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脱炭素・脱原子力~自然エネの道選択を

 エネルギー基本計画改正〔案〕に対する自然エネルギー財団のコメント。
 脱石炭・脱原子力の世界の巨大な流れを無視していては、未来はない。
【日本でも脱炭素化への自然エネルギーの道の選択を 石炭と原発への固執は日本の未来を危うくする 自然エネルギー財団6/15】
【環境問題と21世紀資本主義(メモ) 2018/5】

【日本でも脱炭素化への自然エネルギーの道の選択を 石炭と原発への固執は日本の未来を危うくする 自然エネルギー財団6/15】

今回のエネルギー基本計画改正に求められるのは、世界で低コスト化が進む自然エネルギーを、日本でも脱炭素化への最も重要で確実な道として明確に位置づけることだ。

しかし国が公表した計画案は、「野心的な複線シナリオの採用」という名のもとに、石炭火力と原子力発電を長期に渡って使い続ける意思を表明し、自然エネルギーについては「主力電源化」と述べながら、2030年に22~24%という世界標準の半分程度の低い目標を改めようとしていない。

国が自然エネルギー目標を低く抑え、石炭火力と原発への固執を続けることは、民間企業への誤ったメッセージとなり、投資戦略を誤らせる。多くの国や地域が安価な太陽光発電や風力発電の恩恵を享受できるようになる中で、自然エネルギー拡大の立ち遅れが続けば、日本のビジネスは世界市場での競争性低下を余儀なくされる。

◆自然エネルギーは確実な脱炭素化電源

国の基本計画案は、自然エネルギーについて「天候次第という間欠性の問題から、供給信頼度が低」いと述べている。しかし、自然エネルギー導入に積極的に取り組んできた国や地域の経験では、太陽光発電や風力発電の発電量は天候によって変動するが、その変動は予測可能であり、自然エネルギーには高い供給信頼度があることが、既に多くの実績によって示されている。

ドイツ、英国、イタリア、スペインなど欧州の主要国で、自然エネルギーは年間電力消費量の3割程度以上におよび、デンマークように46%に達する国も生まれている。米国でも例えばカリフォルニア州では、発電量の50%に達している。これらの国と地域では、既に電力の100%近くを自然エネルギーが供給する時間帯が出現するようになっている。大量の自然エネルギーを導入しながら、安定的な電力供給を維持しているのだ。
需要変動とのバランスを維持するために、現状では火力発電を使うことも当然あるが、需要調整、広域電力網、揚水発電、蓄電池の活用などで、全く化石燃料に依存しない電力システムの実現も具体的な展望を持って描くことができるようになっている。

基本計画案は、ドイツなどが国際送電網の活用で自然エネルギーの大幅導入を実現している事例を示したうえで、「国際連系線を活用した再生可能エネルギー拡大という戦略は、日本にとって様々な課題がある」と何の根拠も示さずに断定している。欧州では、大陸に位置する国だけでなく、日本と同じ島国の英国でも既に海底送電線による電力の国際連系が実現しており、更に幾多の直流高圧送電網プロジェクトが進行中である。自然エネルギー財団が最近、公表した「アジア国際送電網研究会」の報告書は、日本と韓国、日本とロシアの電力網を結ぶ国際海底送電線の建設が、技術的、経済的に全く可能であることを示している。

自然エネルギーは脱炭素化への最も確かな技術であることが、既に多くの実績で示され、また年を追うごとにいっそう明確になっている。基本計画案が、自然エネルギーは「単独では脱炭素化を実現することはできない」と書いているのは、世界での豊富な実績に目をつむる、為にする批判と言わざるを得ない。

◆なぜ原子力発電の高コスト化を直視しないのか

基本計画案は、自然エネルギーについては既に解決済みの課題を言い立てるのとは裏腹に、原子力については「実用段階にある脱炭素化の選択肢」という高い評価を与えている。

しかし、原子力発電は、使用済み核燃料の中間貯蔵の行き詰まりが顕在化し、放射性廃棄物の最終処分地が全く定まっていない点だけを見ても、脱炭素社会を担える持続可能なエネルギーとはとても言えない。

これに加え、基本計画案が全く触れていない原子力発電の弱点は、その発電コストの上昇である。資源エネルギー庁が示す「1kWh あたり10.1 円以上」という発電コストは、欧米で進む実際の新設プロジェクトの半分以下の建設費を前提としている。欧米並みの建設費を勘案すれば、発電コストは4 円以上も高くなる。

原発の発電コストが他の電源より高いことは、世界的には常識だと言える。国が肝いりで進めてきたトルコや英国での原子炉建設が、高コスト化によって行き詰っている最近の事態は、何よりも雄弁にコスト競争力の喪失を示している。

◆石炭火力への固執は日本のエネルギービジネスの未来を閉ざす

基本計画案は、「非効率石炭のフェードアウト」を掲げる一方で、相変わらず「高効率」と称する石炭火力の推進を提唱している。国が「高効率」と分類するものであっても、石炭火力は、天然ガス火力に比べ二酸化炭素排出量が2 倍以上に達する。

COP23では「脱炭素火力連盟」が発足し、多くの国や地域で石炭火力の新設はおろか、既存発電所の廃止を2030年前に実現しようとしている。トランプ政権が石炭擁護を叫ぶ米国でも、2017年10月までの7年間で全米の石炭火力発電所の数は半減している。かつて提案された二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術による石炭火力の脱炭素化は、世界のどこでも殆ど実現しておらず、最早、現実的な政策オプションではなくなっている。
世界の多くの金融機関が石炭火力への融資を中止し、投資撤退が進んでいる。保険業界は石炭関連事業への保険引き受け停止さえ開始している。

世界で進行している事態を直視すれば、石炭発電はビジネスとしても将来性がないことは明らかである。基本計画が石炭火力に「重要なベースロード電源」という位置づけを与えることは、日本のエネルギー企業の投資判断をゆがめるものだ。3

◆英国でもドイツでも石炭火力と原発の発電量は減少している

基本計画案は、英国とドイツの政策を比較し、原子力を維持する英国の方が、脱原発のドイツより二酸化炭素削減に成功している、と述べている。脱石炭を優先する英国と脱原発を先行したドイツで、エネルギー政策の力点に違いがあるのは確かだ。しかし基本計画案は、英国でもドイツでも、自然エネルギー拡大が進む中で、石炭火力と原発の発電量の双方が減少している、という最も重要な事実に言及していない。

2000年から2017年までの両国の発電量割合の増減はこうだ。ドイツでは、原子力は29%から12%へと減少し、石炭火力は51%から37%に減少している。自然エネルギーは7%から33%へと大幅に増加した。英国では、原子力も21%から19%へと小幅ながら減少し、石炭火力は31%から6%へと激減している。その原動力はやはり自然エネルギーであり、3%から29%へと顕著な拡大を記録した。

英国とドイツの事例から日本が学ぶべきことは、脱石炭にしても脱原発にしても、自然エネルギー拡大が最も重要な政策だということだ。

◆脱炭素社会実現へ自然エネルギーの道の選択を

基本計画案は、原子力発電や二酸化炭素回収・貯蔵技術(CCS)と組み合わせ石炭活用の探求を選択肢に残す「複線シナリオ」を導くために、その冒頭で「脱炭素化に向けた技術間競争の始まり」という物語を語っている。しかし、世界の発電ビジネスの現場では、このような「技術間競争」の決着は既についている。

国際エネルギー機関(IEA)の最も主要なレポート「ワールドーエネルギーアウトルック」の2017 年版は、2017 年から2040 年までの世界の電源別設備容量の純増加量(年平均)を示しているが、自然エネルギーが160GW であるのに対し原子力発電は4GW にすぎない。IEA の見通しにおいてすら、脱炭素化の主役は自然エネルギーになっている。

四季折々の多彩な自然を享受する日本は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスという自然エネルギーを視野に入れれば、決して資源小国ではなく、持続可能なエネルギー資源に恵まれた豊かな国である。自然エネルギーのポテンシャルを活用することが、エネルギー資源の輸入依存を脱し、エネルギー安全保障を確立する最善の道だ。

エネルギー基本計画には、自然エネルギーとエネルギー効率化を中核に据えた脱炭素社会への日本の道をしっかり描くことが求められている。


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