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衆院選直後にバレる政治家の誠実さと人間性

 東洋経済 「ミセス・パンプキンの人生相談室」の記事。“そんじょそこらにはいないくらいの「政治オンチ」”を自認しながら“この度の選挙結果には「生き方」という点で、一市民として学びどころ満載でした。今回ほど政治家の「人間性」が問われた選挙があったでしょうか。”と分析。結構おもしろい。
「そんな中、67の選挙区で候補を取り下げ、野党共闘を実現させた政党もありました。共産党は議席を減らしたのに、野党共闘が成功したのは、自分たちの喜びでもあると語った志位和夫委員長には、その政治的スタンスや政策の是非は別として、誠実な人間性を感じました。」と述べ、「政治家でなくとも、過去は変えられなくても、胸を張れる未来にしていく日々の努力こそが肝心だという教訓と受け止めました。」と結んでいる。
 今回の議席減だったが新たな飛躍への一歩ととらえたい。
【排除発言ではなく「人間性」こそが問題だった  衆院選直後にバレる政治家の誠実さと人間性 ミセス・パンプキン10/24 東洋経済】

【排除発言ではなく「人間性」こそが問題だった  衆院選直後にバレる政治家の誠実さと人間性 ミセス・パンプキン10/24 東洋経済】

10月22日に衆院選の投開票が行われました。最初にお断りしておきますが、私はそんじょそこらにはいないくらいの「政治オンチ」です。「政治から遠くにいる人」(立憲民主党・枝野幸男代表の言葉)の1人といえます。ですから、主義主張について論評を行うことはしません。この度の選挙結果には「生き方」という点で、一市民として学びどころ満載でした。今回ほど政治家の「人間性」が問われた選挙があったでしょうか。
本コラムでは、「生きざま」「人間性」について考える題材として、10月22日に投開票が行われた衆院選を取り上げたいと思います。

◆小池さんの「排除」発言は、失言ではなく本音

選挙戦中も、結果が出たあとも、希望の党が失速した一番の原因は、希望の党・小池百合子代表が「(民進党のうち主義主張が合わない政治家を公認名簿から)排除いたします」と発言したことだと報道されています。
しかも多くの政治評論家は、この発言さえなければ希望の党は失速しなかったとまで評論しています。しかし、そうは思いません。多くの有権者は、その言葉の裏にある小池さんの人間性を、見抜いたのではないでしょうか。
「排除」は、質問した記者が使った言葉を受けての発言だったそうですが、失言ではなかったと思います。たとえ害虫の駆除でも、人のいないところでするものです。志を高く持った、実績のある政治家も多い人たちを指して、間違っても「排除」などという日本語は出てくるものではありません。
しかも彼女は「最初から出馬するとは言ってない」と弁解していますが、結党当時には「今の国会が変わらないかぎり、都政で頑張る」と言っていました。つまり、「結果次第では(選挙に大勝すれば)いつでも都政を放り出す」とも聞こえる発言をしておりました。
彼女が本当に安倍晋三政権を倒すつもりだったかどうかは疑問です。もしそうであれば立憲民主党には刺客を立て、自民党でもお友だちなら対抗馬を立てなかったことは、説明がつきません。
しかも刺客は政治の素人が多かったり、九州に住んでいる都民ファーストの会代表の父親を東京の選挙区に立たせるなど、候補者と選挙区の選定はばらばらで、「自分の人気に乗るのだから大丈夫、ともかく数をそろえろ」とも思える人選でした。

◆権力が欲しいだけの人に見えた

「排除」発言当時の、彼女の表情はどうだったでしょうか。永田町の数合わせ論理を使って狙う総理の座を目前にした女帝のような、傲慢で不敵な態度だったではありませんか。小池さんは日本をリセットしたかった以上に、権力が欲しいだけの人に見えました。
ちなみに「フェアウェーを目指す」までは、ゴルフを知らない私でも、前後の関係で理解できましたが、「AI(人工知能)からBI(ベーシックインカム)へ」など、今まで本人でさえ優先課題として向き合ってこなかった横文字が、選挙用政策もどきとして突如ポンポン出る彼女の演説に、違和感が大きかったのは私だけではなかったはずです。

全選挙民に訴えたかった彼女の思いとは、何だったのでしょうか。権力の座しか見ていなかった人だと言わざるをえません。繰り返しますが「排除」という強い調子を持つ言葉を使ったことは、失言などではなく、本音であったことがにじみ出ていました。
1970年代、何重もの裏切りと、7億~8億円ともいわれるカネが動いたといわれる角福戦争で敗れた故・福田赳夫元首相は「民の声は天の声というが、天の声にも変な声もたまにはあるなと思いますね。敗軍の将、兵を語らず」という名ぜりふを残しました。今回の選挙も、その変な天の声があちこちで聞こえました。
たとえば森友・加計問題では、安倍さんは「丁寧に説明しています」と言っていました。昭恵夫人の証人喚問をしないのは、自分が代弁しているからと強弁するなど、説明の中身はけっして丁寧といえるものではありません。安倍さんへの不支持率は支持率を超えているのに、この問題隠しのための解散だったと言う人も多かった選挙でした。そして、その選挙で自民党は圧勝しました。
この圧倒的勝利に、私は4月の国会答弁を思い出しました。この4月の国会で、当時の民進党の柚木道義議員が昭恵夫人の証人喚問を要請した時の安倍さんの答弁です。「内閣支持率は53%です。自民党と民進党の支持率はご承知のとおりですっ!」と、せせら笑うように突き放した、あの「答弁」です。数パーセントの支持率しかない野党の者など、質問する資格もないと言わんばかりの態度でした。
菅義偉官房長官もそうでしたが、記者会見でもワンフレーズで「それ以上でもそれ以下でもありません」と突き放し、それが通っていました。政権の支持率が急落してから、彼らのこの態度は表面上は急変し、「丁寧に説明します」という言葉だけでも聞けるようになったのです。
私は長期政権が悪いとか、安倍さんがどうこう言っているのではありません。せめてもう少し強い野党があれば、伝統的に強い自民党でも、もっと緊張感をもって政治をしてもらえたのにと思うと、残念でならないのです。選挙中の低姿勢が、選挙後に豹変するのは、大半の権力者に共通するパターンなのですから。

◆「過去は変えられないが、未来は変えられる」

現ノルウェー王の妃であられるメッテ=マリット妃は、父親が麻薬の常習犯で、ご自身も麻薬をやり、子連れだったため、当時のノルウェー皇太子との結婚は国王夫妻はじめ、全国民からも猛反対されたそうです。そのとき彼女は真摯に過去を悔い反省され、この言葉を心から全国民に訴えられたとか。ノルウェーの人々も見事だったと思いますが、この言葉に国民は感動し、彼女を皇太子妃として受け入れ、今では敬愛される存在で、妃もそれにふさわしい活動をされていると聞きました。
今回の選挙では、このビッグ野党をつくる絶好の機会をみすみす壊したような人が選ばれたり、希望の党の迷走がなければ当然選ばれたであろう有能な人が落選したりしました。
しかし過去は変えられないが、未来は変えられます。私たちに今できることは、せめて、政治家を温かく厳しい目で見る力を、まず平素より培うことが肝心だと思いました。その第一歩は、現地点での勝利宣言や敗戦の弁が参考になるのではないでしょうか。
希望の党の「チャーターメンバー」で、小池さんの地盤を引き継いだ彼女の右腕・若狭勝さんは、敗因を「野党が割れたから」と言いました。正しくは「野党を割って、与党を利した張本人は私たちです。それも小池さんの人気頼みだけで、驕り高ぶり、人選も滅茶苦茶だった」と語るべきではないでしょうか。
最後まで南スーダンの自衛隊の日報問題などでしらばっくれ、手柄でも立てて辞めるかのような辞任劇を演じた稲田朋美さんは、選挙中も「福井のおっかさんで~す」「福井のメガネとパンツを使っていま~す」しか聞こえてこない人でした。当選会見のあの割れるような笑顔には緊張の欠片(かけら)もなく、彼女はなぜ辞任したのか、当人さえわかっていないのではないかと思われる程です。反省のない人に未来はあるでしょうか。

そんな中、67の選挙区で候補を取り下げ、野党共闘を実現させた政党もありました。共産党は議席を減らしたのに、野党共闘が成功したのは、自分たちの喜びでもあると語った志位和夫委員長には、その政治的スタンスや政策の是非は別として、誠実な人間性を感じました。

勝った人は勝ってカブトの緒を締めていただき、負けた人で本当に志のある人は、捲土重来(けんどちょうらい)を期していただきたいものです。私は右も左もわからない単なる政治オンチですが、選挙結果直後の新聞やテレビ画面を見て、このように感じました。政治家でなくとも、過去は変えられなくても、胸を張れる未来にしていく日々の努力こそが肝心だという教訓と受け止めました。


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