貧困線122万円で「変わらず」、所得100-300万円世帯の率増加
2016年 国民生活基礎調査で、「相対的貧困率」15.6%(前回12年比で0.5ポイント減、「子どもの貧困率」13.9%(同 2.4ポイント減)と減少した。OECD平均では、子どもの貧困率13・3%、相対的貧困率11・4%であり、依然として高い。
しかも、「調査」の全体を見てみると・・
①全体の所得分布では、中央値は下がっているが、平均所得額と平均所得以下の率はあがっており貧困と格差の拡大を示す。
②貧困率の算出根拠となる貧困線は122万円と3年前と変化なし。所得分布では、100-300万円の層が0.6ポイント増、400-600万円の層が0.8ポイント減である。
低所得と格差が広がる中で、貧困線以下の層からギリギリ貧困線を越えたところに若干の移動があったということではないか。
【平成28年 国民生活基礎調査の概況】
Ⅱ 各種世帯の所得等の状況
・一世帯あたりの平均所得額 14年-15年
全 世 帯 541.9万円→545.8万円
児童のいる世帯 712.9万円→707.8万円
→ 前年との比較では全世帯約4万円増の中で、児童のいる世帯は5万円減
・所得〔世帯〕の分布
・「200~300 万円未満」13.7%、「100~200 万円未満」13.4%、「300~400 万円未満」13.2%。
2012/15比較
100万円未満6.2%で同じ、100-200万円13.2→13.4、200-300万円13.3→13.7、300-400万円13.2で同じ
400-500万円11.0→10.4%、500-600万円9.0→8.8
・中央値428 万円。平均所得金額(545 万8 千円)以下の割合は61.4%
〔2012年 中央値432 万円、平均所得金額(537 万2 千円)以下の割合は60.8%〕
→ 100-300万円の層が0.6増加、400-600万円の層が0.8減少
→ 中央値は下がっているが、平均所得額と平均所得以下の率はあがっており格差の拡大を示す。
・ 貧困率
2015年の貧困線は122 万円〔前回2012年も122万円〕
「相対的貧困率」15.6%(対12年△0.5)、「子どもの貧困率」(17 歳以下)は13.9%(対12年△2.4)
「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18 歳以上65 歳未満で子どもがいる世帯)12.9%(対12年△2.2)、
うち「大人が一人」の世帯50.8%(対12 年△3.8 )
→貧困率は低下したしたものの依然高く、「貧困線」〔中央値〕は122万円と3年前と同じであり、貧困線以下から、貧困線から中央値の間に若干移動した〔所得分布より〕と判断できる。
なお、中央値は97年149万円をピークに低下が続いている
【「子どもの貧困」7人に1人 母子家庭「生活苦しい」82% 6/27】厚生労働省が二十七日発表した二〇一六年国民生活基礎調査で、「子どもの貧困率」は一五年時点で13・9%(七人に一人)だった。三年おきに調査しており、過去最悪だった前回から2・4ポイント下がった。改善は十二年ぶり。厚労省は「雇用状況が良くなり、子育て世帯の所得の増加が主な要因」と分析している。ただ先進国の中では依然として高めの水準。特にシングルマザーなどひとり親を取り巻く状況は厳しく、引き続き対策が求められそうだ。
子どもの貧困率は、平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす十八歳未満の割合を示す。同じ方法で算出した全世代の「相対的貧困率」も0・5ポイント減の15・6%。世帯類型別では、大人一人で子どもを育てる世帯の貧困率が50・8%と極めて高かった。
経済協力開発機構(OECD)の直近のデータでは、加盟国など三十六カ国の平均は子どもの貧困率が13・3%、相対的貧困率が11・4%で、日本はこれらを上回っている。
一五年時点で全世帯の平均所得額は一二年比1・6%増の五百四十五万八千円。子育て世帯は七百七万八千円で5・1%増えた。生活状況は「大変苦しい」「やや苦しい」との回答は計56・5%だった。
子どもがいる女性のうち、仕事がある人は67・2%で、前回調査から4・1ポイント増。子どもの年齢が上がるにつれ、働く割合は増えるが、非正規雇用が大半を占める。
調査は全国世帯(震災があった熊本県を除く)を対象に一六年六、七月に実施。世帯構成は約二十二万四千世帯、所得は約二万五千世帯から有効回答を得た。
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