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富の82%を世界の最も豊かな1%が独占~資産ではなく労働に報酬を

 オックスファムの報告「昨年、世界で新たに生み出された富の82%を世界の最も豊かな1%が手にしたことが明らかになりました。一方で、世界の貧しい半分の37億人が手にした富の割合は1%未満」だとし、「株主への配当や経営層への報酬を制限し、すべての労働者に対して、最低賃金が生活賃金であることを保証すること」などを各国政府に提言している。
 なお、ダイヤモンドオンラインに、石水喜夫:大東文化大学経済研究所兼任研究員による「なぜアベノミクスで賃金が上がらないのか」(上、中、下)として“「賃金抑制はいいことだ」と考えた企業経営者たちの失敗 (中)1/11”
を指摘し、「賃金抑制は国民経済的観点から、間違った選択であると言わざるをえません。」と結論づけている。
 この矛盾の構造・・・マルクスの解明が生命力を発揮している。
【格差に関する2018年版報告書を発表「資産ではなく労働に報酬を」 オックスファム1/22】
【「賃金抑制はいいことだ」と考えた企業経営者たちの失敗 (中) 1/11】

【格差に関する2018年版報告書を発表「資産ではなく労働に報酬を」 オックスファム1/22】

◆昨年生み出された富の82%を世界の最も豊かな1%が独占 世界の貧しい半分の37億人の取り分はないに等しく

オックスファムは、1月23日から25日までスイスで開催される世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に先がけて、格差問題に関する最新の報告書「資産ではなく労働に報酬を(Reward Work, Not Wealth)」を発表しました。

最新報告書では、昨年、世界で新たに生み出された富の82%を世界の最も豊かな1%が手にしたことが明らかになりました。一方で、世界の貧しい半分の37億人が手にした富の割合は1%未満でした。[i]

報告書では、現在の世界経済の仕組みが資産を保有する者を豊かにする一方で、何百万人もの人々が最低限の生活水準を維持することのできないレベルの賃金で厳しい生活を余儀なくされている現状に焦点を当てています。

世界の億万長者の資産は、2010年以降、毎年平均して13%増加しています。[ii] 一方で、一般的な労働者の賃金収入は、毎年平均して2%しか増加していません。また、億万長者の数は、1年(2016年3月〜2017年3月)で2日に一人と、これまでにない水準で増えています。

世界のグローバル企業CEOの報酬水準は突出しています。例えば、バングラデシュの繊維工場で働く労働者が一生をかけて稼ぐ賃金に相当する報酬を、世界の5大グローバルファッションブランドのCEOは、たったの4日間で手にしていることになります。[iii]

ベトナムの繊維工場で働くすべての労働者250万人の賃金を、生活賃金水準に引き上げるためには、22億ドル必要です。これは、2016年、世界の5大グローバルファッションブランドによって株主に支払われた配当金額のおおよそ3分の1に相当します。

株主や経営層の報酬が増加する一方で、労働者の賃金水準や労働環境は改善していません。その具体的な要因は、労働者の権利保護の衰退、大企業による国の政策決定への過剰な影響力と関与、そして株主利益最大化のために追求される企業の容赦ないコスト削減です。

女性労働者はその中でも苦しい立場に立たされていることが多い存在です。世界各地において女性は男性より賃金水準が低いばかりか、賃金が低く、雇用の不安定な職場ほど女性が多い傾向があります。一方で、億万長者の10人中9人は男性です。

オックスファムは、ごく少数な幸運な人々だけではなく、すべての人が恩恵をうけることができる経済を実現するため、各国政府に対し、以下のことを提言します。

株主への配当や経営層への報酬を制限し、すべての労働者に対して、最低賃金が生活賃金であることを保証すること。例えば、ナイジェリアにおいて法的に定められた最低賃金を、最低限の生活水準を維持する水準とするためには、現行の最低賃金額の3倍とする必要があります。

ジェンダーによる賃金格差をなくし、女性労働者の権利を保護するための施策を導入すること。仮に新たな施策を導入しなければ、ジェンダーによる賃金や労働機会の格差がなくなるには、おおよそ217年かかります。

富裕層が相応の税金をきちんと納税するための施策を導入すること。累進課税制度の導入と租税回避のための取り組みを加速させること。また、保健医療や教育などの基本的社会的サービスのために財政予算を確保すること。オックスファムの試算によると、億万長者の資産に1.5%のグローバル税を課税すれば、世界中のすべての子どもたちが学校に通うことができる税収を確保できます。

オックスファムが新たに委託したグローバルな世論調査の結果によれば、格差対策の導入を支持する人々が圧倒的であることがわかりました。[iv] 調査対象となった10カ国7万人のうちおよそ3分の2が、経済格差は対策が必要な喫緊の課題だと答えています。

●億万長者の増加は、経済的な繁栄の表れではなく、破綻した経済システムの症状です。私たちが日々着る洋服を作り、使う携帯を組み立て、食べるものを作る人たちは、安価で安定した消費財を確保するため、企業や裕福な投資家の利益増大のため、搾取されているのです。

オックスファムは、その活動の現場で、格差に対峙する多くの女性労働者に耳を傾けてきました。貧困からは抜け出すことのできない程度の賃金を得るためにも、出稼ぎで家を離れることを余儀なくされ、子どもの顔を何ヶ月も見ることができないベトナムの繊維工場で働く女性。[v] 米国の養鶏産業でトイレ休憩さえも許されず、オムツをはいて働く女性。ドミニカ共和国やカナダのホテルでセクハラに悩まされながらも解雇されることを恐れ、声をあげることができない女性たち。これらは、特異な事例では決してありません。これが世界中の何百万人の女性たちにとって、働くことの現実なのです。

今日、格差が課題であるとの認識を示さない政治家やビジネスリーダーに遭遇することは、ある意味困難です。一方で、実際に格差対策に具体的に取り組む政治家やビジネスリーダーに遭遇することは、それ以上に困難であるとも言えます。それどころか、多くの場合、減税や労働者の権利を弱体化する施策を支持、導入することで、状況の悪化に加担しています。

人々は、変化を求めています。労働者が生活賃金を得ることのできる世界を求めています。企業や富裕層が相応の納税義務を果たし、女性労働者が男性労働者と同じ権利を享受できることを求めています。ごく少数の人々の手に握られた富と権力が、より広くの人々のものとなることを望んでいます。人々は、変化のための具体的な行動を求めているのです。
オックスファム・インターナショナル事務局長 ウィニー・ビヤニマ

先日の「クロ現代+」のグラフが話題になっているとか
11

【「賃金抑制はいいことだ」と考えた企業経営者たちの失敗 (中) 1/11】より

■金融の異次元緩和で輸入物価上昇  実質賃金は低下

 間違った経済学は、社会を破壊する危険を持っています。
 今まで見た第II期の危険もさることながら、賃金を削って利益を増やす第III期への移行は、経済学と経済政策がさらなる危険をおかしていることを示しています。
 実質賃金の低下は、物価の上昇によって生み出されました。金融の異次元緩和により、すでに大量の貨幣が供給され、「円安」が誘導されています。このため、輸入物価や資源価格の上昇へとつながり、国内物価の上昇によって、労働者の実質賃金は低下へと向かったのです。

一方、公共支出による総需要の下支えや、円安による輸出促進などによって、企業の価格転嫁環境は改善しました。
 企業は、労働者と違って、消費税率の引き上げや輸入物価上昇のコストを価格転嫁することができました。
 第III期の利益と賃金の相反は、第II期のような労使関係の変化によってもたらされたものではありません。
 政府の経済政策によって操作された相対価格によって、労働者の所得が、企業と政府に吸い上げられることになったのです(このことは昨年12月29日付けの1回目に詳述)。

■賃金抑制が成長率鈍化の要因 景気拡大に民間消費の寄与みられず

 賃金の抑制は、日本経済全体に対して、どのような影響をもたらしているでしょうか。
 景気拡大過程の経済成長率を見ると、第11循環の6%台に比べ、第12循環以降、大きく低下し、2%前後となりました。
 そして、アベノミクスのもとでの第16循環では、1%に近い値へと、もう一段の低下につながっています(図2 景気拡張過程の経済成長率とその内訳)。


第16循環の経済成長率の特徴は、民間最終消費支出の寄与が見られないことです。これは、実質賃金の低下に伴うもので、他の景気循環と比べて経済成長率が鈍化した最大の原因と言えます。
 また、過去と比べても低い経済成長率のもとで、民間企業設備や純輸出の寄与率は相対的に大きくなっています。
 実質賃金が低下し、消費支出の増加が見られない分、景気は、消費以外の需要項目に頼らざるを得ませんでした。
 異次元緩和は円安誘導によって輸出を促進し、日本の株価の割安感を生み出すことで、株式市場も活況を呈しています。実質賃金の低下や株価の上昇は企業収益を改善させ、設備投資の増加にも寄与することになったのです。
 設備投資や輸出といった需要項目の増加は、短期的には、経済成長率と景気の維持に貢献していることは認めなくてはなりません。
 しかし、設備投資や輸出主導の経済成長が、現代日本社会においてふさわしいものか、また、持続可能なものであるかは、疑わしいものがあります。

■設備投資主導は過剰供給生む危険 賃金抑制は間違った選択

 賃金抑制は、それぞれの企業の労使関係において様々な亀裂を生むばかりでなく、国民経済的な見地からも大きな問題を引き起こすことになります。
 そのことを設備投資の長期趨勢から説明しましょう(図3 戦後日本経済と設備投資の推移)。

戦後日本経済における設備投資の推移を見ると、90年代初めのバブル期までは、経済が長期の成長趨勢にあったので、投資の循環も、成長軌道の中に溶け込んでいました。
 景気後退過程での落ち込みもあまり大きくはなかったのですが、バブル崩壊以降は、設備投資は長期の低下趨勢の中にあります。
 バブル崩壊以降、賃金は抑制されたことから、企業収益の改善や投資支出の改善が、景気拡大を主導する傾向を強めました。
 しかし、設備投資は短期の需要として景気の拡大を主導するとしても、同時に資本ストックを蓄積し、巨大な生産能力を残していくことになるのです。
 投資の拡張が、その後の過剰供給を生み出し、投資循環の大きな振幅を生み出すことになります。
 この投資循環の振幅が、90年代後半以降の景気後退過程に、多大な失業者を生み出すことになっていったのです。
 人口が減少に転じた日本社会で、設備投資が長期的に減少していくことはやむを得ないことで、これを高度経済成長期のような成長趨勢に戻そうとすることは、無謀な取り組みのように見えます。
 日本は、すでに多量の資本ストックを蓄積し、高度な生産能力を備えた経済大国です。資本ストックに新たに付け加わるフローとしての設備投資が減少したとしても、資本ストックは着実に増加し、それにふさわしい需要を見つける方に難しさがあります。
 設備投資循環の振幅から逃れるためにも、設備投資から消費支出主導の需要項目へと切り替えていくことが必要であり、賃金抑制は国民経済的観点から、間違った選択であると言わざるをえません。

■資源制約のもとでは 円安・輸出主導は限界

 輸出主導の経済成長に関しても、世界経済の拡張が資源制約にぶつかり、資源価格の上昇と日本の輸入物価上昇につながっていることを直視する必要があります。
 世界が広く、資源も無限にある時代であれば、世界経済の拡大の波に乗って、輸出を増加させていくことも結構でしょう。しかし、すでに資源の制約がはっきりした状況では、世界経済が拡張し、仮に日本の輸出が増加したとしても、資源価格はすぐに上昇し、日本の支払うべき輸入品の代金も上がっていきます。
 働く人たちにとっては、仕事が増え、忙しくなったとしても、生活のために支払う金額は増え、実質生活は少しも改善しないのです。
 賃金抑制が投げかけた諸問題は、企業の労使関係の問題を大きく超えて、これからの日本経済の在り方と大きなかかわりを持つようになってきました。

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