亡国外交 日米FTA交渉…協定正文の翻訳改ざん
安倍政権は、盛んに日米交渉はFTAでないと否定しているが、協定正文は「United States–Japan Trade Agreement on goods, as well as on other key areas including services」であり「物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定」とサービスも含むFTAであることは明確。
TPP11で農産物輸入の米国枠分を残し、さらに日欧EPA以上、TPP以上の開放をふみだそうとしている。「翻訳まで改ざんして国民を欺く。こんな卑怯、卑劣なやり方はないではないか。」〔志位委員長〕。亡国の外交である。
【米、対日交渉は「FTA」 貿易協定 副大統領が明言 東京10/5】
■志位さんの連ツイ
「Joint Statement of the United States and Japan」
日米首脳会談で交わされた共同宣言の正文(英語)を見ると「TAG」という用語はない(3項をみてください)。「FTAではない」ということを取り繕うために日本側が意図的な誤訳をしたのではないか。大問題です。
共同声明の3項には「United States–Japan Trade Agreement on goods, as well as on other key areas including services」とあって、これを正確に訳せば「物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定」となります(goodのgは小文字)。在日米大使館訳もそうなっています。
首相はこれまでのトランプ米政権との交渉を「日米FTAの交渉や予備交渉ではない」と国会で答弁してきた(5月8日)。その発言との矛盾を糊塗するために、翻訳まで改ざんしウソで国民を欺く。こんな卑怯、卑劣なやり方はないではないか。「地球儀俯瞰外交」の正体がこれか?
■金子勝氏のツイート
【またご飯論法2】そもそもWTOの第1章第1項で「最恵国待遇」が規定され、FTAにはその例外が認められる。もしTAGがFTAでないというなら、日米二国間貿易交渉で合意された内容はすべてのWTO加盟国に適用されてしまう。TAGなら農産物は丸裸です
【米、対日交渉は「FTA」 貿易協定 副大統領が明言 東京10/5】【ワシントン=共同】パーデュー米農務長官は四日、日本との通商交渉で、日本と欧州連合(EU)が署名した経済連携協定(EPA)以上の農産品関税引き下げを求める考えを示した。ワシントンで記者団の取材に応じた。九月下旬の日米首脳会談の合意では、環太平洋連携協定(TPP)などの日本が結んだ過去の貿易協定の水準を最大限としていた。米側の強硬姿勢が鮮明となり、日本は難しい交渉を迫られそうだ。
ペンス副大統領は四日の演説で、「日本と歴史的な自由貿易協定(FTA)に関する交渉を間もなく始める」と述べ、今回の日米協議はFTA交渉との位置付けを明確にした。安倍晋三首相は物品を対象にした「物品貿易協定(TAG)」と説明し、「包括的なFTAとは全く異なる」と強調しており、新たな通商交渉を巡る日本との認識のずれも表面化した。
日本とEUのEPAでは、大半の品目で関税がなくなる。TPP並みに自由化され、ワインや一部のチーズなどはより譲歩した内容となっている。
パーデュー氏は、日本がEUよりも米国と緊密な同盟関係にあると指摘し、「日本が農産品に関してEUに与えたのと同等かそれ以上の取引ができることを期待している」と語った。
さらに、「われわれは日本を守っている。(貿易で)他の国にできることを、なぜ米国にはできないのか」と訴えた。四日の講演では、日本は米国との二国間交渉を拒んでいたが「トランプ米政権が検討している自動車の高関税の脅威があるため交渉に応じた」と説明した。
米政権がTPPから離脱した一方、日本はTPPやEUとのEPAを推進している。このため米畜産業界では、牛肉などの対日輸出でオーストラリアや欧州のライバルとの競争条件が不利になるとの危機感が強まっている。
◆
麻生氏・世耕氏「FTAではない」ペンス米副大統領が日米協議をFTAと明言したことに対し、麻生太郎副総理兼財務相は五日午前の記者会見で「(先月の)日米首脳会談でFTAという言葉はひと言も出ていない」と述べた。世耕弘成経済産業相も同日の会見で「包括的なFTAではない」と発言。日米の認識の違いが一段と鮮明になった。
また菅義偉(すがよしひで)官房長官は同日の会見で、米側が日欧EPA以上の農産品の関税引き下げを求める考えを示したことに対し「日米首脳会談で農産品について過去のEPAで約束した内容が最大限だ、という日本の立場を米国は尊重すると合意している」と強調。米側に譲歩しない考えを示した。 (渥美龍太、清水俊介)
(東京新聞)
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