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国保の現状と県単位化 ~学習会

  10月に実施する自治体キャラバンの準備の一環として、高知県社保協の事務局会議でおこなった学習会のレジュメ。
  

国保の現状と県単位化

はじめに・・・「国保」は社会保障   国保法、厚生省解説1960

●国保法は「社会保障」「国民保健の向上に寄与する」(1条)と規定し、「国は・・・運営が健全に行われるようつとめなければならない」(4条)と責任の所在を明記している。
●この4条について1960年出版された厚生省保険局国民健康保険課編「詳解 国民健康保険」では
 「(これは)国民健康保険の社会保障体系に占めるすぐれた地位を承認し、福祉国家へ歩むわが国の態度を明らかにしたものといえよう。このような規定は二〇余年前、わが国が一八、一九世紀的な自由主義的市民的法治国家にとどまっていた当時に生まれた旧国民健康保険の中にはうかがうことさえできない。
 旧法では、国民健康保険は市町村の固有事務として把握し、国はその水準の維持をはかるために必要な援助を行うにとどまり・・ 新法は、このような旧法に臨んだ国の態度を脱ぎすて、国民健康保険を国自らの事務とし、市町村に保険者として国民健康保険事業を行わせるが、この場合、市町村の事務いわゆる団体委任事務と解するにいたっている」 と解説している。 

1. 国保財政のスケッチ  〔2015年度当初予算ベース〕 
Kokuho

〔1〕支出・医療給付 
  全体  11兆7600億円   一般被保険者の医療給付 7兆7500億円 
                 後期高齢者支援金    1兆8千億円など

〔2〕収入
①保険料3兆2800億円〔高額医療・国県負担分1735億円、法定外3500億円含む〕
  → 実際の保険料/2兆7565億円

②法定内繰入 6900億円 + 1700億円

財政安定化支援事業 1000億円
保険者支援制度 1020億円  〔図に追加/15年末に +1700億円追加〕  計2720億円
保険基盤安定制度  4880億円

〔2017年度から、さらに1700億円追加〕

・財政調整機能の強化(財政調整交付金の実質的増額)
・自治体の責めによらない要因による医療費増・負担への対応    ・・・700-800億円
(精神疾患、子どもの被保険者数、非自発的失業者等)
・保険者努力支援制度・・・ 700-800億円 →1000億円
 〔2017年度は、都道府県の基金造成に200億円〕

③国庫負担金・調整交付金、都道府県調整交付金 3兆9500億円

④前期高齢者給付金 3兆6600億円  〔被用者保険料からの調整〕

〔3〕公費負担の実態
①84年改訂 国庫負担 医療給付費(自己負担3割のぞく)×50% 
      それ以前  医療費×45%(うち調整交付金5%) 
 → 医療費の35% (国庫支出金 22.4%、調整交付金6.3%、都道府県調整交付金6.3%) 

②「一般被保険者の医療給付の1/2」の実態は・・・
・医療給付7兆7500億円に対し、純粋な保険料  2兆7565億円    35.56%
               公費負担額    5兆1635億円〔+1700億円〕 66.6%

★ 84年以降は、国庫支出金の割合は低下している〔32%〕が、各種の調整交付金、支援制度などが導入され、公費負担の割合は高まっている。
→高齢者医療制度の成立とともに、老人保健への支出金の減、前期高齢者納付金の創設で、1.8兆円の収支改善

〔4〕高知県は、依然 赤字 15年1700億円分〔高知県10億円〕投入も、医療費13億円増
・実質収支 2011年▲6.1億円→▲3.5億円→▲7.2億円→▲8.9億円→2015年▲8.7億円
・法定外繰入2011年3.9億円→ 6.5億円→ 7.8億円→ 7.9億円→2015年13億3千万円
・医療費総額2011年786億円→15年810億円/一人あたり 11年35万6千円→15年40万7千円

2 問題は、加入者の構成の変化~「構造的問題」

  高すぎる保険料…公費負担を拡大したり、高齢者医療への他保険からの支援など、さまざまな手当てを実施
  が、「構造的な問題」の解決にはふさわしい公費投入になっていない・・・・ 保険料(税)負担が増加

・国保3520万人(2036万世帯)、協会けんぽ3490万人 健保組合2950万人 共済920万人 後期1470万人

①非正規・零細企業、無職が約8割へ
1965年 一次産業42.1 自営業 25.4 被用者19.5 無職6.6
   〔被用者~ 5人以下の零細業者、臨時工など、高度成長を支えた層〕
1985年  一次産業13.5 自営業30.1 被用者28.7 無職23.7
2011年  一次産業2.8  自営業14.5 被用者35.8 無職42.6 

②加入世帯の所得の低下
一世帯あたり保険料 1人当たり保険料 /加入世帯の平均所得 保険料/所得
1984年   103,188     39,020   /179.2万円       5.76
1991年   148,616     65.284    276.5万円       5.37
2011年   155,688     89,666    141.6万円       10.99 
2015年   152.352     92,124   

・高齢者が多い~  医療費は、他保険の約2倍、所得は半分以下
 平均年齢         国保 51.5 協会けんぽ36.7 組合健保34.4 共済33.2   2015年度
 65-74歳の割合       国保 37.8 協会けんぽ 6.0 組合健保 3.0 共済 1.5  2014年
 一人あたり医療費(万円) 国保 33.3  協会けんぽ16.7 組合健保14.9 共済15.2   2014年
 一人当たり所得(万円)  国保 86   協会けんぽ 142 組合健保207 共済230   2014年

★公費の投入増以外に解決の道はない・・
知事会「被用者保険なみの負担に軽減するには1兆円必要」/国保新聞 2014/07/10

3. 都道府県単位化と運動

〔1〕都道府県単位化の仕組みと目的
・2018年度より、国保の保険者が都道府県と市町村に
・国保の実務〔賦課、徴収、給付や健診など〕は市町村。都道府県が財政を担う
・被保険者数、医療費水準、所得水準にもとづき、市町村の事業費納付金を決定。県全体でプールしたお金で、医療給付を行う。
→ 現在実施している「財政安定化共同事業一円化」〔市町村の被保険者数と、医療給付費の1/2を反映させて分担金を計算〕とほぼ同様の仕組み

★国の狙い/ 都道府県を医療費削減の道具にするための仕組みを内包
・医療介護総合確保法〔14年成立〕…都道府県に「地域医療構想」の策定を義務付け/医療供給体制の整備と一体で、国保財源を握ることで「医療費適正化」を進めるもの
→ これまでの都道府県調整交付金に加え、今年度から予算手当てされる1700億円に含まれる「保険者努力支援制度」による「医療費適正化」の成果にあわせた交付金の傾斜配分〔インセンティブ改革〕

 →住民、自治体の声もあり、単純な「抑制策」は許していない。たたかいどころ

〔2〕高知県の検討の状況
○県の提案 第二回行議会16年8月
・保険料~ 「保険料水準の統一」は困難であり、当面は行わないこととする。/各市町村の納付金額に医療費指数をどの程度反映させるかについて、県と市町村で検討・協議する。その際には、現在行っている保険財政共同安定化事業(※)の財政調整の考え方等を踏まえ、県と市町村で検討・協議を行う。

・各市町村の保険料~ 「市町村は、県が定めた標準的な保険料算定方式等を参考に、実際の算定方式や保険料率等を定め、保険料を賦課、徴収」となっており、例示には、2方式から世帯割、資産割をふくめた3方式、4方式が示されている。各自治体が判断    (所得・資産:50、世帯・均等:50)

・一般財源繰入 国の整理~①赤字補填 ②保険料低減 ③ペナルティ分、独自減免分…①②を解消すべき

★国保の構造問題や策定にあたっての基本姿勢(県民誰もが必要な医療サービスを受けることができる等)については、運営方針の「策定の目的」の項目でしっかりと記載する〔2016年6月議会答弁〕

○標準保険料の試算  未公表について県の説明
・医療費水準と所得水準の反映の程度で違う。協議中 / 現在は、被保険者数、医療給付費〔1/2〕
・国の計算式   給付費増を見込みながら、連動して国から交付される調整交付金は2015年度のまま
18年度から拡充される公費の1,700億円が反映されていない
〔基準外繰り入れが反映されない)

○スケジュール
・8月末 方針案の作成と事業費納付金における医療費水準等の反映程度などの基本的な算定方法の取りまとめ
・9月 運営方針案については全市町村に意見照会、パブリックコメントの実施
・10月中旬 国から示された試算のための仮係数を用いた仮試算/11月頃に、市町村に提示
・10月下旬  「県市町村国保事業運営検討協議会」で運営方針の決定。
・12月 「国保運営協議会」での答申を経て、12月県議会に事業費納付金等に関する条例議案を提出
・来年1月 国から示される確定係〔12月〕にもとづき、事業費納付金の確定額を市町村に提示

〔3〕当面のたたかい

「構造的問題」の解決には、公費負担の増以外にありえない…ここが基本 

①市町村独自の法定外繰入の維持、確保
 一般財源の法定外繰入3500億円に対し、新たな財政措置3400億円。繰入中止すれば負担軽減にならない
厚労省は、「これまでどおり、市区町村の裁量でできる」と明言してきた/が、「ガイドライン案」の「財政収支の改善に係る基本的な考え方」では、「決済補填等を目的としたもの」は、「解消又は削減すべき対象としての法定外の一般会計繰入」に分類
~介護保険の法定外繰入禁止の3原則と同様に、「禁止」ではないのに、繰入拒否する自治体が出てきかねない。ガイドライン案は「技術的助言」であり、法的に禁止はできない。

★ペナルティ分の繰入なし 〔2015年度〕
 須崎市、馬路村、大川村、土佐町、大豊町、いの町、仁淀川町、越知町、津野末、梼原町、三原村
★財政安定化支援・繰入不足/8割のみ 〔2015年度〕〕
 南国市、須崎市、土佐清水、宿毛市、東洋町、馬路村、香美市、土佐町、本山町、大豊町、黒潮町

②法定外繰入に対する県の責任分担
 ペナルティ分 県全体で4億円 1/2は重度障害児者、1/4は一人親家庭支援と、県制度である。
 → 県に応分の負担をさせ、浮いた財源で、市町村の軽減措置を拡充させる

③独自の窓口負担の軽減
・低所得者対策/ 入院については制度をつくれば、1/2を特別交付税で手当て
・広島市の減免制度  直近の3ヶ月の収入が、
 生活保護基準の110%未満は、免除/ 130%未満は、減額
 国保の被保険者は29万人で、減免金額7300万円を一般財源から繰り入れ

④境界層措置の創設 
・保険料を払えば、保護基準を下回る境界層の措置がない(介護保険にはある)
・生活保護基準に該当する世帯の減免措置 2014年4月時点で685市町村が実施(2015/5/19 小池晃質問)

⑤少子化対策に逆行する均等割の減免 /多数世帯ほど、簡単に限度額となる問題 
・一宮市  18歳未満の児童の均等割保険料を3割軽減
・川西市  法定軽減を受けていない世帯の子ども二人目以降の均等割額を半額。法定2割軽減の世帯にも、均等割額を3割減、あわせて二人目以降の子どもの均等割額を半額に

・高知市の場合 子どもの均等割の全額免除  1億4千万円必要 (2015年3月 下本質問)

⑥資格書、短期保険証(留め置き問題、有効期間)、子どもの無保険

⑦生活を脅かすような徴収をやめさせる
A 野洲市 「滞納は貴重なSOSだ」「行政が手を差しのべるべき人」〔市長〕

 市民生活相談課〔職員市職員と4名、生活困窮者支援事業と消費者行政促進事業での嘱託3名、家計相談事業〔社協委託〕、ハローワークと一体的実施を組み合わせ〕で対応。
 各部署を網羅した市民相談総合推進委員会〔多重債務、自殺防止、人権の3つの対策連絡部会〕を設置

B 「差し押さえ奨励金」の廃止

・県国保2号調整交付金の中にある「収納確保対策」
「滞納処分の内差押処分を積極的に取り組んでいる市町村」に交付/新規差押件数が、年間平均被保険者数3千人未満は新規差押え件数10件、3千人以上1万5千人未満は50件、1万5千人以上は100件以上が要件。
新規差押え1件につき1万5千円交付するもの、

○平成23年度から平成27年度の差し押さえ
・28市町村で1450件/29市町村で1900件/30市町村で2777件/28市町村で3161件/29市町村で2816件

○2号調整交付金のうち、平成24年度から平成28年度に保険料の収納確保対策として交付した金額、
・11000千円(10市町村)/15000千円(13市町村)/20600千円(14市町村)/46470千円(21市町村)
/40905千円(21市町村)

・全国で県として「差押さえ奨励金」のような算定を行っているものはわずか数都県しかない

おわりに    議会内外、ハプコメなど積極的に対応を

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