離婚後の未払い養育費、保証会社が立て替え 明石市が全国初のモデル事業
子育て支援に積極的にとりくむ明石市がまた1つ新たな挑戦を行う。
養育費の支払いで合意した離婚で、養育費が未来となった場合、保険会社が養育費を立て替え〔上限5万円〕、その同額を「債権」として相手から回収するというもの。
海外に目を移せば、北欧にはすでに「養育費の立替」制度がある。離婚などで養育費支払い義務に対し、実施されない場合、国が立替て、親に請求するもの。再婚を契機に、養育費の支払いがストップする事例に対応するもので、養育費は子どもに支払われるものであり、親の再婚に左右されない、という考え方となっている。
〔下段に、同制度にもふれた浅井春夫氏の「子どもの貧困克服のための政策試論」のメモの1部分を掲載〕
【離婚後の未払い養育費、保証会社が立て替えます。兵庫県明石市が全国初のモデル事業 ハフポスト9/20】
https://www.huffingtonpost.jp/2018/09/20/childsupport_a_23534373/?utm_hp_ref=jp-homepage
【離婚後の未払い養育費、保証会社が立て替えます。兵庫県明石市が全国初のモデル事業 ハフポスト9/20】立て替えた養育費の未払い分は、保証会社が「債権」として相手から回収する。
兵庫県明石市が11月、未払いの養育費を保証会社が肩代わりする、全国初のモデル事業を始める。
市が「保証会社」に業務を委託、養育費が滞った場合、「保証会社」が不払いの養育費(月上限5万円)をひとり親世帯に払い、その同額を「債権」として相手方から回収する。
離婚時に調停調書か公正証書で、養育費の支払いを取り交わしていることが申し込みの条件。市が、ひとり親世帯に代わって養育費1カ月分(上限5万円)を「保証料」として保証会社に支払う。2018年度はモデル事業と位置づけ、18世帯分の保証料として、90万円を当初予算に盛り込んでいる。厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」(2016年度)によると、ひとり親世帯の56%が、養育費を「受けたことがない」と答えた。
■「養育費未払いに一歩踏み出す」
市の市民相談室の担当者によると、市内の未成年の子どもがいるひとり親世帯は約2500いるという。担当者は、制度の背景や趣旨を次のように説明する。
「これまで市では子どもの不利益を軽減するために、離婚時の養育費の確保や面会交流などの条件を明記した『こどもの養育に関する合意書』のための参考書式を配り、養育費の取り決めを周知してきた。だが、取り決めても養育費を受け取れないことが少なくなく、子どもが習い事や塾に通えなかったり、親が収入確保のためにダブルワークを余儀なくされ、結果、体調を崩したり子どもとの時間が取れないという弊害が起きている。その解決策の一つとして今回、一歩踏み出すことにした。効果などを検証し、本格導入の可否を検討したい」
【子どもの貧困 ~ 子ども時代のしあわせ平等のために 浅井春夫、松本伊智朗、湯澤直美 08/4】4章 子どもの貧困克服のための政策試論/「積極的格差」の原則により「しあわせ平等」を支える 浅井春夫
●子どもの貧困克服政策・4つの基本的視点
(1)「子ども個人」を単位にした政策展開
・「家族依存体質」というべき児童福祉・教育政策の現状
親の子どもに対する「第一次的扶養責任」(子どもの権利条約18条)―― しかし、問題の「分岐点」は
家族の生活水準をぎりぎりまで落としたうえで、はじめて扶養者である保護者への公的支援が実施される。
→ 親子関係の絆の強化にならず、子どもの生活基盤としての家庭的環境を脆弱化している・「子ども個人」を単位として援助する視点を
北欧~「養育費の立替」制度 離婚などで養育費支払い義務に対し、実施されない場合、国が立替て、親に請求
養育費は子どもに支払われるものであり、親の再婚に左右されない。
・子どものボルネラビリティ(脆弱性、もろさ)の緩和、軽減、援助していくことが課題に。
脆弱性の特徴~
①自己決定能力が不十分(経済支援をうけても適切に使えるか?)
②年齢が低いほどね親・保護者の所得水準、養育能力に依存せざるをえない。
③教育権保障が十分にされないと、その後の人生のハンディとなる。(2)「積極的格差」の原則でえぐられた発達を補てん
・「劣等処遇」の原則から、「積極的格差」の原則で具体化を
劣等処遇~ 一般の市民のレベルの生活を超えない範囲で処遇すべきというもの。
→ 子どもの貧困は、その扶養者の努力がたらないという自己責任論がある。
・子どもの貧困の増大~日本型雇用の解体による不安定と大幅な低賃金化、貧困を削減しない社会保障の貧弱さ
→ この改善には「積極的格差」の原則と子どもの権利保障の視点が必要
・「積極的格差」の原則 ~ これまでの奪われた権利を補充し、平等を実現するには、上乗せした支援が必要
・子どもの権利条約の視点 ~
①人間としての権利 ②ボルネラブルな存在としての子どもの権利 ③発達可能態としての権利
・「子どもの貧困」克服対策は、 えぐられた発達部分をきちんと補てんする役割がある。(3)施策対象年齢を25歳までに
・児童福祉法は18歳(例外的に20歳) 児童自立生活援助事業、児童福祉施設は20歳まで延長処置
・18歳以降の教育、就労トレーニング機会の保障の具体化
貧困の世代継承性の克服…大学等を卒業し、生活的安定が確立されることを目標にし施策を整備する必要
→ 25歳までを施策の対象にすることが必要
例) 勤労青少年福祉法を発展させ、児童福祉法と労働諸法との連続性を具体化する(4)包括的かつ長期的展望にたった政策の必要
・児童福祉、保育、保健、生活保護、就学援助、非行問題への対応、保護者の経済的支援など包括的対応が必要
・中長期的視点 教育的なハンディが、就労の社会的不利に連動している
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