渡部陽一さん「戦場の掟」は全くのデマ~ポリシーは「生きて帰り、伝えること」
権力者が隠したい不正、抑圧、残虐行為など・・・それかが危険を冒してでも取材し、伝えるので、多くの命が救われたり、民主主義が機能する。まさに渡部氏の言う、戦場取材のポリシーは「生きて帰り、伝えること」にあると思う。安田さんの生還をとにかく喜びたい。PTSDも心配されるが、私たちが見聞できない情報を発信してほしい。
ところで、「自己責任論」とか非難する立場は、客観的には、闇を隠したい権力者と同じ立場に行き着く。「権力に逆らう余計なことするな」ということ。
【渡部陽一さん「戦場の掟」は全くのデマ 報道後も止まらない「自己責任」論 関かおり 共同10/26】
【渡部陽一さん「戦場の掟」は全くのデマ 報道後も止まらない「自己責任」論 共同10/26】シリアで武装勢力に拘束され、約3年4カ月ぶりに解放されたジャーナリストの安田純平さん(44)が25日に帰国し、家族と再会した。
そんな中で「渡部陽一さん、戦場取材の掟」と題された以下のような文章がツイッターを中心に出回った。この中の「捕まるやつはその時点でジャーナリスト失格」という一文を引用し、「これは正論」「安田純平氏に唱えさせたい」「(渡部さんと)比べること自体おこがましい」などと戦場カメラマンの渡部陽一さんを賞賛し、安田さんを非難する声がネット上で次々上がった。
1、最前線行く時は世界最強の軍隊の自走砲部隊と行動する
2、ゲリラが蔓延る地域には近づかない
3、戦場が流動的なところには行かない
4、国外の難民キャンプとかを中心に取材する
5、護衛がいても危ない所には近づかない
6、国境地域から一歩も紛争国の中には基本的に入らない
7、捕まるやつはその時点でジャーナリスト失格
8、ボディガードはその地域最強の奴を大金で雇う「戦場取材の掟」は一時、2万4千回以上リツイートされ、これを根拠に毎度おなじみの「自己責任論」に発展。しかし、この「掟」は丸ごとデマだ。所属事務所が「全くの創作」と明確に否定した。
25日夜にハフポストが報じた後、「戦場取材の掟」をツイートしたアカウントには手のひらを返したように批判が殺到。同アカウントはツイートを削除するとともに「間違いなくデマです」と認めた。渡部さんの動画と「戦場取材の掟」が紹介されている2015年ごろのページをネット上で見つけ、内容を確認せずに信じ込んでツイートしたという。一方で、謝罪は「誤った情報の拡散」のみにとどめると強調し「(渡部さんの)取材理念に合致している部分もある」と釈明した。所属事務所の担当者は「渡部は、『失格』などと人のことを批判するようなことはしない性格。ツイートはフェイクで、本人も『僕は言っていません』と否定している」と話した。渡部さん本人の戦場取材のポリシーは「生きて帰り、伝えること」だ。「『失格』という意味でとられるような発言すらしたことはない」という。また「戦場取材の掟」は以前からネット上に出回っていたデマだったが、ここまで爆発的に拡散されたことはなく、メディアからの問い合わせがあったのもこれが初めて。
15年にジャーナリストの後藤健二さんらがシリアで過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害された事件の際も、危険地域を取材するジャーナリストへの批判が巻き起こった。事件後、安田さんは「外国メディア任せではなく、なぜ日本のメディア、ジャーナリストが行かねばならないのかを伝えなければならない」とジャーナリスト仲間に話している(参照「現場取材貫いたジャーナリスト」)。安田さん自身、04年にイラクで取材中に一時拘束された経験を持っているが「取材の可否を国家の裁量に委ねれば、情報統制につながる」と地道な取材を続け、現地の状況を伝えてきた。
コピーされた「戦場取材の掟」は、別のアカウントや個人ホームページへの転載などを通じて、現在も「本物は言うことが違うよね」などの文言とともにネット上に多数残っている。賛意を述べていた一部のユーザーは、ツイートがデマと確定した後も「自己責任と言われるのは仕方ない」などと安田さんを非難するツイートを繰り返している。 (共同通信=関かおり)
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