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より少ない費用でより多くの自然エネルギー導入 2016年

 2016年の自然エネルギー発電は世界全体で161GW(1億6100万kW)という記録的な拡大にも関わらず、投資金額(2416億米ドル)は23%も減少した、自然エネルギーは最も発電コストが安い選択肢となってきているとのこと。
しかし、パリ協定の目標を達成するにはエネルギー転換の速度はまだ不十分であり、自然エネルギー技術への補助金の4倍にもなる化石燃料への補助金が阻害要因としてあげられている。

【REN21「自然エネルギー世界白書2017」公表:自然エネルギーの新たな記録が生まれた2016年 – より少ない費用でより多くの自然エネルギーが導入 2017/6/7】

【REN21「自然エネルギー世界白書2017」公表:自然エネルギーの新たな記録が生まれた2016年 – より少ない費用でより多くの自然エネルギーが導入 2017/6/7】

■自然エネルギー発電は世界全体で161GW(1億6100万kW)という記録的な拡大にも関わらず、投資金額(2416億米ドル)は23%も減少

REN21は、本日、世界の自然エネルギーの概況を最も包括的に示す年次報告である「自然エネルギー世界白書2017」(GSR2017)を発表した。

2016年は自然エネルギー発電設備の新規導入量で新たな記録が生まれた。新規導入量は161GW(1億6100万kW)に達し、世界全体の自然エネルギーの累積の発電設備容量は2015年末から約9%増加し、2,017GW(20億1700万kW)近くに達している。太陽光発電は約47%も設備容量が増加し、風力発電は34%、水力発電は15.5%設備容量が増加して後に続いた。

自然エネルギーは最も発電コストが安い選択肢となってきている。デンマーク、エジプト、メキシコ、ペルー、アラブ首長国連邦での最近の買電契約では、自然エネルギーによる電気はキロワット時あたり5セント米ドル(約5.6円)以下で調達されている。これは各国での化石燃料や原子力の発電コストより充分に安い。ドイツでの最近の2つの洋上風力プロジェクトが入札で落札されたが、発電事業者は政府支援(訳注:補助金)を必要としない電気の卸売価格のみで応札しており、自然エネルギーが最も発電コストの安い選択肢となりえることを示している。

そもそも「ベースロード」電源の必要性は、もはや神話に過ぎない。変動する自然エネルギーの発電(風力や太陽光)の割合を高めて統合していくことは、化石燃料や原子力などの「ベースロード」電源がなくとも、電力系統の国際連系、セクター・カップリング(電力と熱・輸送燃料等との連携)やICT、エネルギー貯蔵システム、電気自動車、ヒートポンプなどにより電力システムの柔軟性(フレキシビリティ)を十分に備えることで達成できる。こういった柔軟性は、変動性の発電に対して調整するだけでなく、電力システムを最適化し、当然、全体の発電コストを減らすことができる。それゆえ、自然エネルギーによる発電が100%近く、あるいは100%を超えたりするピークをうまく運用する国の数は着実に増えている。例えば、2016年にはデンマークは140%、ドイツは86.3%という電力需要に対する自然エネルギー比率のピークをうまく運用することができた。

■その他、次のポジティブな傾向が見られた:

エネルギー貯蔵技術のイノベーションと飛躍的進歩によって、より高い柔軟性が電力システムにもたらされる。2016年には、約0.8GWの新たな先進的エネルギー貯蔵設備が運転開始し、2016年末には累積で6.4GWとなった。

ミニグリッドと系統独立型システムの市場は急速に進化し、モバイル技術に支えられたペイ・アズ・ユー・ゴー(PAYG)ビジネスモデルが急成長している。2012年には、PAYG太陽光企業への投資はわずか300万米ドルだったが、2016年までには2億2300万米ドルとなった。(2015年の1億5800万米ドルから増加)

アルソロス・ゼルボス(REN21議長)は「世界では化石燃料の全ての発電設備の新規導入量より多くの自然エネルギーの発電設備が毎年導入されている。本年のGSRの中で最も重要な発見の一つは、総合的かつシステム的なアプローチこそが重要であり、それは例外ではなく、むしろルールになりつつあるということだ。自然エネルギーの割合が上昇するにつれ、総合的なツールを備えたインフラへの投資が必要となる。そのツールとは、送電網と配電網が相互に連系し統合され、需要と供給をバランスする手段(訳注:電力市場やデマンド・レスポンス)、異なる分野の組合せ(例えば、電力と交通ネットワークの統合)、それらを可能にする幅広い領域の技術の普及などである」と述べた。

それでもなおパリ協定の目標を達成するにはエネルギー転換の速度は不十分である

投資額は減少している。世界では新規の自然エネルギー発電設備とバイオ燃料生産設備への投資額は化石燃料の発電設備への投資額のほぼ2倍であったが、新規の自然エネルギー設備への投資額は2015年と比べて23%減少した。発展途上国や新興国における自然エネルギーへの投資額は30%減少し、1166億米ドルとなった。一方で先進国への投資は14%減少して1250億米ドルとなった。世界の平均気温上昇を2度を十分に下回るように抑えるという目的の達成のためにはすべての自然エネルギー技術が普及する必要があるが、投資は引き続き風力発電と太陽光発電に集中している。

交通や熱利用(冷熱を含む)の分野は依然として発電の分野と比べて遅れている。熱利用の分野における自然エネルギー技術の普及には、この市場の独特かつ分散的であるという特性を踏まえた課題が残されている。交通の分野における自然エネルギーによる脱炭素化は、まだ十分に検討されていないか、優先的な課題とは見られていない。主にバッテリー技術のコスト低減により電気自動車の販売は大幅に増えているが、十分なインフラが整備され、自然エネルギーの電気によって電気自動車が充電されるようになるためには、より多くのことが必要である。海運と航空分野は最も大きな課題だが、各国の政策あるいは商業的な分断によって、解決策が充分に普及する状況にはない。

化石燃料への補助金が依然として推進を阻害し続けている。世界的に見て、化石燃料と原子力発電への補助金は自然エネルギー技術への補助金を依然として大幅に上回っている。2016年末までに、50以上の国が化石燃料への補助金を撤廃することを約束しており、いくらかの改革がなされているが、充分ではない。2014年には化石燃料と自然エネルギーへの補助金の割合は4対1であった。自然エネルギーのために1ドルを使う間に、政府は化石燃料への依存を維持するために4ドルを使っている。

クリスティン・リン(REN21事務局長)は「世界は時間との戦いの中にいる。私たちがCO2排出量を急速かつコスト効率的に削減するために唯一の最も重要なことは、石炭から撤退し、エネルギー効率化と自然エネルギーへの投資を加速することだ。中国は100以上の開発中の石炭火力発電所計画を中止にすると2017年1月に発表したことで、世界中の政府に範例を示した。政府が、明確で長期的な政策と、資金的なきっかけとインセンティブを確立するように行動すると、変化がいかに急速に起きるかを示したのだ。」と述べている。

(翻訳:認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所)

■日本の自然エネルギー市場について(訳注:数字はいずれもISEPなどの推計)

・日本の太陽光発電市場は、2015年のピークのあと市場規模が20%縮小したにもかかわらず、2016年の日本の自然エネルギー市場(95%が太陽光発電市場)は世界3位の規模である。日本の太陽光発電の累積設備容量は、ドイツを追い越して世界第2位となった。

・太陽光発電は、2016年に8.6GW(860万kW)が新規に導入され、累積では42.8GW(4280万kW)の設備容量(太陽電池パネルの容量)となった。日本の電源構成に占める太陽光発電の発電量の割合は、2016年に4.4%となった。(2012年には0.4%)
そのうち、地域所有(ご当地エネルギー)の太陽光発電は45MW(45,000kW) (2016年末時点)。

・2016年の自然エネルギーへの投資額は前年から56%減少して144億米ドル(約6兆円)となった。この減少は、太陽光発電市場の縮小とコスト低下による。

・太陽光発電市場の縮小は、主に電力系統への接続制約およびこれまでの比較的条件の良い固定価格買取制度から入札制度などへの条件の厳しい政策変更によるものである。比較的小規模な自然エネルギー設備への投資額は69%減少し、2011年以来の低水準となった。(85億米ドル、約9500億円)

・日本の100以上の自治体において、2015年度の電力分野で、すでに100%自然エネルギーの地域となっていると推計されている(「永続地帯2016年度版報告書」参照)。東京は2030年までに自然エネルギーにより電力需要の30%を満たすことを約束している。


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