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農業「改革」8法案成立~ TPP協定に沿い法整備を強行する安倍政権

アメリカは離脱表明したが、TPP協定は成立しており、眠っているだけ。政府はそれにむけて着々と法整備につとめている。農業「改革」8法や水道事業の民間委譲など・・・
日米の交換文書のなかに「日本政府は米国の産業界の要望を聞いて、各省庁で可能な限りそれを検討させ可能なものについて、規制改革推進会議に付託する。規制改革推進会議の提言に日本政府は従う」という主旨のことが書かれているとのこと。
「今だけ、金だけ、自分だけ」の多国籍企業の要求に付き従う…「企業が世界で一番活動しやすい国」をつくる仕掛けがここにある。。

【農業改革8法成立 姿が見えない現場主義 農業新聞17/6/17】

【山田正彦・元農林水産大臣/狙いは農業・農協潰し―TPP協定に沿い法整備する日本政府 JA新聞 2017/3/27】


【農業改革8法成立 姿が見えない現場主義 農業新聞17/6/17】

 農水省が通常国会に提出した農業改革関連8法が成立した。生産資材や農産物流通の業界再編を促す農業競争力強化支援法や主要農作物種子法(種子法)廃止など農政の大転換となるもので、慎重な審議が求められた。だが、政府は現場の不安や懸念を置き去りにしたまま8法成立に突き進んだ。「官邸の意向」を背景に強引に改革を進めても混乱を招くばかりだ。農政運営の根幹としてきた現場主義の姿が見えなくなりつつある。

 現場の不安や懸念が置き去りとなった象徴が、付帯決議の多さだ。新たな加工原料乳生産者補給金制度を盛り込んだ改正畜産経営安定法などで付帯決議が採択された。法律の乱用を防ぐため、政府にくぎを刺す内容が目立つことも今回の特色だ。

 都道府県に優良な稲や麦、大豆の品種を奨励品種に指定し、種子の生産、普及を義務付ける種子法の廃止では、種苗法で一定の手当てがされたものの都道府県の種子生産後退の懸念がある。そこで、政府に都道府県の種子生産の予算確保や外資による種子独占の防止に努めることなどを求める付帯決議が採択された。

 衆院農林水産委員会が採択した改正畜産経営安定法の付帯決議では、政府の規制改革推進会議の意見を参考にとどめ、生産現場の声を踏まえた対応を求める内容を盛り込んだ。新たな補給金制度の運用に当たり「現場実態を踏まえ、酪農生産基盤の強化に資するものとなることを第一義」とした。政府提出の法案に立法府が疑問を突き付けた格好で、極めて異例だ。

 米の生産調整見直しについては今でも現場に慎重論があるが、生産者や団体を中心とした「需要に応じた米生産」に移行する方向だ。その一方で、指定生乳生産者団体(指定団体)が堅実に生乳の需給調整をしてきたにもかかわらず、国が年間販売計画を基に飲用向けと乳製品向けの需給調整を行うことになった。米と生乳でちぐはぐなことを同時並行で進める形で、政府の対応は矛盾に満ちている。

 最も懸念が残るのは、農業競争力強化支援法。国は農業生産資材や農産物の流通状況を施行後1年以内に調査し、2年以内に施策を検討することになったが、これは政府の規制改革推進会議がこだわる農協改革の「期限」と符合する。JA全農の改革をはじめとする農協改革のフォローアップで、政府が同法を根拠に干渉を強める恐れがある。同法による農業者の所得増大に向けた業界再編の責務は国も担う。国が業界再編を推し進められなかった場合、誰が責任を負うのかも明示してもらいたい。

 国民は安倍政権に政策決定を白紙委任したわけではない。特に現場に密着した農政運営は、農家らの声に十分に耳を傾け、現場がついていける手法や速度で改革を進めることが肝要となる。政府は、8法で採択された決議に込められたメッセージを重く受け止めるべきだ。



【山田正彦・元農林水産大臣/狙いは農業・農協潰し―TPP協定に沿い法整備する日本政府 JA新聞 2017/3/27】

聞き手:田代洋一 横浜国立大学・大妻女子大学名誉教授

 米国のトランプ政権は、TPP離脱を宣言し、日米二国間交渉(FTA)を優先的に行うという。その交渉では、農業分野でのTPP以上の市場開放を要求してくるといわれている。さらに、日本政府は「農業競争力強化支援法」を柱に、農業分野における法整備を急いでいる。こうした状況をどう考えればいいのか。TPP反対運動を担ってきた山田正彦元農林水産大臣に聞いた。聞き手は田代洋一横浜国立大学・大妻女子大学名誉教授にお願いした。

◆成立しているが眠っているTPP協定
・田代 米国が批准しないTPPになりました。そのことで「TPPはなくなった」と、ほっと一息ついている人たちもいるようです。またJAグループも「農協改革」ということで次々と攻められ、その対応で手いっぱいの状況で危険な状態にありますが、いかがでしょうか。

・山田 米国は離脱するという正式な通報を寄託国のニュージーランドに通知し、各国に正式に伝えられました。これが国際法上どういう意味をもつかということをTPP違憲訴訟弁護団や国際コンサルタントで米国の議会動向の専門家でもあるトーマス・カトウ氏とも検討しましたが、「離脱」通報は、単なる政治的な意味合いであって、国際法上は昨年2月4日に署名したことで成立しているということになります。ただ、批准がされていないので、発効できないだけです。
 米国で大統領が変わったりすれば、いつTPPが起き上がってくるか分からないということです。
 そうしたなかで、3月14~15日、チリで米国を除く11カ国の会談が行われました(米国の駐チリ大使が傍聴)。そのなかで確認されたのは、TPP協定をもう一度、何らかの形で復活させようということです。チリとかペルーはコロンビア、中国、韓国を入れて新たなものにといっています。ニュージーランドやオーストラリアは、11ヶ国でといっています。このようにまだいろいろな動きがあります。
 つまり「TPP協定は眠っている」が「成立していることに間違いない」ということです。

◆危険な種子法廃止 狙われる水稲原種

・田代 それに対する日本政府の構えはどうですか

・山田 日本政府は、米韓FTAで韓国が200本の法律を変えたように、TPP協定に沿った国内法の整備をどんどん行っています。
 その一環として「農協改革」があります。協同組合という考えがありませんから全農「株式会社化」とか、農業競争力強化支援法案(以下、競争力支援法)や種子法の廃止など8法案を国会に上程していますし、水道法を改定して国や自治体で管理していたものをすべて民間に任せるというTPP協定第15章の「政府調達」に沿ったものにしようとしています。
 TPP協定は、発効はしていないけれど、日本政府は着々と協定にそって進めているということですが、こうしたことを多くのメディアは報道していません。
 そして日米の交換文書のなかに「日本政府は米国の産業界の要望を聞いて、各省庁で可能な限りそれを検討させ可能なものについて、規制改革推進会議に付託する。規制改革推進会議の提言に日本政府は従う」という主旨のことが書かれています。

・田代 種子法廃止もその一環ということですね。

・山田 米の原種については県などの試験研究機関が維持し、長い時間と金をかけ、新しい優良品種を開発して安く生産者に提供してきています。日本でも一部で水稲種子をもっている民間企業もありますが、開発には多くの時間と金がかかります。
 しかし、種子法を廃止するとともに競争力支援法の第8条の4では、別掲のように、独立行政法人や試験研究機関、都道府県が持っている「種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進」するとあります。日本の主食である稲の種子を、大手企業や海外の種子企業に無償で提供しなさいということです。
 彼らにとっては、長年にわたって研究開発されてきた稲種子市場は狙い目です。日本の農家が稲種子を自家更新するのは10%程度ですから、海外の種子企業の稲種子を日本の生産者は買うことになります。彼らが市場を支配すると、まだ安全性についてカルタヘナ承認がとれていませんが遺伝子組換え稲種子が次にくると思いますね。食品安全委員会はすでに安全だといっていますから申請さえすれば作付できるようになります。
 こうしたことが分かっていながら、なぜ農業団体が動かないのかと思います。

・田代 TPPはなくなっておらず、日本政府はその受け入れのため着々と法整備を進めているということですが、種子法廃止を含めて米国からの強い要求によるもと考えていいのでしょうか。

・山田 間違いなく、米国からの要求です。規制改革推進会議で検討して、法案化していますからね...。
 競争力支援法では、全農改革や一応保留してもらっている准組合員制度について、2018年5月までに調査し19年5月まで施策検討しろとなっています。JA共済を株式会社にしてJAから切り離など、米国の意向に沿って着々と進めているんです。

◆農業と自動車をペアで日本に要求

・田代 トランプ大統領は、日米FTAでといっていますが、具体的には何を要求してくるのでしょうか。

・山田 日本政府は日米FTAを「容認」すると、認めています。事実上その交渉は、4月の「日米経済対話」で始まりますが、安倍首相がトランプとあったときに、トランプは日本が米国から輸入している農産物は1億1000万ドルくらいですが、これを倍の2億ドルにという要求があったといいます。
 もう一つは、日本から米国への自動車輸出が7億ドルありますが、これを半分にしろ、つまり米国の貿易赤字を半分にしろということも要求されています。
 どちらについても「自主規制」することを要求しています。自主規制できなければ日本に対して関税の壁を設けるといっています。

・田代 一番の狙いが、農産物と自動車で、これをペアにして攻めてくるわけですね。メキシコもさまざまに攻められていますが、どう対応していますか。

・山田 メキシコも関税の壁をつくられるので、工業製品は大変なことになります。NAFTAでメキシコは米国乳業界最大の輸出先になりましたが、メキシコ政府は「もう米国からの乳製品は買わない」といって、ニュージーランドやEUから輸入することを検討しています。
 これは当然のことですから日本も、自動車輸出を半分にするなら、米国の農産物は「買わない」と自分の主張をして交渉すればいいんです。

・田代 日本が買わないといったら、在日米軍は引き上げるというのでは...

・山田 引上げてもらえばいいのではないですか。

◆生協と共に協同組合のあり方考える

・田代 競争力支援法の目玉にされている「収入保険」についてはどうお考えですか。

・山田 民主党政権の時に「所得補償」をやりましたが、欧州では当然のことですし、米国の米では目標価格を設定してその差額を不足払いしています。欧州の場合は6~8割が、米国でも農家所得の3割が所得補償で、これは収入保険ではありません。
 保険というのは自分が保険金を払っているわけですから、自分の金を積み立てて自分でもらうようなものです。これは所得補償とはいえません。
 米国でもやっていますが、食の安全、自給率のために、国の金を思い切り入れて所得補償していいんですよ。

・田代 いったい競争力強化支援の真の狙いは何なのでしょうか。

・山田 農業を潰そうという法律にしか見えません。
 私が農水大臣の時には、大規模化や合理化だけがこれからの農業ではないと考え、EUのように家族を軸に営農している農家をみてこいといいました。それが日本の農業だからです。米国型の企業農業は「奴隷農場」を目指しているんです。種子と農薬を先付にして...。

・田代 農協はそれにどう対応すべきでしょうか。

・山田 私は一楽さんに協同組合について、徹底的に教えてもらいました。協同組合は日本の誇りですから、「農協改革」には、生協と一緒に戦ったらいいと思います。農協から信用・共済事業を分離しようとしていますが、郵政改革と同じで身ぐるみ剥され、米国のいいなりになることです。
 そして、食料自給率を高めたり、限界集落を守り環境保全するために農協は必要だということをアピルーして、生協と連携して安全な国産の農畜産物を消費者に届けるなど、市民団体も巻き込んで、協同組合のあり方を一緒に考えていくことが大事だと思います。

【インタビューを終えて】
 TPPは眠っているだけ、目覚める時に備えて日本政府は着々と国内体制を整備している。種子法の廃止もその一つだ。これで多国籍アグリビジネスの農業支配に道を拓く。日米FTAへものめり込み、農産物輸入を倍増せよ、自動車輸出を半分に自主規制せよと迫られている。それ跳ね返すには食料を守る協同組合間の連携が欠かせないと山田元大臣はおっしゃる。「家族農業を守るには所得補償」の信念も揺るがない。内向き自己改革だけでは袋小路から脱却できない、というメッセージと受けとめた。(田代)

【農業競争力強化支援法】
(農業資材事業に係る事業環境の整備)
第8条 国は、良質かつ低廉な農業資材の供給を実現する上で必要な事業環境の整備のため、次に掲げる措置その他の措置を講ずるものとする。
一~三 略
四 種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。

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