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文科省「教員の働き方改革に向けた勉強会」におけて、長時間勤務解消にむけた全教の意見表明

 文科省の教員勤務実態調査結果で、中学教員の6割、小学教員の3割が過労死ラインを超えていることがあきらかになった。これを受け、文科省は「教員の働き方改革」について中教審に諮問すると発表し、現在、論点整理のために「教員の働き方改革に向けた勉強会」を開催し、教育関係諸団体からの意見聴取を実施。文科省からの求めに応じた全教の意見表明。県議会でも取り上げるべき重要なテーマ。
【「教員の働き方改革に向けた勉強会」における意見表明 全教 6/2】

〔コメント〕 全教は、「文科省が今回おこなった勤務実態調査においても、教員の一日当たりの学内勤務時間は、法定労働時間である7時間45分を大幅に超えており、この事実は『給特法』違反であることを示している」とし、文科省の現在すすめている「チーム学校」や「教員の業務改善」などの施策は、抜本的な長時間労働解消策とはなっていないことを強く批判しました。  その上で、①教職員定数の抜本的改善及び持ち授業時数の上限設定、②授業準備にかかる時間を勤務時間内に確保すること、③競争主義的な教育政策からの抜本的転換、④給特法の改正、⑤教員の長時間労働の大きな要因の一つとなっている部活動の抜本的見直しなど、全教としての長時間労働解消のための基本要求について説明し、理解を求めました。  文科省からは、部活動ガイドライン策定、給特法の改正、教員の持ち時数の上限設定などに関わって、いくつかの質問があり、全教としての立場を表明しました。  全教は、今後、今回の意見表明の内容も踏まえて、実効ある長時間労働解消策が策定されるように、文科省への働きかけを引き続き強めていきます。
【「教員の働き方改革に向けた勉強会」における意見表明】

2017年6月2日 全日本教職員組合(全教)

1.文科省が今回おこなった勤務実態調査においても、教員の一日当たりの学内勤務時間は、法定労働時間である7時間45分を大幅に超えており、この事実は「給特法」違反であることを示している。

全教は文科省に対し、勤務実態調査結果と今後の対応をすすめる上で、以下の3点を求める。
①教員の長時間勤務の実態が「給特法」に違反していることを率直に認めること。
②文科省自らが「給特法」の趣旨と条文に沿って違法状態を改める立場を地方教育行政とすべての教職員、教育関係諸団体に示すこと。
③法令遵守義務を果たすために実効ある施策を実施すること。

2.教員の長時間労働の解消を第一義的にかかげるべきであり、「働き方改革」「効率的・効果的な学校の組織運営の在り方」等、「教員の業務改善」に矮小化することは、真に教員の長時間労働の解消にはならない。

①労働基準法は労働時間について、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について40時間を超えて、労働させてはならない」(第32条)と規定しており、時間外勤務は例外的な措置であることは明らかである。「給特法」も労基法の労働時間の原則に則っている。これら労働時間の原則をふまえた議論をすすめることが求められる。

②文科省が実施した勤務実態調査で「公立学校教員の長時間勤務の実態が明らかになった」としている。にもかかわらず、長時間勤務の解消を第一義的な課題とするのではなく、「働き方改革」「新学習指導要領の円滑な実施」「効率的・効果的な学校の組織運営の在り方」等、「教員の業務改善」に矮小化することは、真に教員の長時間労働の解消にはならないと考える。

3.文科省が教職員の長時間労働の解消として行ってきた施策が実効あるものになっていない。

(1)「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース報告」(以下、「タスクフォース報告」)を、文科省は2016年6月13日、都道府県教委および政令市教委の教育長宛てに通知した。

①「タスクフォース報告」は「改革に向けた基本的な考え方と重点的に講ずべき改善方策」として4つの柱の一つに「長時間労働という働き方を見直す」をあげている。

○「改革の基本的な考え方」は以下の内容が主なものとして示されている
ア)業務改善を断行するためには,教職員の働き方そのものの価値観の転換が必要
イ)ワーク・ライフ・バランスを含むタイムマネジメント等の意識改革を加速教職員の働き方を不断に見直していく
ウ)心身ともに健康を維持できる職場づくりを推進していく必要がある
エ)教職員が本来の労働時間で退校することを理想の姿として目指し,講じうる措置を一体的・総合的に推進する

②文科省が「タスクフォース報告」でうちだした「一体的・総合的に業務改善に取り組む改革パッケージ」としての4つの柱にもとづく改善方策や「『チーム学校』の実現」は功を奏していない。

○教員の時間外勤務の実態が一向に改善せず、かえって深刻化している
○文科省の調査結果がいみじくも示す結果になっている

③根本的な原因はどこにあるのか

ア)学校現場で子どもたちの教育に懸命にとりくんでいる教職員の苦悩や願いに向きあって文部科学行政の自主性や自立性・独立性を発揮できていないこと
イ)総人件費抑制と公務員定数の削減という政府方針の枠内で対応を模索する文科省の姿勢による

(2)その他の提案としては

①「教員の勤務実態を的確に把握」すること
②勤務時間管理の徹底の促進
③部活動における負担を大胆に軽減
等がある。実効性を持たせるための手立てを求める。

4.本来、勤務時間内で行われるべき業務が、勤務時間内で終えられない事実がある。

「児童・生徒と向き合う時間」が増えず、逆に減る結果となっている。
同時に、調査結果から教員の長時間労働を解消する方向性を見出すことも可能である。

①文科省の調査結果が示す教員の「学内勤務時間」の集計結果は、本来、勤務時間内で行われなければならない業務が、勤務時間内で終了していない事実を示すものとなっている。

○小学校は10時間46分(1人でほぼ1.4人分の仕事時間)
○中学校は10時間26分(1人でほぼ1.35人分の仕事時間)
文科省が「学校教育活動の一環」とする部活動の時間平均41分であり、実質上は11時間7分(1人で1.43人分の仕事時間)。
○単純計算でも、教員を約1.4倍に教員を増やさないと時間外勤務は解消できない。

②「10.属性別勤務時間①」では、「小学校では担任児童数が多いほど、平日の学内勤務時間全体及び成績処理に係る業務時間が長い傾向にある」となっていることからしてもクラスサイズを小さくすることが時間外勤務時間の短縮に資するとともに文科省がかかげる「子どもと向き合う時間の確保」にもつながる。

③「10.属性別勤務時間①」で「学内勤務時間・全体(平日)」の中学校は、授業担当生徒数となっており、実際に授業を担当している生徒総数がわからない。成績処理などにかかる負担が明確にならず、不十分さがある。

④「10.属性別勤務時間①」における「成績処理」のグラフで、成績処理が土日に行なわれている実態については重く受け止めるべきことである。

⑤「10.属性別勤務時間②」(部活動の状況別)において、「顧問なし」の「学内勤務時間・全体(平日)」が、10時間50分となっていることも、部活動の担当の有無にかかわらず、時間外勤務が蔓延していることを示している。

○部活動のみに特化するような施策ではなく、教員の働き方全体にかかわる教職員定数の改善および労働条件改善の施策を打ち出すことが必要

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⑥教員の本務である授業と授業準備、学習指導、生徒指導、成績処理にかかる時間を勤務時間内に優先的に行うこと、それ以外のものは、勤務時間を超えては行わないことを原則とすることを明確に示すことが必要。

⑦教員の本来業務が勤務時間内で行えないという事実と現状、原因を、個々の教員の意識や事務処理能力、教育現場の「悪しき慣行」などにすり替えてはならない。

⑧教員の時間外勤務の原因と真の解決策について、文科省や地方教育行政は学校現場における教職員の声に真摯に耳を傾ける姿勢を示すべきである。

○「休みたくても休めない」「健康診断で再検査や要精検の結果が出ても、病院に行けない」「身体が持たないかも知れない」「教員としての本務が後回しとなる」などという教員の悩み・苦悩に素直に耳を傾ける姿勢を、職場の管理職をふくめて教育行政側が持つことがどうしても必要
○その姿勢を持たないと、学校・職場がセクハラやパワハラの温床となる危険性を文科省は自覚すべき
○「定時退庁日なので、午前6時に出勤している」「ノー残業デーなので、午後7時には帰ってください」ということが平然と言われる現状を「おかしい」といえるようにすること

⑨学校運営や教職員の健康問題や勤務について、改善をはかる責任を担う校長は、自らの責任を自覚するとともに、校長の裁量権を教育行政は保障することが求められる。
文科省が唱えるトップダウン型の校長のリーダーシップの発揮ではない。

5.長時間過密労働の解消に向け、全教は以下に示す基本要求としてかかげている。

(1)教職員の定数改善を抜本的に行うことによって、以下の2点を実現すること。

①教員一人の持ち授業時間数に上限を設定し、授業準備や研修の時間を確保する。
○全教は文科省に「当面の上限を小学校20時間、中学校18時間、高校15時間とすること」を求めている

②少人数学級を実現すること。
○少人数学級の前進をめざすことを、安倍首相自らが国会で答弁している

*畑野委員安倍総理大臣に伺います。全会一致で、国会で決まりました。自民党も賛成されました。みんなでつくった法律に書いてあるんです。35人学級の推進を国として決断すべきときではありませんか。いかがですか。
*安倍内閣総理大臣そうした全会一致ということの重さもかみしめながら、先ほど申し上げましたように、小学校1年生、2年生では実現をしているわけでございますが、さらに35人学級の実現に向けて鋭意努力をしていきたい、このように思っております。(第189回国会予算委員会2015年2月23日)

(2)授業準備にかかる時間を、勤務時間内に保障すること。

○「1時間の授業を行うためには、1時間の授業準備の時間が必要」と文科省が国会で答弁している

*畑野委員 かつて国会で、我が党の林紀子参議院議員に答えた局長答弁というのがあるんですね。それは、昭和33年のいわゆる標準法制定時における教職員定数を算定するに当たりまして、1時間の授業につきましては一時間程度は授業の準備が必要ではないかと考えて、それをベースに教職員定数を算定したという経緯がある、その考えについては、現在においても、これくらいな時間が必要ではないかと考えていますということですが、そういうことでいいですか。
*藤原政府参考人委員御指摘のとおり、全体としての話を今私が御説明申し上げまして、それを単位時間で割り戻していけば、1時間当たりの指導時数に対しまして、その準備等の校務にかかるものがそれと同程度ということになる計算でございます。(第192回国会文部科学委員会2016年11月2日)

(3)全国一斉学力テストによる学校間や市区町村、都道府県段階にいたるまでの競争に代表されるような競争主義的な教育政策を抜本的に転換すること。

(4)教員の専門職性を尊重しない教育行政の姿勢を改めること。

①子どもたちの教育にかかわる指導方法や教育計画の作成、学級経営等の進め方等、子どもたちの実態や現状と課題に応じた適切な指導をすすめる教員としての自主的な権限を最大限保障する立場に立つこと。

②自主的権限に対する著しい介入・干渉は厳に慎むべきである。特に、教員の一挙手一投足を管理するかのような対応はやめるべき。

(5)教職員の処遇の在り方については、教職員間の競争と分断をはかるような成績主義の持ち込みや拡大を図るのではなく、国民全体に責任を負ってすすめる教育という観点から、教職員のチームワークをいっそう高めるにふさわしい施策を検討し、対応すること。

(6)文科省が教職員の時間外勤務の実態を認め、その解決を重要な課題であるとの認識を示していることは、貴重な到達点であると考える。文科省は、全教を含む教職員組合との誠実な協議・意見交換の場を持つこと。

(7)給特法を以下の観点をふまえて改正すること。

①「教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする」としている給特法第6条および、第6条の規定にある「原則として時間外勤務を命じないものとする」とした政令を堅持すること。

②教育職員の勤務時間管理が服務監督権者の責任であることを明文化し、各学校における校長による適正な勤務時間管理を制度化すること。

③法律および条例で、限定4項目の場合も含め、週当たりの実労働時間の上限を規定すること。

④実労働時間が法定労働時間を超えた場合には、労働基準法第37条に準じて計算した時間外勤務手当を支払う旨の規定を設けること。また、そのための予算を政府・文科省の責任で確保すること。

⑤教職調整額については、現実に勤務した時間に対する事後的な精算という性格の賃金の一部支給と見て、これを超える時間外労働があった場合には精算すること。

(8)教職員の長時間労働の大きな一つの要因となっている部活動について抜本的な見直しを求める。当面、中学校部活動の全国大会を見直すことなど具体的な検討をすすめること。

以上

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