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「現状維持」を「意欲低い」と結果改ざん  森林経営管理法案の問題点

 手入れが行き届かない森林を市町村が中心となって、林業に適した部分は民間業者に、それ以外は市町村が管理し、「伐採期」をむかえた50年の人工林の皆伐に補助金(再造林とセット)まで出して推進するというもので、持続的な森林経営を無視し、「自給率50%ありき」で、中長期的には山と林業をますます衰退・荒廃させるのではないか、と懸念の声がある。
 この法律案をとおすために林野庁が示したデータが「8割の森林所有者は経営意欲が低い」。が、「これは現状維持し頑張っていこう」という人まで、規模拡大をめざしてなく「意欲が低い」に恣意的に読み替えたもの。
日本共産党の田村議員の追及もあり、林野庁は、表記は修正したが、本質はかわっていない。それを報じた農業新聞の記事と、3月県議会でとりあげるめたに、いろいろ勉強したものの中からいくつかの紹介と整理中のメモ。

【「経営意欲低い」に林業者反発 林野庁の資料修正に波紋  農業新聞4/26】

【「新たな森林管理システム」の問題点と3つの提言 2/5 自伐型林業推進協会 代表理事 中嶋 健造】
【欧州型森林管理者研修業務委託報告書  2015年10月 奈良県】
【ヨーロッパの森再生と日本の森再生 伴昌彦 2010/10】
【森林経営管理法案、抱き合わせ部分の怪しさ 田中淳夫 | 森林ジャーナリスト 2/27】
【自給率は上がっても利益は増えず 本末転倒の林業政策 山を丸裸にする補助金の危うさ WEDGE2月号 田中淳夫】


後段に整理のためのメモ

【「経営意欲低い」に林業者反発 林野庁の資料修正に波紋  農業新聞4/26】

 林野庁が森林経営管理法案の国会審議のために配布した資料の表記を修正した問題が、林業者に波紋を広げている。「法案を通すための恣意(しい)的な行為に思える」「経営を現状維持する大切さを分かってほしい」などと林政への信頼を問う声が続出。持続可能な自伐型林業が各地に広がるなど、新たな潮流が芽生えているだけに「現場を踏まえ政策を立案してほしい」と切実な訴えも挙がる。

■関心を持つ若者に目を

 同法案は、新たに創設される森林環境税に関連する内容で、手入れが行き届かない森林を市町村が中心となって担い手に集約することが目的。同庁は「8割の森林所有者は経営意欲が低い」と森林の現状を表す資料の中で明記し、法案提出の理由としていた。根拠となったのは2015年度の林業者を対象にした調査。72%が「現状を維持したい」、7%が「規模を縮小したい」と回答していたが、「現状維持」も「意欲が低い」と丸めて表記していたことに野党から批判が挙がり、同庁は24日に表記を修正した。

 修正で問題が表面化し、現場からは林政に不信感を募らせる声が相次ぐ。42ヘクタールで林業を営む高知県佐川町の谷岡宏一さん(25)は「整備できていない山が多い現実はあるが、何とかしたいと思っている人は多い。林野庁はもっと現場と話し合って政策を考えてほしい」と訴える。

 新潟県村上市で100ヘクタールを経営する林業者の富樫勘十さん(62)は「林野庁の数字の捉え方は恣意的に思える。現状を維持したいという声の内実は多様なはず。大規模経営だけでなく、小さな目に届く範囲の林業こそ重要で、そこに若者の関心が高まっている」と語気を強める。

 谷岡さんや富樫さんは大型機械などを使わず作業道を確保して間伐を繰り返し、木材を搬出、販売する自伐型林業を進める。小規模でも持続可能な自伐型林業に共感が広がり、実践者は全国で2000人を超す。

 自伐型林業推進協会の上垣喜寛事務局長は「法案は、森林所有者が意欲がないという思い込みで制度設計されているのではないか。規模拡大しなければ意欲がないのと一緒だと決めつけられている。でも、維持することに価値はある」と主張。「(現状を維持したいと回答した)72%の声を現場に生かすような政策制度を作るよう、政治家や役人には努力してほしい」と切実に訴える。

◆木材価格の安さが問題

 森林所有者らが木材を出荷したら、地域通貨で還元するプロジェクトを進める鳥取県智頭町の岡田邦雄さん(71)は「山の管理が行き届きにくいのは、意欲がないからではなく、木材価格が安いという根本的な問題がある。林野庁はその問題にこそ向き合うべきだ」と強調。里山管理を進める農山村が増えていると感じる岡田さんは「現場の息吹をしっかり捉えてほしい」と注文する。

 一方、表記修正に対し林野庁は「管理できていない森林をどのくらいの人が新しく管理できるか、分かりやすい表現にしようと示した。誤解を招かないよう資料の表記を修正した」(企画課)と釈明する。

 愛媛大学の泉英二名誉教授は「森林所有者は経営管理意欲が低く、責務を果たせないため市町村に権利を与えるとした、法案の前提条件が揺らいだ」とみる。今後の法案審議に向け「法案の問題点を明らかにし、参院審議で議論を深めていくことが必要だ」と指摘する。


【メモ 森林経営管理法案と「新たな森林管理システム」】

(1)新制度の概要

・問題意識 森林所有者の9割近くが10ヘクタール以下の零細経営で、4分の1が地元不在者。木材価格の低迷や人手不足で伐採が進まず、伐採適期を迎えた人工林がもうすぐ5割に達する。間伐ができず、荒廃が進む森林も多いことから、適期を迎えた人工林の皆伐を推進するための仕組みづくり、
・今国会で法制化しようとしている「森林経営管理法」
 森林所有者の責務を明確にし、伐採などの責務を果たせない場合に、市町村や業者が代わって管理できる仕組みを導入/50年を上限し、市町村や森林業者が間伐や伐採、木材の販売も行えるようにする
・林業にむいている山林は「意欲のある民間業者」が管理、林業にむかない山林は市町村が管理する/その財源としての森林環境税
・所有者が見つからないときに市町村の勧告や知事の裁定で同意したと見なす「公告制度」を新設。
・法案に則した「林業成長産業化総合対策」~川上から川下までが連携した生産・加工・流通コストの一体的な削減、林道などの路網整備や機械の導入、木材加工流通施設整備、ICTなど先端技術を活用した森林施業の効率化に取り組む。
さらに「資源高度利用型施業」として皆伐に、再造林とセットで補助金を出すメニューを準備

(2)問題点

①恣意的なデータ

・林野庁の説明資料では、「経営意欲が低い”経営者」84%
→だが、元データは「意欲」ではなく「経営規模の拡大」の意志を聞いたもの/「現状を維持したい」と回答した約71%の森林所有者を「“意欲が低い」と決めつけて集計したもの。
→現状維持にも大きな価値がある。そもその、木材の輸入自由化による価格低迷が山林荒廃の最大の原因。それを不問にふすもの

②市町村管理 細部は不明

・森林所有者から経営管理権を集積する計画の策定にあたり、市町村が「経営管理が適切に行われていない森林」を特定する基準について、国会でも明確な答弁なし。「市町村のバランスを欠いた恣意的判断になっていく」と懸念がある。
・所有者が集積計画に不同意でも、勧告などを通じ「同意」とみなす仕組み。財産権の侵害
・市町村が経営管理を行う場合、所有者への利益還元が「必ずしも保証されない」

③主伐への初の補助金

・林業の補助金は、治山事業や森林の育成を行うことで水源涵養機能や山崩れ防止機能、生物多様性などを高め、最近ならCO2の森林吸収源として役立てることを目的に掲げられてきた。
・森の木を全部収穫する主伐は、経済行為であり、また、森林の公益的機能を失わせるものとして、補助金の対象外としてきた。個人の経済行為にも税金を投入。補助金のあり方の大きな転換。とにかく「量を確保」するために乱暴な皆伐が続発する危険性 →災害多発などの懸念
・再造林とセットでというが、健全な森になるまでに順調でも数十年かかるうえ、植えた苗がシカなどに食べられてしまう可能性も高く、また植林後に下刈りや間伐を行わなければ、森林としてよみがえない。再造林後の森林整備の確実な実践を担保する仕組みがない。

④「短伐期皆伐施業」一辺倒への疑問

 専門家は、『国が「新たな森林管理システム」で、“意欲がない”とされる森林所有者の森林を強引に集めて、A 材生産の初期段階である11 齢級など、人工林に「短伐期皆伐施業」を適用し、素材業者に委託して主伐するもの。が、これから価値を増す森林をさらに成長させる長期的な多間伐施業による持続的・永続的な森林経営が欠けている、との指摘。皆伐すれば、公益的機能はゼロになる。、
「長期的な多間伐施業」による持続的永続的な森林経営適しているのが「自伐型林業」。短期的な生産量を追い求める大規模林業と違い、間伐生産しながら蓄積量を増やす長期的視点の持続的林業。低投資低コストでの参入が可能、林業を主軸に置きながらさまざまな副業を組み合わせることができる点

★持続的な森林経営にとってのフォレスターの役割(2月県議会 質問)

・質問 奈良県では、森林の有する生産、防災、生物多様性維持、レクリエーションの四つの機能を一元管理し、持続可能な森林環境管理を行っているスイスを参考として、森林環境管理制度にとりくんでいます。スイスのフォレスター(森林総合監理士)を招聘して研修を実施し、「欧州型森林管理研修報告書」にまとめられていますが、その中では「日本はスイスと同じく人件費の高い国だから、安い木材を生産しても世界と勝負できない。高品質材生産にこそ活路がある」と記されています。奈良県知事は「スイスでは高い知識と権限を有するフォレスターが各地域に配置され、誇りと情熱を持って、彼らの一生をかけて、その森林の多様な機能を守っていることがよくわかった。スイスのフォレスターは、森の健康度を管理する保健師だという印象を強く持ちました」とのべています。持続的な森林経営にとってのフォレスターの役割について伺う

・部長答弁「新法では、市町村に主体となって林業に適した森林は、意欲ある事業者に委ね、そうでない森林は市町村が管理するシステムの導入準備が進められており、「市町村の役割がよりいっそう大きくなる」が、対応できる職員がいる市町村は限られており、都道府県や国の職員が「森林総合監理士」として市町村を支援する日本版フォレスター制度への要請が高まってくるとの認識を示し、現在7名の登録者数を増やし「市町村への技術的な支援の強化をはかり、地域の実情に見合った多様な森林整備をすすめていきたい」

★新年度予算 「森林・山村多面的機能発揮対策」事業がスタート。自立的経営活動推進メニューで初めて自伐林業グループへの活動支援が予算化/これまでは「山の道地域づくり交付金」の中で対応、


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