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小学校4割に口腔崩壊の子、 必要でも未受診半数超  保団連調査

 全国保険医団体連合会は、学校歯科治療調査の中間報告を発表している。調査に答えた小学校の約4割(39.7%)で口腔崩壊(むし歯が10本以上あることなどから咀嚼が困難な状態)の子どもがいるとおり、受診の必要があっても未受診のままの子どもが半数以上(52.1%)に。
 中学では、口腔崩壊の子がいる学校は32.7%、未受診は66.6%にのぼる。


【小学校4割に口腔崩壊の子、 必要でも未受診半数超
~学校歯科治療調査「中間報告」をマスコミ発表~保団連6/15】

【 学校歯科治療調査「中間報告」6/7】

【小学校4割に口腔崩壊の子、 必要でも未受診半数超 ~学校歯科治療調査「中間報告」をマスコミ発表~保団連6/15】

  全国保険医団体連合会は、全国の小中学校などに通う子どもの口腔状態や受診状況に関する調査結果を6月7日にマスコミ発表した。調査に答えた小学校の約4割(39.7%)で口腔崩壊(むし歯が10本以上あることなどから咀嚼が困難な状態)の子どもがおり、受診の必要があっても未受診のままの子どもが半数以上(52.1%)に上る。発表を受けて、NNN系列の情報番組で紹介された。子どもたちを受診につなげる取り組みが求められている。

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 発表した結果は、小中学校などで行う歯科検診の結果や検診後の対応などを21都府県の協会・医会が調べ、保団連が集計したものだ。

 小学校の口腔崩壊事例では「乳歯20本全てがむし歯未処置。給食はハサミ等で細かく切って提供していた」(新潟)「歯の根しか残っておらず、給食で硬いものが食べられない」(山口)など深刻なケースが寄せられた。

 口腔崩壊や未受診が生じた要因では、「受診しない理由は経済的な理由。『乳歯だから』と放置する家庭や、ネグレクト的な家も」(長野)「保護者の仕事が忙しいのを理由に受診しない。母子家庭で経済的にも困窮」(宮城)などがあった。▽経済的な問題▽親の労働環境▽ネグレクトの傾向▽口腔ケアへの意識―などの条件が絡み合う事例が目立った。

 経済的な問題については、現在、8割の自治体で中学卒業まで外来の医療費助成があるが、償還払いや数百円の定額負担制など自治体によって状況が異なる。東京歯科協会の調査では、200円の定額負担がある自治体では口腔崩壊の子どもがいる小学校は50%で負担のない自治体より約20ポイント多い。検診後に受診した子どもの割合も定額負担があると10ポイント低い約52%だった。数百円の窓口負担が子どもの口腔状態に影響すると推測できる。

◆子どもの口腔状態の二極化

 近年、口腔ケア意識の高まりに伴って子どもの口腔状態は大きく改善している。厚労省の学校保健統計によれば、この20年間でむし歯のある子どもの割合は約83%から約37%に、1人あたりの永久歯のむし歯等は平均3.34本から0.82本に減少した。協会・医会の調査は、こうした状況から取り残された子どもがおり、口腔状態が二極化していることを示している。
子ども医療費助成の拡充、貧困対策や親の働き方改善、口腔ケアに対する認識をさらに高めることを通じて、必要な受診ができていない潜在的な歯科医療ニーズを受診につなげる取り組みが必要だ。

■ 子どもの歯科矯正を保険で

保険適用拡大を願う会・小尾直子さん


 子どもの歯科矯正の保険適用拡大を求めて活動する小尾直子さん(写真)。子どもが学校検診で歯並びの問題を指摘されたのが活動のきっかけだという。現在の取り組みと思いを聞いた。

●学校で治療勧告
  息子が中学生のとき、学校の歯科検診で歯列の問題を指摘され、受診した上で必要なら治療を受けるように勧告されました。しかし、歯科矯正の多くは保険適用外の治療です。経済的な問題から必要な費用を用意することはできず、息子が高校2年生になった現在も治療を受けさせてあげられずにいます。
 検診を受けると「結果のお知らせ」を子どもが持ち帰ります。要受診の場合、それをもって歯科診療所に行き受診結果を先生に書いてもらって学校に提出しなければなりません。歯科矯正を受けさせてあげられないため、検診のたびに同じ勧告を受けました。治療を受けられない事情を知っている先生に毎回「経過観察中」と書いてもらって提出していました。
 学校で行う検診で治療するよう勧告するにも関わらず、いざ行くと多くの歯科矯正が自由診療で高額な費用がかかることに患者として矛盾を感じていますし、子どもに必要な治療を受けさせてあげられないことが親として悲しいです。

●患者・歯科医師が喜び合える未来
 自身の治療のため通っていた診療所で「保険で良い歯科医療を」全国連絡会が呼び掛けている、保険の効く治療の拡大などを求める請願署名の取り組みを知り、少しでも力になれればとの思いから、独自で団体を立ち上げ活動するまでになりました。
 5月末には日本学校歯科医会と文科省を訪問し、子どもの歯科矯正の保険適用拡大を求めるとともに、理解と協力のお願いをしてきました。今後は、医療保険制度を管轄する厚労省と学校検診を所管する文科省同席のもとで話し合う準備をしてもらっています。
 これまで活動を続けてきた中で、歯科医院の経営の厳しい実態も知るようになりました。私たち患者と先生方が互いに喜び合えるよう、歯科医療保険制度の充実を実現させる活動をこれからも続けていきます

【 学校歯科治療調査「中間報告」】

◆ 調査の経緯
本調査は、2012年大阪のテレビ番組「歯科医院に行けない子ども・むし歯急増の陰に経済格差」の放映をきっかけに、大阪府歯科保険医協会が府内の小学校を対象に「学校歯科治療調査」を実施し、検診で治療が必要とされた児童の約半数が受診をしていない、更に「口腔崩壊」の児童がいる学校が4割に上るという衝撃的な現実が明らかにされた。この結果を受けた各地の保険医協会で、同様の調査が取り組まれ、2018年4月時点で全国21の保険医協会・医会で調査が行われた。
今回、この21協会・医会の調査結果を集計し、その特徴などを「中間報告」としてまとめた。

◆調査を行った協会・医会(歯科検診年度)
岩手(13年)、宮城(13年)、東京歯科(17年)、千葉(16年)、新潟(16年)、長野(12年)、岐阜(16年)、三重(16年)、大阪歯科(17年)、兵庫(16年)、広島(17年)、山口(13年)、香川(16年)、徳島(16年)、愛媛(16年)、高知(16年)、大分(14年)、佐賀(16年)、長崎(16年)、沖縄(16年)、福岡歯科(16年・協会が協力した報道機関との共同調査)
以上、調査は2012年から2017年までの間に実施されたものを集計した。

なお、小中学校は上記の21都府県を調査、高校は大阪、兵庫、長崎の3府県を調査、特別支援学校は、千葉、岐阜、兵庫、長崎、沖縄の5県を調査した。

◆調査方法
調査は、協会・医会から県内の小学校、中学校、高校、特別支援学校に郵送で調査用紙を送付、郵送又はFAXで返信いただいた。


*口腔崩壊とは
(むし歯が10本以上ある、歯の根しか残っていないような未処置歯が何本もあるなど、咀嚼が困難な状態とした)

■全体の状況
●歯科未受診
小学校52.1%中学校が66.6%高校が84.1%特別支援学校55.8%

①全国の小学校で歯科検診を受けた子どもたちの中で、要歯科受診と診断された子どものうち、歯科未受診は52.1%にのぼった。
②中学校では歯科検診を受けた子どもたちの中で、要歯科受診と診断された子どものうち、歯科未受診は66.6%にのぼった。
③高校では(3県)学校歯科検診を受けた子どもたちの中で、要歯科受診と診断された子どものうち、歯科未受診は84.1%にのぼった。
④特別支援学級では(5県)学校歯科検診を受けた子どもたちのうち、要歯科受診と診断された子どものうち、歯科未受診は55.8%にのぼった。
⑤小・中・高を比較すると、高学年になるほど未受診が増加する傾向となっている。
⑥回答いただいた全国21都府県の小中学生だけでも、歯科検診で要歯科受診とされたにもかかわらず、必要な歯科受診を行っていない子どもが25万9724人になる。

●「口腔崩壊の子どもがいた」学校は
小学校39.7%中学校32.7%高校50.3%特別支援学校45.1%
口腔内が崩壊状態(むし歯が10本以上ある、歯の根しか残っていないよう未処置歯が何本もあるなど、咀嚼が困難な状態)と見られる「児童・生徒がいましたか」に対して

①小学校では回答頂いた学校のうちで39.7%の学校が「いた」との回答
②中学校では32.7%の学校が「いた」との回答
③高校では50.3%の学校で「いた」との回答
④特別支援学校では45.1%の学校で「いた」との回答

《小学校の状況》

■小学校の未受診児童は52.1%
調査を行った21都府県で、「学校歯科検診を受けた児童数」、「要受診と診断された児童数」、このうち「歯科医療機関を受診した児童数」は上記の通り。
実際に歯科医療機関を受診した割合は47.9%、未受診は52.1%となり未受診の児童が過半数を超えている。

■口腔崩壊の児童がいると回答した学校は39.7%
調査を行った21都府県で「口腔内が崩壊状態(むし歯が10本以上ある、歯の根しか残っていないような未処置歯が何本もあるなど、咀嚼が困難な状態)と見られる児童がいましたか」とのお尋ねに対して39.7%の学校で、口腔崩壊の児童が「いた」と回答があった。

■よせられた児童たちの事例
・保護者が共働きで仕事を休んで通院させることができない。母子家庭で費用、連れて行く時間がない。
・子どもが治療を嫌がるため、保護者が歯医者に連れて行かない。(乳歯なのでそのうち生え変わると考えている。)
・双子の男児が2人共乳歯20本、全てがう歯未処置歯で入学。給食はハサミ等で細かく切って提供していた。
・受診しない理由は、経済的な理由で「乳歯だから」とほっておかれる家庭やネグレクト的なお家もあります。

《中学校の状況》

■中学校の未受診生徒は66.6%
21都府県で、「学校歯科検診を受けた生徒数」、「要受診と診断された生徒数」、このうち「歯科医療機関を受診した生徒数」は上記の通り。
実際に歯科医療機関を受診した割合は33.4%、未受診は66.6%となり未受診の生徒の割合が小学生より増加している。

■口腔崩壊の生徒がいると回答した学校は32.7%
21都府県で「口腔内が崩壊状態(むし歯が10本以上ある、歯の根しか残っていないような未処置歯が何本もあるなど、咀嚼が困難な状態)と見られる生徒がいましたか」とのお尋ねに対して32.7%の学校で、口腔崩壊の生徒が「いた」と回答があり、小学校よりわずかに少ない。

■よせられた生徒たちの事例
・上下7番の4本全てがC4の状態の生徒がいました。小学校のときから一度も受診しておらず、3年生では歯の根しか残っていない状況でした。
・最近の傾向としてう歯のない生徒と1人で何本ものう歯がある生徒の二極化が進んでいるように思います。
・1人でむし歯が10本以上ある生徒。歯科治療は痛みが伴うと思い込みが強く、治療(受診)を進めても本人が行こうとしない。
部活動や塾等の習い事により、時間を作ることが難しく、治療へ行かない生徒がいます。

《高校、特別支援学校の状況  略 》

■歯科未受診、口腔崩壊の背景にあると考えられるもの

●歯科医療機関への受診を妨げる厳しい家庭環境や格差と貧困
調査を行った各協会・医会では、検診後の未受診や口腔崩壊の児童生徒についてその理由を学校(養護教諭)に聞いている。
共通して指摘される理由の多くは、「保護者の関心の低さ」「家庭環境(共働き、1人親など)」、「経済的理由」「地理的困難」「本人の歯科治療への忌避」などが上げられる。個々の理由はこのようになるが実際にはこうした理由は絡みあっていることも指摘されている。

●「保護者の子どもへの無関心や歯科保健意識の低さ」では「いまだに乳歯のむし歯は生え変わるから大丈夫だろうという保護者の考えから受診・治療につながらない」、「「乳歯の虫歯は、貧困や格差ということでいうとお金そのものよりも(子ども医療証などがある)親が子供の健康面まで気を配る余裕が無いという実態のような気がします」

●「家庭環境」では、「保護者の長時間労働」、「父子・母子家庭、または祖父母養育家庭、保護者が共働きのために、仕事の休みがとりにくく、受診ができない」、「家庭の状況が厳しいお子さんは受診に繋がらない傾向がある。」

●「経済的理由」では、「当日窓口で支払う現金が無いために受診できない」、「経済的貧困が背景にある場合、無料でも保護者に通院の時間が取れない。貧困は経済だけでなく、時間、子どもと向きあうことまで奪ってしまっている。」、「生活保護、要保護、準要保護家庭では治療費の負担が無い医療券が発行されますが、申請をしない、医療券を貰っても保護者が仕事を理由に継続して連れて行くことができない」、「歯列矯正が増えているが、経済的理由で矯正治療ができず、むし歯や歯肉炎に繋がることが多い。小児矯正も保険適用となると、その後の歯科健康が守れると思う」

●「地理的困難」では「離島や地域で歯科医療機関が無く受診するのに経済的にも物理的にも厳しい状況がある」、「学区内に歯科医院が無く、保護者の送迎がないと受診が不可能」


事例の一部を紹介したが、受診できない理由は多岐にわたるが、その背景に格差と貧困、保護者の厳しい就労状況等が浮かび上がってくる。
こうしたことを日常把握している養護教諭からは、歯科保健に関する意識と子どもたちの口腔の状況の二極化が進行していることを懸念する意見が寄せられている。

●学校歯科検診が十分に生かされていない
学校における健康診査は、「潜在する疾病を早期に発見し適切な処置を講ずること」を目的の一つとしている意義ある取り組みである。しかし、調査結果では、小・中学校で過半数以上、高校では80%以上が検診後に必要な歯科受診が行われていない。せっかくの検診結果が早期発見・早期治療に繋がって役立てられていない現実がある。

●未受診、口腔崩壊の改善が見られない
大阪歯科協会の2012年と2017年調査の比較、三重協会の2013年と2016年の調査を比較したところ、両府県とも一部では10%弱の若干の改善は見られるものの大きな改善は見られず、また、小学校より中学校のほうが未受診が多いという傾向にも変化が見られなかったことから、全国的にもこの数年間でこうした状況に大きな改善がされていないことが推測される。

●窓口負担など受診しやすい環境について
今回の調査では、子ども医療費無料制度と未受診、口腔崩壊などとの関連は都府県比較では明確には現れていないが、例えば、東京歯科協会の調査では窓口負担のない23区と1回200円の負担となる多摩地域等との比較では、受診率や口腔内が崩壊状態と見られる子供の割合に明らかな差が出ていることから、「小額の負担であっても窓口負担の有無は子供の口腔状況に大きな影響をおよぼす」と結論し、子ども医療費無料制度の実績を評価している。
こうした、窓口負担無料化など受診しやすい制度の問題についても多く指摘がされている。子ども医療費無料制度は全国に広がっているが、受診のたびに窓口負担をしなければならないが償還制度や、200円、500円など少額でも毎回定額負担が必要な制度であるなど貧困な家庭には受診のハードルが高い。更に、制度利用には各家庭からの申請が前提という申請主義であること。同じ自己申請となっている生活保護制度での補足率が2割程度と低いことにも示されるように、子ども医療費制度や学校医療券などもはたして対象となる全ての家庭(生徒)が受給できるようになっているのかの実態は不明であり、実態把握も必要である。
厚労省の調査では子供の7人に1人が貧困状態にあり、1人親世帯の貧困率は5割を超えている。こうした背景にOECD報告では低所得層にも社会保険料や税の負担を課すことで所得の再配分機能が日本では十分機能していないことも指摘されている。

■子供たちの口腔の健康を守るために、歯科受診の環境改善について
今回の調査で要受診となった子どもの多くが歯科受診をしていない、更に口腔崩壊という深刻な事態が全国的に広がっていること、その背景に保護者の無関心、ネグレクトなど様々な問題とともに、格差と貧困、保護者の厳しい就労状況等から受診が阻害されている事情を把握することができた。
日本も批准した国連の子供の権利条約では、病気の治療、及び健康の回復のための保健サービスを利用する権利が奪われないことへの努力をうたっている。
子どもたちの口腔の健康を守る取り組みは、緒についた段階であり、改善に向けた多くの課題を同調査を基に学校関係者、歯科医療関係者をはじめ行政や社会全体で取り組んでいくことが求められている。

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