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クロマグロ「規制」と漁業権開放~小規模・沿岸漁業追い詰めるアベ「改革」の本質

 国際舞台でクロマグロ規制に反対してきた最大の消費国日本。とうとう規制枠を受けいけたが、現場の意見も聞かず、沿岸の小規模漁業者の枠をきわめて小さくし、資源枯渇の最大の原因である日本近海に産卵に訪れた親魚とまだ若い固体を一網打尽にする大手〔水産庁の天下り先〕のまき網漁は枠を優遇したことで、全国で怒りの声があがっていることは、当ブログでとりあげてきた。
 これにかかわるのが「漁業権の開放」。これは漁獲枠の割り当てとセットでおこなわれる。クロマグロでみられるように沿岸の小規模漁業者が生計をたてられないように追い詰め、企業、外国資本が漁業権を買い取り、巨大な養殖場の開発などに道をひらくもの。農業、林業で起こっていることが、こんどは漁業に・・・
 東大・鈴木教授の解説とともに、安倍農林漁業「改革」と小規模漁業に位置づけ、産卵期のまき網漁規制に反対する「根拠」について整理したメモ。
【漁業権開放  漁村の資源管理が混乱 生活基盤が崩壊する 鈴木宣弘東京大学教授 8/14】

【漁業権開放  漁村の資源管理が混乱 生活基盤が崩壊する 鈴木宣弘東京大学教授 8/14】

今年5月31日、とんでもない政府の漁業「改革」方針が示された。その内容は、①これまで各漁場で生業を営む漁家の集合体としての漁協に優先的に免許されてきた漁業権の優先順位の廃止②定置・区画漁業権の個別付与③漁獲の個別割り当ての導入など。衝撃的な内容は、漁協ではなく企業に漁業権を付け替えることを狙ってのものだ。そんなことをしたらどうなるか。

「優先順位の廃止」によって、浜に生まれ、浜で暮らし、生業を営み、昔から営々と浜を守ってきた地元漁民から浜が取り上げられたら、生活基盤と漁村コミュニティーが崩壊する。筆者も、生まれたときからそこに浜があって、長年にわたってそこで生計を立て、毎日、浜を生活の場としてきた一人として強い違和感を覚える。そもそも、地元民には優先的な前浜の使用権が発生しているのであり、先祖代々そこに住み、前浜を使用してきた地元漁民を追い出すことは「生存権的財産権」の剥奪であり、明白な憲法29条違反である。

「定置・区画漁業権の個別付与」は何を意味するか。

 入り江の浜には、「貝や海藻、魚類などの養殖を営む区画漁業権」と「貝や海藻などを取る共同漁業権」「大型の定置網漁を営む定置漁業権」の3つ(イカ釣りやカツオの一本釣りなどの「許可漁業」は別)があり、漁場にはさまざまな形態の漁業が「入り組んで」共存している。別の漁業に迷惑をかけることや取りすぎ、過密養殖を防ぐために、漁協で話し合って共同管理の年間計画をつくり、年度の途中に何度も見直すことで、きめ細かい調整をしてきているのだ。それができるのは、漁民が漁協というまとまりの中で、浜全体を統一的に管理・調整しているからである。

■外国資本による買い占めの危険も

 そこに、一部を、その管轄外の個別組織(企業)が自由にしてよいことにしてしまったら、虫食いのように浜に共同管理できない箇所ができて、浜全体の資源管理・調整が混乱・崩壊するのは目に見えている。

「漁獲の個別割り当ての導入」も非現実的。「生物学的漁獲可能量」を科学的にはじき出すこと自体が難しく、妥当性に疑問がある上に、行政がどうやって個別に妥当な量を算定して割り当て、どうやって管理・監視し、違反者を取り締まるのか。気の遠くなる話で、莫大なコストがかかることは明白である。

 さらには、漁業自体は赤字でも漁業権を取得することで日本の沿岸部を制御下に置くことを国家戦略とする国の意思が働けばどうなるか。表向きは日本人が代表者になっていても、実質は外国の資本が全国の沿岸部の水産資源と海を、経済的な短期の採算ベースには乗らなくとも買い占めていくことも起こり得る。こうした事態の進行は、日本が実質的に日本でなくなり、植民地化することを意味する。

 農林水産業は国土・国境を守っているという感覚が世界では当たり前。それなのに、我が国ではそういう認識が欠如している。能天気すぎる

2016年の会議で日本側は「段階的な規制しか受け入れられないのは、日本には2万人以上の小規模漁業者や定置漁業者がいるからだ」と熱弁を振るって反駁していたのに、国外で言うことと、国内でやることがまったく違う〔真田〕。

【クロマグロ規制と、安倍政権の農林水産政策の関係 メモ】

◆安陪政権 2013年施政方針演説 「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指し「聖域なき規制改革を進め、企業活動を妨げる障害を1つ1つ解消する」---この方針のもと

○農業…小規模・家族農業の排除と農協の弱体化を狙い、全農の株式会社化、企業農地所有解禁特区設置、種子法廃止、コメの収入補償制度と生産調整の廃止、農業委員会の実質解体など企業への便宜供与拡大
○林業…小規模な林業所有者から林業の管理連を奪い、林業企業に渡してしまう森林経営管理法。小規模林業に適した超A材を育てる長期多間伐施、行山と持続的な森林管理を否定し、若年齢での皆伐に補助金まで出して、山を荒廃させる大手の製剤メーカー、バイオマス発電の短期的な利益確保に走る「林業の成長産業化」

◆次ぎのターゲットが水産業

・2018年1月所信表明「海面の利用制度の改革を行う」と表明
・6月1日「水産政策の改革について」と題する方針を決定
・重大な問題点
①個々の漁船に漁獲枠〔IQ〕の設定
②漁協から漁業権をとりあげ、知事から直接企業に免許できるようにする

・クロマグロの資源管理で明らかになったように
①一方的な企業優遇の漁業枠の設定を行って小規模・沿岸の漁業者を退場させる
②クロマグロなどの養殖をしたい企業に内湾の静穏水面を売り渡す
ことが狙い

◆国際社会は、小規模・家族経営の役割を見直す動きが拡大

・大規模化・効率化・企業化一辺倒の食料政策が、環境と地域社会・経済を破壊し、結果として貧困の撲滅に焼く立だたなかった反省 /「国際家族年」など

○漁業においても当てはまる
①FAO「責任ある漁業のための行動規範」〔95年〕…小規模・沿岸漁業者の利益と権利を守るとする条項があり、そのためのガイドラインを具体的に規定〔2015年〕
②国連「持続可能な開発目標」…小規模・沿岸漁業者に「漁場・市場へのアクセスを保障」と規定
③WCPFC〔中西部太平洋マグロ類委員会〕条約…小規模漁業者を保護する条項

安倍「農林漁業政策」は、世界の流れと逆行。目先の利益で日本の国土と社会を破滅においやる亡国政治

【産卵期のクロマグロ漁を規制しないアベ政治】

・水産庁がまき網漁を規制しない理由・・・「産卵親魚の資源量と子マグロの加入量は相関関係がない」とする説・・・WCPFCに科学的評価を提供する「北太平洋まぐろ類国際委員会〔ISC〕」の見解

○ISC  議論過程もブラックボックス、水産庁おかかえの任意団体
・ISC…WCPFC条約に設置根拠も権限も規定されていない任意の団体。「国際」と名がつくが、水産庁の人員が半数をしめ、オブザーバー参加も拒否し、議論過程がブラックボックス化
⇔ゆえに、国際的な水産資源に関する科学者グループ58人連名で、“なぜこの団体がWCPFCにクロマグロの資源評価を提供しているのか”と疑問を呈する書簡が提出されている。

○親魚と子の資源量の関係を否定しているのは日本だけ
・実際に、親魚の資源量と、0歳魚の加入状況は、ともに右肩下がりで相関している
・国立研究開発法人水産研究・教育機構「国際水産資源研究所」の論文…産卵親魚の資源量が3万トン以下になると子の加入も減少する〔中塚周哉ほか「太平洋クロマグロの漁獲過剰を防ぐための限界基準点」〕
・大西洋クロマグロの資源管理では、産卵親魚の規制が取られている。
→親子関係を否定するのは日本政府め水産庁だけ

○低値しかつかず売れ残る…産卵期のクロマグロ
・卵に栄養をとられたうえ、気温の上昇で脂がのらず、旬とは言えない
・まき網漁のものは、魚体がこすれあって傷つき、血抜きもされておらず、うっ血して味が落ちる/また一度に大量に水揚げされ、瞬間的な供給過多で値がおちる
→築地の卸業者談“この時期の境港のクロマグロは、セリでキロ1000~2000円程度。それでもたくさん売れ残り、キロ数百円の相対取引される”、一方“釣りであがった大型のマグロは、この時期でもキロ1万5千円を越えるものもある。冬場になれば金額はさらに上がる”
→ 親魚のまき網漁の枠を縮小し、大型漁を中心とする沿岸漁業の枠を拡大するほうが漁獲高が大きくなる

なぜそんなまき網漁を擁護するのか
・水産庁の天下り先確保〔巻網業界主要4団体〕
・小規模漁業排除による漁業権の開放
の合作ではないか


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