地位協定の抜本改定を、政府、米大使館に要請 全国知事会
低空飛行訓練や米軍機墜事故が相次いでいることに県議会で「地位協定の抜本改定が必要」と最近では17年度2度、18年2月議会では諸外国の例も示し論戦してきた。
2月議会では、知事は、全国知事会が、航空機の整備点検、パイロット等の安全教育の徹底、住宅地域及び工場地帯上空での飛行制限並びに夜間離発着訓練の中止等徹底した安全対策を講じることなどについて「日米地位協定の抜本的な見直し」を求めており、「今後も全国知事会の一員として要望してまいりたい」と述べ、さらに全国知事会として「米軍基地負担に関する研究会」を2016年7月に設置し、諸外国の事例の把握にも努めはじめており、「こうした研究を踏まえ国への提案・要望をしていく」と答弁していた。
その答弁で触れられていた「提言」にもとづく要請が14日、政府と在日米大使館におこなわれた。
知事は圧倒的に自民党推薦が多いが、改定を求める声を無視はできない。ここが直接住民に選出される首長〔地方自治制度〕という存在の面白いところ。
【「米軍基地負担に関する提言」に係る要請活動等について 全国知事会8/14】
【地位協定改定を要請 全国知事会 防衛、外務省に 琉球新報8/15】
【「米軍基地負担に関する提言」に係る要請活動等について 全国知事会8/14】8月14日(火曜日)、上田 全国知事会長(埼玉県知事)、謝花 沖縄県副知事ほか3県(岩手県、神奈川県、大分県)は、外務省及び防衛省に対し、7月27日の全国知事会議で決議した「米軍基地負担に関する提言」について要請活動を行いました。また、在日米国大使館において、ジョセフ・M・ヤング 首席公使へ提言内容を説明し、意見交換を行いました。
要請内容は、以下のとおりです。全国知事会においては、沖縄県をはじめとする在日米軍基地に係る基地負担の状況を、基地等の所在の有無にかかわらず広く理解し、都道府県の共通理解を深めることを目的として、平成28年11月に「米軍基地負担に関する研究会」を設置し、これまで6回にわたり開催してきました。
研究会では、日米安全保障体制と日本を取り巻く課題、米軍基地負担の現状と負担軽減及び日米地位協定をテーマに、資料に基づき意見交換を行うとともに、有識者からのヒアリングを行うなど、共通理解を深めてきました。その結果、
① 日米安全保障体制は、国民の生命・財産や領土・領海等を守るために重要であるが、米軍基地の存在が、航空機騒音、米軍人等による事件・事故、環境問題等により、基地周辺住民の安全安心を脅かし、基地所在自治体に過大な負担を強いている側面がある。② 基地周辺以外においても艦載機やヘリコプターによる飛行訓練等が実施されており、騒音被害や事故に対する住民の不安もあり、訓練ルートや訓練が行われる時期・内容などについて、関係の自治体への事前説明・通告が求められている。
③ 全国的に米軍基地の整理・縮小・返還が進んでいるものの、沖縄県における米軍専用施設の基地面積割合は全国の7割を占め、依然として極めて高い。
④ 日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、補足協定等により運用改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の基地立入権がないなど、我が国にとって、依然として十分とは言えない現況である。
⑤ 沖縄県の例では、県経済に占める基地関連収入は復帰時に比べ大幅に低下し、返還後の跡地利用に伴う経済効果は基地経済を大きく上回るものとなっており、経済効果の面からも、更なる基地の返還等が求められている。
といった、現状や改善すべき課題を確認することができました。
米軍基地は、防衛に関する事項であることは十分認識しつつも、各自治体住民の生活に直結する重要な問題であることから、何よりも国民の理解が必要であり、国におかれては、国民の生命・財産や領土・領海等を守る立場からも、以下の事項について、一層積極的に取り組まれることを提言します。
記
1 米軍機による低空飛行訓練等については、国の責任で騒音測定器を増やすなど必要な実態調査を行うとともに、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、関係自治体や地域住民の不安を払拭した上で実施されるよう、十分な配慮を行うこと
2 日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること
3 米軍人等による事件・事故に対し、具体的かつ実効的な防止策を提示し、継続的に取組みを進めること
また、飛行場周辺における航空機騒音規制措置については、周辺住民の実質的な負担軽減が図られるための運用を行うとともに、同措置の実施に伴う効果について検証を行うこと4 施設ごとに必要性や使用状況等を点検した上で、基地の整理・縮小・返還を積極的に促進すること
平成30年7月27日 全 国 知 事 会
【地位協定改定を要請 全国知事会 防衛、外務省に 琉球新報8/15】日米地位協定の改定などを国に求める提言を7月に採択した全国知事会の上田清司会長(埼玉県知事)や県の謝花喜一郎副知事らは14日、防衛省や外務省を訪れ、採択内容の実現を要請した。これまで渉外知事会が日米地位協定の改定を求めたことはあったが、全国知事会が提言を要請するのは初めて。謝花副知事は「我が国の憲政史上初めてで、県としても画期的な出来事だと高く評価している。地位協定については、もう一歩踏み出した対応を(政府に)お願いしたい」と強調した。
文書では米軍基地の存在による航空機騒音や米軍人らによる事件・事故、環境問題などが基地周辺住民の安全安心を脅かし、所在自治体に大きな負担を強いていると強調。地位協定は締結以来、一度も改定されておらず、国内法の適用や自治体の基地立ち入り権がないなど「十分とは言えない」とした。依然として沖縄に基地が集中する中、基地返還後の跡地利用に伴う経済効果が大きいとし、さらなる返還が求められるとした。
その上で(1)米軍の訓練ルートや訓練を行う時期の速やかな事前情報提供(2)日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させること(3)米軍人らによる事件・事故に対し実効的な防止策の提示―など4項目を求めた。
要請後、取材に応じた上田会長によると、要請先からは「丁寧に対応したい」との返答があったという。
上田会長は「防衛政策は国の専管事項だが、住民からいろんな反応を受けるのは地方自治体だ。私たちの立場をしっかり米国政府や関係者に伝えていただきたい」と強調した。
上田会長らは、山本朋広防衛副大臣のほか、外務省では堀井巌外務大臣政務官に要請した。駐日米国大使館のジョセフ・ヤング首席公使とも面談し、提言内容を説明した。
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