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ビットコインとは何か〔メモ〕

建部正義・中央大名誉教授によるQ&A〔経済2018.7〕のメモ

マルクス主義経済学の貨幣論をもとに解明。仮想通貨は、通貨としての機能をもちあわせず、法定通貨の基盤にむすびついてしか存在できず、将来にわたって銀行・中央銀行を駆逐することは絶対にないと指摘。

過剰に蓄積された貨幣資本が、金融投機にあきたらず、あらたな投機先を生み出し、利益をもとめて雨後馬手いる、と感じる。
 以下、備忘録。

【ビットコインとは何か】

 建部正義・中央大名誉教授 経済2018.7


1.ビットコインとはなにか、どんな機能があるか

●仮想通貨の3つの特徴

①法定通貨ではない
・日銀券と貨幣は法貨規定をもつ。日銀券「無制限に通用する」、貨幣「額面価格の20倍まで法貨として通用」
・ネット上の電子データとしての「仮想通貨」は政府の法貨規定がない

②中心となる発行主体が存在しない
・法貨通貨…日銀、政府。電子マネー「スイカ」…jr東日本 /中心的発行・運営主体が存在
・仮想通貨にはない。そもそも発行・運営主体を特定することさえできない

③物理的な素材として存在しない
・仮想通貨…ネット上の電子データとして架空の姿でしか存在しない
・価値の移転/法貨の場合は物理的な素材の受け渡しがある。仮想通貨はデータの受け渡しのみ

●通貨としての機能を果たせるか

*通貨の機能 ①価値尺度機能 ②流通手段機能、③支払手段機能、④価値貯蔵手段機能
・「価値尺度機能」…通貨が価値世界である商品世界で、価値の物差しを提供する機能/通貨による表現「価格」
・「流通手段機能」…通貨が商品の価格を実現すると同時に、全体として商品流通を媒介する機能
  ~「決済手段機能」とも称される
・「支払手段機能」…商品の受け渡しと通貨の受け渡しが時間的に異なる際に通貨が取引を独立的に完了させる
・「価値貯蔵手段機能」…実現された商品の価値〔通貨の形態をとる〕を、通貨のまま保持し続ける機能

・日銀券は4つの機能を果たすと考えられる

→価値尺度機能については微妙な問題がある/商品世界は価値世界であるが、不換紙幣の日銀券は、製紙代、印刷費以外には自己価値をもたない。自己価値をもたないものが価値世界で尺度となれるのか、という疑問
→が、日銀法は、金融政策にあたっては「物価の安定〔その逆数として、通貨価値の安定〕を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」と規定されている

*「仮想通貨」
・通貨価値の安定を図ろうとする主体さえ存在しない/価値尺度機能は果たしていない
・「価値貯蔵手段機能」の前提は、通貨価値の安定。同じことは「支払い手段機能」にも言える
~ 価格が乱高下する「仮想通貨」は、機能しえない。

・機能しうるのは「決済手段機能」だけ/ビックカメラ、ヤマダ電機ではビットコインでの決済を認めている
~もっとも店舗では、価値低下リスクを恐れ、入手したら、仮想通貨交換所ですぐに円に転換
・出稼ぎ労働者が本国の家族への送金に仮想通貨を使用する場合には、価値の移転手段とし役割を果たしている/ただ、その場合も、受け取った家族に、すくに自国の法貨に転換


2 なぜビットコインの価格が騰貴するのか

・ビットコインは、もともと「仮想通貨」として構想されたもので、商品として構想されたものではない
→通常の商品…その価格は、需給関係と市場価格の変動を通じ、長期的に見れば価値に一致する

・仮想通貨…取引記録の検証・管理をブロックチェーンの作成という形で担う「マイナー」〔採掘人〕は、膨大な計算作業のための大量のコンピュータ群への投資の多額の電力消費、若干の労働者の雇用をおこなっているが、ビットコインを生産しているわれでなく、ブロックチェーン作成に対する報酬としてビットコインの分配にあずかるだけ 
→ ビットコインには、基準となるべき価値に相当するものがない

●価格が高騰する理由

・ビットコインは、その価格が、投機的に急騰しやすい性格をもつ

①発行量が4年後とに半減し、2140年に総額2100万ビットコインが発行された段階で新規発行をしない仕組み
~最初の発行は09年なので、現時点で既に新規発行量は1/4に低下

②保有構造に著しい隔たりがある
~「上位1%の保有者が全体の9割を保有」〔中島真志「アフタービットコイン」〕

・ビットコインは、/価格の基準がなく、供給に制限があり、保有構造に著しい隔たりがある/よって、需給関係によってしか価格が決まりようがない

→ バブルの代表される株価、地価の場合には、配当や地代として“その時点の支配的利子率で割り引くことで、基準株価、基準地価を計算することができる”〔資本還元〕/それを上回る株価、地価部分がバブルに相当する勘定となる
→ ビットコインの場合/バブルと判定する、その基準さえ見出せない


3 ビットコインは誰でも手に入れることができるか

・ビットコインを新規に手に入れることができるのは「マイナー」だけ/そのマイナーになるには、数千台のコンピュータ網の配置と安価な電力の供給地〔コンピュータの発熱を冷やす低温地〕の確保が必要
→ 中国のチベット族自治州、内モンゴル自治区などが有力地。中国の採掘集団を世界の7割を担う
→マイナーの利益確保手段/ビットコインの販売…仮想通貨交換業者を通して法貨と交換

・マイナーでない一般の人々/仮想通貨交換業者を介し、法貨通貨と交換してビットコインを入手

・仮想通貨というが、既存の法定通貨の基盤から抜け出せない/法定通貨と交換できるという信頼のみ立脚


4 ビットコインがなぜ決済手段として機能しうるのか

・日銀券の特徴〔貨幣も同様〕
①「銀行券を用いて支払を行った場合、相手はその受取を拒否できないという、法貨としての強制通用力が法律によって付与されている」〔日銀法46条〕

②銀行券での支払を行った場合、銀行券を引き渡した時点で、金融機関など第三者の介在なしで、当事者間の決済を最終的に完了させる「支払完了性」を持つ/ここが。振込みやクレジットカードと違う

③銀行券の使用は、誰が、いつ、どこで、どのような目的で使用したかがわからない「匿名性」を有する

・「法貨としての強制通用力」の含意… 民間人だけでなく政府も同様
→ が、民間の当事者間で、外貨での決済を取り決めた場合、そこに何の障害もないし、違法ではない。
・ソ連邦の解体時には、実際、たばこが決済手段として機能したと伝えられている

●改正資金決済と「暗号資産」

・2017年4月施行 改正資金決済法…そこで「仮想通貨」を定義
~「仮想通貨」を「財産的価値」ということとで、私的な取引の決済手段として使用することが法的に承認
・G20財務相・中央銀行総裁外〔18年3月、ブエノスアイレス〕 「仮想通貨む代えて「暗号資産」と表現
・・デジタル通貨とも呼ばれる/電子データとして存在する通貨のことで一般に仮想通貨と同じ意味


5..仮想通貨が増えているが?

・ビットコインは、総額2100万ビットコインが発行された時点で新規発行しない仕組み。すでに3/4発行
~直近では、ビットコインの実数が大きく増えていない。/そう感じるのは、価格が投機的に急騰したため
・2017年7月 ビットコイン先物が上場/世界的な過剰貨幣資本の蓄積を背景にした新たな投機先をもとめてうごめく姿
・仮想通貨 1500種類以上といれ、日本の仮想通貨交換所に上場されているのは14種類


6.仮想通貨「ネム」の大量流失~ 明らかな重大ミス

・仮想通貨交換業者コイン・チェックから、約580億円に相当する仮想通貨「ネム」の流出事件〔18年1月〕
・コイン・チェック側の明らかな重大ミス

①ウォッレットの管理上の問題
 仮想通貨は、ウォレット〔財布〕のなかで管理/常時ネットワークにつながっている「ホット・ウォレット」と、ネットワークから隔離された「コールド・ウォレット」があり、業界では、ホット・ウォレットには当面必要な仮想通貨分だけを残し、それ以外は、コールド・ウォレットに移すのが常識
 コイン・チェックの場合、ホット・ウォレットで一括管理。これが被害額を大きくした

②「秘密鍵」の取り扱い上の問題
 仮想通貨には、「秘密鍵」と呼ばれる暗号システムが組み込まれている/がねこれだけでハッカーからの攻撃を完全に遮断するのは困難とされている。
→ そこで「仮想通貨交換業者」は「マルチング〔複数署名〕」という方式により、秘密鍵を複数に分割して別々に管理/ が、コイン・チェックはこの方法をとらず

③ネムの盗難に半日も気づかなかったという経営姿勢上の問題

●金融庁、自主規制団体の問題も

・改正資金決算法…仮想通貨交換業者の「登録制」、利用者が預託した資産と交換業者の資産との分別管理、口座を開設する利用者の本人確認・・が盛り込まれたが、以前から営業している事業者は、登録業者への移行を前提に「みなし業者」として営業の継続を認めた
~ コイン・チェックもその1つ/ 金融庁に「甘さ」「緩み」はなかったのか

・自主規制団体が1本化していない ②団体。近々、登録業者からだけなる統一的な新団体が発足


7 マルクスの貨幣論からみた将来像

 マルクスの貨幣論を基礎にして、仮想通貨の貨幣的性格やその限界を位置づけることは可能(「1」でも展開)
~ その立場で、仮想通貨の将来像について、いくつかの論点を整理

● 仮想通貨は、銀行を決して駆逐しない/資本主義経済に欠かせない銀行の機能

・金融機関の中で、預金を取り扱うのは銀行だけ 
~証券会社は証券、保険会社は保険を取り扱うだけ。そして仮想通貨は預金ではない

・預金の特徴…
①.通貨機能を有する  企業 当座預金の振込みで他企業の債務支払、家計 普通預金からの引き落し
→預金の法定通貨支払約束があるから/預金をいつでも現金でひきおろせる

②銀行だけが預金を取り扱い…預金創造能力=信用創造能力を銀行だけがもつ

銀行は企業・個人への貸出にあたり、現金を利用するわけではない/住宅ローンの借り入れの場合…銀行は、個人の預金通帳の預金を増額記入することで貸出を実行
…これが信用創造 /信用とは、法定通貨支払約束

→仮想通貨は、預金でないので、信用創造能力はない

・資本主義経済/ 銀行の預金創造、信用創造を抜きに立ち行かない
・信用創造のもうひとつの役割…経済には好不況期がつきもの/それにあわせ通貨も膨張、収縮することができないといけない=通貨供給の柔軟性/この役割を担っているのが、銀行の信用創造
→成長期=銀行の貸出機能が活発化 / 停滞期=企業の返済活動が活発化 /仮想通貨の供給は硬直的

●中央銀行の役割

・中央銀行…金融政策の実施機関/政策展開のため、銀行への貸出金利の調節、公開市場操作を通じた短期市場金利の誘導 = 銀行の信用創造をコントロールすることが目的
例)景気が過熱し、物価が上昇⇒ 中央銀行は銀行への貸出金利引上げ⇒ 銀行の企業への貸出金利引上げ
  ⇒ 信用創造が抑制(企業の投資活動の抑制) /景気の過熱感も物価の上昇も抑制

・仮想通貨は、既存の法定通貨という基盤からは抜け出せない/たとえ仮想通貨が普及しても、銀行、中央銀行が死滅する日は決してこない

●仮想通貨の将来・・・その死滅も想像し難い

・仮想通貨… 民間の創意工夫の中から住まれたもの/多くの店舗が決済手段として受け入れている
~現時点では、欠陥が目立ち、規制論が優勢であるが、廃止論を唱える公的機関も存在しない/すでに発行した仮想通貨を廃棄する手段が見出し難い/中国での仮想通貨交換所の閉鎖は、仮想通貨の形態による資本流出を阻止するという当局の意図によるもの、等々

・電子マネーが法定通貨と共存しえたのと同様、将来的には仮想通貨も共存しうると思われる/が、その共存の範囲は、当初の予想よりも狭い範疇に留まらざるを得ない。


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