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森友学園問題 不当売却の処分なしは、首相の直接指示と同じこと

 森友問題・・・次々と材料があがっているが、安倍首相は関与していないと逃げ回っている。国民の8割以上が納得していない。みんな必死で税金をおさめ、必要な買い物も控えて暮らしているのだ。当然である。
木村草太氏は、“不当な国有地売却にかかわった責任者を処分しなければ、を行政の最高責任者として承認するということ”“それは、売却を直接指示することと大差ない態度だ”と指摘する。
【木村草太の憲法の新手(69)森友学園問題 首相は責任者の処分を 沖縄タイムス12/3】
【「森友」撤去ごみ 100分の1 194トン、国交省明かす12/14】
【「森友」国有地 売却協議の詳細判明 「9メートルまでごみ混在、虚偽にならぬ」東京12/20】

【木村草太の憲法の新手(69)森友学園問題 首相は責任者の処分を 沖縄タイムス12/3】

 11月22日、会計検査院は、森友学園への国有地売却についての検査結果を公表した。その概要は、次の通りだ。

 約8億円の値引きの根拠となった地中ごみについては、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できず、処分費の単価の詳細な内容等も確認できず、地下埋設物撤去・処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていた。
 さらに、財務省や国土交通省の文書が破棄されているため、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることもできない。国有地の売却等に関し、合規性、経済性などの面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた。

 同月27日から30日の衆参両院の予算委員会では、当然、この問題が追及された。これまで安倍首相は、国有地売却が適正に行われたとの認識を示してきた。しかし、今国会では、これまでの答弁は、あくまで財務省や国土交通省の担当者の調査を信頼しただけのもので、「私が調べて、私が適切であるということを申し上げたことはない」という。これは、官僚への責任転嫁だ。

 また、政府は、深さ9メートルまでごみがあるように口裏合わせしたことを示唆する録音データの存在を認めた。さらに、財務省は、売り払い前提の定期借地処理、瑕疵(かし)担保免責特約、延納特約、売却価格非公表といった処理をしたのは、ここ5年間で森友学園の事案だけであることも認めた。

 ここまでの報告や審議を総合すると、今回の不適切な国有地売却は、ついうっかりごみを調べ忘れたのではなく、森友学園に安価に土地を取得させようとする計画に基づくものと考えざるを得ない。

 安倍首相は、責任者を特定し、厳しく処分すべきだ。また、売却が適切だという報告を上げたり、国会答弁をしたりした佐川前理財局長(現国税庁長官)にも責任を取らせるべきだ。財務省を管理する麻生財務相も、おとがめなしというわけには行かないだろう。

 首相は、これまで自分が国有地売却に関与していないと強調してきた。しかし、いま問われているのは、売却に関わった責任ではなく、処分すべき者を処分できていない責任だ。関係者を処分しなければ、不当な国有地売却を行政の最高責任者として承認するということだ。それは、売却を直接指示することと大差ない態度だろう。

 首相や財務省の言動を見ていると、訳の分からない開き直りを繰り返すことで、追及する側が疲れ切って「もういいよ」と放り出すのを待っているように見える。
 実際、世論調査では、政府答弁に納得していない人が多い一方で、森友問題で下がった内閣支持率は再び上昇に転じた。国民間に、「森友問題は大問題かもしれないけど、どうせ政府は開き直るから、小さい問題だったことにしよう」という投げやりな気分が広がっているのではないか。

 しかし、それでは、政治権力のパワーハラスメントに飲み込まれてしまう。粘り強く追及を続け、責任者の処分を求めねばならない。(首都大学東京教授、憲法学者)

【「森友」撤去ごみ 100分の1 194トン、国交省明かす12/14】

 学校法人「森友学園」が大阪府豊中市の国有地を小学校建設用地として格安で取得した問題で、国土交通省大阪航空局は十三日、建設用地から実際に撤去したごみが、算定の百分の一に当たる百九十四トンだったと明らかにした。国は撤去すべきごみの量を一万九千五百トンと算定し、土地売却額を約八億円値引きしており、値引きした根拠がより揺らぐことになった。

 森友、加計学園の疑惑を追及する民進党調査チームの会合で、大阪航空局の担当者は「まだ学園内に積まれたごみもあるが、最終処分場で処理したごみは非常に少ない。森友学園関係の業者から豊中市に提出された資料では、昨年、百九十四トンと報告されている」と述べた。

 民進党議員(当時)は七月の衆院閉会中審査で、同じ資料に基づき、実際のごみの量をただしたが、財務省担当者は「財務省としては確認していない」と答弁していた。
 十三日の会合では、売却手続きに関しても取り上げられ、財務省の担当者は「学園から損害賠償請求の可能性もあると言われ、通常かける期間を短縮する必要があった。早い対応が必要だという認識で、大阪航空局に依頼した」と説明した。


【「森友」国有地 売却協議の詳細判明 「9メートルまでごみ混在、虚偽にならぬ」東京12/20】

学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、昨春行われた学園側と財務、国土交通両省との協議の詳細が本紙が入手した音声データで判明した。八億円超の値引きの根拠となった地中のごみについて、学園側の工事業者は「三メートルより下にあるか分からない」と主張し、虚偽報告の責任を問われかねないと懸念。これに対し、国側は「九メートルまでの範囲でごみが混在」しているとの表現なら、虚偽にならないと説得し、協議をまとめていた。 (望月衣塑子、清水祐樹)

 音声データには、昨年三月下旬に行われたとみられる学園側と財務省近畿財務局職員、国交省大阪航空局職員らとの協議などが記録されている。
 データでは、国側が「三メートルまで掘ると、その下からごみが出てきたと理解している」と発言。これに対し、工事業者が「ちょっと待ってください。三メートル下から出てきたかどうかは分からない。断言できない。確定した情報として伝えることはできない」と主張した。
 さらに国側が「資料を調整する中でどう整理するか協議させてほしい」と要請すると、工事業者は「虚偽を言うつもりはないので事実だけを伝える。ただ、事実を伝えることが学園さんの土地(価格)を下げることに反するなら、そちらに合わせることはやぶさかでない」とやや軟化した。
 この後、学園の代理人弁護士(当時)が「そちら(国)側から頼まれてこちらが虚偽の報告をして、後で手のひら返されて『だまされた』と言われたら目も当てられない」と懸念。工事業者は「三メートル下からはそんなに出てきていないんじゃないかな」と付け加えた。
 国側は「言い方としては『混在』と、『九メートルまでの範囲』で」と提案したものの、工事業者は「九メートルというのはちょっと分からない」と難色を示した。
 しかし、国側が「虚偽にならないように、混在していると。ある程度、三メートル超もある。全部じゃないということ」と説得すると、工事業者がようやく「あると思う」と同意。国側が「そんなところにポイントを絞りたい」と決着させた。
 国が算定した地中のごみの量を巡っては、会計検査院が最大七割過大に算定されていた可能性を示した。大阪航空局は、建設用地から実際に撤去したごみが国の算定の百分の一だったことを明らかにしている。
 音声データは十一月二十八日の衆院予算委員会で財務省が存在を認めた内容を含む、より詳細なもの。本紙が著述家の菅野完(たもつ)氏から入手した。
 本紙の取材に財務、国交両省から回答はなく、学園の当時の代理人弁護士は「一切コメントしない」と回答。工事業者の代理人弁護士は電話取材に「国と学園側の落としどころの金額に沿ったものを出したが、根拠が十分ではなかった。こちらの試算では、ごみを完全に撤去する費用は九億数千万円だった」と述べた。

◆口裏合わせ はっきり記録
<解説> 会計検査院の検査では、学校法人「森友学園」への国有地売却で八億円超の大幅値引きの根拠となった地中ごみの処分量が最大七割も過大に算定されていた可能性が示された。一方で、契約に至る資料の一部が廃棄されたことなどが壁となり、価格決定の詳しい経緯は解明できなかった。
 しかし、今回、財務省が存在を認めた音声データの全容を詳細に分析すると、地中ごみが地下三メートルより下からはほとんど出ていないにもかかわらず、地下九メートルまであるという形にまとめようと、国側が口裏合わせを求めたともとれるやりとりがはっきりと記録されていた。学園側が、国側のストーリーに合わせて報告を行えば、虚偽にとられかねないと不安視している発言も含まれていた。
 なぜ財務省職員らがそんな無理をして値引きしようとしたのか。安倍晋三首相の妻の昭恵氏が小学校の名誉校長に就いたことや、首相夫人付きの職員が国有地について財務省に照会したことが影響した可能性はないのか。
 学園側への国有地の売却では、分割払いや価格の非公表などさまざまな特例がなぜか付されていた。その理由も政府はいまだに明らかにしていない。この音声データが明るみに出たのを機に、関係者を国会に呼ぶなどして、もう一度調査をやり直すべきだ。 


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