選挙応援も… 都議公用車利用に2億円 日本共産党都議団調査
東京都では正副議長だけでなく、会派幹事長に専用車を割り当てるほか、会派優先配車もあるため他府県と比べて突出した22台を保有。そのため年間費用2億円と突出。使用は自民、公明、改革の3会派に偏っており、しかも、選挙活動や党内活動など「公務」とは言えないことに使用したことを、議員のSNSなどと照合し告発している。
日本共産党都議団は、以前から公用車の使用は議長、副議長の公務に限定し、それ以外の公用車は廃止することを提案している。
【都議会議員の公用車使用に関する調査結果について 日本共産党東京都議会議員団 6/15】
【資料 都議会議員の公用車使用についての調査】
【都議会議員の公用車使用に関する調査結果について 日本共産党東京都議会議員団 6/15】
昨年、舛添前知事の公用車の私的使用が大問題となりました。都議会でもこの問題は厳しく追及され、都民的批判の高まりの中で知事辞職へと繋がりました。知事の公用車使用は一定の改善が進みましたが、都議会議員(以下、議員)の公用車使用の実態はどうでしょうか。
議員が使用する公用車は「東京都議会議会局庁有車管理要綱」に基づき運用されていますが、大本は「東京都自動車の管理等に関する規則」(以下、規則)により公用車の運用を定められています。規則の第一条に「この規則は、公務を行うために東京都が使用する庁有車及び雇上車の適正かつ効率的な運営を図る」(下線、日本共産党都議団)とあるように、公用車の使用は当然「公務」とされています。
日本共産党都議団は、議員が使用した公用車の運転日誌などから、議員の公用車の使用状況および、「公務」に限定した使用となっているのかどうかを調査し、その結果を公表するものです。
【調査概要】
・開示請求によって入手した議員の公用車の「運転日誌」(2016年4月1日~2017年3月9日)をもとに全議員の使用状況を分析。各会派・各議員ごとにまとめました。
・神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府との比較を行いました。
・議員の使用する公用車は都民の税金を原資としています。その使用実態が「公務」と言えるのかどうかを、議員の活動報告やSNSなどを参考に、可能な限り調べました。
1.調査結果の概要
⑴東京都では正副議長だけでなく、会派幹事長に専用車を割り当てるほか、会派優先配車もあるため他府県と比べて突出した台数を保有しています。そのため年間費用も突出して多額です。
⑵使用状況は、自民党、公明党、改革(旧民進党)の3会派に偏っています。また年間192日の使用をはじめ100日以上使用の議員9名、50日以上100日未満使用の議員9名も、全員3会派に所属しています。
⑶選挙活動や党内活動など、「公務」とは言えないことに使用した疑いがある事例が多数ありました。
2.公用車の配車状況
⑴都議会の公用車は22台
都議会には議員の公用車は22台配置されています。その内訳は、議長車1台、副議長車1台、幹事長専用車3台(自民党、公明党、改革)、会派の要望と会派の人数に基づく会派優先配車7台(自民党4台、公明党2台、改革1台)、共有車9台、予備車1台となっています(資料①-1~2)。
日本共産党都議団は幹事長専用車、会派優先配車ともに一貫して返上しています。
⑵他府県と比べて突出した台数
東京都と6府県で、公用車について比べてみました。
各府県とも議長・副議長は専用車を使用できます。他府県には会派幹事長に対する専用車や会派優先配車というものはなく、東京都だけの際立った特徴となっています。こうしたことから所有台数も東京都が突出して多い台数になっています。
千葉県、京都府は公用車の使用は議長、副議長に限定され、埼玉県では議長、副議長の専用車と予備車で3台となっています。
⑶公用車使用に費やした経費
東京都に次いで公用車の台数の多く、また比較可能な愛知県と経費を比較しました。愛知県の公用車台数はバスを含め10台と東京都の約半数ですが、費用は約5分の1となっています。
2015年度決算額
東京都 1億9725万円
愛知県 3940万円
3.議員の使用状況(2016年4月1日~2017年3月9日)
⑴使用日数(のべ)
・自民党 1909日
・公明党 425日
・改革 373日
・共産党 ゼロ
「表」略
⑵年間使用50日を超える議員
・専用車を使用できる自民党、公明党、改革の幹事長は全て50日以上使用しています
「表」略
⑶議長、副議長の使用日数
・議長(川井しげお・自民党、中野区選出)―年間207日使用。
・副議長(小磯善彦・公明党、町田市選出)―年間178日使用。
4.調査によって明らかになった問題点
⑴選挙活動や党内活動に公用車使用の疑い
(主な事例)
・4月12日、自民党都議の「奥様感謝の会」が夕方以降行われています。
その会に宇田川聡史都議、内田茂都議、神林茂都議、高島なおき都議、川井しげお議長が参加していますが、それぞれ17時~18時前後に公用車で「千代田区」に行っています。高島なおき都議は「参議員選挙都議会自民党選対本部長」として選挙のお願いをしています。
→資料③-1~6
・5月6日、古賀俊昭都議(自民)が参議院会館で行われた片山さつき参議院議員の拡大選対会議に参加しています。この日、古賀都議は公用車で「千代田区」に行っています。
→資料③-7~8
・7月6日、高島なおき都議(自民党)がブログで「中川雅治デー」とのタイトルで「7月6日(水)終日、参議院選挙で頑張っています。」と投稿しています。
高島都議は、7月6日は終日公用車を使用しています。→資料③-9~10
・11月17日、崎山知尚都議(自民党)の「政調会長就任を祝う会」が台東区・浅草ビューホテルで行われました。崎山知尚都議、高木けい都議、栗山欽行都議、高島なおき都議、川井しげお議長の参加が確認できますが、この都議らは夕刻の時間帯に公用車で「台東区」に行っています。
「政調会長就任を祝う会」の参加は確認できませんでしたが、他にも同日、夕刻時間帯に公用車を使用して台東区に行っていた議員(自民党)が6名いました。→資料③-11~17
・11月30日、中嶋義雄都議(公明党)が公明党府中総支部大会に参加しています。
同日、中嶋都議は公用車を使用して19時に「府中市」に行っています。→資料③-18~20
・1月25日、高島都議(自民党)が八潮市選出の埼玉県議の県政報告会に参加しています。
この日、高島都議は公用車を使用して「八潮市」に行っています。→資料③-21~22
⑵登庁、帰宅に使用した疑い→資料④-1~2
・いわゆる、通勤(登庁、帰宅)にのみ使用していると思われる事例が多数ありました。自民党の神林茂都議は使用日数72日中35日、高橋信博都議は124日中45日が通勤のみの使用の疑いがあります(運転日誌で「庁→○○(それぞれの自宅がある自治体)→庁」のみしか記載のない記録から計算)。
・「庁→○○(それぞれの自宅がある自治体)→庁」のような使い方をしている議員は他にも多数確認されました。
・
⑶短距離でも高速道路・有料道路を使用→資料⑤-1~2
・高速道路などの有料道路使用料金は1,153万円(2015年度決算)となっています。
・中嶋義雄都議、長橋桂一都議(公明党)が通勤と思わる使用の際、わずかな距離でも高速道路を使用しています。中嶋都議は使用日数168日中85日(世田谷区の自宅で計算)、長橋都議(自宅は豊島区)は88日中58日でそういった疑いのある使用をしています。
◆調査の結論
昨年、舛添前知事の公用車の私的使用が大きな問題となりましたが、同じように自民党議員を中心に、公明党、改革の議員が「公務」とは言えないような事例に使用した疑いが多数確認されました。
今回の調査でわかったことはほんの一部であり、他にも「公務」以外があると推察されます。
これまでこうした実態がほとんど明らかにならなかった背景には、詳細を知るシステムが存在しないことがあります。公用車を何月何日にどの議員が使用したかはわかりますが、あくまで公用車の運転日誌であり、議員がどのような「公務」で使用したかなどの記録はありません。
わが党は、幹事長専用車、会派優先配車の廃止などを提案してきました。公用車の運用はすべて都民の税金です。公共交通が発達し、携帯電話なども普及している現代において、議員が日常的に公用車を使用する必要はなくなってきています。現に、日本共産党都議団は十数年にわたって幹事長専用車、会派優先配車を辞退してきましたが何の不都合もありませんでした。
日本共産党都議団は、改めて、公用車の使用は議長、副議長の公務に限定し、それ以外の公用車は廃止することを提案するものです。
以上
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