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日銀 引締めに踏出す…看板だけ「緩和継続」の二枚舌

 国債と株を買い続け、円安・輸出代金バブルと株高・不動産バブルを演出してきた「異次元の金融緩和」の頓挫を、日銀が事実上認めた。一部、大企業と富裕層に富ませるための「アベノミクス・バブル」。一方、経済の6割を占める国民の生活は厳しくなるはかり。巨大な矛盾が蓄積してきている。
以下は、赤旗8/4付、群馬大学名誉教授、山田博文さんに聞く。同氏は二枚舌の理由を「推進してきた国債や株式の官製バブルの崩壊を回避したいという恐怖心」と指摘。
参考に
【異次元緩和修正 きっぱり転換すべきだ 東京社説8/1】

【日銀の金融政策修正…二枚舌で引き締めに踏み出す  2018./8/.4   赤旗より】

 7月31日に日銀が決定した金融政策について群馬大学名誉教授、山田博文さんに聞きました。

 一言で言えば、日銀が「異次元の金融緩和」の頓挫(とんざ)を認めたものであり、本音と建て前を巧妙に使い分け、金融市場の異常性と預貸金利ざやの縮小で被る金融機関の不利益とを一定程度解消し、事実上の金融引き締めに踏み出したものと思います。

 日銀が新しく打ち出しだのは3点です。
 第一に、長期金利の誘導幅を上下0.2%程度に広げたこと。超低金利で銀行の貸出金利が低下し、経営が悪化しているので、業界の要望に沿って、金利を上げることを日銀が認めざるをえなくなったということです。

 第二に、マイナス金利を適用する日銀当座預金の残高を10兆円程度から5兆円程度に下げました。銀行の負担は半減します。

 第三に、年間6兆円購入している株価指数連動型上場投資信託(ETF)のう
ち日経平均連動型を減らし、TOPIX連動型を増やしたこと。日銀が大企業の大株主になって株式の価格形成をゆがめているとの批判が強いので、構成する会社の数が東証一部上場全社のTOPIX型を増やし、価格形成をゆがめていないとのメッセージを送りました。

 この三つは金融緩和の縮小を意味します。しかし、政策のタイトルは「強力な金融緩和継続」です。実質的に引き締めに入ったのにより強力な緩和をやるといいます。

 日銀としては当初、2年で終わるはずだった、異常に大規模な金融緩和が5年以上続き、物価上昇率は目標の2%どころか0.8%です。日銀の展望リポートでは2018、19、20年度とも物価の見通しは下方修正です。完全に政策は破綻しています。

 なのに、なぜ「強力な金融緩和継続」と表現するのでしょうか。それは、安倍政権への忖度(そんたく)からでしょう。言葉面で「強力な緩和」を打ち出しておけば、具体的にどんな政策をとっても政府と日銀が一体ということになります。

 だが、ことここにいたって、政策の実践面では金融引き締めに足を掛けざるを得なくなりました。本音は欧米と歩調をそろえて引き締めに入らざるを得ないが、そんなことはないと、一種の二枚舌を使っているのは、推進してきた国債や株式の官製バブルの崩壊を回避したいという恐怖心にある、というのが今回の決定だと思います。


【異次元緩和修正 きっぱり転換すべきだ 東京社説8/1】

 日銀が金融政策の修正を決めたのは副作用を軽減して異次元緩和を続けるためだという。だが物価を上げる効果がないことは明らかだ。ショックが大きすぎてやめるにやめられないのが実態だろう。
 五年以上続けても一向に物価上昇目標は達成できない。むしろ長期化する超低金利が金融機関の経営や年金資産の運用に看過できないほどの悪影響を及ぼしている。
 年八十兆円をめどとする国債買い入れや年約六兆円の上場投資信託(ETF)購入はマーケットの価格形成を歪(ゆが)め、市場機能はほとんどマヒに近い状態に陥っている。
 日銀はこうした副作用への批判にさらされ「長期金利は経済物価情勢に応じて上下にある程度変動しうる」と0・2%までの上振れを容認することを決めた。一方で金融緩和の長期継続を約束する新たな緩和手法を導入する。
 だが副作用に配慮しつつ緩和も強化という説明はやはり苦しい。そんな八方美人が通用するのか。

 日銀はこの日、物価上昇率の見通しを二〇一八~二〇年度までそれぞれ引き下げ、2%の物価上昇の達成が二一年度以降に後ずれすることを認めた。緩和の開始から実に八年以上かかることになる。
 こうした物価上昇が鈍いにもかかわらず金利操作を据え置く方針に対し、政策委員二人が反対した。これは緩和が不十分なことに不満を抱くリフレ派委員だろう。
 日銀は四月に、これまで「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中で示してきた物価上昇2%の達成時期を明示しない方針に転じた。この時点で、リフレ派の主張する短期決戦をあきらめ、持久戦路線に軸足を移した。

 これ以上の緩和強化は百害あって一利なし、とまではいわないが、効果は乏しく弊害が大きすぎるとわかったはずだ。いつまでもリフレ派に配慮すべきではない。
 リーマン・ショックから十年経過し、米国は金融政策を正常化しつつある。欧州も年内に緩和路線から脱する見通しだ。だが、日銀の異常な政策は長期化し、出口はまったく見えない。
 それは異次元緩和をやめれば、人為的に抑えてきた金利が上昇。景気を支えてきた円安株高が反転するおそれが強いほか、財政赤字の利払い費が一気に膨らみかねない。日銀の国債購入は実質的に禁じ手の財政支援でもあった。
 もはややめるにやめられない状態だが、リスクを少しでも抑えるべく正常化に手を付けるべきだ。


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