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大企業内部留保 22兆円増の425兆円 「労働分配率」は43年ぶりの低水準

 2012年度比で、大企業の内部留保1.28倍、当期純利益2.3倍、一人あたり役員報酬1.13倍、配当金1.65倍、従業員賃金1.03倍〔実質-4.2ポイント〕、下がり続けてきた、労働分配率は、43年ぶりの低水準に。しかも、従業員1人当たりの労働生産性は、13年の690万円から17年に739万円まで上昇しているにもかかわらずである・・・・
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【大企業内部留保 425兆円超 前年度から22兆円増 従業員賃金は減 赤旗9/4】
【43年ぶり低水準 安倍政権発足来「労働分配率」下がる一方 日刊ゲンダイ9/5】
【焦点:歯止めかからぬ人件費率低下、消費増税後を懸念する声も ロイター9/3】
【歴史的な水準まで低下した労働分配率2018/1 三菱UFJリサーチ&コンサルティング】

【大企業内部留保 425兆円超 前年度から22兆円増 従業員賃金は減 赤旗9/4】 2018090401_02_1

 財務省が3日発表した2017年度の法人企業統計によると、大企業(金融・保険業を含む、資本金10億円以上)の内部留保が425・8兆円となりました。16年度より22・4兆円増えました。第2次安倍晋三政権が発足した12年度から1・28倍に増えました。経常利益も57・6兆円と16年度から4・8兆円も増やしました。当期純利益は16年度から8兆円増やして44・9兆円となりました。12年度からは2・3倍です。

 法人税減税をはじめとしたアベノミクス(安倍政権の経済政策)による優遇政策によって、大企業は利益を拡大し続けていることが改めて示されました。

 経常利益の増加に合わせて1人当たり役員報酬は1930万9000円と16年度から60万円以上も増やしました。12年度からは1・13倍の伸びです。配当金も17・5兆円で12年度に比べ1・65倍に急増しました。一方、従業員の賃金は575万1000円と16年度に比べ5万4000円の減額です。12年度と比べても1・03倍にとどまります。この間の消費税増税や物価上昇と合わせると実質減少です。大企業の利益の拡大とは対照的です。

 安倍首相は「重く暗い空気は、アベノミクスによって完全に一掃することができた」といいますが、国民生活に晴れ間は見えません。むしろ日本経済の構造的ゆがみが拡大しています。
 安倍政権は来年10月に10%への消費税率引き上げを狙います。一方、大企業向けには「生産性革命」などを口実に研究開発減税の拡充などを「税制改正要望」に盛り込みました。逆立ち政治が極まっています。

 内部留保 企業が得た利益のうち、企業の内部に蓄積された部分のことです。狭義の内部留保である利益剰余金のほか、形を変えた利益蓄積として資本剰余金や引当金などを合計して算出し、資本金10億円以上の企業を集計しています。

●三菱UFJ レポートからのグラフ
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【43年ぶり低水準 安倍政権発足来「労働分配率」下がる一方 日刊ゲンダイ9/5】

 財務省が3日に発表した2017年度の法人企業統計。企業が蓄えた内部留保が6年連続過去最高を更新する一方、企業の稼ぎのうち、人件費に回した割合を示す「労働分配率」は66.2%で43年ぶりの低水準となった。9カ月が民主党政権だった12年度の72.3%をピークに、安倍政権が発足してから右肩下がりで降下している。

 内部留保に当たる利益剰余金は金融・保険業を除く全産業で前年度比9.9ポイント増の446兆4844億円だった。また、東京商工リサーチの2018年3月期の「役員報酬1億円以上開示企業」調査によると、1億円以上の報酬を受け取った役員は240社、538人で過去最高。儲けは、空前の水準で企業の貯蓄と役員の懐に回っている。

 安倍首相は、そのうち儲けが従業員にしたたり落ちる(トリクルダウン)と繰り返し、民間企業に賃上げ要請(官製春闘)するなど“やってる感”を演出してきた。ところが、労働分配率は12年12月の安倍政権発足以降、この6年間ずっと下がり続けているのだ。誰が見ても、アベノミクスは完全ノックアウトだ。経済評論家の斎藤満氏が言う。
「政府が企業に賃上げ要請することは、やるべきじゃないし、効果もまったくありません。民間企業は好景気でも防衛的になり、人件費は抑制しがちです。政治がやるべきは所得の再分配なのに、安倍政権は法人減税で企業に恩恵を与える一方、国民には社会保障の負担増や給付カットを強いている。意味のないことをやり、やるべきことをしないのがアベノミクスなのです」

 麻生財務相は4日の会見で「労働分配率も下がっている」と今ごろ気づいたような言いぶりだが、労働分配率の低下は今に始まったことではなく、5年前から起きている。なのに世論はおとなしい。

「トリクルダウンなど安倍首相の“口車”に乗せられ、労働分配率の低下をメディアはちゃんと取り上げてこなかった。今回、ようやく大きめに報じられたという印象です。アベノミクスの失敗を示す客観的な数字がこのタイミングで出てきたわけです。総裁選で石破さんは攻撃材料にすべきです」(斎藤満氏)

 石破氏が労働分配率について突っ込まなければ、腰抜けだ。

【焦点:歯止めかからぬ人件費率低下、消費増税後を懸念する声も ロイター9/3】

[東京 3日 ロイター] - 財務省が3日に発表した2017年度の法人企業統計では、経常利益が過去最高を更新する一方、労働分配率は前年度の67.5%から66.2%に低下し、人件費率の漸減傾向に歯止めがかかっていない。

他方、内部留保にあたる利益剰余金は前年から10%近く増えて446兆円と過去最高を記録。政府内では鈍い賃上げが続けば、来年10月の消費増税を経て個人消費が失速し、景気に悪影響を与えかねないとの懸念の声もある。

17年度の経常利益は、前年度比11.4%増の83.5兆円。世界経済の好調さを背景に自動車販売が拡大し、五輪投資や大型開発を背景にした建設機械の需要増、AI(人工知能)やモノのインターネット化による自動化・情報化投資の活況で、半導体や同製造装置の売り上げが寄与し、製造業、非製造業とも過去最高額となった。

一方、従業員への還元の動きは、なかなか加速しない。17年度の付加価値の構成をみると、人件費は66.2%とアベノミクスが始動した13年からの過去5年間で最低となった。

従業員1人当たりの労働生産性は、13年の690万円から17年に739万円まで上昇。賃上げに追い風のデータもそろっていた。

野村証券・チーフエコノミストの美和卓氏は「人件費率の低下の背景に、日本企業の利益率が低く、企業の取り分を高めにし、人件費を抑制する傾向がある。それに歯止めがかかっていない」とみている。

通商白書17年版でも、日本企業の売上高営業利益率は4.2%、米国の7.5%やEU加盟国の6.7%に比べて低いと指摘された。

この分野に詳しい専門家の間では、1)起業が少なく、リスクテーク姿勢が消極的、2)製品の抜本的差別化に踏み切れないために、業界の過当競争が脱出できない、3)価格競争で利幅がとれない──といった状況が続いていると分析されている。

人件費の伸び悩みは、今年の春闘にも表れた。17年度が過去最高益だったにもかからわらず、賃上げ率は2.07%(連合調べ・定期昇給込み)に終わり、直近ピークの15年に届かなかった。

その結果、利益剰余金は過去最高の446兆円に積み上がった。そのうち製造業が153兆円、非製造業が293兆円だった。

政府内には、来年10月からの消費税率10%への引き上げを控え、次の春闘では大胆な賃上げが必要だとの声が根強くある。

しかし、今年の春闘が政府の希望する3%賃上げを達成できず、政府の要望受け入れに前向きだった前経団連会長から現会長への交代で、企業の賃上げマインドが一段と萎縮するリスクに目を向ける企業関係者もいる。
野村証券の美和氏も「消費増税自体のマイナスの影響は前回より小さく、景気腰折れを招くほどではないはずだが、政治的にはまた、先送りの可能性もあり得るだろう」と見ている。

他方、明るい兆しもある。企業の人件費抑制姿勢の転換には、一層の生産性向上と利益率改善が必要だが、そのエンジンとなる設備投資にようやく本格的な強さが見え出した。
17年度の投資額は45.4兆円と過去最高。情報化投資向けの電子部品の能力増強投資や、生産自動化投資、国内の娯楽施設拡大や配送サービス向け倉庫の省力化投資など、IT化の流れが新たな投資を呼び込み始めている。
ただ、政府部内では、米国による保護貿易主義の影響も懸念される中、従業員への還元を優先する企業が増えるのかどうか、楽観する見方よりも不安視する

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