日米地位協定 抜本改定を求める知事会と連帯を!
安保条約の是非とかは別にして、「他国並みの地位協定に」の声は、知事会でさえ要求している。知事会は、2016年7月に「米軍基地負担に関する研究会」を立ち上げて、諸外国の地位協定に詳しい研究者を招いての学習会もしている。
元外務省情報局長の孫崎氏の著作で、平和条約にかかわった寺崎外交官の「地位協定のための、安保条約、安保条約のための講和条約」との言葉を紹介している。他にも中曽根氏、宮沢氏などの占領の継続と評価する言葉も・・・
よって、住民の声を背景にした知事会の主張を全面的にバックアップするのが、世論形成で極めて重要と思うのだが、そこはどうか? 自己点検が必要
以下は、2017年12月議会での質問と知事答弁
●中根県議 まず、最初に、日米地位協定についてです。在日米軍の航空機事故があまりにも多すぎます。今度は、アメリカ空軍三沢基地(青森県三沢市)のF16戦闘機が離陸直後にエンジン火災を起こし、湖に2本の燃料タンクを投棄して同基地に緊急着陸しました。落下現場から最も近い漁船までは約200メートルしか離れていなかったといいます。一つ間違えば住民を巻き添えにしかねない事態でした。 この2年間の主な事故を見ると、海兵隊では、普天間基地のオスプレイが名護市の海岸とオーストラリア沖に墜落しています。エンジンの吸気口のカバーを海上に落下させる事故も起こしました。同基地のCH53E輸送ヘリは隣接の小学校に窓を落下させました。保育園への部品落下も大きな問題です。牧草地に不時着・炎上する事故もありました。海兵隊岩国基地のFA18が高知県沖で、そして、AV8B攻撃機が沖縄本島沖で墜落をしています。 海軍では、三沢基地のEA18G電子戦機が海上に燃料タンクを投棄、横須賀基地を母港にする原子力空母のC2輸送機が沖ノ鳥島沖で墜落。空軍では、嘉手納基地のF15戦闘機やF35A戦闘機の部品落下があり、横田基地のC130輸送機が投下した貨物がパラシュートから外れ、基地内に落下する事故も起こっています。一つ間違えば住民を巻き添えにしかねない米軍機の重大事故が続発しているのです。重大なのは、住民の命を守るために、米軍機の訓練を規制する明確なルールが存在しないことにあります。 日米地位協定に基づく特例法で、航空機の安全運航に関する航空法の規定(第6章など)が米軍に適用されないことが問題です。 米軍機の危険な飛行を野放しにしている特例法の廃止を含め地位協定の抜本改定が不可欠ではないか、お聞きをいたします。■県知事 中根議員の御質問にお答えをいたします。
まず、日米地位協定について、米軍機の危険な飛行を野放しにしている航空法の特例法の廃止を含め、抜本改定が不可欠ではないか、とのお尋ねがありました。
在日米軍は 日本と極東の平和と安全に寄与する目的で日本に駐留しており、日米地位協定は、この米軍の円滑な活動を確保するとの観点から、日本における施設・区域の使用と米軍人などの出入国や刑事裁判権といった地位について規定しているもので、日米安全保障体制にとって極めて重要なものであると認識をしております。
そうした中で、最近、米軍機の墜落や部品の落下などの事故が相次いでいますが、事故はあってはならないものであり、米軍機の飛行の安全は必ず確保しなければならないものだと考えております。
政府においては、事故が発生する度に、米側の事故調査や再発防止策について、自衛隊の専門的知見も活用し検証を行うとともに、航空機の徹底的な整備や点検、再発防止の対策を講ずるよう米側に強く求めているものと承知しております。
御指摘の米軍機に関わる日米地位協定につきましては、全国知事会が、「航空機の整備点検、パイロット等の安全教育の徹底、住宅地域及び工場地帯上空での飛行制限並びに夜間離発着訓練の中止等徹底した安全対策を講じること」などについて「日米地位協定の抜本的な見直し」を国に求めているところであり、今後も全国知事会の一員として要望してまいりたいと私も考えております。
政府におきましては、日米地位協定をはじめ、米軍機の運用が適用除外となる航空法の特例法について、国民の理解と協力が得られるよう、引き続き事案に応じた取組みを通じて日米政府間でしっかり協議していただきたいと考えております。●中根県議 国際NGOスタッフとして紛争処理の現場を指揮してきた伊勢崎賢治・東京外国語大学教授は、「地位協定においては通常、『透明性』が非常に重視されており、NATO地位協定においても、基地で行われる訓練の内容を含め、駐留軍の行動については原則的に受け入れ国の許可が必要です。航空機の飛行や物資輸送などに関しても受け入れ国の了承が求められますし、基地から排出されるオイルや排ガスなどの廃棄物処理についても、受け入れ国の環境規制に従うのがスタンダードになっている」、「こうしたことがほとんど無視されて、米軍はいつでも好きなように訓練などを行える上に、制空権までも握っている。そんな不公平な対米協定をもつのは、世界広しといえども日本と、あと韓国くらいだと思います」と指摘しています。
各国は、地位協定を制定する際にも、もちろんシビアな交渉が行われていますし、その後も状況の変化などに応じて改定が加えられています。
日本と同じ第二次世界大戦の敗戦国だったドイツやイタリアは、冷戦後に占領時代からある米軍基地の管理権と制空権を回復しました。ドイツでは殺人やレイプなどの「凶悪犯」については、公務内/外を超えてドイツに第一次裁判権があると定めていますし、イタリアでは基地が置かれている地方の自治体に、アメリカ政府と直接交渉する権利まで与えています。いまだに「戦争中」ともいえるアフガニスタンでさえ、2014年にアメリカ・NATOと結んだ地位協定では、国内で罪を犯した米兵がアメリカの軍法で裁かれる場合に、アフガニスタンの政府関係者がその場に立ち会う権利を認めさせました。
フィリピンでも、基地内での米軍の行動や物資の持ち込みについてはすべてフィリピン側に管理権があって、「核を持ち込まない」という一文さえ明記をされています。環境規制についてもフィリピンの基準に従うときちんと書かれているし、何よりも、協定の一章を割いて「フィリピンの所有権」を規定しているのです。アフガニスタンとの地位協定でも、「アフガニスタンの主権」ということが、文面の中で高らかに謳われています。日米地位協定のどこを見てもそんな言葉はありません。
イラクでさえ、イラク内の米軍基地からの他国への攻撃を禁止しています。
ところが、こうした「交渉」「譲歩」の例外であったのが、日米地位協定です。締結されてから50年以上、その内容はまったく改定されずに来ています。占領下の地位がそのまま継続していることに最大の問題があります。伊勢崎氏は「日本という国家の『主権の問題』。左右の垣根も越えて、早急に取り組むべき課題」だと強く指摘をしています。
全国知事会としても諸外国の例を研究し、明確な政策提言と世論喚起を行うべきではないか。知事にお聞きいたします。■県知事 次に、全国知事会としても諸外国の例を研究し、明確な政策提言と世論喚起を行うべきではないか、とのお尋ねがありました。
全国知事会では、これまでも米軍基地対策の推進として「日米地位協定の抜本的な見直し」を国に対して提案・要望するとともに、ホームページで広く公表しているところです。
また、在日米軍基地に係る負担の状況を広く理解し、共通理解を深めることを目的に、全国知事会の中に、「米軍基地負担に関する研究会」を平成28年7月に設置し、日米地位協定についてもテーマとして取り上げ研究を進めつつあります。
2月の研究会では学識経験者から、米国が諸外国と締結している地位協定について内容や課題を聞くなどして、諸外国の事例の把握にも努めはじめたところです。
今後とも、全国知事会としては、こうした研究を踏まえつつ、国への提案・要望を継続していくことになるものと思っております。●中根県議 去る12月7日、土佐町小学校の真上を米軍機が超低空飛行で飛び、先日2月14日にはオスプレイが本山町や大豊町の市街地上空を、13時過ぎから15時前にかけて何度か飛びました。
有事以外の飛行に際しては、航空法の安全規定を適用するよう、県が被害地域の市町村と連携して国に実効ある対応を求めるとともに、米軍に対し抗議すべきだと思うが、県としてどう対処したのかお聞きいたします。■県知事 次に、有事以外の米軍機の飛行に際しては、航空法の安全規定を適用するよう、県が市町村と連携して国に実効ある対応を求めるとともに、米軍に対し抗議すべきだと思うが、県としてどう対処したのか、とのお尋ねがありました。
本県では、いわゆるオレンジルートにおいて米軍機による訓練が繰り返されているうえ、過去に3度も墜落事故が発生しており、県民の皆様はこうした状況に不安を抱えていると考えております。
このため、オレンジルートに係る低空飛行訓練については、飛行の高度をはじめ人口密集地などへの配慮といった日米で合意しているルールが守られているか、市町村と連携のもと、騒音の測定値や住民からの目撃情報をもとに実態の把握に努め、その都度、中国四国防衛局を通じて米軍当局に伝えて事実関係の確認を行っているところでございます。
御指摘の12月7日及び2月14日の飛行についても、市町村から県に届けられた情報を集約し、速やかに中国四国防衛局に低空飛行の実態として伝えております。
米軍機による低空飛行訓練については、全国的にも幅広い課題でもあります。
このため全国知事会では、国の責任で騒音測定器を増やすなど必要な実態調査と事前と事前の情報提供を行ったうえで、地域住民の不安が払拭されないまま訓練が実施されないよう措置することを政府に要望し続けているところでございます。
また、本県としても、今後とも米軍機の飛行訓練の動向を注視し、住民に不安や安全への懸念を抱かせるような超低空飛行訓練など異常な訓練が繰り返される場合は、改めて米側に是正の要求を行ってまいりたいと考えているところでございます。
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