西敷地ニーズ調査結果資料の「ねつ造」疑惑で記者会見 高知市議団
「競馬旅行」で世間を騒がしている高知市だが、図書館西敷地の活用について県と県内4大学、高専におこなったニーズ調査のうち、県の「防災体験学習広場」として活用したい、との回答を隠蔽していたことが明らかになった。この調査結果は、10ヶ月も放置されたうえで、16年1月に発足した利活用検討委員会の第二回会議〔同年5月〕に、特定企業に有利となるとまとめにするためにねつ造されて提供されていた。
この回答が利活用委員会の発足の前提として、議会に報告されていれば、もともとの計画の「賑わい広場」と整合性があり、「事業用定期借地権の想定」〔この条件も、事後に居住スペースが可能となる一般定期借地権にこっそり差し替えている〕、「高度利用」といった市の基本的考え方をしめすことは不可能だっただろう。
「道の駅」構想にかかわる都市計画マスタープランの改ざんにつづく、市長による市政の私物化。そのゆがみが、災害対策本部設置中の「競馬旅行」のような緊張感のない対応をうみだすのだろう。現場でかんばっている職員も犠牲者である。
以下、団の記者会見での文書
【新図書館西敷地の利活用にかかるニーズ調査結果資料の「ねつ造」疑惑について】2018.7.30日本共産党高知市議団
平成28年2月~平成29年1月まで、5回にわたって開催された「西敷地利活用検討委員会」の、第2回委員会(平成28年5月20日)において、市が提出した資料の一部(p21)が捏造された疑いがあり、そのことによって必要とされる機能に優先交渉権者の選定を誘導する内容があった可能性があることが判明しました。
捏造の疑いがある資料は、平成27年5月(回答期限7月18日)に照会をかけた西敷地の利活用の計画等にかんするニーズ調査で、第2回検討委員会に配布されたもの。
「行政や大学等の機関へのニーズ調査」として、県、高知大、県立大、工科大、学園短大、高知高専に対して、①中心市街地での新たな施設等を設ける計画があるか、②新たな施設等の設置に際して、西敷地を活用したいと思うか、③西敷地を活用して設置してみたい施設等の機能や役割をどのように考えているか の3項目の様式で実施されたものであり、p21の資料は、この6者の回答が、西敷地を活用してみたい団体が1団体、活用する予定のない団体が5団体であったことを示しています。 (資料①)
その中の「西敷地を活用してみたい」と回答している1団体について、市は高知大学ではないと明確に議会答弁していますが、その団体がどこなのかについて、先の6月議会では、市は答弁を拒否していました。
また、平成27年7月の市長と高知大学長との西敷地利活用のニーズについての「協議」の中で、高知大側は、県内他大学との関係で、西敷地を活用したいことを表明できないが、ご理解を戴きたいとの表明があり、実際、中心市街地での新たな施設計画や西敷地を利用したいかどうかの様式による回答はなく、一般論として市に積極的に協力する旨の回答のみとなっていました。 その結果、市は、利活用の意思のある高知大を、意思のない団体と見なし、新たな施設計画のない5団体に含めた資料を作成していました。 (資料②)
その後、このニーズ調査の回答の写しを情報公開請求し、7月17日に入手いたしました。 (資料③)
その写しによれば、先のp21の資料とは違い、2団体(県と県立大)が利用したいと回答し、4団体が計画はないと回答しています。ところが、前述のとおり、検討委員会には、利用したい団体は1団体、5団体が計画なしであり、その1団体は大学機関であることを強調するものとして資料にまとめ提出されています。
情報公開で入手した県の回答書には、西敷地を利用してみたいに○が入り、具体的な機能として「防災体験学習広場」としての利用を想定し、市民アンケート等で第一位であった広場機能とも一致するものでしたが、市が検討委員会に提出しか資料では、県の中心市街地での新たな施設計画があるという回答が、ないとされ、西敷地を活用してしみたいという回答と「防災体験学習広場」という機能提案が、消去された資料となっているわけです。
県が西敷地を「防災体験学習広場」として活用し、その敷地の一角に起震車や津波体験車等の防災体験学習車を常設し、防災体験を広げるスペースとすることを提案していた事実は、今回の情報開示で明らかになるまで、市によって完全に隠されてきました。
「行政および大学等のニーズ調査」結果が「ねつ造」されたものであったことによって、検討委員会委員に、公的ニーズは大学からのニーズのみであることが印象付けられ、その結果、西敷地に必要な機能の中に「教育機関の充実や連携を図る機能」が加えられ、優先交渉権者提案事業の選定を有利にしたのではないかと類推できます。
県の西敷地を「防災体験学習広場」として活用できればと考えているという回答がだされていたということは、一般に、未利用市有地の譲渡・処分・貸付については公共団体等の「公共の用」を民間の活用に優先すべきであるとされていることに反するもので、公共のニーズについて、その後の検討委員会に報告すらなされていないのは、不可解であり、正当な行政執行から逸脱するものと言えるのではないかと考えられます。
なお、「ねつ造」が疑われる資料を提出した第2回検討委員会開催の直前の、平成28年4月、県の総務部長、商工労働部長の連盟による[新図書館西敷地の利活用の検討について(依頼)」という文書が、市商工観光部長あて提出されています。
内容は、西敷地の利活用を検討する際には、事務系職場誘致のためのオフィスフロア確保について配慮を求めるものです。今回の資料の[ねつ造]疑惑は、県のこの文書を先に回答のあっていたニーズ調査結果に差し替えることでしか、説明ができませんが、その際は、市へのニーズ調査回答を撤回する意思決定が確認されなければなりません。市の担当課に、県のその意思決定がなされていたのか確認を求めていますが、現在のところ報告はありません。
もともとのニーズ調査は、県をはじめとした各団体に対して、それぞれの団体が自ら実施しようとする計画についての調査ですが、この県の文書は、県の各部局への照会文書にあるとおり、県が自ら活用することを前提としたものではなく、実施主体を問わず県が望ましいと考える機能についての照会にもとづくもので、市のニーズ調査と同列にあつかうことのできないものです。 資料④
また、ニーズ調査の回答期限から8ヶ月以上経過したのち、市の利活用検討委員会が立ち上がり、第1回委員会で、事業用定期借地権の想定、高度利用といった市の基本的考え方が示された直後の依頼文書です。検討委員会でも、市の基本的考え方については異論が相次ぎ、その後の検討委員会では、これを前提にせずに広場機能も含め、定期借地や高度利用でない機能も含めた検討がすすめられることになりましたが、こうした流れとなる前の時期に策定された文書であり、この点でもニーズ調査と差し替えるべきではありません。
「ねつ造」の疑惑のある資料は、ニーズ調査と県からの依頼文書という時期や目的・趣旨のことなるものを、あたかもすべてがニーズ調査結果であるがごとく故意にまとめられたもので、今後、優先交渉権者が辞退するなどして、現在の高層ビル計画が頓挫したとしても、ゆるがせにできない重大な問題であり、日本共産党市議団として、公平な市政運営を求めて引き続き真相を追求していくものです。
以上
■ 公文書の管理について、6月県議会の論戦 “公文書は、言うまでもなく「国民共有の知的財産」であり、結論だけでなく、その結論をだすこととなった経過、様々な意見の様子など、歴史的な検証をしていくうえで、かけがえのない資料でもあり、あますことなく正確に記すことが必要です。”の指摘に対し、知事は「県行政を透明にし、その中で、公明正大に議論がなされ、意思決定が行われるとともに、後々、その過程を検証できるような体制を整えておくことが大事であると考えております」「公文書管理制度は、公文書の適正な作成、保存、整理を行うことで、意思決定の検証を可能にし、現在、そして将来の県民の皆様への説明責任を適切に果たすために重要な役割を担うものと考えております。」
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