性に関係なく、漫然と株を買いまくって株式市場に介入する中央銀行は、世界の先進国でも他には例がない。中央銀行が株を買い漁って株価浮揚を図る異常性は、誰の目にも明らかだろう。
そんな「おかしな政策」をなぜ日銀は採り続け、しかも漸次的に拡大させてきたのか。

◆先が思いやられる

筆者が今春まで日銀の担当記者として取材した限り、たとえばETFの買い入れ額を年6兆円にまで倍増させた16年7月の政策決定過程では、政策委員らの言動がいかにも不自然で、政権への配慮や忖度も見え隠れした。少なくとも2%目標の実現は、追加緩和を決める積極的な理由ではなかった(詳細は拙著『日銀バブルが日本を蝕む』)。

表向きの口実は、英国が国民投票でEU(欧州連合)からの離脱を決め、市場が一時的に荒れたことだった。だが、安倍政権が消費増税を先延ばしするため、三重・伊勢志摩で開かれたG7首脳会議で突如「世界経済に危機が迫っている」と言い出し、さらなる経済対策の大風呂敷を広げたことに付き合わざるを得なかったというのが真相の一つだろう。

危機は訪れず、英国のEU離脱決定にともなう市場の混乱も限定的だった。その後は株高が進み、企業業績も過去最高を更新した。普通に考えれば、増やしたETF購入量はもとに戻すのがスジだ。

しかし、株の爆買いを決めた根拠が失われると、黒田総裁は「(6兆円は)2%のために必要な政策だ」と言い出し、物価が上がらないうちは減額する必要性がないことを強調するようになった。

たしかに日銀総裁が買い入れを減らしたり、やめたりすると口にするだけでも、市場に小さくないショックを与えかねない。要は「怖くて減らせない」だけだとみられるが、好況とされる間も買い入れを減らすことさえできないようでは、これから先が思いやられる。

◆リスクへの備えが必要だ

というのも、日銀のETF保有残高は18年3月末時点で24兆円(時価ベース)。国内のETF全体の7割以上を買い占めた形で、まるで日銀に買われるために新たなETFが組まれているようなものだ。

東証1部の時価総額に占める割合は4%前後で、これを日銀は「まだ小さい」(黒田総裁)と侮ってきたが、個別銘柄に目を移せば笑えるような状況にはない。
ニッセイ基礎研究所の試算では、日銀が間接保有する株式の割合が5%超の企業は18年6月時点で127社。創業家などの固定株主をのぞく浮動株ベースでは、保有割合1割超が80社あり、なかでもユニクロを運営するファーストリテイリングは日銀シェアが約90%となり、今のペースなら来年には100%に到達する見込みだという。
追加緩和を重ねたことで生まれた経済のひずみは、他にも目立つようになってきた。企業や個人が借金を増やすことで経済の高成長につながる、というのが日銀のシナリオだったが、現実は目先の利回りを追う蠢きばかりが煽り立てられ、借金とリスクが過剰に膨らむバブルが出現している。

シェアハウス投資にはまった1200人超のサラリーマン大家たちが億単位のお金を借り入れ、相場より3~5割も高い物件をつかまされたのもその一端だ。価格が高騰するアパートやマンションに人生を賭す人の数はもっと多く、過剰な住宅供給や人口減少で多くの大家が破綻のリスクにさらされている。

かつてのバブルと異なる特徴は、「成長への期待」ではなく、「将来への不安」に突き動かされて、お金が投資などへ向かっていることだ。それは投機的な仮想通貨やお金の使途が不透明なソーシャルレンディングにまで大量の資金が注ぎ込まれた事象にも共通する。
一方、不動産投資向け融資で預金通帳を改ざんし、顧客の貯蓄や年収を水増しする不正が蔓延したスルガ銀行は、銀行間の競争が熾烈を極めるのを受け、焦る経営幹部が不可能なノルマを現場に押しつけ、壮絶なパワハラで行員を追い立てて高収益を維持していた。

そうして無理に貸しこんだ借金は焦げつくリスクが大きく、今後の業績の「火薬庫」と化している。他方で不正に頼らない銀行の多くは、利ざやの縮小で体力をすり減らし、国内の金融システムは脆弱さを増しているように見える。

大規模緩和で醸成された「日銀バブル」の末路に何が待っているのか。いまはまだ見通せないが、一つだけはっきりしているのは、現実に即したリスクへの備えが必要だということだ。

【株価1カ月で2936円下落…外国人投資家に餌食にされる日銀 日刊ゲンダイ10/27】

 株価の下落が止まらない。25日の日経平均終値は、前日比822円安の2万1268円と大幅に下落。26日も前日比84円安と続落した。9月末の日経平均株価は2万4120円だった。この1カ月で2936円も下落している。
 そんな中、負けの込んだギャンブラーのように、株を買いまくっているのが日銀だ。
 驚くことに黒田日銀は、25日までの10月の18営業日すべてでETFを購入している。総額は約8000億円だ。とくに直近は、5営業日連続で毎日715億円買っている。それでも株安は止まらない。経済評論家の斎藤満氏が言う。
 「投資家は株価が下がると日銀が買いを入れるのを分かっています。だから下がれば安値で買い、日銀の介入後、高値で売って儲けてきた。ただ、現状は日銀の買い支え程度では追いつかないくらい世界的な株安が進んでいる。日経平均の最近の下落は、外国人投資家が損する前に売り抜けた要因が大きい」
東証が発表した10月第3週(15~19日)の投資部門別株式売買状況によると、外国人投資家は2週連続で売り越している。売越額は2120億円だ。
 7月の金融政策決定会合で、日銀は金融緩和見直しに方針転換した。実際、ETFの買い入れ(715億円)は、7月が3回、8月が2回と激減。市場では「いよいよ出口を探し始めた」とささやかれた。
 ところが、10月の株安を目の当たりにし、日銀はあっさりETF爆買いを再開した形である。
「これからも『株が下がれば日銀は買いますよ』と宣言しているようなものです。外国人投資家は日銀の介入を利用して、引き続き売り抜けを繰り返すはずです。日銀が買い支えをして、株価が維持されるならともかく、これほど下落してしまうのは問題です。今の下落局面で日銀が大規模なETF買いを続ければ、外国人投資家は売り抜けて儲かっても、日銀が買った株価は下がるわけですから、国民の財産が目減りしていくことになります」(斎藤満氏)
 いよいよアベノミクスの終わりが始まった。

【空売り比率が過去最高、底値示唆か 岩井コスモ証券10/24】

投資調査部 副部長 兼 投資情報センター長  林 卓郎

日経平均株価は10月23日、600円超えの大幅下落に見舞われ、取引時間中には一時心理的節目22000円を割り込む場面がありました。東証株価指数(TOPIX)は3月23日に付けた年初来安値を更新、海外リスクへの警戒から一気に弱気心理が高まっています。一方で日経平均ベースの予想PERは12.7倍まで低下、配当利回りの2%乗せも合わせて、過去のバリュエーション推移から見てかなりの割安状態に突入しています。

また需給面からは、東証1部の空売り比率が50.8%と過去最高水準に上昇、反転タイミングの接近を示唆しています。今年3月23日も50.3%で株価急反転を演じましたが、昨年の4月、9月の安値や一昨年(2016年)のブレグジット(6月)も45%水準への空売り比率の急伸が底値を的確に言い当てています。

空売り比率の急上昇は、様々な悪材料への過剰警戒から投資心理が萎縮し、弱気が極端に広がった場面を示しますが、需給バランスが行き過ぎて、自律的に転換するタイミングを捉えることが出来ていると言えそうです。海外リスクは今後も相場の撹乱要因となりえますが、今後の決算発表を通じて不安心理がやや和らぐことで、需給主導の反転相場に入る可能性もありそうです。


【東証空売り比率が初の50%超え、過去最高を更新 ロイター 3/23】

[東京 23日 ロイター] - 東京証券取引所によると、23日の東証空売り比率は50.3%となった。3月2日の48.8%を上回り、市場筋によると過去最高を更新した。50%を上回ったのは初めて。株安を見越した短期筋が空売りに動いたことが反映されたとみられている。
一般的に東証の空売り比率は40%を超えると高水準とされている。23日の日経平均株価.N225は974円安となり、年初来安値を更新。米中の貿易戦争を警戒した売りが強まり、下げ幅は今年2番目となった。

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