「安易な受診」招かず 子ども医療費助成拡大 医療費伸びもわずか 「日経」報道の検証
子ども医療費助成の拡大は「安易な受診を増やし医療費膨張につながる副作用は深刻」との日経の報道を保団連が検証している。
02年から16年までの子ども医療費助成対象者は、651万人から1425万人。同期間の0~14歳の医療費は4400億〔うち調剤薬局分2400億円〕で、全年齢の総医療費ののび11.3兆円と比べれば微々たるもので、時間外受診はむしろ減少傾向である。助成による必要な受診の確保で、重病化・救急搬送が減少しているのではないかと分析し、「『安易な受診』も『医療費膨張』も招いていない」と指摘している。
【「安易な受診」招かず 子ども医療費助成拡大 医療費伸びもわずか ―保団連 『日経』報道を検証―12/25】
下記は、各自治体のとりくみから分析したもの
【子ども医療費助成 「安易な受診」「医療費膨張」は起きていない2017/8】
【「安易な受診」招かず 子ども医療費助成拡大 医療費伸びもわずか ―保団連 『日経』報道を検証―12/25】
保団連は子ども医療費助成を拡大しても安易な受診や医療費膨張につながらないとする調査結果をまとめ、12月6日に東京都内でマスコミ発表した。『日本経済新聞』が8月1日付で子ども医療費助成の拡大について「安易な受診を増やし医療費膨張につながる副作用は深刻」と報じていた。調査を担当した本田孝也理事は厚労省発表のデータから子ども医療費助成制度の推移と患者動向を分析。「偏見や憶測に基づく心ない報道が繰り返されることこそ深刻だ」と批判した。
本田氏は、02年から16年までの子ども医療費助成対象年齢の自治体比率の推移(図1)を示し、02年には中学生まで助成していたのは全自治体のわずか1%だったが、16年には80%に上っていると紹介。「助成対象の引き上げは着実に進行し、対象となる人口は02年の651万人から15年には1425万人と倍増した」と強調した。
◆調剤薬局が伸びの半分
調査では子ども医療費助成の拡大が医療費膨張を招いていないことも示された。02年から16年の間に0歳から14歳の外来レセプト件数はどの年齢層でも顕著な変化がない。同期間の0~14歳の医療費は4400億円伸びているが、そのうち2400億は調剤薬局分だ。病院・診療所の伸びは1700億円で、歯科は300億円だった。本田氏は「全年齢の総医療費は11.3兆円増加しており、比較すれば子ども医療費分は微々たるもの」と指摘した。本田氏はまた、06年から16年の間の子どもの時間外受診件数(図2)を示し、子ども医療費助成が拡大してきた一方で時間外受診はむしろ減少傾向だと指摘。「助成の拡大によって必要な受診が確保されたことが疾病の重症化予防につながり、時間外受診も減ったといえるのではないか」と分析した。「子ども医療費助成の拡大は、『安易な受診』も『医療費膨張』も招いていない」と強調した。
保団連は所得制限や一部負担の撤廃、対象年齢の拡大など、子ども医療費助成をさらに拡大するよう求めている。
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