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温暖化のもとでの学習環境  公立小中のエアコン設置49.6%、高知県19.0%

 本日は「最高気温が35度以上になりそうだとして高温注意情報を発表。不要な外出を避けるなどして健康管理に注意するよう呼びかけている」

 そんな中、公立小中学校のエアコン設置は・・半分。高知県は19%。学力向上だ。学力テストだ」と騒いでいるわりには、少人数学級やエアコン設置など環境整備はおろそかにされている。

 高知市議会でも2015年6月議会で党市議団が質問している。公立小中校の設置率は29.6㌫(職員室とか音楽室,図工室,理科室など全部含めて)、普通教室13.8%で、教育長は全普通教室に設置した場合の費用を「エアコン機器本体の設置費用に,約11億5,000万円。うち市負担分は約7億8,000万円。さらに…受変電施設設備改修工事,あるいは電源工事費も別途必要になる」と答弁している。
本体工事の補助が1/3と低いので、市町村の財政勢力に左右されることになる。一方、耐用年数10年《設計上の標準使用期間》なので、1年当たり7800万円で実現可能であり、やる気の問題ともいえる。

【小中のエアコン設置 いまだ半数 暑くても設置率1割未満の自治体も 莫大な予算が課題7/17】

【文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査の結果について 2017年度】
【学校にエアコンなんて贅沢か?――温暖化が進む世界で子供たちの学習環境を考える - 畠山勝太・国際教育開発 7/9】
 要請するなら、ちゃっん予算をつけろと言いたい。
【学校活動より子供の命…熱中症対策を文科省要請 7/19】

【小中のエアコン設置 いまだ半数 暑くても設置率1割未満の自治体も 莫大な予算が課題7/17】 内田良  名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授 公立小中学校のエアコン設置率[2017] ※文科省の調査結果をもとに筆者が作図  猛暑がつづいている。室内にいても、エアコンなしには過ごすことができない。

 ところが、今日もまた全国の約半数の公立小中学校では、エアコンがない教室で、子どもと先生が授業時間をいっしょに過ごしている。しかも、エアコンが完備されている自治体と、ほとんど設置されていない自治体があり、子どもの教育環境に大きな不公平が生じている。

■いまだ全国の半数の教室にとどまる


図1:公立小中学校におけるエアコン設置率の推移 ※文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査」に示された2017年度の結果より図を転載。

 エアコン(冷房)の設置状況については、文部科学省が公立校を対象に、おおよそ3年に1回ずつ全国調査をおこなっている(文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査の結果について」)。
 普段子どもが授業を受ける普通教室のエアコン設置率は、公立小中学校の場合、1998年は3.7%にすぎなかったのが、最新の2017年の調査では49.6%にまで上昇している[図1]。温暖化が進むこの20年の間に、普通教室のエアコン設置率は、大幅に高まった。
 ただそれでもまだ設置率は、全国の教室の半数にとどまっている。汗だくの教室が、全国のあちこちにあるということだ。

■ 都道府県の格差
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図2:公立小中学校のエアコン設置率[2017年度] ※文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査」における2014年度と2017年度の結果をもとに筆者が算出・作図。

 さらに深刻なのは、設置率の都道府県格差が激しいことである。
 小中学校における普通教室の設置率をグラフに示してみると、都道府県によって設置状況が大きく異なっていることがわかる[図2]。
 設置率がもっとも高いのは東京都で、99.9%(27,118室のうち27,116室)と、ほぼすべての教室にエアコンが備え付けられている。次に高いのが香川県で、97.7%(3,467室のうち3,387室)と、こちらもほぼ完備と言える。他方で、同じ四国でも愛媛県は5.9%(4,745室のうち278室)と、ほとんどの教室がエアコンなしである。

■高校は格差が小さい

図3:公立高校のエアコン設置率[2017年度] ※文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査」における2017年度の結果をもとに筆者が作図。
 公立小中学校における都道府県格差の大きさは、公立高校の場合と比べると、よりはっきりと見えてくる[図3]。
 公立高校における普通教室のエアコン設置率は、全国で74.1%に達している。東京都や京都府、大阪府、鳥取県、高知県、沖縄県は100%である。
 グラフの凸凹に着目すると、小中学校と高校とのちがいは明瞭である。
 小中学校の場合は、都道府県によって棒グラフの高低がばらばらである。だが高校の場合は、一部の地域をのぞけば、全国的に各都道府県の棒グラフの高さがわりと安定している。
 高校の都道府県格差に比べて、義務教育段階の小中学校の都道府県格差は、かなり大きいと言える。

■最高気温が高いにもかかわらず
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図4:公立小中学校のエアコン設置率(最高気温順) ※文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査」と総務省統計局『統計でみる都道府県のすがた』をもとに筆者が算出・作図。

 さらに小中学校については、暑い地域であってもエアコンの設置率が低いことがある。
 先ほど示した小中学校の都道府県別設置率のグラフを、最高気温[注]の高さ順に並べ直すとその状況がよくわかる[図4]。
 過去5年間の県庁所在地の月間最高気温(平均)がもっとも高いのは京都府で、そのエアコン設置率は84.0%(全国5位)である。最高気温が2番目の大阪府も、エアコン設置率は77.3%と比較的高い(全国9位)。
 だが、最高気温が上から6番目の愛知県は、エアコン設置率は35.7%にとどまっており(全国25位)、つづく7番目に暑い奈良県においては、エアコン設置率はわずか7.4%である(全国40位)。
 そして図1に戻って2014年度から2017年度への増加分に着目してみると、奈良県や愛媛県などは、エアコン設置率がかなり低くかつ最高気温が上位にありながらも、2014年度から2017年度にかけて設置率がほとんど増加していない。過酷な状況がつづいている。
 なお、小中学校のエアコン設置率ならびに最高気温の数値と順位の詳細は、本記事下部にまとめて掲載したので、適宜参照してほしい。

■全国的な猛暑のなかで

 最高気温が高い自治体であっても、エアコンがほとんど整備されていないことがある。しかも、全国的に設置率が高まるなかで、依然として整備が進まない状況も見えてきた。
 ただし、くれぐれも最高気温が47都道府県のなかで低いとしても、それが「夏は涼しい」を意味するわけではない。最高気温は相対的に小さい地域に住む人であっても、「この地域だって暑い」と言うことだろう。実際に地域を問わず、オフィスや商業施設に入ればエアコンがしっかり効いている。
 そもそも日本全体が、絶対的に暑いということに留意すべきである。したがって、基本的に学校にはエアコンの設置を前提とすべきと、私は考える。

■エアコン設置が進まない理由:多額の財政負担

 毎年暑い夏がやってくるにもかかわらず、いくつかの自治体でエアコン設置が進まない背景には、財政的な事情がある。
 言うまでもなくエアコンは1台設置するだけでも高額な負担が生じる。ましてや、学校の場合、たとえば3年1組の教室だけを特別扱いするというわけにはいかない。学校内の全教室に設置することが求められる。
 これは学校内だけにとどまらない。たとえば、同じ市内において、A小学校にはエアコンがあり、B小学校にはエアコンがないと、これは両校の保護者の間に不公平感を生み出す。
 そもそも教育行政上、公立学校の設置者は市町村である。したがって、公平性の観点から同一市内においてエアコンがある学校とない学校をつくるわけにはいかない。

■教育環境の公平性

 市町村としては、自治体内のすべての学校のすべての教室に、一斉にエアコンを導入することが求められる。そのために億単位の予算を計上することも多々ある。しかも設置と同時に、毎年多額の電気代負担も生じることになる。
 設置のための莫大な予算が短期間に必要とされ、しかも多額の電気代が長期的に必要とされる。この財政的負担が各市町村に与える影響は大きく、それがエアコン設置の障壁となっている。
 現在、国は「学校施設環境改善交付金」としてエアコンの設置には3分の1の額を補助している。そうは言っても、自治体の負担はかなり大きい。
 義務教育段階においては、自治体内だけでなく日本社会全体において基本的には同質の教育環境が公平に保障されるべきである。このことを考えれば、エアコン設置の都道府県格差は、国の問題でもある。国からのより積極的な支援が必要である。
 公教育という名のもと、ある地域では子どもも先生もオフィスと同様のエアコンの効いた空間に身を置き、別の地域では今日もまた汗だくになって授業時間を過ごしている。こんな状況を放置していてよいのだろうか。
 エアコンはもはや贅沢品ではなく、必需品である。子どもたちが適度な室温で授業が受けられる環境を、一刻も早く整える必要があり、これは地域住民さらには国民全体で考えていくべき課題である。

[参考資料:各都道府県におけるエアコン設置率ならびに最高気温の数値と順位]
各都道府県におけるエアコン設置率ならびに最高気温の数値と順位 ※文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査」と総務省統計局『統計でみる都道府県のすがた』をもとに筆者が算出・作図。
注:総務省統計局が毎年刊行している『統計でみる都道府県のすがた』に、「最高気温」という指標が掲載されている。その2014年版から2018年版までの5年分の数値を参照し、その平均を、本記事における「最高気温」とした。『統計でみる都道府県のすがた』における都道府県別の「最高気温」とは、都道県庁所在地における「日最高気温の月平均の最高値」を意味し、具体的には「毎日の連続的観測記録のうち、1日の最高気温から、月平均の日最高気温を求め、それらの月平均気温のうち、年間を通じて最高の月平均気温」を示している。観測値は都道県庁所在地のものであるが、東京都は千代田区、埼玉県は熊谷市、滋賀県は彦根市における気象台の観測値である


【学校にエアコンなんて贅沢か?――温暖化が進む世界で子供たちの学習環境を考える - 畠山勝太・国際教育開発 7/9】

1. アメリカの研究結果から――暑さは子供の学力に影響を与えるのか?

先月、NBER(全米経済研究所)のワーキングペーパーで、暑さが子供の学習成果に与える影響を分析した研究が公表されました(Heat and Learning)。試験日に天気が悪いと、テスト結果が悪くなるという分析はちょこちょこ出ていたのですが、これは試験当日ではなく年間を通じて平均気温が高かったり、猛暑日が沢山あると、どれぐらい教育活動がダレて子供の学習成果が低下するのか、というのを分析しています。
アメリカは南に行くほど貧しくて学力が低いので、暑さが学力を低下させるんじゃなくて、地理的に貧しい地域が暑い所に多いからそれが子供の学力に影響するんじゃないの? と相関関係と因果関係にうるさい人なら思うかもしれませんが、この研究は同じ個人間の成績のバラつきを利用して、その辺りの問題をクリアしています(これをstudent fixed effectと言って、米国の教育経済学では比較的よく使われる計量経済学的な手法ですが、これの詳しい説明は今回は割愛します)。

結果を先に述べると、年間の平均最高気温が1℃暑くなると、子供の学力が偏差値換算で0.045程落ちるようです。米国はデータが充実しているので、学力がどれぐらい所得向上に寄与するのか分かっています(16歳の時点で偏差値が1違うと生涯所得で100万円弱違ってきます)。なのでこれを基に計算すると、平均気温が1℃上がると、学力低下による生産性の低下で、個人の生涯所得が約4万2千円下がってしまうようです。

これを基に学校にエアコンなんて贅沢なのか考えてみましょう。例えば、30人学級をエアコンで5℃ぐらい冷やしてやると(5℃×4万2千円×30人)、割引現在価値で600万円以上の価値があるということになります。極端な少人数学級とか、エアコンがほとんど室温を冷やさない場合(恐らく北の方の地域がこれに該当すると思いますが、だったらそもそもエアコンを購入しないでしょうから、あまり妥当性のある考えではないと思います)を除き、さすがにエアコンの購入費や運営費がこれよりも高い、というのはちょっと考えづらいですね。つまり、学校にエアコンなんて贅沢…というわけではなく、全然ペイする教育投資だということが分かります。

(この研究の基本線は私も同意するのですが、湿度を考慮していないのはどうかな? と少し思いました。例えば、イエメンのサナアにいた時に気温が物凄く高かったのですが、湿度はそこまででもないので、日陰に隠れれば比較的やり過ごせる感じがしました。これに対しタイのバンコクは、イエメン程気温は高くないのですが、湿度のせいで不快感が物凄いんですよね。こんな感じで冷房&除湿で組み合わせて考えると、もうちょっとエアコンの価値は高いかもしれないなと思います。いずれにせよ、日本の夏は本当に暑いので米国以上に学校エアコンの価値は高いでしょうね。)

メインの結果以外に、この研究で2点面白いなと思った点があります。一つ目は、夏休みの間どれだけ暑かったかはほとんど子供の学習成果に影響がない一方で、授業期間中の暑さだけが子供の学習成果に影響があるという点です。筆者たちは、この部分を基に、やはり暑いと学校での学習が阻害されると結論付けていて、夏休み中の家での学習については暑さは関係ないのかなと一瞬疑問に思ったのですが、そもそも平均的なアメリカの子供は夏休みに家で勉強していないんだな…と気がつきました。

二つ目は、暑さの影響は不利な環境にある子供達の間でより大きく出ている点です。白人と黒人&ヒスパニックを比べると後者は前者の3倍も暑さの影響が出ますし、富裕層と貧困層を比べても同様の結果が出ています。これは、富裕層の子供が暑くて学校で勉強できなくても、家庭教師などでそれを補うことが出来るのに対して、貧困層の子供はそういった手立てをすることができないために見られる現象のようです。

こういった現象は、この暑さ研究だけでなく、少人数学級や教員の質に関する研究でも見られます。学習にネガティブな影響を与える要因は不利な環境にある子供達にこそ大きな影響を与え、そのような要因の積み重なりで恵まれた子供と不利な環境にある子供の間の学力格差が生まれ・拡大していく、という認識はもっと広まっても良いでしょうね。

2.途上国の学習環境をめぐる政策議論の話

上の議論のように、暑さに代表されるような学習環境も子供の学習成果に影響を及ぼすことが分かってきています(当り前じゃないか、という指摘はその通りなのですが、重要なのは特定の要因がどの程度、子供の学習成果に影響を与えて、そのための対策にどれぐらいの費用を投入するのが正当化されるのか、が分かるようになるという点だと思います。)
翻って途上国の子供達の学習環境を見ると、そもそも青空教室というのもありますが、換気や採光が不十分な劣悪な教室で学んでいるという状況がそれなりに見られます。なぜ途上国の子供達の学習環境はあまり顧みられないのか、自分の経験から少しお話をしてみようと思います。

第一にドナー側の教育への理解不足が挙げられます。
アカウンタビリティの高まりにより、経済的な手法や考えを用いた教育支援が拡大しています。ただし、教育生産関数を用いた教育経済学的な分析には他の教育分野と比べて強みも弱みもある点は注意が必要なのですが、この弱みの部分が見落とされているケースが散見されます。
教育生産関数分析は、インプット→(ブラックボックス)→アウトプットという図式を基に、インプットに対してどれだけアウトプットを出せたのか、という分析をします。インプットに対して、どれだけアウトプットを生み出せたのか、費用対効果や費用便益を計算できるので、アカウンタビリティを果たすのに適しています。その一方で、教室の中をブラックボックスとして扱うので、教室の中でどのように教育活動がなされているのかの把握に弱みを持ちます。
今回の暑さのテーマに寄せると、他の教育分野であれば、とても暑い日に子供も教師も教室内でだらけている様子は直ぐに把握できると思いますが、教育経済学的にはこのだらけているということの把握が主にアウトプットを通じてなされるので、理解が不十分になりがちです。言い換えると、子供たちがどう学んでいるかへの注意が不足しているために、学習環境への注意も散漫になりがちになるということです(気温は、インプットとして把握できるので、学習環境の中でも圧倒的に分析されやすいテーマではありますが)。
この結果、インプットとして把握しやすい、机や椅子・教科書・学校のような「物がない」という点と、「学校で学ぶ準備ができていない」という点(就学前教育のレディネスが十分ではない・健康状況が学ぶのに適切な状態ではない…虫下し薬の配布など))注意が過剰に向きがちになる点は注意が必要だと思います。

第二の理由として、学習環境のスタンダードの欠如を挙げたいと思います。
日本の場合、「建築基準法」を遵守した学校建築がなされていて、採光やら何やら色々と考慮されていますが、こと途上国での学校建築になると、そもそも遵守すべきスタンダードが存在していない国が多くあります。マラウイもそんな国の一つで、この学校建築スタンダードの作成支援も実施していましたが、そもそも国がそういったことを進めるだけのキャパがない上に、各ドナーがそれぞれの思惑を押し込もうとするので、プロジェクト開始から数年経っても一ミリも進展がないという状況でした。

このように、遵守すべきスタンダードが欠如している状況では、各ドナーが各自で学校建築をしてしまうため、中には換気が不十分で暑い中で子供が勉強する羽目になるようなものまで見られます。
例えば、ユニセフは「Child Friendly School」を推進している関係で、子供の学習環境にかなり配慮した学校建築をしていますが、もちろんその分コストも高めのものになります。その一方で、ある国で某ドナーは、その国の「教室当たりの生徒数」を成果指標として採用していたので、子供たちの学習環境を完全に無視していかに安く「教室」を建築するかにだけ囚われ、教室当たりのユニットコストもユニセフのそれのわずか1/4という安かろう悪かろうな教室をボコボコと建築していきました。小規模NGOによる学校建築も盛んですが、取りあえず形に残るものを作ってバンザイで終わっているものが見受けられ、なかなか頭の痛い状況が多くの途上国で繰り広げられています。

最後の理由として、誤った費用対効果分析に言及します。
ユニセフ内でもChild Friendly Schoolは、子供の学習成果を上げるうえで費用対効果が悪いとして反対するグループが存在しています。考えてみればその通りで、今回の研究を事例とすると、換気も抜群の素晴らしい学校を建築して、子供達が5℃ほど涼しい所で勉強できるようになったとしても、成績改善の効果は0.2σほどに留まります。その一方で、低学力の子供に対する少人数学級の導入もほぼ同程度の効果を生み出します。
例えばマラウイの場合、教員を一人増やして少人数学級を導入するコストは1000ドル以下で済みますが、教室建築の場合約30000ドルかかり、30倍もコストをかけて結果は同じ、ということになります。確かに、これだったらChild Friendly Schoolの建築なんてやめてしまえ、となっても不思議はありません。ちなみに、私の上司だった人はこの費用対効果の低さを理解しつつも、それでもChild Friendly Schoolは推進する必要があると思うと悩んでいました。

しかし、学校建築に3万ドルかかるからと言って、それをそのまま「コスト」と換算するのは正しいのでしょうか?も確信はありませんが、恐らく間違っているのではないかと思います。正しいコストの見積もりは、
(Child Friendly Schoolの教室建築費用ー一般的な教室の建築費用)ー(Child Friendly Schoolの耐久年数も考慮した維持費用ー一般的な教室の耐久年数を考慮した維持費用)
で計算しないと間違いではないのかなと思っています。なぜなら、Child Friendly Schoolの反実仮想は、「子供たちが青空教室で学んでいる」、ではなく「子供達が一般的な教室で学んでいる」だと考えるからです。これであれば、Child Friendly Schoolは耐久年数も長いので、実はそれほど他の介入と比べても費用対効果は低くないのではないかなと思います。
いずれにせよ、現在は学校建築にお金をかけても、学習成果向上に対する費用対効果は低いという考えが一般的で、あまり子供達の学習環境が顧みられないのが現状です(日本のJICAの支援はこの例外にあたる印象を受けます)。

3 まとめ
学校にエアコンなんて贅沢だ! という議論は学力への影響を基にした費用便益分析をしてみると、とくに温暖化が進む世界では、ほぼほぼ間違いであることが分かります。根性論をうつのではなく、いかに快適な学習環境を子供たちに提供できるか考えていく必要があるでしょう。
これは先進国に限った議論ではなく、途上国支援でも真剣に顧みられる必要があると思います。とくに、アフリカの中でも貧困地域は暑い場所に位置していることが多く(首都はマラリアを避けるためにか、案外高地にあるので、そこまで暑くなかったりします)、貧困国のもっとも厳しい状況にある子供たちにこそ、学習環境を考慮した支援が届けられる必要があるでしょう。
サルタックとして建築事業はやらない方針ですが、専門性を活かしたアドボカシーでこの点を訴えていけたらなと思います。

追伸
米国では摂氏ではなく華氏が使われているのですが、この記事の執筆に際してイチイチ華氏を摂氏換算したわけですが、煩わしかったです。車を運転すればマイル表示だし、スーパーに行くとポンド表記とか米国は度量衡に関して何かと煩わしいことが多いです。しかし、この米国の事例は、「スタンダード」が存在していても、それを無視するアクターが存在することを象徴していて、途上国の学校建築もスタンダードができたところで、それを守らないアクターが続出するんだろうなという気もします。

■畠山勝太(はたけやま・しょうた)比較教育行財政 / 国際教育開発
NPO法人サルタック理事・国連児童基金(ユニセフ)マラウイ事務所Education Specialist (Education Management Information System)。東京大学教育学部卒業後、神戸大学国際協力研究科へ進学(経済学修士)。イエメン教育省などでインターンをした後、在学中にワシントンDCへ渡り世界銀行本部で教育統計やジェンダー制度政策分析等の業務に従事する。4年間の勤務後ユニセフへ移り、ジンバブエ事務所、本部(NY)を経て現職。また、NPO法人サルタックの共同創設者・理事として、ネパールの姉妹団体の子供たちの学習サポートと貧困層の母親を対象とした識字・職業訓練プログラムの支援を行っている。ミシガン州立大学教育政策・教育経済学コース博士課程へ進学予定(2017.9-)。1985年岐阜県生まれ

【学校活動より子供の命…熱中症対策を文科省要請 7/19】

 愛知県豊田市で17日、小学1年の男子児童が校外学習後、熱中症のうち最も重い熱射病で死亡したことを受け、文部科学省は18日、各都道府県教育委員会などに対し、熱中症の防止のため適切に対応するよう求める通知を出した。

 通知では、校外学習や部活動などの際は、気温や湿度に配慮し、活動の中止や延期、見直しを含め柔軟に対応するよう求めた。

 また、活動時には、こまめな水分・塩分補給や健康観察を行い、熱中症と疑われる症状がみられた場合には適切な応急手当てをすることなどを要請した。文科省は今年、5月と今月4日にも通知で熱中症防止の注意喚起をしていた。

 学校の安全に関する情報収集や研修を行っている学校安全教育研究所の矢崎良明事務局長は「学校の教育活動や部活動は大切だが、子供の命に代えられるものはない。気象状況は以前と大きく変わっているため、学校は常に様々な情報を収集すべきだ。判断に迷った場合は教育委員会などに聞くことも一つの手段だ」と指摘する。


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