学童指導員 の半数が年収150万円未満/ 政府は待遇改善に逆行する要件緩和検討
学童保育が、原則小学3年生までから6年生に拡大したことで施設と指導員不足が急速に強まっている。
「全国学童保育連絡協議会」の調査(14年)では、回答した週五日以上勤務している指導員約四千三百人の46・2%が年収百五十万円未満とのこと。ところが処遇の低さから担い手が集まらないのに、政府は「資格」と「配置基準」を全国一律基準でなく、自治体の判断できめる「参酌化」を検討している。
保育や介護などかつて家族(特に女性)が担っていた分野で処遇が低い。そして担い手不足を、資格や配置の緩和で対応しようとするのも共通。
専門性と役割を軽視する思想的根底に「ジェンダーバイアス」が存在していると常々思っている。。
【学童指導員の半数が年収150万円未満 保育の質に影、待遇改善を 東京7/23】
【「従うべき基準」の堅持を求める請願署名に取り組みます 全国学童保育連絡協議会 】
【学童指導員の半数が年収150万円未満 保育の質に影、待遇改善を 東京7/23】小学生の子どもがいる共働き家庭にとって、学校がない夏休みに子どもたちが通う学童保育(放課後児童クラブ、学童)は心強い。だが、学童の指導員は責任が重い仕事にもかかわらず、給料が安く、約半数は年収150万円未満という調査もある。担い手が集まらず、現場は常に人手が足りない状態で、「指導員の待遇改善が必要」という専門家の指摘もある。 (細川暁子)
「夏休み中は子どもたち約二十人分の昼食を作ったり、炎天下で一緒に体を思い切り動かしたり。体力もいるし、障害がある子もいるので知識も必要。責任の重い仕事です」。愛知県内の学童で正規職員として働く男性指導員(28)は話す。
仕事のやりがいは感じるものの、悩みの種は収入だ。朝八時から夜七時までのうち一日八時間、週五日働いて手取りは月約十九万円。「将来、家庭を持とうとすると、転職を考えざるを得ない」
学童は、二〇一七年の厚生労働省の調査では全国に約二万四千カ所。運営者は行政や保護者でつくる組織、社会福祉法人、NPO法人など、地域によって異なる。国と都道府県、市町村が費用の三分の一ずつを運営者に補助している。
子どもたちの活動を支援するのが、男性ら指導員だ。以前は資格はなかったが、一五年に「放課後児童支援員」の資格ができ、四十人程度の児童に対し二人以上の指導員を置く(うち一人は有資格者の支援員)との基準が設けられた。
男性は学生時代にアルバイトで指導員になり、「子どもの成長を見たい」と卒業後もバイトを続け、一五年に資格を取得して正規職員となった。しかし、給料は安く、家賃三万円のアパートに住むなど生活を切り詰めても、貯金はほとんどできていない。交際していた女性に「こんなに不安定で、低い給料では結婚できない」と言われたこともあるという。
愛知県内の別の男性指導員(39)は勤続十五年目の正規職員で、手取りは約二十四万円。二人の子どもがおり、妻も正規の指導員だが現在は育児休業中。「早く妻に復帰してもらわないと、生活が苦しい」と打ち明ける。
一四年に実施された「全国学童保育連絡協議会」の調査では、回答した週五日以上勤務している指導員約四千三百人の46・2%が年収百五十万円未満。年収の低さが、指導員の人材確保に影響しているという見方もある。夫婦で指導員をしている男性の学童でも、パートの指導員を募集しているが、適任者が見つからなかったり、長続きしなかったりで、「人手は常に足りない」という。
指導員不足の解消に向け、内閣府の有識者会議は、給与の引き上げでなく、設けられて間もない有資格者に関する配置基準を緩和し、なり手を募りやすくすることを検討している。しかし、同協議会は「学童保育の質が落ち、指導員の社会的地位向上の流れにも逆行する」として、約二十万人の反対署名を国会に提出した。
静岡大の石原剛志教授(児童福祉)は「指導員は『子ども好きなら誰でもできる』と思う人もいるが、学年が異なる子どもの間ではトラブルも多く、専門性が必要。育児中の女性がより働きやすい環境を整えるには、指導員のなり手を増やし、学童を充実させることも重要だ。国などの補助額を増やし、指導員の待遇を改善することも検討するべきだ」と指摘する。
<学童保育> 共働き家庭などの小学生が放課後や長期休みの日中などを過ごす。全国で約117万人の児童が登録、利用している。放課後児童支援員の資格は、保育士などの有資格者か、実務経験2年以上などの条件を満たす人が、都道府県が開く講座を受講して資格を取得する。指導員はパートを含め約13万人。
【「従うべき基準」の堅持を求める請願署名に取り組みます 全国学童保育連絡協議会 】2017年12月26日の閣議決定では、厚生労働省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(以下「省令基準」)において「従うべき基準」として定められた放課後児童支援員の「資格」と「配置基準」を「参酌化」することを、「地方分権の議論の場において検討し、平成30年度中に結論を得る」ことが示されています。
「資格」と「配置基準」の内容と、「従うべき基準」という位置づけは、全国すべての学童保育に通う子どもたちに「全国的な一定水準の質」を保障するうえで必要不可欠のものです。全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)は、これに断固として反対し、これまでに、厚生労働省はもちろん、内閣府など関係各省や議員連盟要望書を届けるなどして、「従うべき基準」を守るためにさまざまな働きかけを行ってきましたが、「平成30年度中に結論を得る」という作業が進められようとしているいま、全国の学童保育関係者に広く呼びかけて請願署名に取り組み、私たちの声を直接国会に届けることにしました。
学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することを求める請願書
一 請願要旨
学童保育(放課後児童クラブ)は、就労等の理由により家庭に保護者のいない子どもが、放課後および学校休業日に安全に安心して生活できる「毎日の生活の場」です。共働き・一人親家庭等の増加のもと、子どもの生活や育つ環境が厳しくなっているなかで、子どもが安全に安心して生活できること、子どもの成長・発達を支え励まし、保護者と連携を図りながら子育てをする施設である学童保育に対する期待に応えることが必要です。
省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」では、「従うべき基準」として、「放課後児童支援員」という資格をもった指導員を原則2名以上配置することが示されています。しかし、この「従うべき基準」の廃止、または参酌化の議論が進められようとしています。「従うべき基準」が廃止、または参酌化されることになれば、子どもたちの保育にあたるうえで必要な専門的な知識及び技能を有した「放課後児童支援員」をまったく配置しないことも起こり得ます。ともすれば、資格のない大人がたった一人で子どもたちの保育にあたることも起こり得ます。これでは、子どもたちに安全で安心できる「毎日の生活の場」を保障することはできません。
私たちは子どもの命と安全を守るうえで欠かせない「学童保育の『全国的な一定水準の質』」を確保するために、「従うべき基準」(指導員の資格と配置)を堅持することが必要不可欠であると考えます。よって、つぎのとおり請願いたします。
二 請願事項
1.子どもの命と安全を守るうえで欠かせない「学童保育の『全国的な一定水準の質』」を確保するために、「従うべき基準」を堅持してください。
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