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アベ友特区が見えてくる~山本大臣「獣医学部で質低下」発言に、獣医学会が見解

 「加計ありき」をごまかずために「岩盤規制で質が低下」の述べた山本大臣の発言に全国大学獣医学関係代表者協議会と日本獣医学会が、「根拠なき批判」と声明を発表。獣医学の現状もよくわかる内容となっている。
話題となった英国のQS 世界大学分野別ランキング。50位内に2016年はじめて1校が入ったのだが、「医学分野」も状況はおなじ、工学分野全般でも3校しかない。それを踏まえ、50位以内が欧米・豪で占められていることに関し、その背景に教員・研究スタッフの歴然とした差があることを指摘している。
 日本には、入学定員30~120 名に対し、教員68~77 名以上とするという基準があるのだが、現実には1校あたりの専任教員数は25 名~60 名程度。単独でこの基準を達成している大学はないという。
  対して欧米諸国は小規模校でも100 名以上、大規模校では300 名を優に超える教員、さらにほぼ同数の支援スタッフが教育と研究に従事しているという。
 もし、研究基盤の強化を本格化するためなら、京産大の学部新設、大阪大学の定員増も認め、大学の運営交付金も毎年削減しつづけるのでなく、抜本的に充実せざるべきである。まさに「国家戦略」に値する。そうした狙いもなく、獣医師の需給も検討せず、加計学園だけを認めた、という異常さが浮き彫りになる。

【獣医師の需給、考慮せず認可 畠山議員「加計」問題で責任ただす 赤旗6/15】
【「日本の獣医学部の質は落ちている」という山本幸三特命担当大臣の発言について 6/8】
【北大獣医学部教授 山本大臣の発言に「根拠なし」と猛反論 日刊ゲンダイ6/16】

【獣医師の需給、考慮せず認可 畠山議員「加計」問題で責任ただす 赤旗6/15】

 日本共産党の畠山和也議員は14日の衆院農林水産委員会で、国家戦略特区で学校法人「加計学園」が計画する獣医学部新設について、獣医師の需給バランスに与える影響なども考慮せずに認可した政府の責任をただしました。
 活動獣医師は、「産業動物」「公務」「小動物」などに分かれ、同学園が提案している創薬や「ライフサイエンス」に関する獣医師は「その他」とされ、農水省は需給に責任を負わないとしてきました。
 畠山氏は、「その他」の獣医師の需給についてどの省庁が責任を負うのかと質問。松本洋平内閣府副大臣は所掌する省庁名をあげられず、責任の所在を語らないまま「関係省庁の文科、農水両省が(学部新設の)需要がないと立証していない以上、問題ない」と強弁しました。

 畠山氏は、学部定員を160人とする学園の提案に関し、「60~80人程度を標準とし、120人を超えないことが望ましい」との公益財団・大学基準協会の基準を紹介。「需給状況を検討してきたのか」とただすと、松本副大臣は「160人は応募書類に記載された人数だ。今後精査される」と述べ、まともに検討していないことが浮き彫りとなりました。
 畠山氏は「事業者が書いてきたから、まったく検討せず認めたのか。需給の問題でも、誰が責任を負うのか明らかでない」とし、認可は結論ありきだと批判しました。


【「日本の獣医学部の質は落ちている」という山本幸三特命担当大臣の発言について 6/8】

全国大学獣医学関係代表者協議会 会長 稲葉 睦
(公社)日本獣医学会 理事長 中山 裕之

●今般、岡山理科大学獣医学部新設を巡る一連の報道において、以下のような山本幸三特命担当大臣の発言を含め、「日本の獣医学部の質が落ちている」という言及が散見されます。

「国家戦略特区を担当する山本幸三・地方創生相は・・・(略)。獣医学部が約50年にわたって新設されていないことに言及し、『新たな需要に対応できない状況を作っていることの方が、行政としておかしい。長年にわたって(新設を)認めなかったことで、日本の獣医学部の質は落ちている』と指摘した。(朝日新聞DIGITAL、5 月30 日)」
この記事は、同日の記者会見内容(内閣府ホームページ、以下抜粋)に基づくものです。
「・・・。そして、それだけ長年にわたって認めなかったことによって、残念ながら日本の獣医学部の質は落ちています。これは国際機関が各獣医学部のランキングというのを発表していますが、50 位以内には、東京大学が34 位に、1校しか入っていないという状況でありまして、OECD 諸国はかなり複数入っています。そういうことにまで至っているということを私は認識するのが本来の行政ではないかと。・・・」

日本の獣医学教育・研究、獣医師養成に従事する大学人、科学者として、私たちは社会からのあらゆる意見を真摯に受け止め、これらに対応し、将来の教育・研究に有効に反映させる責務があります。なぜなら、獣医学は、伴侶動物・産業動物の臨床医療、ライフサイエンス、公衆衛生、食の安全、感染症対策・予防、製薬・食品産業、畜産物貿易、地球環境保全等、極めて多様な領域で国民の健康と日常生活に直結し、大学における獣医学教育、獣医師養成と学術研究が、それらの基盤となるものだからです。その観点から、今般の「日本の獣医学部の質は落ちている」という発言に対して、決してそうではないこと、現在、まさに質を向上させつつあることを広く一般市民、獣医師、報道関係、ならびに当該行政担当の方々に理解していただくために、獣医学教育改善の経緯と現状の概要を説明いたします。

●まず1点目として、日本の獣医学教育・研究の過去と現在についてです。日本の獣医学は、明治以後、軍馬の育成と牛など産業動物の増産を目的とし、戦後は時代とともに犬など小動物の獣医療、ライフサイエンス、公衆衛生等を包含しながら発展し、現在に至っています。
そのなかで先達は常に欧米を視野に入れ、それと伍すことを意識してきました。現在、我が国では獣医学と獣医療がカバーする多様な分野において、研究の質と研究に基づく教育の質は欧米に比しても決して劣るものではなく、むしろ高く評価される強み・特色があるのは厳たる事実です。そして、これらの強みと特色は、学部卒業生・大学院修了生の基礎生命科学から臨床、公衆衛生等にわたる多様な分野/国内外での活躍、質の高い学術研究業績、世界的にも高度な獣医療の実践、あるいはOIE やWHO のような国際機関との協働、欧米大学との教育・研究連携など、数多くの例にみることができます。

従来の日本の獣医学専門教育は、臨床獣医師の育成に主眼を置いた欧米の教育とは一線を画し、基礎、応用、臨床各分野の学術研究者の育成にも力点を置いてきました。近年、欧米の獣医学教育でも、こうした研究指向性の高い教育も重視する流れが生じています。一方で、その日本の獣医学教育は、獣医師の国際通用性を目指し、臨床教育や公衆衛生教育の欧米並み充実を目標に、昭和57 年の6年制教育への転換を含め、まさに長年にわたってその改善に取り組んできました。ようやく今、その達成目標が見えてきたところです。それだけの時間を要した理由として、獣医師に対する社会的要請や認知、大学人の獣医学教育に対する認識、そして獣医学教育への資本投下に対する、農畜産業大国である欧米諸国と日本との相違が背景として挙げられます。

しかし、現代は、一人の獣医師の判断が世界のヒト、動物、環境の健康・健全に大きな影響を及ぼし得る時代です。国際社会で通用する獣医師としての資質と能力を備えた人材の育成と、そのための教育改善があらゆる地域で不可欠となっています。日本においても獣医学教育改善は、特に過去10 年間で具現化しています。平成23 年5 月、文部科学省に設置された獣医学教育改善・充実に関する調査研究協力者会議は「教育・研究体制の充実」「コア・カリキュラムの策定と実施」「分野別第三者評価の導入と実施」「共用試験の導入と実施」「附属動物病院・実習環境の改善」を取り組みの5本柱として、獣医学教育改善の目標を「国際水準化」と定めました(獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議「今後の獣医学教育の改善・充実方策について」意見のとりまとめ、平成24 年8 月改訂)。これを基に、現在、全国の国公私立獣医系16 大学は、臨床・公衆衛生の実践的教育強化をはじめとする多様で高度な現代の獣医学に対応し得る充実した教育の実施、ならびに自律的・継続的な教育改善のための質保証システムの構築に向けて、国立大学改革強化推進補助事業や公共獣医事教育推進委託事業等の公的支援を受けつつ、上述の取り組みを推進しています。共同獣医学部や共同獣医学科等の共同教育課程の実施、国際認証取得に向けての取り組み、共用試験の実施などがその主たるものです。また、日本獣医師会との連携のもと、臨床や公衆衛生/家畜衛生現場の優秀な人材の協力による実践的教育連携もこれらの取り組みに含まれます。こうした取り組みは、獣医学専門教育の質の向上のみならず、大学教育の質保証の自律的・継続的向上や教育評価・認証の仕組み作りを他分野に先駆けて行うという点でも意義があります。

加えて、臨床教育の充実と研究者育成を両立する、むしろ世界をリードし得る獣医学教育・研究体制の整備に向けたものともいえます。

●2点目は、大臣が記者会見で言及した英国のQS 世界大学分野別ランキングについてです。
こうしたランキングは、多元的な項目評価によって行われ、評価方法や評価機関などによって変動するため、順位自体に一喜一憂すべきではありません。しかし、ランキングの基となる個々の評価項目には教育・研究の改善指標として有効なものがあるのも事実です。過去数年、大学ランキングの発表時期には、日本の大学のランキング長期低落傾向と基礎科学の危機的状況が新聞紙面を賑わせています。一時的な話題にするだけではなく、私たち大学人、行政関係者、そして全国民が、“大学力は即ち国力である”ことを意識し、この逼迫した状況の打破を真剣に考えるべきです。

QS の分野別ランキングは、学界や企業からの評判、論文の被引用数等を基にした指標による「獣医学」「医学」「工学」といった分野ごとのランキングです。「獣医学分野」という括りのなかで見れば、50 位以内は、ほぼ全てが北米、欧州、豪州のOECD 加盟国の大学です。

日本の獣医大学は、2016 年までは50 位以内には入らず、50 位~100 位に数校の名前が挙がっていました。2017 年は東京大学のみが50 位以内でした。「医学分野」も状況は同じです。「工学分野全般」となると少し増えて3校です。これらは残念ながら現実です。私たちは、これをもって“質が落ちている”と短絡的に判断するのではなく、評価の現状を真摯に受け止め、教育・研究をさらに強化し、情報発信にも努めて、日本の大学の多くが50 位以内に入るよう、向上を目指すものです。

しかしながら、大学ランキングの低迷の背景にある最大の要因として、教育・研究の根本的な基盤となる教員数、支援スタッフ数に、日本と他国との間で極めて大きな差があることを指摘しなければなりません。日本の獣医学教育改善運動のなかで、教員数の増員は常に根源的な課題であり続けてきました。日本の大学の認証評価機関である(公財)大学基準協会は、平成9 年以来、「獣医学教育組織の専任教員数は、学生入学定員数を30~120 名とした場合、68~77 名以上とする」という基準を提示しています(平成28 年改訂)。しかし、現実には1校あたりの専任教員数は25 名~60 名程度であり、国内の獣医大学で単独でこの基準を達成しているところはありません。対して欧米諸国の獣医学部は小規模校でも100 名以上、大規模校では300 名を優に超える教員、さらにほぼ同数の支援スタッフが教育と研究に従事しています。

こうした欧米との格差を解消するために、前述のような共同教育課程の設置、あるいは各大学の自助努力や国の一時的財政支援によって教員や支援スタッフの増員が行われました。
しかし、その数はわずかに過ぎず、現状の取り組みでは限界があります。もう一歩進んだ大学の組織改革と、国や自治体、民間からの持続的な財政支援が不可欠です。国家や地域社会、そして世界が必要とする獣医師人材の養成について、獣医学教育・研究に携わる大学、国や自治体、そして民間のそれぞれでパラダイムシフトが必要です。

●今回の山本特命担当大臣の発言は、地方創生、規制緩和という職務ゆえのものであり、私たちにとっても一定の示唆を含むものと受け止めます。しかし、その発言は、獣医学教育に関する国内外の現状と大学ランキングの背景を理解した上のものとは思えません。公的な場における根拠無き批判は、多くの先達を含め、現在、獣医学教育改善に真摯に取り組む全国獣医系16 大学の教職員と、そこに身を置き研鑽を続ける獣医学生の努力を否定するものです。
同時に、獣医学教育のステークホルダーである全国民の、獣医学教育、ひいては獣医学・獣医療への信頼性を損ね、また国際的にも日本の獣医師、獣医学教育、獣医学教育政策の信頼を低下させることにつながると危惧しています。そうならぬよう、特に行政の立場から、獣医学分野はもとより、輝かしい日本の将来を担う大学における教育・研究の有り様について、真に適確な認識と対応に力を注いでいただくことを切望いたします。

日本の獣医学教育にとって、現在、最も重要なことは、従来の強みと特色をさらに伸ばしながら、教育・研究の質の向上を推進する仕組みを拡充整備し実践すること、それにより世界と次世代に通用する高い水準の素養と能力をもった獣医師人材を育成することです。このような優れた獣医師は、獣医学・獣医療関連のあらゆる領域で力を発揮し、地域社会、国内社会、そして国際社会の要望に応えていくはずです。私たちは、今後も継続して、ここに紹介した諸方策に取り組んでまいります。ご理解とご助言、ご支援を賜りますようお願いいたします。

【北大獣医学部教授 山本大臣の発言に「根拠なし」と猛反論 日刊ゲンダイ6/16】

「日本の獣医学部の質は落ちている」――。山本幸三・地方創生担当相の発言に全国の獣医師がカンカンになっている。疑惑まみれの加計学園の獣医学部新設を正当化しようと、山本はムリヤリ屁理屈をこねたのだろうが、これが獣医師会の逆鱗に触れた。山本発言に対し、中山裕之・日本獣医学会理事長と連名で反対意見書を公表した稲葉睦・全国大学獣医学関係代表者協議会会長(北海道大学獣医学研究科教授)に改めて話を聞いた。

 ――獣医学部新設の問題点は何でしょうか。

 獣医学部新設の提案は、過去何年もの間、私たち獣医系大学教員にとって重要な話題のひとつでした。なぜなら獣医学教育は、長く定員抑制策がとられてきたからです。その理由は、教育の質の担保、獣医師の需要動向の2点に照らしたものであり、適切なものと捉えています。新設を認めるには、特に国家戦略特区であればなおさら、この2点に関する妥当性が重要です。獣医師の需要動向については、「総数は充足、問題は職域偏在と地域偏在」というのが数年前の文科省、あるいは農水省のまとめであり、大学教員も同じ認識です。
現在、既存16大学では、獣医学教育改善の目標を「国際水準化」に定め、実践的な大小動物の臨床や公衆衛生教育の強化などさまざまな取り組みを進めています。職域偏在の解消に向けた取り組みも進んでいます。獣医師養成を担う以上、新設に際しては、当然、これに見合う教育内容・教育組織が必要です。まず、特区申請認可に際して、こうした本質的な観点からの検証が不十分だったことが問題です。昨今の国会審議や報道でも状況は変わっていません。

 ――意見書を出した経緯を教えてください。

 5月30日、山本幸三特命担当大臣の「日本の獣医学部の質は落ちている」発言が報じられ、待ったなしと判断し、意見書をとりまとめ公表しました。短絡的で根拠のない発言により、日本の獣医学・獣医師養成教育と獣医師がおとしめられ、国民の信頼を失うことを見過ごすわけにはいきません。無節操な言論と「岩盤規制撤廃」の題目だけで妥当性を欠く計画が進むなら、国家戦略特区は大学の教育・研究、文教行政を破壊し、国民を欺く旗印に身を落とします。
権力者は、その権力を国民と国家に向けて真に的確に行使しなければなりません。事は決して獣医学、獣医師だけの問題ではありません。そういう思いと私たち自身への戒めも込めながら、獣医師、獣医学生、報道、行政担当の方々を含め、広く一般の皆さんに獣医学を取り巻く現状を伝え、未来に希望をもっていただくべく意見書を発表したものです。

 ――岡山理科大学の獣医学部新設をどのようにお考えですか。

 もし獣医学教育の向上と獣医師の需要動向の2点に照らして妥当なものであれば、新設は歓迎です。しかし、実際に妥当と思える材料は乏しく、否定する材料は豊富です。今後、設置審議会が機能を十分に発揮し、矜恃をもって厳正な審査を行い適切な結論に導くことを信じます。きっかけとしては残念ですが、この問題や私たちの意見書が、大学における獣医学教育・研究と獣医師の役割への関心と理解、さらに「大学力はすなわち国力」であることの本当の理解につながることを願っております。


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