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北海道地震でのブラックアウト~集中型電力システムの脆弱性 自然エネ財団

 自然エネルギー財団 高橋洋・都留文科大学 教授の論考。
 北電の火力・原発612万kWのうち、2つの施設(苫東火力165万、泊原発207万)で6割を占める(後段に、2割節電を少し検証してみた、)。
ちなみに原発も火力発電も大量の水を使用することから沿岸に集中し、災害に弱い構造となっており、巨大地震にともなう津波や東京湾での直下型地震がおきれば、ブラックアウトになる危険性はあると感じる。
【北海道地震における全域停電に見る、集中型電力システムの脆弱性 自然エネ財団9/7】

【北海道地震における全域停電に見る、集中型電力システムの脆弱性 自然エネ財団9/7】 高橋洋 都留文科大学 教授

 2018年9月6日に発生した最大震度7の北海道地震の影響により、北海道全域にわたる大規模停電が発生した。北海道電力によれば、1951年の会社創設以来初めての事態とのことで、復旧には1週間以上かかるという。一刻も早い正常化に向けた関係各位の努力を期待したいが、このようなことが起こりうることは、残念ながら以前から想定できたことだった。その本質的な原因は、集中型電力システムの脆弱性である。

◆北海道の全域停電の原因

 今回の全域停電の原因は、地震により苫東厚真石炭火力発電所のボイラーなどが破損し、運転停止したことである。厚真発電所は、3機・165万kWの設備容量だが、当時の北海道域内の電力需要の約半分を供給している巨大発電所だった。電力システムでは、瞬時瞬時に需要と供給を一致させる必要があり、これができなければ大規模停電に陥る。厚真発電所の停止により、需給バランスを大きく崩した結果、他の発電所も次々と停止せざるを得なくなり、全域停電に陥ったのである。

 域内の供給力が足りなければ、域外から調達するという手がある。これが、広域運用である。北海道は本州と送電網で繋がっているが、その北本連系線の設備容量は60万kWに止まる。また、域内の発電所が全面的に停止したため、本州からの直流送電を交流に変換して受け取れないという技術的問題もあった。

 要するに北海道全域停電は、集中型電源の集中立地による電源脱落リスクの高さが招いた事故であり、これを補うべき広域運用の不備が拍車をかけた形となった。これが、筆者の言う集中型電力システムの脆弱性である。

◆分散型電力システムへの改革

 このような事態を避けるのは、どうしたらよいだろうか。第1に、分散型電源を分散立地させることである。大規模発電所だから集中するが、小規模発電所は必然的に分散する。各地に散らばっていれば、災害などによりいくつかが運転停止しても、その全体への影響は軽微になる。域内の半分の供給力が脱落するといったことにならなければ、需給バランスを維持できる可能性が高まる。

 分散型電源の代表選手は、再生可能エネルギーである。北海道は風力や太陽光、バイオマスなどに恵まれている。それ以外にも、自家発電やコジェネ(熱電併給)の活用、さらに今後は電気自動車を含む蓄電池や燃料電池、消費者側の調整力であるデマンド・レスポンスにも期待できる。要するに、特定地域の大規模電源に頼るのでなく、様々な地域の様々な特性を持った供給力あるいは調整力を柔軟に組み合わせることが、求められているのである。

 第2に、地域間連系線を増強し、広域的な運用を進めることである。今回、9月6日初日は北本連系線を活用できなかったが、7日からは活用されているという。60万kWであるから、不十分にしても、一定の役割は果たす。これが増強され、さらに複数のルートがあれば、より強靭なネットワークになる。北海道は日本の北端に位置するため、海外と繋ぐという発想があってもよい。

 このためには、発電事業の分散化と多様化を促進するとともに、送電事業の中立化と広域化を進めることが求められる。これらが、電力自由化と発送電分離である。

 こうして電力システムは、分散型電源を中心とした分散ネットワーク型に移行していく。その過程では一定のコストが発生する。それをどのように分担し、どの程度の時間をかけるかについては十分な議論が必要である。とはいえ少なくとも欧州では大まかな方向性が共有され、現実に再生可能エネルギーの大量導入や国際連系線の拡充が進みつつある。

◆真の電力システム改革の貫徹を

 2011年の苦い経験を踏まえ、日本政府も集中型から分散型への改革の方向性を概ね共有していたはずだ。その現れが、2012年以来政府が推進している電力システム改革である。「再生可能エネルギーを含めた多様な」「分散型電源の一層の活用」や、「供給力の広域的な活用」のために「地域を連系する送配電網の整備」(「電力システム改革専門委員会報告書」2013年2月)を目指していたはずである。実際にこの6年の間に、太陽光発電の設備容量は7倍以上に増え、また北本連系線は90万kWに増強する工事が進められている。

 しかしここ数年間で、改革の方向性は大いに変容しつつあるように思われる。エネルギー基本計画などでは、原子力や石炭火力といった集中型電源を維持する一方で、送電網は再生可能エネルギーなど新規電源に十分に開放されず、広域運用も進んでいないからである。これとは対照的に欧州では、集中型電源を指す「ベースロード電源」は、出力調整が柔軟にできない上、事業リスクが高いため、時代遅れという認識になっている。だからこそ、脱原発や脱石炭火力が進みつつある。

 実は北海道電力には、厚真発電所以上の大規模電源があった。泊原発である。これは、3機・207万kWに及ぶが、2012年以来運転を停止している。これが稼働可能な状態にあれば、今回の停電は防げたかもしれない。だから原発の再稼働を急ぐというのでは、本質的な対策にならないことを、強調しておきたい。結局、集中型電源に依存する限り、そのリスクから逃れられない。泊原発が6年間も動いていないこと自体が、集中型のリスクなのである。

 新聞報道によれば、北海道電力の役員は、厚真発電所の3機が一斉に停止するような「大きい事故は想定していなかった」と語ったとのことである。今後日本では、災害に限らず「想定外」の事態が起きていくことだろう。だからこそ、様々なリスクを分散し、柔軟に対応できる分散型のシステムが必要なのである。今回の事故から学び、そのような真の電力システム改革が貫徹されることを願いたい。


【北海道 2割節電  私算】
○火力
砂川  12.5万 × 2       25
奈井江 17.5万 × 2       35
苫小牧  25万            25 
伊達   35万  ×2  70
苫東   35万、60万、70万
知内   35万  × 2      70
音別  14.8万  ガスタービン 15     
・北電火力             240万〔苫東除く〕
・北海道パワーエンジニアリング  苫小牧共同火力発電所3号機  25万
・計265万
○水力 整備96万 発電実績を見ると、火力の1割前後  24万
○広域連携60万

以上より
・265万+60万+ 24万・・・349万  北電がいう数値とほぼ同じ。
・ピーク383万 /2割減 306万

①残余火力の故障などリスクヘッジとして余裕をもたしている。/ただし再エネ分のぞいている
②再エネをプラスアルファ分として揚水発電用に活用すれば、ピーク時に揚水発電40万が確保できる
 → よって、供給力については、もっと対応が可能なのでは・・・とも思うが・・・

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