スイス大統領、北朝鮮問題で「仲介の用意」~最大の危険は「軍事衝突」
「対話しかない」ことが現実的である。
【スイス大統領、北朝鮮問題で「仲介の用意」 ロイター9/5】
【プーチン大統領、北朝鮮問題で地球規模の「大惨事も」と警告 時事9/5】
【能力でなく脅威に軍事対応=北朝鮮非核化、手詰まり-米 時事9/5】
制裁強化という話。それはあくまで核開発をさせないためであり、北朝鮮国民を飢餓の状態におくようなことはできない。そうした行為は、戦時下でさえ許されないとジュネーブ条約は規定している。経済制裁は、結局目的は達せず、一般市民の犠牲をしいただけ・・というのがほとんどの現実。それを回避する「スマート・サンクション」という制裁方法も検討されているが・・・。
武力や圧力では解決しない・・それが世界の声でもある。
【ジュネーブ条約第一議定書第54条】●文民たる住民の生存に不可欠な物の保護
1 戦闘の方法として文民を飢餓の状態に置くことは、禁止する。
2 食糧、食糧生産のための農業地域、作物、家畜、飲料水の施設及び供給設備、かんがい設備等文民たる住民の生存に不可欠な物をこれらが生命を維持する手段としての価値を有するが故に文民たる住民又は敵対する紛争当事者に与えないという特定の目的のため、これらの物を攻撃し、破壊し、移動させ又は利用することができないようにすることは、文民を飢餓の状態に置き又は退去させるという動機によるかその他の動機によるかを問わず、禁止する。
3 2に規定する禁止は、2に規定する物が次の手段として敵対する紛争当事者によって利用される場合には、適用しない。
(a)専ら当該敵対する紛争当事者の軍隊の構成員の生命を維持する手段
(b)生命を維持する手段でないときであっても軍事行動を直接支援する手段。ただし、いかなる場合においても、2に規定する物に対し、文民たる住民の食糧又は水を十分でない状態とし、その結果当該文民たる住民を飢餓の状態に置き又はその移動を余儀なくさせることが予測される措置をとってはならない。
4 2に規定する物は、復仇の対象としてはならない。
5 いずれの紛争当事者にとっても侵入から自国の領域を防衛する重大な必要があることにかんがみ、紛争当事者は、絶対的な軍事上の必要によって要求される場合には、自国の支配の下にある領域において2に規定する禁止から免れることができる。
【スイス大統領、北朝鮮問題で「仲介の用意」 ロイター9/5】[ベルン 4日 ロイター] - スイスのロイトハルト大統領は4日、北朝鮮情勢を巡る問題の解決に向け、仲介役を務める用意があると明らかにした。
大統領は記者会見で、スイス軍は韓国と北朝鮮の国境付近に配備されており、スイスはスウェーデンと共に中立的な外交の長い歴史があると指摘した。
中国と米国は責任を果たす必要があるとし、北朝鮮の核実験に「過剰反応」しないよう求めた。
北朝鮮に対する制裁は国民に打撃を与える一方で、核開発を断念させるという目的に対して「あまり多くの変化をもたらさなかった」との見方を示した。
その上で「今こそ対話の時だ。われわれは仲介役を申し出る用意がある」とし、「今後数週間で米国と中国がこの危機にどう影響力を行使できるかが重要な鍵となる。だからこそスイスやスウェーデンには舞台裏で果たせる役割があると考えている」と強調した。
具体例として会談に適切な場所を見つけることを挙げ「これは秘密裏に行う必要がある。ツイッターは適切な手段ではない」と述べた。
「北朝鮮情勢は懸念すべき状況だ。関係国はスイスで交渉し、軍事的ではなく政治的な解決策を見出すことが可能だ」と訴えた。
ただ10月に中国共産党の党大会を控えていることから、交渉には理想的な時期ではないと指摘し「おそらくこれも北朝鮮の計画の一部だろう」との見方を示した。
北朝鮮の最高指導者、金正恩朝鮮労働党委員長はかつてベルンに留学していたことがある。
【プーチン大統領、北朝鮮問題で地球規模の「大惨事も」と警告 時事9/5】 【AFP=時事】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は5日、北朝鮮の核問題が行き詰まっている現状について、外交的に解決できなければ地球規模の「大惨事」となると警鐘を鳴らした。また北朝鮮に対して制裁を強化しても無駄との見解を示した。プーチン大統領は中国で行われた新興5か国(BRICS)首脳会議後の記者会見で「どのようなものであれ、この状況下で制裁という手段に訴えても無駄だし効果もない」と発言。「こうした全てが地球規模の大惨事につながりかねず、膨大な数の犠牲者が出るだろう」と述べた。
【能力でなく脅威に軍事対応=北朝鮮非核化、手詰まり-米 時事9/5】【ワシントン時事】北朝鮮による核・ミサイル開発に歯止めがかからない中、安全保障専門家らは、トランプ米政権が北朝鮮による核保有を事実上容認し、米国と同盟国への直接的な脅威に対してのみ軍事的対応を取る可能性を指摘している。ただ、当面は朝鮮半島への爆撃機や空母の派遣、日韓との合同軍事演習を通じて示威行動を強めるとともに、引き続き経済制裁の強化や外交交渉を模索するとみられる。
「いかなる脅威も大規模な軍事的対応に直面する」。6回目の核実験を受け、報道陣の前で声明を読み上げたマティス国防長官の表情はいつにも増して険しかった。
リチャード・ハース外交評議会議長は米メディアでの論評で、「マティス長官は(北朝鮮による核攻撃について)『能力』ではなく『脅威』と表現した」と指摘。「(北朝鮮が核攻撃能力を持つのを)防ぐためではなく、差し迫った脅威に対応するために先制行動を取るという姿勢を示唆したものだ」と分析した。
トランプ大統領は歴代の米政権と同様、北朝鮮による核保有を認めていない。だが、北朝鮮が行った6回目の核実験では、爆発の威力は過去最大規模。弾道ミサイル開発も着実な進歩を見せる。外交交渉や経済制裁が行き詰まる中、北朝鮮の核保有を事実上認めざるを得ない情勢になりつつある。
◆北朝鮮の国連決議違反の核開発を中止させるために
北朝鮮の国際ルール違反が緊張の直接的原因であり、直ちに中止すべき、であることは前提。
しかし、一方で、核開発をしていると国際的な制裁をうけている国があり、制裁する側には核兵器をもち、気に入らない政権を先制攻撃で打倒した実績をもつ国、それを「是」としている国があるという、あまりに理不尽で不都合な現実があるのも事実。
防衛白書も「北朝鮮の核開発はアメリカからの攻撃の抑止を目的とする」という主旨の説明をしている。
だったら「北朝鮮は核開発、弾道ミサイル発射はやめる」と同等に「アメリカはイラク戦争を反省し、先制攻撃戦略を放棄しろ」と積極的にはたらきかけ、対話での解決に向けて日本は努力すべき
それ以外に解決策はない。
二次大戦後も、21世紀に入っても、最も無法な戦闘で、民間人の命を奪ってきた国は、アメリカである。その結果、テロを拡大し、世界を不安定化してきた。この事実を無視はできない。
そして、この姿勢が、北朝鮮の核開発の「口実」となっている事実は否定できない。
日本政府は、北朝鮮に抗議しているが、アメリカにも「先制攻撃戦略を放棄しろ」「在日米軍基地は、先制攻撃には使用させない」というぐらいのことは言わないと、「出口」は見えてこない(NPT不参加で核兵器をもつインドには原子力開発に日米が協力というダブルスタンダードもいただけない)。
軍事的脅しや制裁は、なんの効力も発揮していない現実に対し、政権浮遊の材料に利用したいとかいう愚かな対応は有害でしかない。
軍事衝突、戦争にしてはならない…この不都合、不愉快な現実に真に向き合い「対話による解決しかない」という覚悟をもった対応が必要である。
そうした行動に踏み出す国の中に、九条をもっている日本がないのが・・・情けない。
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