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原発の賛否を超えて…テロ・ミサイル対策の実態は? 最大のアキレス腱ん

 安倍政権が危機をあおる国々の目と鼻の先に、原発が集中立地している。
 発電していなくても、廃炉を決めても、そこに核燃料・使用済み燃料がある限り、危機の本質はかわらない。
 「電源を1日止めれば爆発・放射性物資が拡散する」という福島原発事故が示した弱点をグローバルテロリズムの集団が知らないわけがない。
 それは様々な物理的攻撃もあるし、内通者の行動やオペレーターの家族を脅迫しての行為でも発生する。
【北朝鮮有事の原発テロ対策について、原子力規制委員会は「何も話し合っていない」HARBOR BUSINESS Online 5/22】
【ミサイル攻撃の恐れに対し原発の運転停止を求める声明 脱原発弁護団全国連絡会 2017/5/2】

 欧州、また米国でも原発が行き詰まっている理由の1つが、航空機の衝突事故に耐えられる構造ということで、建屋の強化、格納容器の二重化、コアキャッチャーの設置など高コストな仕様になっていることにある。
 残念ながら、日本の「規制基準」は、それをスルーしている。
 さらに、アメリカのように武装した民間警備員もいない。多重下請け構造により作業員のチェックもぞんざい・・・

 このリスク、日本の安全保障の脆弱性を直視しないで、原発推進しながら、軍事費増強を言う政治家は、軍事産業の利益の代弁者であり、そのための反対運動の鎮圧しか頭にない。

 テロの票的にならないためには、
①中東などで無差別に民間人を殺傷してきた米国などと、ある程度距離をおいた行動をすること
②日本社会の中で、イスラム教徒などのコミュニティを排斥せず、信頼関係を築き上げ、過激思想をもつものがあれば、そのコミュニティ自体が、あぶりだすような状態をつくること。

 日米の軍事一体化(アフガン、イラクをみても軍事では何も解決せず、テロが拡散し、混乱がましているだけ)やヘイトスピート・排外主義は、グローバルテロリズムにとってなによりない活動の土壌を与えるものである。

 欧米諸国ではできない仲介や話し合いの場の設定など、日本固有の役割を放棄するのは、愚の骨頂。
ミサイル防衛、共謀罪と騒ぐが、安全保障の最大の脅威は安倍政権である。


【北朝鮮有事の原発テロ対策について、原子力規制委員会は「何も話し合っていない」HARBOR BUSINESS Online 5/22】

 北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返す中、政府は都道府県の担当者に臨時説明会を開いた。この中で示された対策とは、ミサイルが落下する可能性がある場合は「Jアラート」によるサイレンやメールが届くので、「屋外では、できる限り頑丈な建物や地下街などに避難する」「建物がない場合、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」「屋内では窓から離れる、または窓のない部屋に移動する」といった付け焼刃的なものばかり。「危機管理能力の低い“竹槍作戦”のようだ」と非難されている。

 これに関し、原子力コンサルタントの佐藤暁氏は「弾道ミサイルより可能性が高い危険は、原発へのテロです。日本の原発テロ対策は不十分」と指摘する。

「ベルギーで起きたテロでは当初は原発が標的で140人の兵士を原発に配置したと報じられましたが、アメリカでは全原発に150人の兵士がいて訓練をしています。テロ集団から原発を守るには、『140~150人の兵士が必要』というのが世界標準ですが、日本の警備体制ははるかに遅れています」

 また元陸上自衛隊幕僚長の冨澤暉氏も「北朝鮮が狙うとすれば、いちばん効果的なのは原発。日本の原発は、他国よりもずっと対策が遅れているのです。原発テロゲリラ対策を早急にしなければ、日本は福島第一原発事故以上の被害を招く」と警告している。

◆ 共謀罪では、原発テロは防げない

 小池百合子都知事の盟友で元東京地検特捜部副本部長の若狭勝衆院議員(自民党)も、以前から同様の危機感を抱いている。2015年12月9日のブログ「本当にそれでいいのですか。原子力規制委員会!」では、こう訴えていた。

「私は、かねがね、原子力規制委員会において、新たな規制基準として、『(米国の9.11のような)意図的な航空機衝突への対応』を加えながらも、その対策を講じるまでに5年間の猶予を事業者に与えた上で、原発の再稼働を認可していることが不思議でなりません。原子力規制委員会において、『意図的な航空機衝突』、すなわち、原発を狙ったテロ攻撃という事態を想定しているのですから、その危険性を十分に認識しているはずです。それにもかかわらず、なぜ、その対策を講じるまでに5年の猶予を与えるのか、その危機意識の欠如には、悲しささえ覚えます」
「5年後に東京五輪を迎えようとしている今、テロ対策に5年の猶予という笑い話のようなことには呆れるばかりです。原子力規制委員会、本当にそれでいいのですか」

 しかし現在、安倍政権が最優先課題にしているのは共謀罪の成立。これが「テロ等準備」の防止効果が乏しいことにも、若狭氏はブログで批判する。
「名称にいくら『テロ』の言葉を盛り込んでも、専門家の私から見て、この法案では、国民の多くの命をテロから守るためには効果が乏しいです」
「いかにもテロ防止に資するような名称をつけ、これでテロ対策の法律としてまずはひと安心という誤った意識を国民と政治家に抱かせる(ミスリーディングする)こと自体極めて危険です」

◆地下鉄や新幹線を止める前に、原発を止めるべき?

「テロ対策が不十分なので原発再稼働をすべきではない」「リスクを認識しながら再稼働を認めた原子力規制委員会はおかしい」と警告を発するのは、若狭氏だけではない。

「脱原発弁護団全国連絡会(共同代表は河合弘之弁護士と海渡雄一弁護士)」は5月2日、「ミサイル攻撃の恐れに対し原発の運転停止を求める声明」を発表、記者会見を開いた。
 共同代表の海渡雄一弁護士がこう切り出した。「4月29日には東京メトロや北陸新幹線の運転が止まった。しかし原発については、原子力規制委員会は『止めろ』と言っていない。これはおかしい」
 また原子力規制委員会が「特定の重大事故対処施設を作りましょう」と呼び掛ける一方で、施設完成前に再稼働を認めたことも問題視した。

◆ 原子力規制委員長「(原発テロ対策の話し合いは安倍首相ら政府関係者と)しません」

 この点について、5月17日に開かれた原子力規制委員会で、田中俊一委員長に質問した。

――北朝鮮緊迫化に関連して、日本海側にテロゲリラが上陸して原発テロを起こす懸念があると。これについては1994年6月の北朝鮮有事のときに、自衛隊の元陸幕長の冨澤さんが警察庁の幹部から相談を受けて、「日本海側の原発が狙われたら、警察だけでは対応できない。自衛隊に出動してもらえますか」という問いに対して「いや、防衛出動が出ない前の治安出動は訓練していないのでできません」と答えているのですが、その辺の問題意識はお持ちでしょうか。

・田中委員長:セキュリティの問題だね、一種の。

――そういうリスクがある中で、原発稼働をとめるどころか再稼働を認める姿勢はいかがものでしょうか。

・佐藤原子力災害対策・核物質防護課長:テロについても、武力脅威事態というのですか、そういった対応を国民保護法なりで定義されているところでございまして、私どもは、いつも委員長が国会答弁で申し上げておりますとおり、原子力安全規制の中でそうした施設の安全確保というのはあると思います。ただ、例えば、今、御質問にあるようなテロとか、それ以前の、我々規制庁として予防的に判断ができないような情報ですね、そうしたものに対して、何か組織として対応するかというと、そこは私どもの所掌というか、対応ではなくて、また別途、防衛省なり、そうしたところが対応するような役割分担ではないかと認識しているところでございます。

――今、原発テロのリスクが高まっている、緊迫化している状況の中で、原子力規制委員会としては動かないのですか。原発テロ対策をどう強化するかを話し合うべきだと思うのですが、そういうことをやっていないのですか。

・田中委員長:しません。セキュリティの強化はしていますけれども、細かいことは申し上げません。

◆質問には答えず「マイクを取り上げて」

――今回の北朝鮮の緊迫化を受けて何か動かれたのですか。安倍総理とお話はなさったのですか。政府関係者とは。

・田中委員長:していません。

――日本国民の命と安全を守る責務を放棄しているのではないですか。

・田中委員長:あなたはそう思うかもしれないけれども、していません。

――若狭勝さんは原発攻撃のリスクを指摘しているが、それに対して全然答えていないではないですか。(「航空機攻撃のリスクを認識しながら再稼働を認めているのはおかしい」と若狭勝衆院議員が指摘したブログの内容を紹介すると、「(記者の)マイクを取り上げて」と田中委員長が指示。質問は打ち切られた)

・松浦総務課長:いや、もう答えています。

 結局、原子力規制委員会は原発テロ対策について、話し合ってもいない状態のようだ。「原発の安全性」については、テロなど武力攻撃への対処も含まれなければならない。こうした問題を放置したまま原発再稼働を進めようとする、政府や原子力規制委員会の姿勢には不安が募るばかりだ。
<取材・文・撮影/横田一>


【ミサイル攻撃の恐れに対し原発の運転停止を求める声明 脱原発弁護団全国連絡会 2017/5/2】

脱原発弁護団全国連絡会
共同代表 河合 弘之
同    海渡 雄一

1 米国が北朝鮮への圧力を強め、北朝鮮がミサイルの発射実験を繰り返し、国際情勢は緊迫の度を強めている。3月17日には、秋田県男鹿市で、弾道ミサイルを想定した避難訓練が実施された。4月21日、政府は「弾道ミサイル落下時の行動について」を公表し、国民に対し、「屋外にいる場合は、できる限り頑丈な建物や地下街などに避難すること、建物がない場合には、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守ること、屋内にいる場合には、窓から離れるか、窓のない部屋に移動すること」等を呼び掛けた。4月29日の北朝鮮によるミサイル発射を受け、米国ティラーソン国務長官は、「ソウルや東京への核攻撃は現実の脅威である」と指摘した。この発射の直後、東京メトロ、東武線、北陸新幹線は、いずれも約10分間、安全確認のため運転を見合わせた。

2 ところで、追い詰められた北朝鮮が本気で日本をミサイル攻撃しようと考えれば、第一に狙われるのは在日米軍基地であり、第二に狙われるのは、原子力発電所であろうと言われている。原発は、在日米軍基地と違って無防備であり、通常のミサイルで壊滅的な被害を生じさせることができる。そもそも、日本の原発は、ミサイル攻撃に対する防護措置は全くとっておらず、原子力規制委員会が定めた新規制基準においても、そのことは求められていない。政府が上記のように国民に対ししてミサイル落下時の行動指針まで示さなければならないほどに事態が切迫しているのであれば、第一に原子炉や使用済み核燃料プール、これらの直近にミサイルが着弾することも当然のこととして想定しなければならないはずである。しかるに、現時点でテロ対策の設備(「特定重大事故等対処施設)が完成している原発は一つもない。政府や原子力規制委員会、原発事業者がミサイル着弾のリスクに対して有効な対策をとっているという説明は国民に全くなされていない。川内1、2号機、伊方3号機は今も運転中であり、玄海3、4号機、高浜3、4号機は再稼働への準備を着々と進めている。

3 もし、原子炉建屋や使用済み核燃料プールをミサイルが直撃すれば、戦慄すべき大惨事が起こる。その近くに着弾するだけでも、電源の喪失、各種設備の損壊、損傷によってその原発は深刻な危機に陥る。原発の位置、構造若しくは設備が災害の防止上支障がないものであること、原発の保全、運転について必要な保安措置がなされていることが原発使用の大前提であり、原発がこれらを満たしていない場合、原子力規制委員会は、原発の使用停止等の必要な措置を講じる権限を有している(原子炉等規制法43条の3の23)。ミサイル着弾に備える対策としては、原子炉内の核燃料及び使用済み燃料プール内の使用済み核燃料を安全な場所に運び出すしかないが、これは短期間でなし得ることではない。しかし、少なくとも現在運転中の原発の運転を停止して核燃料を冷温停止させておけば、危機が発生した場合において破滅的事態への進展を食い止めるための対策を講じる時間的余裕が生まれる。今、ミサイル着弾を想定すべき事態においてできる対策はそれしかない。

4 よって、脱原発弁護団全国連絡会は、原発事業者、政府及び原子力規制委員会に対し、次のことを求める。

(1) 現在運転中の原発を所有している原発事業者は、その運転を直ちに停止すること、そして、政府が日本へのミサイル着弾の恐れがなくなったことを表明するまで、再稼働しないこと。

(2) 現在、再稼働準備中の原発を所有している原発事業者は、政府が日本へのミサイル着弾の恐れがなくなったことを表明するまで、その原発を再稼働しないこと

(3) 政府及び原子力規制委員会は、原発事業者に対し、(1)(2)のとおり指示すること

以上


 

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