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九州電力が再エネ出力抑制の前にすべき6つのこと ISEP提言

 核ゴミの処理もできないのに原発を4基も再稼働させておいて、最エネの出力抑制。完全に世界から取り残されている。「今だけ、金だけ、自分だけ」の政策。

【九州電力が再エネ出力抑制の前にすべき6つのこと ISEP9/21】

九州電力が再エネ出力抑制の前にすべき6つのこと ISEP9/21

当研究所は、太陽光発電の導入が進む九州電力エリアで今秋にも実施される可能性があると発表された再生可能エネルギーの出力抑制について、問題の構造を検証した上で、6つの改善策を提案いたします。

◆提言要旨

・関門連系線を最大限活用する
・火力発電所(特に石炭火力)および原子力発電所の稼働抑制
・需要側調整機能(デマンドレスポンス)およびVPPの積極導入
出力抑制した自然エネルギー事業者への補償
・「接続可能量」の廃止と「優先給電」の確立
・電力需給調整の情報公開の徹底

◆背景

九州電力のエリアでは2018年7月末の時点でFIT制度により803万kWの太陽光発電が導入されて電力系統に接続しており、系統への接続を承諾している420万kWと合わせると、2017年度の接続可能量(30日等出力制御枠)である817万kWをすでに超えている(図1)[1]。そのため、接続可能量を超えて接続する太陽光については、指定ルールにもとづき、無制限無保証の出力抑制(出力制御)が行われる可能性がある(指定ルール以外の出力抑制は30日以内に制限される旧ルール)。

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図1. 九州電力エリア再生可能エネルギー接続・申込状況|出所:九州電力資料よりISEP作成


九州電力エリアでは、いくつかの離島においてすでに出力抑制が行われているが、本土では実施されてこなかった。1年の中でも電力需要が低下する今年5月(2018年5月3日)の昼間には電力需要に対する太陽光発電の割合が81%に達し、自然エネルギー全体の比率が96%に達した(図2)。その際、九州電力は電力広域的運営推進機関(OCCTO)の定めた優先給電ルール[2]にもとづき、火力発電の出力抑制、揚水発電の活用、会社間連系線による九州地区外への供給を行い、電力需要が低下した際の需給調整を行っている(図3)[3]。

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図2. 九州電力エリアの電力需給(2018年5月3日)|出所:九州電力の電力需給データよりISEP作成

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図3. 優先給電ルーツに基づく出力抑制の順序|出所:九州電力資料


一方、ベースロード電源として出力抑制を行わない原子力発電の比率が高まっており、6月16日の玄海原発4号機の再稼働により4基の原発(合計出力414万kW)が稼働している。その結果、電力需要の減少と共にこの優先給電ルールに基づき、これまで実施されてこなかった九州本土でのバイオマス発電、太陽光発電、風力発電に対しての出力抑制が、今秋にも実施される可能性があると九州電力から発表された[4]。

日本国内の電力会社エリアで最も太陽光発電の導入が進んでいる九州電力エリアでは、2018年5月にエリア内の電力需要に対する太陽光発電からの受電量の割合が81%に達し、優先給電ルールに基づき火力発電の抑制、揚水発電の活用、会社間連系線を介した九州地区外への供給が行われたことが図2よりわかる。ただし、会社間連系線の利用は太陽光発電のピーク時に逆に減っていることに注目されたい。

その後、九州電力エリアでは6月中旬以降、原子力発電4基が稼働し、太陽光発電の導入も進んでおり、2018年7月末の時点で803万kWの太陽発電が導入されている。このうち旧ルールに基づく設備は680万kWであり出力500kW以上の発電設備が出力抑制の対象となる。一方、無制限無補償の指定ルールの対象となる123万kWについては規模に関わらず出力制御装置により自動的に出力制御が行われる(この秋は9時から16時までの時間帯の設備停止)。なお、出力制御の見通し(以後3日間)は九州電力のホームページで公表されることになっている[5]。

2018年6月までの最大の太陽光発電の発電量は665万kWに達した(4月19日12時台)。そのため、最小の電力需要は653万kWであり、太陽光だけで需要の100%を超える可能性は十分にある(5月6日0時台)。一方、揚水発電は最大で254万kW(4月8日11時台)の揚水能力の実績があり、会社間連系線も九州地区外に270万kWの利用実績(6月15日14時台)がある。
ベースロード電源となっている原子力発電412万kW、水力発電157万kW(最大)を合わせると約570万kWとなり、火力の最小出力250万kWと合わせると820万kWとなる。揚水発電と会社間連系線を合わせた調整力は約520万kWとなっている。

そのため、電力需要が1,000万kWを下回った場合、調整が可能な太陽光発電の発電量は約700万kWとなる。よって、最大限揚水発電と会社間連系線を活用することにより、太陽光発電の出力抑制はほとんど回避することが可能であると考えられる。

◆提言

・変動する自然エネルギー(太陽光、風力)の出力抑制を実施する前に、以下の様な6つの改善策が考えられる。
関門連系線を最大限活用する
・火力発電所(特に石炭火力)および原子力発電所の稼働抑制
・需要側調整機能(デマンドレスポンス)およびVPPの積極導入
・出力抑制した自然エネルギー事業者への補償
・「接続可能量」の廃止と「優先給電」の確立
・電力需給調整の情報公開の徹底

◎関門連系線を最大限活用する

現状の関門連系線の利用ルールを改善し、連系線の運用に関する透明性を高め、優先給電ルールの中で自然変動電源を出力抑制する前に連系線の活用を十分に行うことが期待される。

優先給電ルールにおいて火力発電や揚水発電(電源I, II, III)による調整の次に「連系線を活用した九州地区外への供給」が行われることになっている。しかし、2018年5月3日の12時台のように太陽光発電の割合が80%を超えるような状況でも連系線の活用は行われておらず、逆に地区外への送電量が減少している(図2)。これは、太陽光発電のピーク時に連系線を積極的に活用している四国電力の運用(図4)とは好対照である。

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図4. 四国電力エリアの電力需給(2018年5月20日)|出所:四国電力の電力需給データよりISEP作成

関門連系線の熱容量は278万kW(の2系統)であり、そのうち運用容量は九州地区外の周波数維持面から180万kW、九州地区内の周波数維持面(連系線ルート断時の周波数維持)から105万kWとされている(運用容量拡大時)[6]。

実際の電力需給データによると九州地区外への送電量(双方向相殺後)の実績(2018年度4月~6月)は最大で270万kWとなっており、運用容量278万kWに近い地区外への送電が可能になっているように見える。連系線の活用については、現状では各一般送配電事業者の内部ルールにより運用容量が決まり、自然変動電源(太陽光、風力)の出力抑制を実施した後でのみ、OCCTOによる連系線活用の措置が行われる。具体的には、電源開発の松浦石炭火力発電所等の一定容量の送電枠が関門連系線で確保されているとされるが(注)、これを縮小・停止することもできる。
(注)電源開発松浦(長崎県):200万kWのうち九電受電37.8万kW×2、のこりは関門経由中国四国へ
電源開発松島(長崎県):100万kWのうち九電受電18.7万kW×2、のこりは関門経由中国四国へ
電源開発橘湾(徳島県):100万kWのうち九電受電4.7万kW×2(関門経由)[7]

一方、2018年10月からスタートする卸電力市場を活用した間接オークションにより、連系線の利用が既存契約の先着優先から電力市場(卸電力取引所のスポット市場)での取引を優先するルールに変更される。この間接オークションの導入により、自然エネルギー(特に太陽光)の電気が九州地区外に送電できる可能性があるものの、ほとんどの再生可能エネルギーは九州電力管内で取引されるため、本質的な解決にはならない。

◎火力発電所(特に石炭火力)および原子力発電所の稼働抑制

原発はもちろん、石炭火力も出力調整速度が遅く柔軟性のない電源であるため、低需要期は原発および自社石炭火力を停止し、他社石炭火力も受電しないことが望ましい。事情により自社石炭火力を稼働させる場合でも、優先給電ルールに基づく供給力の調整においては最低出力(九電の報告では設備容量の17%)まで確実に下げ、火力発電所毎の時間ごと出力について公表すべきである。

九州電力を始め原子力事業者は、国による様々な原発保護政策により原子力規制委員会により稼働が認められた原発の再稼働を進めている。しかし、本来、原子力規制委員会は新規制基準への適合を審査するに過ぎず、福島第一原発事故後により明らかになった原発の過酷事故へのリスクが無くなったわけではない。また、原発事故時の賠償を行う原子力損害賠償制度における賠償金の上限額は1,200億円のままで、国による支援がなければ本来事故の責任を負う原子力事業者は損害賠償を行うこともできない「無保険」の状況である。このようなリスクの高い原子力発電や温室効果ガスであるCO2や有害物質を大量に排出する石炭火力については基本的に不要な場合は稼働を停止すべき電源である。

具体的には、低需要期には石炭火力に対して以下の対応が考えられる。九州電力の石炭火力は1基を除いて停止、またその1基も最低出力(設備容量の17%)まで確実に下げること。電源開発の石炭火力のうち九州内にある松浦、松島の計4基は停止、橘湾(四国にあり一部を九州電力が受電している)は受電しないこと。石炭副生ガス利用の火力のうち、戸畑は停止、大分は最低受電(設備容量の30%)まで下げるか受電しないこと。
需要側調整機能(デマンドレスポンス)およびVPPの積極導入

現状の優先給電ルールの中には需要側の調整機能(デマンドレスポンス)は含まれていないが、すでに供給力が不足する際のデマンドレスポンス(下げDR)は猛暑時などの需給ひっ迫時に活用されている(電源I’)。需要に対して供給が上回る際の調整力としてこのデマンドレスポンス(上げDR)を活用できる可能性がある。さらにこれらの調整力を一般送配電事業者に提供する新たなサービスとしてVPP(バーチャルパワープラント)の導入が検討されている[8]。自然エネルギーの出力抑制については、現状では取引の対象になっていないが、積極的に経済的な取引を可能にすることで出力抑制(出力制御)を生かした調整力を確保できる可能性がある。

◎出力抑制した自然エネルギー事業者への補償

自然変動電源(太陽光、風力)の出力抑制は、系統全体の安定性を目的としたものであるから、その抑制時の経済的損失に対して、一般送配電事業者は、発電事業者への経済的補償を行うべきである。その原資は、調整力の確保という目的から送電費用として計上すべきであり、現状では託送料金を原資とすることが妥当である。
現在の「接続可能量(30日等出力制御枠)」に基づくルールにおいて自然変動電源の出力抑制に対して、何の経済的補償も行われないことは、自然エネルギーの導入を促進するというFIT法の趣旨に反しており、憲法上の財産権の侵害でもある。ドイツなど欧州でも変動型自然エネルギー(太陽光、風力)の出力抑制が行われることはあるものの、原則として出力抑制による発電事業者の経済的損失は補償される(2017年の実績で99%以上)[9]。

◎「接続可能量」の廃止と「優先給電」の確立

海外では例のない太陽光および風力に対する「接続可能量」を廃止し、出力抑制に対する経済的な補償制度やVPPなどによる経済的な取引の導入を進め、実質的な自然エネルギーの「優先給電」を確立する必要がある。
2014年の太陽光発電の大量接続申込みによる「九電ショック」以降、電力会社側が試算して経産省の審議会(系統ワーキンググループ)[10]が電力需給バランスを検証する形で指定電気事業者による「接続可能量(30日等出力制御枠)」が太陽光発電および風力発電に対して導入されている。

FIT制度においては、もともと30日間については無補償での出力抑制が認められていたが、「接続可能量」を超えた場合は30日を超えて無制限・無補償での「指定ルール」に基づく出力抑制が行われる。太陽光や風力などの変動する自然エネルギー(VRE)の大量導入においては、出力抑制(出力制御)は必要になるが、この「接続可能量」の制度では無制限・無保証のために事業の収益性に大きく影響する可能性があり、現状では単純な出力制御量の予測値が公表されているだけである。

◎電力需給調整の情報公開の徹底

自然エネルギーの出力抑制に関する情報公開については、電力会社(一般送配電事業者)による実施の予告(数日前)や出力抑制量の予測値が公表されているが、発電事業者などによるシミュレーションが可能な情報の公開が課題となっている。デマンドレスポンスやVPPのサービスを実現するためにも、リアルタイムでの電力需給の情報公開が必要である。また、出力抑制がどの様なプロセスで実施されるかを検証し、サービスやルールの改善に結び付けることも重要である。

以上


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