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南スーダンPKO 戦闘そのもの! 襲撃された宿営地

16年7月のジュバでの戦闘は、宿営地をまたいで砲弾がとびかい、宿営地に逃げ込んだ住民に政府軍が迫撃砲弾をうちこむなど大規模なものだった。安倍政権は国会答弁で「発砲事案」などごまかし、派遣をつづけたが「新任務」付与の既成事実をつくるために自衛隊員の命を危険にさらした暴挙。

 その自衛隊が撤収後の南スーダンの状況と支援の活動をJVCが発信している。

【<検証 南スーダンPKO> 襲撃された宿営地 突然、戦闘の中に 東京12/18】
【首都ジュバ 戦闘そのものだった 近傍に戦車、頭上飛ぶ砲弾 資料に明記、防衛省認める 赤旗11/24】
【南スーダン、その後どうなっているの? JVC11/14】

【<検証 南スーダンPKO> 襲撃された宿営地 突然、戦闘の中に 東京12/18】

■「鉄帽、防弾チョッキを着用!」

 二〇一六年七月十日、南スーダンの首都ジュバ。国連南スーダン派遣団(UNMISS)に送り込まれた陸上自衛隊に緊張が走った。紛争が再燃して四日目、戦闘は自衛隊の宿営地近くに飛び火した。
 宿営地は日本を含め、六カ国の部隊が同居する。自衛隊の区画から百メートル離れたビルに立てこもった反政府勢力と政府軍が宿営地を挟んで撃ち合いを始めた。銃弾は隊員三百五十人が避難した建物のすぐ上を飛び交った。

 きしむ音を響かせた政府軍の戦車が自衛隊の横で止まった。バスーン。発射音とともに振動が建物を揺さぶる。砲弾は反政府勢力がいるビル八階に大穴を開け、破片は真下の住宅地に落ちた。
 逃げまどい、宿営地に押し寄せる住民たち。ルワンダ軍が自らの区画に誘導する。住民に反政府勢力が紛れ込んでいるとみた政府軍はルワンダ軍に迫撃砲弾を撃ち込んだ。すると隣接したバングラデシュ軍が政府軍に発砲を始めた。

 幸い撃ち合いは日没に収まった。万が一、国連平和維持活動(PKO)の部隊が政府軍、反政府勢力あるいは地元住民らと敵対すれば大混乱は必至で、危険な事態だった。北海道の第十一旅団幕僚長の中力修一佐は当時、施設隊長として現地にいたが、他国軍の状況は分からなかったという。「後からバングラデシュ軍が発砲したと知り『なんてことするんだ』と思った。相手に宿営地を攻撃する口実を与えてしまうところだった」と振り返る。

 宿営地を他国部隊とともに守る「宿営地の共同防護」は安全保障関連法が昨年三月に施行されて以降、実施可能になっていた。あの時、政府軍がなだれ込んだら、自衛隊は発砲に踏み切っただろうか。

 中力一佐は「それはない」と言い切る。「自衛隊は道路補修を行う施設部隊です。UNMISS工兵科の指図を受けている。宿営地を守るのは治安維持を担う歩兵部隊の役割。同じ宿営地にいた他国の歩兵部隊が命じられることになる」

 安保法施行により、襲撃された民間人を救出する「駆け付け警護」も解禁され、安倍晋三内閣は昨年十二月に派遣された施設部隊に新任務として与えた。だが、駆け付け警護はまず南スーダン政府軍や警察、次にはUNMISSの歩兵部隊の役割だ。

 結局、自衛隊が新任務に踏み切る場面はなく、「安保法は初めて適用された」というアリバイじみた実績を残して終了した。

 隊員とともに中力一佐が北海道に戻ったのは昨年十二月末。駐屯地は根雪に覆われていた。「ああ、寒いところに戻ったんだなあと。無事に全員を連れて帰れてほっとしました」
 自衛隊がPKOに参加して二十五年。専守防衛の自衛隊がどこまで関わるのか。議論は置き去りにされている。

<南スーダンPKO> 2011年7月に独立した南スーダンを支援するための国連平和維持活動(PKO)。日本政府は12年1月から今年5月まで陸上自衛隊施設部隊を派遣、道路補修などに従事した。
 (編集委員・半田滋)


【首都ジュバ 戦闘そのものだった 近傍に戦車、頭上飛ぶ砲弾 資料に明記、防衛省認める 赤旗11/24】

 陸上自衛隊が南スーダンPKО(国連平和維持活動)に参加していた昨年7月、首都ジュバで発生した政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘で自衛隊の宿営地上空を砲弾が通過し、複数の弾頭が宿営地内に落下していたことが、防衛省への情報公開請求や取材で分かりました。

 安倍政権は国会答弁で「発砲事案」などと言い換えて矮小(わいしょう)化し、派遣継続に固執しました。実際は戦闘そのものであり、一歩間違えれば現場の自衛官の生命にかかわる状況だったといえます。
 本紙は防衛省への情報公開請求で、陸上自衛隊研究本部が派遣部隊の報告に基づいて作成した「教訓要報」を入手しました。
 このうち、昨年7月の戦闘を経験した第10次派遣施設隊の「教訓要報」(今年4月13日作成)によれば、昨年7月8日午後5時30分ごろ、大統領府近傍で銃撃戦が発生。11日午後6時にキール大統領が停戦命令を発令しました。この間、自衛隊宿営地のあるトンピン地区付近の「トルコビル」で「戦車や迫撃砲を含む衝突」が発生したと明記されています。

 さらに、「宿営地への弾頭等の落下状況(平成28年7月14日までの時点)」との記述がありましたが、詳細は非開示でした。

 これに関して防衛省は本紙の取材に対して、「7月7日~11日にかけて大規模な武力衝突が発生し、戦車や迫撃砲が使用された。当時、日本隊宿営地で複数の弾頭を発見した。近傍で発砲した流れ弾が宿営地上空を飛来しており、その一部が落ちた可能性が高い」と回答しました。

 こうしたことから、南スーダン政府軍(SPLA)と反政府勢力(マシャール副大統領派)が宿営地をはさんで戦車や迫撃砲で砲撃戦を行い、その過程で弾頭が宿営地に落下したとみられます。

 今年5月28日放映のNHKスペシャルは、戦車の砲弾が宿営地上空を飛び交う中、家族あての遺書を書いたとの複数の隊員の証言を放映しています。

 国連は2011年7月の南スーダン独立に伴い、UNMISS(国連南スーダン派遣団)を創設。日本政府は12年1月から陸自部隊を派遣しましたが、昨年7月の大規模戦闘を受け、9月に撤退を検討。今年5月までに全面撤退し、活動を終了しました。



【南スーダン、その後どうなっているの? JVC11/14】

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹

「自衛隊が撤収してから、日本では南スーダンの報道が全然なくなっちゃいましたよね。現地で紛争が解決したわけじゃないと思うんですが・・いったいどうなってるんですか?」
日本で、そう尋ねられることがあります。

結局のところ南スーダンの人道危機は、自衛隊派遣という政治問題がなければ、日本ではニュースにもならないようです。しかし、現地の深刻な状況は何ら変わっていません。
自衛隊が撤退した後、南スーダンには他の国から国連平和維持活動(PKO)への増派部隊が送られています。PKO部隊が警備にあたる国内避難民保護施設では様々な暴力事件も起きており、部隊はますます危険で難しい任務に直面しています。

「自衛隊が残ればよかった」というのではありません。撤退すべきでした。しかし日本政府は、撤退を決めた際に「国際社会と手を携えて、南スーダンの平和と発展のためにできる限りの貢献をする」(3月、安倍首相記者会見)と言っていたのです。それがどうなったのでしょう?国際社会は、アフリカ連合を中心に、南スーダンの紛争解決に向けた働きかけを続けています。日本は「手を携えて」いるのか?

日本政府の動きからは、南スーダンへの関心は失われたように見えます。その一方で、憲法改正による自衛隊の「合憲化」を目指す動きなどを見ていると、南スーダンに自衛隊を派遣していたのも、「やっぱり、そういう道筋をつけるためだったのか」と思えてしまいます。

現地ではこの数か月間、敵対する政治・軍事勢力の間の和解を進め、2015年の和平合意を再び軌道に乗せるための努力が、国内でも、そしてアフリカ連合(中心はケニア、エチオピア、ウガンダなどの周辺国)によってもなされてきました。しかし具体的な成果はまだ出ていません。
「政府軍×反政府軍」の直接の戦闘行為が徐々に少なくなってきたのは確かなようです。しかし各地には武装したグループが散らばり、政治的・民族的な対立は続き、住民や車両への襲撃事件は後を絶ちません。国民の3人に1人にあたる400万人が国の内外で避難生活を送っていますが、とても故郷に戻れる状況ではないのです。

11月下旬、私はまたジュバに入ります。

今年4月、8月に支援を行ったジュバ郊外の「マンガテン国内避難民キャンプ」で、今回は子どもたちの就学支援、そして女性たちの生計向上支援を始める予定です。
国家経済の破綻による激しいインフレは、避難民の生活を直撃しています。子どもたちを学校に通わせるには少なくとも学用品(ノート、鉛筆など)をそろえなくてはなりませんが、「食費だけで精一杯で、そこまでおカネがまわらない」のが実態です。

現在の紛争によって子どもたちの未来が失われることのないように、子どもたちが就学するための学用品の支援を計画しています。
しかし、私たちが学用品の支給を繰り返し続けられるわけではありません。やはり、母親たちが家計収入を少しでも増やし、少しでも子どもの学用品におカネを回せるようになることが大切です。そのため、女性たちが家庭菜園や、揚げパンなどのお菓子や料理を作って市場で売って収入を得る、そのような活動を支援したいと考えています。そのため、今回の訪問では、まず女性たちと話し合いを行う予定です。

最後に、皆さんにお願いです。
こうした支援活動を実施するために資金が必要なのは言うまでもありませんが、クリックひとつで、協力していただくことができます。
私たちが申請している助成金「フェリシモ地球村の基金」の応援投票が始まっています。一次審査を通過したNGO7団体のプロジェクトの中から、一般の皆さんに応援投票をしていただき、投票数に応じて助成金額が決まる仕組みです。
締め切り間近になっています。ひとりでも多くの子どもが学校に通えるよう、皆さんの応援をお願いします!

●皆様のご協力のおかげで、助成希望額の満額、100万円を ご支援いただけるこ ととなりました!
南スーダンでの教育の機会、そしてその先の平和への可能性を広げてくださり、本当にありがとうございます。
プロジェクトが開始しましたら、随時ホームページ等で進捗のご報告をいたします。
引き続き、ご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

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