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インフラ輸出 空洞化と国民負担増の道 ~その実態と安全保障との一体化〔メモ〕

「空洞化と属国化  日本経済グローバル化の顛末」 坂本雅子 2017.9
 第3章、5章「インフラ輸出」を軸にした備忘録。

 なお、本書の前半は、以前まとめた電機産業の自滅を描いたもの〔今回、対米圧力が新たに重視〕。その後、同様の道をたどる懸念のある自動車産業への懸念。EV化、部品の共通化、モジュール化で、巨大部品メーカーが席巻する局面へと大きく変貌〔部品を作りこむ、数次によたる下請け構造の陳腐化〕の解明。ものづくりから機関投資家資本主義への変貌、TPPがもたらすもの
 …米国から突きつけられた構造改革の残った宿題をすべて完遂した安倍政権の属国性、売国性をあますことなく浮かび上がらせている。

【インフラ輸出で、空洞化は止められない】

■1インフラ輸出 その実態と本質

・「新成長戦略」「産業構造ビジョン」の最重要政策…官民一体でアジアと世界のインフラ整備に進出し、それにより、日本経済も成長するという戦略
→が、本当に国内は潤うのか、産業空洞化を補って余りあるメリットがあるのか、逆に重荷・負担もたらすのでは?

(1)原発

○官民共同の新会社2010年10月「国際原子力開発」 原発メーカーとともに9電力会社が出資/建設だけでなく、運営も含めた受注をめざす

○受注に課せられる無限の重荷 ベトナムの場合

・受注の決め手「日越原子力協力パッケージ」 7項目の支援
① 実証された最先端技術の供与 ②人材開発 ③資金支援 ④核燃料の安定供給 ⑤核廃棄物の管理 ⑥原子力産業の育成 ⑦放射性事故の際の医療体制の生後

・どれも非常に重い義務

・⑤の場合 共同声明で「プロジェクト全期間をわたる廃棄物処理における協力」等の「ベトナムが示した条件を満たすことを保証」と明記
→ 日本国内でも放置している状態なのに、どんな協力が可能か? まさか日本にもっと来る?

・③資金提供 原発建設にはODAは使えない。よって国際協力銀行が、建設費の「85%を上限に低利融資」
→建設だけでなく運営にも参加/2012年8月覚書「原発事故が起きた場合の被害者救済の枠組みづくりを支援」
・原発導入で生じる「排出枠」を日本が購入し、この資金を原発の運営費にあてることで資金負担を軽減

★受注する企業には数兆円規模の「ビックビジネス」/が、政府が先頭に立ち、資金も出し、核廃棄物の処理を引き受け、事故の場合の補償や医療にまで責任を持ち、人材育成も行い、CO2「排出枠」を購入
→ とてつもなく大きく、かつ遠い未来におよぶ、予測のつかない重い負担・犠牲と一体のもの

○ベトナム国会で、原発計画中止決定 → 日本国民にとって天佑
○東芝の破綻危機 国家と政府、安全保障にまで依存。連動するビジネスは企業にとっても巨大な罠が待つ

(2)宇宙産業

・宇宙にかかわる戦略は、防衛問題と不可分
・衛星と受信機など関連機器は200-300億円。新興国相手では、資金支援が不可欠

○日本の劣勢とその背景
・日本は弱小の存在 人工衛星受注 米49% EU28%、露14%、中国6%、日本1%/ロケット0㌫(09年)
・劣勢の理由/米国の永年の圧力 70-09年141基の人工衛星は外注、主に米国製
→1990年 日米衛星調達合意 研究開発を除く人工衛星は「国際入札で調達」を義務付け/圧倒的な米国優位のもとで産業・技術の育成ができず

○「新成長戦略」では、米国依存からの「自立」を宣言
→背景/米国、宇宙開発を国家プロジェクトから民間企業に移行。日本に対しても開発・生産を容認へ/一方で、防衛面で米国への協力を強く求める姿勢を打ち出す

○宇宙危機システムの輸出/米の宇宙戦略の転換、同盟国との連携と一体となった問題。ミサイル防衛など
→ 対アジアへの衛星輸出は、日米の軍事戦略と一体のもの。安全保障政策と密接なもの

(3)自治体巻き込んだ水ビジネス

・民営・水ビジネス市場 2025年87兆円と試算。アジア大洋州31.1兆円/07年の2.8倍と予測
・日本 水処理部材で強い競争力 逆浸透膜・ナノろ過膜60%、ポンプも世界シェアの上位企業多数、
→が「水道そのものの整備・運営はリスクも大きく、実績はほとんどない」

○地方自治体の参入/民間企業に水道運営の実績がないため、企業連合に自治体を参加させ実績をアピール
・が、世界有数の豊富な水と水質の良い日本でも、全国の8割以上の事業体が赤字/水道管の老朽化の進行。2027年には4割が耐用年数超過。水道管の更新は年1%/更新には2025年までに120兆円必要
→世界の水ビジネス市場 将来100兆円を越えると試算するが、日本の「水ビジネス」はそれをはるかに超える
→ 水道事業をまともに運営すれば「儲ける」ことは、そもそも不可能/00-14年、世界180自治体で再公営化

★大赤字必至なので/財界が求める「バイアビリティ・ギャップ・ファンディング」の要求
→ 政府「無償資金、低利の円借款」などの公的資金を投入し、水道事業、電気事業を請合った日本企業の損失を補うシステム /他国の水道事業に日本の公的意金を投入、儲けは企業・負担は国民という理不尽なもの
・喧伝された水ビジネスだが、経産省「海外水インフラPPP協議会」は14年1月の第5回以降、未開催
→ 公的資金を大々的に注ぎ込むシステムが構築できない以上、踏み込めないから
→安倍政権下で、公的資金投入のシステムが整いつつあり、外国の水道事業にも円借款(どうやって返すのか? 不良債権になるリスクは極めて高い)による補填が可能に。注意が必要

(4)アジアで進む産業基盤の整備・開発

①デリー・ムンバイ産業大動脈構想
○インドでの総合開発  
・都市インフラ建設を丸ごと請け負う事業。デリーとムンバイ間1500kmの高速貨物鉄道、鉄道沿線に24の工業団地、物流拠点を整備、それらを幹線道路で結び、各中核地域で発電施設、住居、商業施設、道路・港湾の整備。スマートグリッド、リサイクル等も配備した環境適応型の都市/対象面積51万平方km(日本の面積38万)、インド面積の16%。日本進出企業の8割が同地域。24の都市整備だけで、約9兆円必要

○日本政府と経済界が一体で推進
・同構想 06年シン首相の来日時に日本側が提案し、インド側も合意。同構想を運営するDMICDC設立。09年日本が7500万ドル(約75億)を開発ファンドに融資。環境都市構想として「新成長戦略」で位置づけ推進
・24都市中、4都市を日本企業…日印合意。1都市につき1000億円規模
 東芝、三菱重工、日立製作所、日揮の各グループが担当、日立、日揮には、北九州市、横浜市が参加
・インド 第12次5ヵ年計画(2011年) インフラ投資は前期の2倍、100兆円
→インドGDPの10%。半分は民間資金 インド版「日本列島改造計画」

・予想される難航/土地の権利関係が不透明さ、住民の反対による土地収容の困難さ、政権交代による政策変更など、一直線で進むとは思えない
→インドは中国への依拠も強めており、インフラ輸出で日中を競わせる側面が強まっている。

○4兆円の出資要求
・同プロジェクト 「新成長戦略」の「実証実験」の位置づけだが、「新成長戦略」の「問題点」も象徴
・資金需要の大きさ 高速貨物鉄道 第一弾だけで4500億円の円借款を供与
→さらに24都市整備9兆円の半分を日本の融資・投資を要求/円借款でなく民間投資(政府保証の?)

②「アジア総合開発計画」――アジアでの存在感の向上ねらう日本
○中国主導で進んできたアジアの広域開発計画
・日本は主として、アジア開発銀行に依拠しながら協力、が中国の存在感、資金力が格段に大きい
・最も成果をあげたとされる「メコン総合開発」
二本の産業大動脈は、中国・昆明を基点に、1本はベトナム、もう一本はタイに通じ/昆明・上海間は高速道路が通じている/ベトナム、タイと中国工業地帯の心臓部は、高速道路で直結
→ 中国とアセアンの経済的関係は大きく強化
→もともと59年、国連提唱「フジアハイウェイ構想」があり、88年に中国参加。日本は03年

○「アジア総合開発計画」とアジア各種の開発計画
・日本は、アジア開発での存在感を一気にたかめようと09年東アジアサミットで「開発計画」を提案
→ 2000年代の「東アジア共同体」推進の機運、アジア結集の中核を中国から奪取しようとするもの
・同計画は/メコン総合開発、IMT成長三角地帯、BIMP広域開発など90年代にはじまったバラバラの計画を統合し、新たにだされる計画も含め、整理し、アジア全域の経済統合を包括的に整備しようとするもの

→背景/2000年代以降の日本企業のアジア進出の急加速/アジア各国にまたがる分業体制の拡大に対応したアジア全体での自由貿易体制を財界が要求。生産ネットワーク全体をカバーする広域インフラ整備が必要となる、

・政府・財界は、突然「東アジア共同体構想」をすて、TPPへ乗り換え /米国抜きの構想を許さない圧力
→TPPと一体となった米国のアジア戦略の中で、日本の役割も大きく変化/安全保障政策も大きく転換
→アジアへのインフラ輸出・・日本(米)対中国との対立構図のもとアジア諸国の取り込み合戦、勢力争いへ

■インフラ輸出戦略は日本経済に何をもたらすか

(1)加速する産業空洞化

・新成長戦略/「インフラ・システム輸出」の位置づけ…成長するアジア内需を日本に取り込む戦略
→本当に、国内の経済成長に有効か? 産業空洞化をいくらかでも止めることができたか?/を検証

・インフラ輸出/多額の資金を援助して日本が受注しても
→建設資材は現地調達、現地の労働者を使用。日本で生産する部分があっても中枢部分だけ = 国内生産への効果は限定的。下請け企業にはほとんど仕事はまわらない
→ インフラ「輸入国」側は、製品、部品の自国内での生産を要求/原発でも、英国は、日立な調達面で6割を英国現地企業に発注することを義務づけ。新幹線なども米国では「米製品の優先購入」を要求。

・産業空洞化をますます深刻化させる
→財界が自由貿易圏をインフラ輸出とセットで要求するのは、日本から完成品を輸出するためではない/生産のアジア移転をより進めるため
→産業基盤が整備され、アジア各国のGDPが増加し、日本車のアジアでの販売が増加しても、それは日本国内で生産した日本車ではない /すでに部品の現地調達率は急激に上昇。中枢部品もアジア内調達の方向で進んでいる (日産マーチはタイ生産し、日本へ逆輸入)

(2)莫大な資金需要と国民へのリスク

○インフラ輸出の最大の難関・資金問題
・輪出相手が支払う膨大な代金を、輸出する側の日本がどう支援かするか/国際的な受注競争に勝とうとすれば、超低利・超長期の融資等が不可欠
・ODAでは到底まかないきれない/が、民間資金動員が基本だが「大きなリスクをともない対応が困難」
→「インフラ・ファンド」の設立/「アジアPPP研究会報告書
「商業性のある案件は少なく、多くの場合、民間企業が実施すれば、赤字に陥ることになる」ため「官が基礎インフラを整備したり、規制ルールを作ったりして市場の補完を行う」必要がある

★その論理/アジアのインフラ整備に参入するには/莫大な資金が必要であり、公的資金だけては賄えず民間資金の投入が不可欠/が、儲からず赤字になることは目に見えている/よって「官」が支援して民と官がリスクを分担するPPP方式とする。

○ 出資者にされる年金基金
・素朴疑問/そもそも利益が上がるものが少ない。建設から運営まで日本企業が請負。費用はインフラ・ファンドの出資・融資で賄う/そのインフラ・ファンドは、民間投資家の出資を原資とするのが「新成長戦略」
/インフラ・ファンドへの返済金・配当金は「儲からないインフラ事業」の運営益から捻出?
→ そんな投資家がいるのか? /グローバル金融メカニズム分科会「わが国の機関投資家が抱える約650兆円(企業年金100兆円、公的年金150兆円、保険会社400兆円)の金融資産を、成長するアジア、特に経済の基盤となるインフラ事業に投資することは」金融資産の有効活用に望ましい途を開く(産業構造ビジョンでも同様の記述)
・「アジア インフラ・ファンド」への投資について、機関投資家アンケート(09年)
 欧米のインフラ・ファンドへの投資経験3.5%、インフラ
 ファンドへの投資に関心がると答えた投資家のうち「新興国のインフラのみに投資を期待する」は1割弱。新興国への投資が嫌われる最大の理由「カントリーリスクの高さ」で9割超。

→ リスク覚悟で投資してくれる奇特な投資家= 公的年金基金が有力候補に
→財界から GPIFの運用規定の変更が必要。安倍政権のもと法改定。
・産業構造ビジョンでも/年金基金からの出資は「安定的な資金の運用、利回りの向上」が期待でき、それを利用する民間企業は「リスクマネーの拡充」ができ、双方お得と記述/将来は、郵貯、かんぽも予定

★ 元本保証もない、リスクの高い事業に、公的年金をつぎこむ、とんでもない構想

・2000年代後半から研究/「産業構造ビジョン」~ ODA、政府権金融機関の改革を提起
・ODAの円借款は、インフラ整備に対応するため「迅速化」し、VGF(採算補填)にも「円借款等の活用」をし、民間支援を行う・
・ODA供与機関・JICA(国際協力機構)は、「事業性が高くない」案件にも投融資し、民間投資を呼び込む。
・JBIC(国際協力銀行)は、先進国向けの投融資も「民間金融機関との協調融資」の対象とする
・NEXI(日本貿易保険)は、「非常リスクに加え、相手国の政策変更による」リスクにも対応する

★これらは、日本経団連の要求を忠実に反映したもの/ 第二次安倍内閣で、実際に実現

○リスクは最終的には国民の税金で
・原発 福島事故 2016年2月段階、被災者への賠償金だけで6兆円 /世界で賠償の統一基準はない
・原発以外でも巨額の賠償金  2010年4月 英石油会社の掘削施設からメキシコ湾への原油流出事故
 10%の投資をしていた三井石油開発グループと親会社の三井物産に、87件の損害賠償訴訟。英石油会社からも2000億円かかった原油回収費の負担を請求され、三井精機開発は、870億円を英会社に支払う。

・運営まで引き受ければ、赤字会社が続出する危険
 台湾新幹線 運営会社は開業早々、危機に陥る。/今後、建設だけでなく運営まで引き受けるケースも想定される。/不採算、経営破たんも大いにあり、その場合VGF借款、日本貿易保険で補填も… 最終的には、国民の負担となる。

・国内向きのインフラ投資として、政府出資の「インフラ・ファンドPFI推進機構」2013年設立
水道の運営権の民間売却の法改正の推進/儲かるところだけ、売られ、不採算地域は、自治体丸投げ、放置という悪魔のような光景が・・・

★「インフラシステム輸出」とは、一部のグローバル企業にとっての「成長戦略」であり、国民にとっては、空洞化を加速し、日本の金融資産や税金を湯水のように他国のインフラ事業に投入し、国民の年金基金や未来も限りなく危険にさらす戦略/将来の日本経済と日本国民を破滅に導く暗黒の大きな落とし穴を抱え込んだ戦略


【インフラ輸出と「安全保障」の一体化  安倍内閣期のインフラ輸出】

・安倍政権のインフラ輸出戦略は、民主党政権時代のものとは外形は同じでも「精神」は大きく転換~東アジア共同体構想から、広域経済圏の構築から、政治的・軍事的勢力拡大策と一体で進行
→ 米国の日本に求める安全保障上の要求、役割の変化、日米のアジアでの安全保障戦略と一体・不可分のもの
・アジアへの巨額資金提供と一体で推進。そのためのODA、政府系金融機関の改変も実施

・インフラ輸出戦略は、「日本再興戦略」の中で極めて重要な「かなめ」の意義を持ち/安倍政権の本質をもあらわにする「かなめ」でもある、

■1 「日本再興戦略」におけるインフラ輸出

(1)「国際展開戦略」の大黒柱 インフラ輸出
・「日本再興戦略」 インフラ 年間受注額 2010年約10兆円から、2020年30兆円と3倍化を目標
 →そのためには巨額資金が必要/国際会議で宣言 2015年5月「5年間で総額1100億ドル、13兆円規模の」「インフラ資金を、アジアに提供」
→頻繁なトップセールス 13年~15年5月(1国を1回と計算) 首相74回、閣僚・副大臣・政務次官含めると295回、経済団体の動向も95回。/アセアン10カ国を就任11ヶ月で訪問、首相として初めて湾岸協力機構6カ国全てを訪問

(2)アジアへのインフラ資金の大盤振る舞い 

①メコン5カ国へ7500億円
・16年以降3年間で、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーにODA資金供与を表明(15年7月)
・安全保障と不可分/共同声明「地域の平和、安全及び安定を損ないうる南シナ海における最近の動向に関し表明された懸念に留意した」と、反中国で団結を図ろうという意味合いを帯びたもの
→もともとメコン各国は比較的中国の影響力の強い国が多い。カンボジア、ラオスなど「あからさまな中国批判には慎重」な国も多く、こうしたメコン諸国を借款供与により取り込もうと踏み出したもの。

②ミャンマー
○約1000億円の円借款  
 鉄道の改修、電力設備などに利用。/2012年までODA資金供与はゼロ。13年に53.3億ドル、6400億円が供与され、突然一位に浮上。二位ベトナム16.8億ドルを大きく引き離す驚異的な額。そして15年の会議で16年以降1000億円の供与を約束

○背景に、米国の対ミャンマー政策の転換
・ミャンマーは97年以降軍政、07年軍政の改革を徐々に開始、11年ヒラリー・クリントン訪問し、民主化度合いにあわせ、経済制裁を緩和することを表明。12年、オバマ大統領の訪問、経済制裁の完全解除

・これにあわせた日本の政策転換
→ 同国の「中国頼みの経済構造から脱却」することを援助し、日本が「米国と連携してミャンマーとの関係を深める狙い」/ミャンマーは中国とインドにはさまれ、インド洋に面している。中国にとっては、良好な関係を維持したい軍事的要衝の国

・12年、経済特区の設立で合意、住友、三菱、丸紅の3商社で開発、資金、技術供与で、15年特区開設

○16年11月 スーチー氏来日時、8000億円の援助を約束
・安倍首相 今後5年間に、ODA含め官民あわせ8000億円の支援を約束
・その2ヶ月前、スーチー氏と会談し、1250億円の支援を決めている。/あわせて1兆円近い支援を約束
・中国けん制の意味合いがあるが/スーチー氏は訪日直前に中国を訪問。AIIBを通じ、電力インフラへの融資、、国際道路整備などを約束

・投資の類型では中国が圧倒的 /88~15年度まで、計180億ドル、日本6億ドル/ミャンマーは「すべての国から利益を引きだす実利路線」をとっている。

③ベトナム 2015年に1660億円の供与を約束

④フィリピン 鉄道事業に2420億円
・2015年7月 ODAによる1回の貸付額として過去財大規模の円借款
・アキノ政権 インフラ整備を目玉政策を掲げ、鉄道・高速道路など50の計画を立ち上げたが「リスクが高く」資金が集まらず、着工できたのはわずか数件にという状況/そこへの資金提供
→ アキノ政権を支える意味合いが大きなもの/中国から切り離そうとするもの
→その政治的思惑から、2017年1月に、1兆円の桁外れの支援を約束

⑤インド
○「新幹線」輸出に1兆4600億円
・2015年2月 インド高速鉄道 5区間のうち最短の1区間で、日本の「新幹線」採用決定
・この受注に、日本は最大1兆4600億円の円借款供与を約束/総事業費1兆8千億円のうち8割を日本が10年かけて供与
→この借款/償還期間50年、据え置き期間15年、利子率0.1%。巨額、低利、超長期の大判振る舞い
・安全保障の協議ともセット

○原子力協定締結
・インド 32年まで40基の建設計画、うち30基は米仏露で割当済み。残る10基を日中韓で競争
・15年12月 協定締結の合意/ インド NPT不参加。原子力開発の協力はできない
→ インドが核実験を行った場合の対応 「協力停止」は、協定に明記されず、関連文書を付しただけ。

○インドをめぐる日中
・高速鉄道構想 中国 建設費が日本の1/3、AIIBの融資を武器に参入を画策
・08年、中印「戦略的パートナーシップ」強化で合意。14年9月習主席、今後5年間で200億ドル(2兆1600億円)の投融資を約束/インド紙は、1000億ドル(10兆8千億円)との観測を報道
・インドにとり、中国は最大の貿易相手。インド側が巨額の入超
→その解決のために、中国の投資で、中国企業専用の工業団地を7つの州(14年9月時点)に作る計画/それとは別に、不動産大手・大連万達集団が、ハリヤナ州で工業団地建設を発表(16年1月)

・安倍首相 14年9月、日印会談で、今後3.5兆円の対印融資の目標を明記
・今後、日本が新たな路線を受注できるかは、先の1兆4600億円をしのぐ巨額融資の有無にかかっている
→仮に「新幹線」の受注が成功しても、巨額の「対価」が日本国民にのしかかる

・インド 巨額の財政赤字・穂ヴ駅赤字に悩みつつ、「メーク・イン・インディア」を掲げ外資導入に全力
・日印首脳会議では、日印軍事一体化のための諸協定も合意

⑥タイ
・バンコクを基点に、総距離2500km超の高速鉄道4路線を計画/うち1路線は中国受注
・15年2仮設 日タイ首脳会議で、インフラ輸出と安全保障協力の両面で合意
・日本が受注めざすバンコク・チェンマイ間は、工費1兆5千億円/タイは日本の資金に期待
・同区間は「経済性だけを考えると導入は困難」(タイ運輸相) 
→アジア地域において、遠すぎず(飛行機が有利)、近すぎず(台湾新幹線の赤字)、大量の乗客、特に恒常的なビジネス客を見込める区間はない。
→タイ側は、民間資金を活用するPPP方式で事業をすする意向。日本企業が出資すれば、損失補てんのための借款まで、未来永劫、鉄道運営に供与するはめになる

・高速鉄道以外でも、都市鉄道などで382億円の供与で合意(15年6月)
・タイの政治的立ち位置は微妙~日本がいくら多額の資金援助をしても、政治的接近・傾斜に連動するわけではない/政権交代が何度もおきている。14年5月軍事クーデター=前政権の派手なインフラ建設計画がバラマキと反発を買ったことも一員

⑦バングラデシュ
・従来から比較的多額のODA供与、ほぼ毎年1-4億ドル 有償・無償の資金提供は15年間で4千数百億円
・しかし、今後4~5年で6000億円は破格!/ミャンマーの場合と同様、対中国戦略

・中国 「中国・パキスタン経済回廊」に460億㌦(5兆円)規模を投資し道路・発電所を建設

★インフラ建設を計画するアジアの国々/インフラ建設で人気取りや政権の不満をそらそうとする。が、タイのようにバラマキ、国費の乱費との反感を買うことになる
→ そのため、日中などを競い合わせ、自国資金を使わずにすむ有利な条件を引き出そうとするので、輸出する側での加担とリスクも一層拡大/ そのうえに輸出側の政治的・軍事的思惑が加わり、競争は一層過熱する

■2 安全保障戦略と一体化するアジアへのインフラ輸出

・安倍政権下でのインフラ輸出での大盤振る舞いは ①中国を意識したアジア各国の取り込み策 ②軍事戦略との一体化 ③安倍政権下で安全保障政策が大きく様変わりしたことと一体。

(1)借款供与・インフラ輸出と一体化した軍事的協力体制の構築

①フィリピン
○インフラ輸出と防衛協力・武器輸出が同時進行 
15年6月、2400億円のODA供与の約束/同時に「訪問軍協定」の締結にむけた議論の合意
→将来、南シナ海での活動を想定し、給油などのために自衛隊がフィリピン軍の基地を使うことを認めるもの

○武器輸出
・「武器輸出のための協定締結」交渉の合意。/安倍政権下で武器輸出が可能となったが、実際には、相手国との間で武器に関する秘密保持や管理のための協定締結が必要
・15年1月「防衛協力および交流に関する覚書」、16年2月正式の防衛装備移転の協定
→訓練機T90貸与(海自保有5機のうち1機。賃料年70万円)/協定以前に既に実施、13年巡視艇(武器の範疇)10隻をODAで供与
・日本政府は無償譲渡のために財政法の改定をすすめている。

○共同訓練 15年5、6月実施 P3C参加。南沙諸島の監視に最適/沖縄からでは航続距離の関係でほとんど活動できない。 バラワン島は最適の拠点

○ 米国の対フィリピン政策との一体化
・16年1月 フィリピン最高裁 米軍再駐留を合憲
・米 東南アジアの海洋安全保障の強化 320億円拠出 15年11月
・米 南シナ海への自衛隊の関与を強く期待 安倍首相「一歩踏み込む姿勢強調」 15年11月

○ドゥテルテ大統領の反米姿勢、日本は1兆円の支援約束
16年6月、同大統領の誕生。フィリピンへの米軍回帰に批判的な姿勢
→ 「外国軍のいない国をめざしたい」「軍事同盟は必要ない」「ミサイルは必要ない」など繰り返し発言/日本からの武器援助、それと一体となった米日比の軍事関係の深化は、もはや無用との暗喩する発言
→対米決別を実行するのか、中国との関係で自立を貫けるか、不明だが、日本は、ともかく繋ぎとめようと努力

・17年1月 訪比時に、ODA、民間資金あわせ、5年間で1兆円の資金供与を約束~ 地下鉄、灌漑計画、麻薬対策など/ インフラ輸出の「ビジネス」の域すら超えた政治的資金

★日米圏につなぎとめるために1兆円も援助し、日本にどんな恩恵があるのか/中国のように巨額の貿易黒かせぐほけでもなく、米国のように基軸通貨国でもない日本…米国の代理人となって経済援助の大盤振る舞いをするのは、諸らいの日本国民に巨大な負担を背負わせることになる。

②インド
○軍事的連携のための法的整備
・15年12月訪印の目的/準同盟というべき水準で軍事協力するための3つの協定締結
~「情報保護協定」「装備移転協定」「物品役務相互提供協定」/前二者は締結
→ 3つ目の協定/自衛隊と他国軍間で燃料、弾薬等を含めた物品の円滑な融通や医療行為の相互提供するという「集団的自衛権行使」のためには不可欠の協定
・安保法制とあわせた同協定の改定 16年参院選後、米国、豪州、英国と締結。いずれインドも
○米日インドの三国連携強化へ
・が、インドが、こうした戦略に乗り、インフラ面でも、日本へ傾注するかは疑問/インドは中国とも連携を強め、米中を計りにかける「バランス外交」をすすめている。

③マレーシアも

④ベトナムと
・15年11月、海上共同訓練、防衛装備半の協力などでの協議開始で一致。/17年1月、巡視船6隻の建造費(385億円など、計1200億円の円借款供与
○米越関係が進展
・15年7月 ベトナム共産党最高指導者が訪米、オバマ大統領と会談 ベトナム戦争後初
・共同声明で、中国を牽制するとともに、ベトナム軍の装備の近代化への支援/ベトナムへ武器禁輸を一部解除

⑤タイとの微妙な関係
・インフラ輸出、政治立ち位置同様、軍事面でも日本との関係は微妙/大群と中国軍の一定の関係が続いていた

(2)安倍政権下における安全保障政策の大転換

①安保関連法案の成立で集団的自衛権の道へ

②新「日米防衛協力のための指針」 集団的自衛権行使を前提に
・日本自体が攻撃されなくても、日本人が多数働く工業団地など「国民(国民全体とは言っていない)の生命、自由、幸福追求の権利」の侵される危険がある場合は、武力行使できる
・世界中の「密接な関係にある国」(明示的な規定はない)のために武力行使

○「パートナー」国の経済的繁栄と、軍事的「能力構築」を支援せよ
○米国は「アジア回帰」策の一翼を担えるようになった日本を高く評価
安保法制の改定もインフラ輸出の軍事との一体化も、ガイドラインに端を発している
○武器輸出の解禁 
○防衛装備・技術移転協定 
○武器の共同開発も
・安部政権は、武器輸出をインフラ輸出の一環に位置づけ、成長分野のごとく位置づけ
・防衛産業はもともと、ビジネスとして成り立たせるのはきわめて難しい
→自国の軍隊がコンスタントに軍備拡張し、戦争によって武器をどんどん消費してくれる体制だけ。こくたまに外国から巨額の受注があっても維持できない/麻薬と同じ。成長分野とするのは決定的錯誤

(3)米国の「アジア回帰」策と対中国戦略

①米国のアジア回帰政策

・米国のアジア回帰 06年頃より安保戦略の修正/背景 中国への対応
・06年「QDR」 中国を「軍事的に米国と競合関係になれ、対応策をとらなければ通常兵器における米国の優位を相殺しかねない」国。「軍事技術を配備する潜在的能力が最も大きい」国と定義
→中国を書くとして結集する動き(「東アジア共同体)構想など)を「米国中心の同盟秩序を脅かすもの」と認識
し「いかなる大国も」「地域覇権をにぎ」ることを「思いとどませ」ると宣言
・同戦略では、同盟国、友好国の役割がとりわけ重要と強調/ここに安倍政権のインフラ輸出といったいとなった各国の軍事的関係の深化、構築がある。

②アジアにおける中国の力の増大

・経済的、軍事的にも急成長をとげ、インフラ輸出でも、日本が敗北する局面も
・インドネシアの高速鉄道  08年から日本の「新幹線」を提案、15年1400億円の借款も提案したが、14年に参入した中国案が採用。

・タイの高速鉄道4路線  バンコク・ラオス国境結ぶ東北線 13年、中国が受注
→中国は、この路線をラオス・ビエンチャン、中国・昆明をつなげる一方、タイから逆に南下し、マレーシア経由でシンガホールを結ぶことを構想/北上コースの15年12月着工、総事業費60億ドル(7400億円)の7割を中国が負担。残りは借款対応と、中国丸抱えの工事
・15年AIIB創設57ヶ国参加。14年シルクロード基金創設400億ドル(4兆8千億円)、「一帯一路」と連動し、アジア全土から欧州にいたる経済開発と同時に、中国の建設業、鉄道関連事業、鉄鋼業の海外市場拡大を狙う

・中国の建設業 世界トップ10のうち5社が中国(2012年)、日本のゼネコン、17位に大林組
・鉄道部門 中国中車 売上げ高 3兆7700億円/欧州鉄道ビック3の合計額を上回る額/川崎重工業、日立製作所の20倍強。桁違いの巨大さ/地下鉄車両の世界シェア約50%

■中国との競合・・冷厳に見るべき事実

①中国は世界一の輸出大国として豊富な外貨を積み上げ、湯水のごとき援助をいとわない
②インフラ輸出に付随して自国内で生産された鉄鋼、セメント、関連資材、完成品、労働者等あらゆるものを「輸出」して内需拡大と連動させられる(国内生産とほとんど連動しない日本とはまったく異なる)

・急成長し大きな力を持つに至った中国経済と中国企業のリアル実像を認識する必要がある
→中国と張り合い、日本の公的資金を浪費し、無理な受注競争にまい進すべきかどうか、ビジネスとして冷静に洞察すべき/しかも、ビジネスとしてより「勢力圏争奪戦」の様相を呈しつつある。米戦略の尖兵として、資金をばら撒き、集団的自衛権行使に突き進んでいる。

・インフラ輸出を、日本経済の「成長戦略」「日本再興戦略」と証するのは、国民に対する最大の欺瞞
・現状をリアルに見て、日本の経済と平和を守りながら、どんな道を選択すべきか、中国とどんな関係を築くべきか、透徹した分析にたって決定すべき
→ 互恵関係を追求し、自立的から平和的なアジア戦略を追求すべき時!

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